果たして、ハルマはデンテとどのような話をするのか……そして、前回の最後に出てきたショウマ(?)が……?
それでは、どうぞご覧ください。
「ここは……?」
「ワシの隠れ家じゃよ。ほれ、そこにショウマを寝かしとくれ」
そのグラニュートの隠れ家に着いたハルマは、ショウマを中にあるベッドに寝かせる。
「むっ!これは……」
「何か分かったの?」
「どうやら、ガヴにゴチゾウが詰まっておるようじゃ……すぐに掻き出すから、お主は座って待っておれ」
そう言われたハルマは、その言葉に通りに椅子に座って待つことにした。その間……
『ニョワニョワ!』
『ぷるぷる!』
『フワ?』
『ザク!』
『ぷる?』
ショウマのガヴから搔き出されたゴチゾウたちが、ハルマのゴチゾウたちのところに来て戯れていたり……
『ザク!ザクザク!』
「ありがとうって……礼なんていいよ」
助けを求めてきていたザクザクチップスゴチゾウが、ハルマに礼を言ったりしていたのだ。そして……
「……よし、これで大丈夫じゃろう。あとは、ショウマが目を覚ますのを待つだけじゃ」
「そっか……」
デンテはショウマの治療を終え、ハルマにそう伝える。
「それで……誰なの?」
「!そうじゃったそうじゃった……自己紹介をしておらんかったな」
そして……
「ワシの名はデンテ・ストマック」
「ストマック……!?」
「ショウマの大叔父じゃ。ちなみに、闇菓子もワシが作ったんじゃよ」
デンテはハルマに向けて名乗り、闇菓子を自身が作ったことも明かした。
「っ……」
(デンテ……この人が、闇菓子を―――)
「ど、どうかしたかの?」
思わぬ人物との遭遇と、その人物が闇菓子を作ったという事実に、ハルマは一瞬驚いた表情を見せるが……
「………訊きたいことがある」
「?」
「オース……この名前に聞き覚えは?」
すぐさま落ち着きを取り戻し、デンテに自身の父であるオースのことについて訊いた。
「な、何故その名前を……!?」
「その反応……やっぱり、父さんは―――」
ハルマはグロッタの話を聞いてから、オースがストマック家出身であることに対し、半信半疑だった。だが、デンテの反応を見て、オースがストマック家の出身であることに確信を持ったのだ。
「と、父さん……じゃと……!?」
デンテはハルマがこぼした言葉を聞き、驚いた様子を見せる。
「お、お主……まさかオースの……」
「……そっちの思ってる通りだよ」
「!そうかそうか……オースに息子がいたとはの……!」
甥であるオースに子供がいたという事実に、デンテはどこか嬉しそうにしていた。
「よく見ればその白い髪、オースにそっくりじゃな……名前は何と言うんじゃ?」
「……ハルマ」
「ハルマ……良い名前をつけてもらったの」
デンテはハルマの名前を聞き、そんな風に褒めたのだ。
「それにしても……オースは7年前に死んだと聞かされたが、その後から今まで何処におったのじゃ?それに、その人間としての姿は……?」
「……7年前から最近まで、ストマック社で処刑人をしてた……今じゃ、仮面ライダーヴラムなんだけど」
「な、何と!?お主がショウマの言っておった仮面ライダーじゃったとは………それに元処刑人ということは、その時に改造を……?」
デンテはハルマが純粋なグラニュートで、今の人間の姿もミミックキーによるものと思っているようだ……。
「いや……僕はショウマとほぼ同じだよ」
「同じ……ということは、ハルマも人間とのハーフか!?」
「そうだよ……逆に違うのは、僕にはガヴがないことだよ」
「が、ガヴがない……!?」
グラニュートに必ずあるガヴがハルマにはない、デンテは驚きを隠せずにいた。
「というか、僕のことはいい。それよりも―――」
すると、ハルマはデンテに………
「知ってるなら教えてほしい……まだ、ストマック社にいた時の父さんを」
「!ハルマ、お主……」
「僕は、父さんがストマック家の出身だってことを昨日初めて知った………もしかしたら、父さんも闇菓子を作りに関わっていたのかもしれない……それでも―――」
オースのことを話してほしいと頼んだのだ………そう頼むハルマは、自身の父が闇菓子作りに関わっていたとしても、それを受け入れる覚悟でいるようだ……。
「分かった!オースの子供の頼みじゃ。ワシの知る限りのことを教えよう!」
そんなハルマを見て、デンテは快くそれを了承し、オースのことについて話し始めた。
「オースはワシの甥………つまりは、ショウマの父親であるブーシュの弟なんじゃ」
「……!」
(グロッタの言っていた従兄弟って、そういうことだったのか……)
ハルマはその事実に内心驚きながらも、どこか納得した様子でいた。
「オースは表の―――まだストマック社が闇菓子を作る前からしていた事業を主にやっておった」
「表って……普通の菓子作りの?」
「その通りじゃ。元々ストマック社は、ごく普通のお菓子メーカーじゃった。初代社長にしてワシの兄のゾンブは、美味しいお菓子を作るために、世界中から未知の食材を集めておった………じゃがある時、兄貴はワシにある食材を持って来て、これで菓子を作れないかと頼んできたのじゃ」
「ある材料……?」
「その材料の元は知らされなかったが、その時のワシは何も疑わずにそれで菓子を作った」
「!それが……闇菓子」
「あぁ……当時は珍しい味の菓子じゃと思ったが、これが予想以上に売れた………それがきっかけで、兄貴は闇菓子で天下を取るという野心に取り憑かれ、より旨さと中毒性を高めるように改良していったのじゃ……」
「なら、その材料さえなければ……あるいはその菓子が売れなければ……」
「闇菓子が作られることはなく、人間が攫われることもなかったじゃろうな」
「……」
デンテの口からは、ハルマが処刑人時代に知ることがなかった闇菓子が誕生した経緯について語られていく。さらに……
「オースはの……
闇菓子の製造には反対の立場じゃった」
『兄さん!!』
『ん?オースか……』
『どういうことなんだ!闇菓子事業を続けるって―――』
『言葉通りの意味だ』
『何故だ!?人間を犠牲にするなんて絶対に―――』
『これは決定事項だ、オース』
『っ……!!』
「反対って……?」
「闇菓子事業を引継いたブーシュとはよく衝突し、ランゴたちからは嫌われておった。まぁ、あやつは誰よりも優しかったからのぉ……人間を攫い、スパイスの材料にしていることが許せなかったのじゃろう。今思えば、あやつが表の事業に力を入れておったのも、ストマック社が始まった頃の―――闇菓子がなかった頃の姿を取り戻したかったのかもしれん……闇菓子が無くとも、ストマック社は成長していけるということを証明し、家族に罪を重ねさせないために……」
オースは他のストマック家の家族たちとは違い、人間をスパイスの材料とした闇菓子を作ることに反対していた。そのため、兄であるブーシュやその子供であるランゴたちとは、仲が良くなかったようだ。
「父さんは……止めようとなかったの?」
「もちろん、止めようとしておったぞ。じゃがお主も知っておる通り、あの世界は実力主義が強い風潮じゃろ?おそらくオースも、直接的な手段をとれなかったのじゃろう」
デンテの言う通り、グラニュート界では上流階級にいくほど戦闘力が非常に高くなっており、純粋に強くストマック社のトップであるブーシュにオースは逆らうことが出来なかったのだ。
「じゃが17年前……オースはある事件を起こし、その姿を消した」
「ある事件……?」
「……攫われた人間を解放し、元の世界に逃がそうとしたのじゃ」
「!」
何とオースは17年前に、闇菓子のスパイスの材料にされそうになっていた人間たちを、ストマック社から逃がすということをしていたのだ……。
「攫われた人たちは……父さんは、どうなったの?」
「これはワシの聞いた話じゃが、攫ってきた人間もオース自身も姿を消していたという……人間たちの方は分からんが、オースの方は―――まぁ、お主が一番よく分かっておるじゃろうな」
「……」
(……父さんはずっと、闇菓子を何とかしようと―――)
ハルマはオースが過去に何をしていたのかを知り、それが自分の想像を超えていたのか、思わず黙り込んでしまっていた……。
「それにワシの予想では少なくとも、攫われた人間も1人は確実に無事じゃろうな」
「?何でそう言い切れ―――!まさか……母さん……?」
「その後のことはおそらく、ハルマの方がよく知っておるじゃろう………これがワシの話せる全てじゃ」
そう言って、デンテは話を締めくくるのだった……。
◇
「ん!?美味い……っ!」
一方で、黒い服を着たショウマ………ダークショウマは駄菓子屋を襲っており、手当たり次第に菓子を食していた。そこで咎めてきた店主を踏みつけながら、コーラグミを食べたところ……
『ジュワ……!』
ダークショウマのガヴから、スパーキングミゴチゾウが出てきたのだ。
「これが……俺の身体が求めていたもの……!」
ゴチゾウがやっと出てきたことに、ダークショウマは喜んでいたが……
「やめろ!」
「っ!」
「大丈夫ですか?」
「は、はい……!」
「早く逃げて」
そこに駆け付けた絆斗に突き飛ばされたのだ。
「ちっ……邪魔すん―――」
「ふざけるなよお前!グラニュートだってばれたから、開き直って堂々と人間襲いやがって……!」
「?何言ってんだ、こいつ……?」
怒りを露にする絆斗であったが、ダークショウマにその言葉の意味が分かるはずもなく、そのままコーラグミを口に全て入れる。
「まぁ丁度いい、力試しだ……!」
そう言ってコーラグミの入っていた袋を投げ捨てると、腹の部分にある服のチャックを開き、ショウマとは違う黒いガヴを出し……
「グミ!」
そのガヴに、先ほど生み出したスパーキングミゴチゾウをセットした。
「BITEグミ!BITEグミ!」
ダークショウマがハンドルを逆手に持って回すと、ガヴからコーラグミのようなものが出てきて、周りを飛び回る。そして、左手を下から顔の左側を覆うようにし……
「変身……!」
そう言って、右手でガヴの左側にあるボタンを押す。すると、今まで飛び回っていたコーラグミのようなものがダークショウマの上から落ちてきて、その身体を包み込んだのだ。
「スパーキングミ!ヤミー!」
「!?」
そうしてダークショウマは、絆斗の前でビターガヴへと変身したのだ。
「くそっ!また新しい力か……!」
絆斗はそう言いながら、ヴァレンへと変身しようとしたが……
「ハァッ!!」
「!?」
その前にビターガヴが襲い掛かってくるのだった……。
◇
「もう行くのか?」
「ショウマはもう大丈夫そうだし、父さんの話も聞けた……これ以上、ここにいる必要はないよ」
元々の目的を果たし、オースの話もデンテから聞くことができたハルマは、デンテの隠れ家から去ろうとしたが……
「!そういえばハルマ……お主、今何処に住んどるんじゃ?」
「……?今の家は倉庫みたいなところだけど……」
「それ、家とは言わんからな……?」
正直に拠点にしている場所を言ったハルマであったが、デンテからはそんな反応をされてしまう……。
「………よし!お主が良ければじゃが、ワシのところに来んか?」
デンテはそう提案したが……
「いや、ダメでしょ」
「そうかそうか―――って、えぇ!?即答!?」
即座に断られてしまっていた。
「な、何故じゃ……?」
「何でって……僕は常に狙われてる立場だし………一緒にいたらここがばれるけど、それでもいいの?」
「!た、確かに……じゃ、じゃが………」
「それにもうランゴたちには、僕がヴラムであることはバレてるだろうし……まぁ、何かあったらまた来るから」
「そ、そうか……まぁ、気が変わったらいつでも言っとくれ」
「分かったよ」
デンテの言葉を聞いたハルマは、自身の拠点へ戻ろうとしたが……
「!そうじゃ!」
「?」
「これからは、ショウマと協力していくのじゃろう?」
「……ショウマが僕の復讐の邪魔をしない限りはそうなるだろうけど……」
「!そうか、お主も………ならば、どちらにしろ必要じゃな。ちょっと待っておれ!」
それを止められ、止めた本人であるデンテは隠れ家の奥から何かを持って来たのだ。
「ハルマ、これを渡しておくぞい」
「これって……」
「ショウマが持ってるのと同じものじゃ。予備を作っておいて正解じゃったな」
デンテはハルマに、ショウマも持っている携帯―――ガヴフォンを渡してきたのだ。
「使い方はあっちの世界の端末とほぼ一緒にになっておる。あとは……」
『ザク!』
デンテの視線を受けたザクザクチップスゴチゾウは、ガヴフォンの上にあるスロットに収まった。すると……
『ショウマから離れろ』
『ま、待っとくれ!ワシは―――』
昨夜のデンテとハルマのやり取りが、ゴチゾウ目線の立体映像として投影されていたのだ。
「すごいな……これ、貰ってもいいの……?」
「もちろんじゃ!」
「……ありがとう」
ハルマは礼を言い、ガヴフォンを試しに操作することにした。その間にデンテは、ハルマに人間界の菓子をあげたいということで、再び隠れ家の奥へと入っていった。すると……
「ん……?」
「ハルマー!持って来たぞ―――?どうかしたか?何か不具合でもあったかの?」
「いや、そうじゃないけど……」
ハルマはSNSのとある投稿に目を留めていた。その投稿の内容を見てみると……
「!?黒いガヴ……」
「なぬ!?」
ビターガヴが駄菓子屋の前で暴れている動画だったのだ。
「何だこれ……デンテさ―――デンテ叔父さんは何か知らないの?」
「いや、ワシが改造したのはショウマのものだけじゃ……あんなものは初めて見るぞい」
「……」
それを聞いたハルマは……
「ごめん、それまた後で取りにくるから置いといて」
「わ、分かっ―――って、早っ!?」
すぐさま走り出し、ビターガヴがいる場所へと向かうのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今までハルマが知ることのなかったオースの過去が、デンテの口から語られました……さらにはビターガヴが動き出し、絆斗との戦闘に突入していっています……果たしてこの先、ハルマはどのように関わってくるのか……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。