それでは、どうぞご覧ください。
ビターガヴとの戦闘の後、ハルマはデンテから人間界の菓子を受け取るために、隠れ家へと戻っていた。すると……
「!ハルマ君!」
「おぉ!戻ったか!」
目が覚めたショウマとデンテがハルマのことを見つけ、そう声を掛けてきたのだ。
「それで……どうじゃった?」
デンテからビターガヴについて訊かれたハルマは……
「強くはなかった……でも―――」
「でも……?」
「放っておくと、厄介なことになるかもしれないよ」
戦闘の中で何かを感じ取ったのか、そう答えたのだ。すると……
「あと……ショウマは特に気を付けた方がいいよ。中身は何故か、姿が一緒らしいし」
「!……そう、だね。気を付けるよ」
ハルマはショウマにそう忠告した。
「ハルマ君」
「?」
「まずは、ここまで俺のこと運んでくれてありがとう」
「礼なら自分のゴチゾウに言った方がいいよ。ゴチゾウがいなかったら、僕もショウマのところに行ってなかったし……僕が来なくても、デンテ叔父さんが来てたよ」
ハルマはいつものようにそう言ったが……
「ハルマよ、こういうのは素直に受け取っておいた方がいい!それにお前たちは従兄弟なのじゃから、もっと仲良くせい!」
デンテはそう言い、2人の肩に手を置く。
「おぉそうじゃハルマ、これからはショウマのことを兄と呼んではどうかの?」
その言葉に対し……
「俺はいいけど、ハルマ君は―――」
ショウマは自身はいいものの、ハルマの方はどうかと思い、そう言ったのだが……
「……ショウマ兄」
「えっ?」
「ショウマ兄っていうのは?」
ハルマはすぐさま、ショウマにそう訊いていたのだ。どうやら、ショウマのことを兄と呼ぶことが嫌というわけではないようだ。
「!……分かった。改めてよろしく!」
「……よろしく」
こうしてハルマは、ショウマのことを「ショウマ兄」と呼ぶことにしたのだ。
「あと……デンテ叔父さんから聞いたんだ。俺の叔父さん……ハルマ君のお父さんのこと」
「!」
ハルマはそれを聞き、思わずデンテの方を向いた。
「あぁ、ショウマにもお主にした話をしておいた。一応、ショウマも知っておいた方がよいと思っての」
「……」
ショウマはハルマがいない間に、デンテからオースのことについて聞いていたようだ。
「俺、頑張るよ」
「……?」
「オースさん―――ううん、オース叔父さんのためにも、人間を守るよ」
「そっか……それよりも調子は?」
「うん、気を失う前よりは大分ましになったよ」
その言葉を聞いたハルマは……
「なら……早く仲直りしてきたら?」
「えっ?それってどういう―――」
「叔父さん、これありがとう」
「ん?もう行くのか?」
「また何かあったら来るよ」
デンテから貰った菓子を持ち、隠れ家から去っていくのだった……。
◇
「ん……?」
ハルマがビターガヴと戦った次の日の朝、ダンスの練習に行っていたこころが帰り道を歩いていると……
「本日開催、キュア―――2人のライブ?今日……これから……?」
アイドルとウインクのライブの看板を見つけたのだ。その看板を見て疑問を覚えながらも、こころはその場所へと行ってみることにした。
「こんなところでホントに……」
こころがライブ会場へと到着すると、既に多くの人々が集まっていた。その中には……
「あっ、寸田先輩……!」
こころをダンス部に誘ってきていた寸田もいたのだ。すると……
「さてさて、3人目のプリキュアをおびき出すとするか……」
ライブ会場の上にザックリーが現れ、マックランダーにする人間を探し始めた。
「おっ!」
「紫雨さんがハマっているアイドルプリキュアのライブ……きっとダンスの参考になるぞ……!」
ザックリーはアイドルプリキュアのライブを楽しみにしている寸田を見つけ……
「丁度いいキラキラ発見!お前のキラキラ、オーエス!」
「うわあああああ!?」
「えっ!?」
「はい、ザックリ行くぜ!」
そのキラキラを引き抜くと……
「来い!マックランダー!世界中をクラクラの真っ暗闇にしやがれ!」
「マッ!ク!ランダー!」
寸田をブレイクダンサーのマックランダーへとしてしまったのだ。
『うわああああああ!?』
「っ……」
突然出現したマックランダーを見て、集まっていた人々は一斉に逃げ始めた。
「マッ!ク!ランダー!」
マックランダーはステージを蹴りで破壊し、周りに残骸をまき散らした。
「ライブなんてあるわけねぇだろ?こんなザックリとした偽物に引っ掛かるなんてな!」
「偽物……?」
このライブはザックリーが用意した3人目のアイドルプリキュアをおびき出すための罠であり、そのことを知ったこころは思わずそう呟く。
「さぁ、プリキュア!ヴラム!早く出て来ないと、世界が真っ暗闇になっちまうぜ!」
「ダ、ダ、ダ!マックランダー!」
マックランダーは、ザックリーの言葉に呼応するように周りを破壊し続ける。
「やだ……止めて……」
こころはそう言うが、声が小さいのかザックリーやマックランダーに届く様子はない……。
「もっとだ!もっとやっちまえ!!」
ザックリーはマックランダーにそう言い、さらにステージを破壊させる……その時、
「止めてってば!!」
勇気を出したこころは、ザックリーやマックランダーに向けて声を上げたのだ。
「あぁん?」
「みんな、楽しみにしてたのに……キュアアイドルとキュアウインクに会えるって……その気持ち、踏みにじって楽しいの?」
こころの中にはまだ恐怖心はあったものの、それよりもザックリーとマックランダーが起こしたことへの怒りの方が大きかったのか、臆せずにそう言ったのだ。
「何だ?お前、やられに来たのか?」
「マックランダー!」
「っ……」
ザックリーは、プリキュアでもないのに前に出てきたこころを見て、そう問いかけた。それと同時に、うたたちがこころのいる場所へと駆け付ける。
「こころちゃん!?」
うたはマックランダーの前にいたこころを見て、思わずそんな声を上げる。
「もう……心に蓋なんてしない」
「何だ?言いたいことがあるならハッキリ言ってみろよ!」
ザックリーにそう言われたこころは……
「忘れるのなんて無理。可愛い、かっこいい、2人みたいになりたい、憧れの人みたいになりたい。たとえ戦うことになったとしても、一緒にステージに立ちたい!憧れは……止められないんです!」
以前のように我慢することなく、自分の本心を叫んだのだ。
「だから何なんだ?マックランダー、行け!」
「ダ、ダ、ダ!マックランダー!!」
マックランダーはヘッドスピンで回転すると、脚からエネルギーを込めた斬撃をこころに向かって飛ばしてくる。
「こころちゃん!!」
「逃げて!!」
2人はこころに逃げるように叫んだが、こころは逃げることなく……
「私……心、キュンキュンしてます!」
再びそう叫ぶ………すると……
「!?」
こころの目の前に紫色の光が出てきて、マックランダーの攻撃を弾き……
「!ま、まさか……!?」
「プリキュアリボンプリ!」
その光は紫色のプリキュアリボンとなったのだ。その直後、プリルンの持つポシェットから最後のアイドルハートブローチが飛び出したのだ。
「っ!行くよ!」
こころはブローチをノールックで掴み取ると……
「プリキュア!ライトアップ!」
プリキュアリボンをセットし、その部分を3回タップした。
「キラキラ!ドレスチェンジ!YEAH♪」
ブローチの両側を押すと、水色のメッシュの入った紫髪のお団子型のツインテールへと髪型が変化し、開かれた目は紫色から黄色になっていた。
「キミと~!YEAH♪」
もう一度押すと、髪色と同じ紫を基調としたデザインで、左肩がオフショルダーとなったアシンメトリーのワンピースへと服装が変化していく。そのワンピースのスカートは、バルーンスカートとなっていた。
「一緒に~!YEAH♪」
さらに押すと、両腕に手元が前腕を覆うほどの長さのフィンガーレスグローブがつけられ、足元には白いブーツと紫のニーハイソックスを着用されたのだ。そして……
「キミと踊る、ハートのリズム!心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
こころは3人目のアイドルプリキュア……キュアキュンキュンへと姿を変えたのだった。
「なにーー!?」
「ダーー!?」
「「やった!」」
「プリー!」
それを見て、ザックリーは信じられないものを見る表情で驚き、うたとなな、プリルンの3人は喜びの声を上げた。
「キュア……キュンキュン」
キュンキュンは自身の手を空へと翳し……
「私、アイドルプリキュアに……!」
憧れのアイドルプリキュアになれたことを実感していた。
「キュアキュンキュンに、心キュンキュンプリー!」
プリルンもキュンキュンに向け、紫色に光らせたペンライトを振る。
「くそっ!3人目かよ!」
「マックランダーー!!」
「!行っくよー!」
キュンキュンはマックランダーに向けて走り出し、マックランダーもキュンキュンに向けて攻撃を繰り出したが……
「っ!」
キュンキュンはそれを上体を逸らしながら回避する。
「ふっ!」
それからキュンキュンは、再びマックランダーへと向かっていく。
「マックランダー!」
「!」
マックランダーはキュンキュンに連続で攻撃を仕掛けるが、キュンキュンはそれを次々と避け……
「やぁっ!」
「!?」
その度に隙を見て、蹴りを食らわせていったのだ。マックランダーはすっかり翻弄されており、強力な一撃をキュンキュンに食らわせようとした。
「ふっ!」
「!?」
だが、キュンキュンはそれを飛び上がることで難無く回避し……
「はぁっ!」
「マックランダー!?」
逆にマックランダーへと真上からの蹴りを食らわせ、そのまま地面に叩きつけたのだ。
「!あの戦い方って……」
その戦い方は、まるでヴラムの戦い方を彷彿とさせるようだったのだ。
「やった!出来た!」
「キュアキュンキュン、最高プリ!」
「!ななちゃん、私たちも!」
「うん!」
そんなキュンキュンを見て……
「「プリキュア、ライトアップ!」」
2人はブローチにプリキュアリボンをセットして、その部分を3回タップした。
「「キラキラ、ドレスチェンジ!YEAH♪」」
それからブローチの両側を押すと、髪型と髪色が変わり……
「「キミと~!YEAH♪」」
もう1度押すと服装がコスチュームへと変化する。
「「一緒に~!YEAH♪」」
さらにもう1度押すと、フィンガーレスグローブやブーツ、アクセサリーが装着されていく。そして……
「キミと歌う、ハートのキラキラ!笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気!おめめパッチン、キュアウインク!」
キュアアイドルとキュアウインクへと、その姿を変えたのだ。
「マックランダーー!!」
マックランダーは立ち上がると、キュンキュンに攻撃を仕掛けようとしたが……
「「はぁっ!」」
「!?」
アイドルとウインクによって、それは阻止されたのだ。
「キュンキュン!」
「キュアアイドル、キュアウインク……!」
「超キラッキランランだね!」
「!本当ですか!?」
「うん!」
キュンキュンは憧れのアイドルとウインクにそう言われ……
「~~~!」
歓喜の声を上げられないほどに、喜んでいるようにみえた。
「ちっ……ゾロゾロ増えやがって!」
「マックランダー!」
マックランダーは地面を足で踏み込むことで割り、その時に出てきた岩などを3人に次々と蹴り飛ばしてきた。
「「「!」」」
3人はそれを避けると……
「「はぁっ!」」
アイドルとウインクがマックランダーへとパンチとキックで攻撃したのだ。その攻撃は跳ね返されるが、同時にマックランダーも体制を崩す。その隙を狙い……
「キュンキュンレーザー!」
キュンキュンは胸のブローチをタップし、ツインテールを束ねたリボンから、マックランダーに無数のレーザービームを放ったのだ。
「!?」
それは全て命中し、マックランダーは地面へと倒れる。
「やるぅ!」
「すごい……!」
その技を見て、アイドルとウインクはそんな声を上げた。そして……
「!……行きます!」
キュンキュンは自ら展開したステージの上へと立つ。
「クライマックスは私!」
マックランダーが観客席へと強制的に座らせられる中、キュンキュンは流れている音楽に合わせて手拍子をし……
「準備はオッケー?」
『ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!』
周りの観客たちは掛け声に合わせ、紫のペンライトを振っていたのだ。
「ねぇ、キミも!かわいーな♪(キュンキュン!)かっこいーな♪(キュンキュン!)完全同意上がるテンションコーレスプリーズ♪(イェイ☆)とびきりキュンキュン響かせて~踊ろっ♪(Let's dance!!)もう1回♪(キュンキュン!)アンコール♪(キュンキュン!)完全ダイスキハイなステップがナンバーワン♪もっと~夢中になれるね~♪こころビートYES!!キュンキュン♪」
そして、キュンキュンは自身の周りに複数の紫の水滴を生み出し……
「プリキュア!キュンキュンビート!」
それらを破裂させることでビームを放ち、マックランダーを浄化するのだった……。
「な、なんてこった……ザックリ最悪だぜ!」
その光景を見たザックリーは、そう呟きながら撤退していった。キュンキュンはこころへと戻り、マックランダーはへとなっていた寸田と何かを話した後……
「……うた先輩、なな先輩」
「「?」」
「2人を追いかけるって言っても、私はもう……ただのファンじゃありません。プリキュアになったからには、どこまでもどこまでも追いかけ続けて……いつかきっと、先輩たちを追い抜いてみせます!」
(そして絶対に、ハルマ先輩とも一緒に……)
2人に対し、そう宣言したのだ。
「うん、良いよ!追いかけてきて!私ももっと頑張るから!」
「私も!よろしくね、こころちゃん!」
「よろしくプリ~!」
「はい!あ、あと……うた先輩、なな先輩、私の事はこころって呼んでください!」
そうしてこころは、憧れのアイドルプリキュアの仲間入りを果たすのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回でようやく、キュンキュンがデビューとなりました。さらには、ハルマとショウマの距離が少し縮まったようで……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。