それでは、どうぞご覧ください。
こころが初めてキュアキュンキュンとなったその日、プリルンも含めた4人は以前の約束通り、ハルマを探して街中を歩いていた。
「そういえば……あの戦い方ってハルマ君のを真似したの?」
その道中で、うたはこころにそんなことを訊いたのだ。
「えっ!?えっと……まぁ……そう、ですけど……」
こころは少し照れながらも、ヴラムの戦い方を参考にしたことを言う。
「ハルマ先輩に比べれば、まだまだですけど……」
「そんなことないと思うよ。凄い動けてたしね」
「そうだよ!もっと自信もって!」
「あ、ありがとうございます……!」
こころは照れながらも、何処か嬉しそうにしていた。
「って、それよりも……さっき初めて聞いた時は驚きました……まさか、私たちとは別の種族が住む世界があるだけじゃなくて、人間を材料にしたお菓子が作られているなんて……」
(もしあの時、ハルマ先輩が助けに来てくれなかったら―――)
どうやらこころは、うたやななから闇菓子やストマック社について聞いたばかりらしく、その事実に驚きつつも、自身もあと一歩のところで闇菓子のスパイスにされていたということに対し、震えを押さえられずいた。その様子を見て……
「……実はね、私も襲われそうになったところをハルマ君に助けてもらったんだよ?」
「えっ?そうなんですか?」
(うた先輩も、私と同じように……)
うたも、自身がグラニュートに襲われそうになり、そこをハルマに助けられた話をする。
「私、まだハルマ君に何も返せていないからさ……ハルマ君をキラッキランランにしてあげることで、返してあげたいって思ってるんだ」
「うたちゃん……」
「だから、絶対にハルマ君に会わなきゃ」
「うた先輩……そうですね、私も―――」
そんな話をしていると……
「ん?あれって……」
「?どうかしたの?」
こころが何かを見つけたようで、その方向を見つめだしたのだ。そして……
「っ!いた!!」
ハルマを見つけたのか、その場所めがけて走り出していく。
「ちょ、ちょっと!?」
そんなこころの後を、うたとなな、プリルンも追っていく。
「ハルマ先輩!」
「!」
こころに声を掛けられ、その後ろから来ているうたたちを見たハルマは……
「な、何で……」
珍しく困惑した様子でいた。
「何でって、当たり前だよ!」
「あのまま放っておくなんて、できるわけないよ!」
「私たち、ハルマ先輩の口から直接聞きたいんです……ハルマ先輩自身のことを!だから―――」
3人はハルマに、自身のことを話してくれないかと頼んだ……。
「……何でわざわざ聞こうするの?僕は―――」
「そんなの関係ないです」
「!」
「ハルマ先輩が何者だとしても、今まで私たちを助けてくれたことに変わりはないです。それに……もし本当に悪い人だったら、見知らぬ誰かを進んで助けることなんてしませんよ」
「……」
こころはそう言い、まっすぐな目でハルマを見る。他の面々も、こころと同じような目をしてハルマを見ていた。そして……
「……こっちで話す」
『!』
「聞きたいなら付いて来て」
ハルマはそう言い、人の少ない場所へと歩き出していく。そんなハルマの後ろを、4人はついて行くのだった……。
◇
「それで……どこまで知ってるの?」
ハルマはこころの方を見て、そんなことを訊いたのだ。
「えっと……先輩たちから大体の話は聞いたので、皆さんと同じくらいかと……」
「ハルマ君ごめん……勝手に話しちゃって……」
「謝らなくていいよ。知ってるなら、手間が省けて丁度いいし……それに、いつかは知る話だから」
そして……
「僕は元々、この世界の生まれじゃない」
「えっ?」
「こことは別の世界……グラニュート界で生まれたんだ」
ハルマは初めて、ショウマ以外に自身のこれまでのことを話し始める。
「僕の父親はグラニュートで……母親は人間だ」
「えぇ!?」
「プリ!?」
「!ということは先輩……グラニュートと人間のハーフってことですか……?」
「そうだよ……でも他のグラニュートとは違って、僕には腹にある口―――ガヴが生まれつきなかった」
そう言いながら、ハルマは自身の腹部に目を向ける。
「その代わり、他のグラニュートよりも力はあったし……何より父さんと同じで、足も速かったかな」
「!だから変身してなくても、あんなに速かったんだ……」
うたは今までハルマが生身で見せた足の速さに、納得した様子でいた。
「じゃあ、あの女の人のグラニュートが言っていた、従兄弟っていうのは……」
「……僕の父親が、ストマック家の出身だからだよ」
『!?』
ハルマは一瞬の間を置き、自身の父親がストマック家の出身であることを告げた。
「でも、あんな奴らとは違う………父さんはストマック家のグラニュートでありながら、闇菓子をどうにかしようとしていた」
「そうなの……?」
「けど、父さん1人じゃ当時の社長やその子供であるきょうだいたちを相手に闇菓子をどうにかすることはできなかった………そして、父さんは最終的に攫われた人間たちを解放する事件を起こして、その姿を消した―――おそらく、母さんと一緒にね」
「えっ?」
「ハルマ先輩の……お母さん……?」
「詳しいことは知らないけど、その時に何かがあって、父さんと母さんは一緒に逃げることになった………それから、ストマック社の追手を撒いた2人はグラニュート界の中心から離れた場所で住み始め―――」
『!ハルマ君(先輩)が……産まれた……?』
その先の話を察したのか、3人は声を揃えてそう口にした。
「僕が生まれてから数年は、3人で平和に過ごしていた………でもストマック社は、裏切り者の父さんを探し続けていた。そして7年前………父さんと母さんは、突然現れたエスコルに殺された」
「ハルマ君、エスコルって……?」
その名前を初めて聞いたうたは、首を傾げつつそう尋ねた。
「!もしかして、それが……」
「仇だよ……父さんと母さんの」
察しがついたなながそう訊くと……ハルマは冷たく、憎しみの色に染まった目でそう答えた……。
「2人が殺された後、何故か生きていた僕は……ストマック社で処刑人になった」
「処刑人……あのグラニュートも確か、ハルマ先輩のことそう言って……」
「ストマック家の作っている闇菓子は、グラニュート界でも違法………だから情報が漏れないように、足を洗おうとしたバイトや裏切り者を粛清する必要があるんだ」
「!粛清って……」
「ま、待ってください……その時ハルマ先輩ってまだ……」
「……大体6,7歳の時だったと思うよ」
ハルマは何てことないように言ったが……
「ひどい……」
「そんなのって……あんまりだよ……」
「……」
「それが、処刑人の役割だよ。僕も今まで、たくさんのグラニュートを殺してきた」
その事実に、話を聞いていたうたやなながそんな反応をした……すると……
「――せない」
「?」
「こころちゃん……?」
「許せないです!!」
こころは突然、そう声を上げる……。
「ハルマ先輩の両親を殺しただけじゃなくて、まだ幼かった先輩に……人殺しまでさせるなんて……!」
「こころ……」
こころ自身も幼い頃に父親を失っているからか、ストマック社のハルマに対する仕打ちに怒りを覚えていた。
「一旦落ち着いて」
「ハルマ先輩……でも―――」
「僕は大丈夫……それに、もう昔のことだから」
「……はい」
そんなこころに、ハルマはそう言って落ち着かせた。
「それからつい最近まで、僕はストマック社にいた……けど、これを渡された直後にランゴ―――今のストマック社社長の依頼を受けて、初めてこの世界に来た」
ハルマはヴラスタムギアを見せながら、人間界に来てからの話を続けていく。
「来たはいいものの、依頼の話は噓だった……ランゴは刺客を差し向けてきて、不穏分子になりかねない僕を始末するつもりだったんだろう」
「刺客って……まさか今までのグラニュート全部!?」
「いや、僕を狙ってきていたのは眷属――ストマック社のエージェントだよ。バイトはバイトで、僕が情報収集をするのと一緒に倒していたけど……その後は、みんなも知っての通りだよ」
『……』
ハルマがそう言って話を終えると……
「う……うぅ……」
突然、プリルンが涙を流し始めたのだ。
「?急にどうし―――」
「ハルマ、辛すぎるプリ……!悲しすぎるプリ……!」
「……」
それを見たハルマは、プリルンの頭に手を置き……
「プリ……?」
「気にする必要はないんだけどな……」
そのまま撫で始めたのだ。
「!あ、ありがとうプリ……」
「」
(昔、僕が泣いていたときも、母さんはこうして頭を撫ででくれたっけ……)
それによって、プリルンも少しだけだが泣き止んでくれたようだ。すると……
「……あと―――」
『?』
「……今まで、黙っててごめん」
ハルマは今まで自身の正体を黙っていたことを、4人に対して謝ったのだ。そんなハルマの謝罪に……
「謝る必要なんてないですよ!」
「……!」
「悪いのはどう考えてもストマック社です!むしろ……辛いことなのに、私たちに話してくれてありがとうございます」
こころはそう返したのだ。さらに……
「そうだよ!私もストマック社のこと、許せないもん!」
「私も同じ……それに私たちは、ハルマ君のことを信じてるから!」
うたとななもこころに続け、ハルマにそう言ったのだ。それを聞いたハルマは……
「……やっぱり、優しいな……」
グラニュート界では、親以外から聞くことのなかった優しい言葉に、思わずそう呟いた。
「だからさ……これからも、私たちと一緒に戦ってくれる?」
うたがそう言ったのに対し、ハルマは……
「……これからはバイトのグラニュートやエージェントたちだけじゃなくて、前に戦ったグラニュート……グロッタのように、ストマック社でも地位の高いやつらが来ることがあるかもしれない……それでも、僕と一緒に戦いたいの?」
これまでよりも、戦いが激しくなることを言ったが……
「私はまだ、アイドルプリキュアになったばかりですけど……それでも、ハルマ先輩と一緒に戦いたいです!」
「私も、マックランダーになった人だけじゃなくて、グラニュートに襲われた人たちも助けて……もっとキラッキランランにしてあげたい!」
「それに、このまま放っておくなんてできない……私も、私にできることをしたい!」
「プリルンも一生懸命応援するプリ!」
プリキュアである3人やプリルンの決意は固いようで、誰も怖気づくことはなかった。
「……分かった。ただ、無茶はしないでよ」
そんな様子を見て、ハルマは再びプリキュアたちと一緒に戦うことを決めるのだった。すると……
「!そうだ……もう仲間なんですから、ハルマ先輩も私の事、ちゃんとこころって呼んでくださいね?」
「?それは別にいいけど……」
こころはうたとななに言ったように、ハルマにも自身のことを呼び捨てで呼んでほしいと頼んだ。
「あっ!じゃあじゃあ、私もうたでいいよ!」
「なら、私もななって呼んでね」
それに続いて、うたやななもハルマに呼び捨てで呼ぶことを頼むのだった……。
◇
ハルマが自身の話をしている一方……
「ハルマにも、悪いことしちまったな……後でちゃんと謝っとかないとな」
ショウマも絆斗に自身の事情に加え、ハルマの話もしていたのだ。
「それに、ストマック社にもそんな人がいたなんてな………ていうか、ショウマはその人には会ったことないのか?」
絆斗は、ショウマから見て叔父であるオースに会ったことはないのか訊いたが……
「うん……もしかしたら、俺が忘れてるだけかもしれないけど」
「そうか……」
ショウマの記憶の中では、オースに会ったことはないようだ。そんな話をしていると……
「ん……?悪い、ちょっと―――」
絆斗の電話にある通知が届いた。その通知というのが……
「!こいつは……」
「どうかしたの?」
「出たぞ、お前の偽物」
「っ!」
ダークショウマがまた街で暴れているという情報だったのだ。
「絆斗!」
「あぁ!」
それを見た2人は、すぐさまダークショウマを倒すために、その場所へと向かうのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回でプリキュアたちが、ハルマの正体や事情について完全に知ることになりました。さらには、ショウマと絆斗の方も和解することができたようです……が、その直後にまたダークショウマが現れたようで……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。