歌姫たちと復讐の騎士   作:アキ1113

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 今回は前回の続きで、人間界での話に入っていきます。

 それでは、どうぞご覧ください。


第3話 初陣

 

 「……ここか」

 

 人間界へとやってきたハルマは、早速ターゲットがいる倉庫のような場所の前へと来ていた………が、

 

 「やけに静かだな……」

 

 そこには誰もいないどころか、誰かがいた痕跡すらもなかったのだ………そんな状況を疑問に思いながらも、ハルマは倉庫の中を調べてみることにした。そして、ひと通り調べ終わったのと同時に……

 

 「さて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこにいるのは誰?

 

 ハルマは誰もいないところに向かって銃を向ける。すると……

 

 『気付いていたか』

 

 そこからランゴのエージェントとグロッタのエージェントが、それぞれ2人ずつ出てきたのだ。 

 

 「!」

 

 (ランゴとグロッタのエージェント……?)

 

 「何でここに……」

 

 何故かこの場にいるエージェントに、ハルマは警戒しながらそう訊いたが……

 

 『知る必要はない……お前はもう、用済みだからな』

 

 「!」

 

 その言葉を合図に、エージェントたちはいきなりハルマに向けて銃を撃ってきたのだ。

 

 「ちっ……!」

 

 (そういうことか……!)

 

 ハルマは銃弾を短剣で全て斬りながら、すぐさま左脚のホルスターに入れた銃を抜いて応戦する。

 

 『『っ!』』

 

 ハルマが放った銃弾は、エージェント2人の銃を持っている方の腕に命中したが…… 

 

 『『フッ!』』

 

 「ぐっ!?」

 

 他のエージェント2人に接近され、そのまま身体に蹴りを入れられてしまう。それによって、ハルマは倉庫内のドラム缶が積んであるところまで吹き飛ばされ、その拍子に被っていたフードが取れてしまう………そこには、背中の上の方まで伸びた父親と同じ白髪と母親と同じ透明感のある青色の瞳を持ち、中性的な容姿をした処刑人と呼ばれている少年の素顔があった。

 

 「っ!」

 

 『『!?』』

 

 だが、ハルマはすぐに起き上がり、追撃しようと近づいてきていたエージェントに向けてドラム缶を蹴った。エージェントたちは、急に飛んできたドラム缶をそれぞれ左右に分かれて避けたが……

 

 「っ!」

 

 『ぐっ!?』

 

 ハルマはエージェントの動きを予想して短剣を投げており、その短剣は見事に左に避けたエージェントへと突き刺さった。

 

 『何っ!?』

 

 「ハァッ!」

 

 『ぐっ!?』

 

 予想外のことに気を取られている一瞬の隙を突き、ハルマはエージェントを蹴り飛ばした。さらにその後も、数年間処刑人をしているうちに鍛えられた格闘術やハルマ自身の素早さを活かし、エージェントたちを相手に立ち回っていく………だが、1対4ではさすがに不利だったのか……

 

 「っ……」 

 

 ハルマは次第に追い詰められていき、遂には膝をついてしまう………その身体には、この戦闘で負った大小様々な傷があった。それに加えて、ハルマは最近ほとんど休みなく任務を与えられていたせいか疲労も溜まり切っており、万全の状態とは言えなかったのだ……。  

 

 『終わりだ、処刑人』

 

 「……」

 

 エージェントはハルマの頭に銃口を向け、とどめを刺そうとする。ハルマは受けた傷や疲労によって、膝をついたまま動けずにいた。そして、エージェントが引き金を引こうとし――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『すまない、ハルマ……生きてくれ……!』

 

 『生きてハルマ!ハルマ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「っ……まだ………」

 

 『?』

 

 「まだだ!!」

 

 『ぐあっ!?』

 

 『『『!?』』』

 

 ハルマはとどめを刺される直前で誰かの言葉を思い出し、目の前のエージェントに向かって拳を繰り出した。その拳を喰らったエージェントは、他のエージェントたちがいる場所まで吹き飛ばされた。 

 

 『っ……まだ抵抗するか……!』

 

 エージェントたちは、立ち上がったハルマに対して銃を構える。そんなエージェントたちを見据え……

 

 「……使ってみるか」

 

 ハルマはニエルブから渡されたヴラスタムギアを取り出し……

 

 「ヴラスタムギア」

 

 それを腰へと装着する。

 

 『『『『!?』』』』

 

 予想外の展開に驚くエージェントたちだったが、それと同時に……

 

 『どっぷるん!』

 

 「!」

 

 プリンのゴチゾウであるどっプリンゴチゾウが、ハルマの手の中へと飛び込んでくる。

 

 『どっぷるん!』

 

 「……はめろってこと?」

 

 『ぷるん!』

 

 「っ……」

 

 ハルマはゴチゾウに何かを言われた後……

 

 「カップオン!」

 

 ヴラスタムギアへとそれをセットした。すると、上からはプリンの容器を逆さまにした形のバリアが、地面には白い皿のようなものが展開される。腰のギアからは黄色の液体が流れ出ており、ハルマは右手を顔の左側に持っていき、手のひらを顔の方へと向ける。そして、その手を爪で引っ搔くような形にして顔の右側へと動かした。

 その時のハルマの瞳の色は、深い赤色から明るい黄色へと変化しており……

 

 「……変身」

 

 ハルマはそう口にして右手を振り下ろし、ギアのレバーを下げた。

 

 「プディングヴラムシステム!」

 

 レバーを下げると、バリアの中がプリンのようなものに満たされ、ハルマを覆っていたバリアもその直後に消滅する。そして、巨大な2本のスプーンがプリンを掬い取ると、それはアーマーに変化して全身に装着された。さらに、2本のスプーンは小さくなり、耳のヘッドホンのような部分に装着されたのだ。

 

 「これが……」

 

 変身したハルマは、自分の姿に少なからず驚いていると……

 

 『3人目のグラニュートハンター……!?』

 

 エージェントのうちの1人が、そう声を上げる。

 

 「グラニュートハンター……?」 

 

 (確かそれって……いや、今はそれよりも―――) 

 

 『排除しろ!』

 

 エージェントたちは一斉に、ハルマを始末しようと迫ってくるが……

 

 「フッ!」

 

 『なっ―――』

 

 『ぐあっ!?』

 

 ハルマは文字通り一瞬のうちにエージェントたちの背後へと回り、そのうちの2体にそのまま蹴りを入れて上方向に吹き飛ばし、倉庫の天井に叩きつけたのだ。

 

 「!」

 

 (いつもより速い……?)

 

 ハルマは自身のスピードが上がっていることに疑問を覚えたが…… 

 

 『『っ!』』

 

 「!」

 

 それを考えるのを後回しにして、飛んできた銃弾をバク転や側転などをすることで避けていく。さらにハルマは、着地した後で……

 

 「ヴラムブレイカー」

 

 弓の形をした武器であるヴラムブレイカーを出し……

 

 「っ!」

 

 『『ぐっ!?』』

 

 すぐさま矢を放ち、エージェントたちにダメージを与えていく。矢を受けなかったエージェント2人が近づいてくるが、ハルマはブレイカーを鎌へと変形させ…… 

 

 「セット!」

 

 ギアにセットしていたゴチゾウをブレイカーへとセットする。

 

 『フッ!』

 

 『ハァッ!』

 

 「っ!」

 

 エージェントたちも接近して攻撃を仕掛けるが、ハルマはそれを躱しながらブレイカーのレバーを3回引いた。そして……

 

 「ヴラムスラッシュ!」

 

 「ハァッ!!」

 

 『『ぐあああああ!?』』

 

 振り向きざまにブレイカーを振るい、グロッタのエージェント2人を纏めて撃破したのだ。それに続いて、ハルマは腰のギアについているレバーを上げる。

 

 「カップREADY!」

 

 『『っ!?』』

 

 すると、残ったランゴのエージェント2人の上からプリンが降ってきて、その場に拘束したのだ。

 

 「……終わりだ」

 

 そう言ってヴラムは、そのまま飛び上がり……

 

 「プディングクラッシュ!」

 

 「ハァッ!!」

 

 『『ぐあああああ!?』』

 

 動けないエージェント2人に跳び蹴りを食らわせ、そのまま撃破することに成功した………が、

 

 「!」

 

 何者かの視線を感じ、そちらの方に目線だけ動かした。そこには……

 

 『……』

 

 ランゴのエージェントが、こちらを監視している姿があったのだ………だが、こちらを攻撃しようとする様子ではなかったため……

 

 「……このまま去った方がいいか」

 

 ハルマはそのエージェントの監視に気付いていないふりをして、一先ずこの場を後にすることにした。それを見たランゴのエージェントも監視を止め、何処かに姿を消していったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「?暗いな……来た時はもっと明るかったはず―――」

 

 その後、人気のないところで変身を解除したハルマは、人間界での拠点を探して歩き続けていた……。だが……

 

 「っ……!?」

 

 さすがに限界が来たのか、ふらついてその場に膝をついてしまったのだ。 

 

 『『ぷる!?』』

 

 そんなハルマを見て、ゴチゾウたちは慌てた様子で周りを跳び回っていた。そして―――

 

 「っ……」

 

 (さすがに……まず―――)

 

 ハルマはそのまま、その場に倒れてしまうのだった……。

 

 

 

 

 

    ◇

 

 

 

 

 

 ハルマが倒れてしまったのと同じ頃……

 

 「プリキュア!アイドルスマイリング!」

 

 別の場所では、展望台でハルマとすれ違った少女―――咲良うたが、世界を照らす救世主と言われてるアイドルプリキュアへと変身し、街に現れたマックランダーというものと戦っていた。うたはそれを浄化することで、囚われていた女性を救い出し、見事に勝利を納めていた。 

 

 「あれ……私、何を……?」

 

 「絵真さん……良かった……!」

 

 助け出した女性を見て、うたは安堵の表情を浮かべたが……

 

 「やっぱり、うたはアイドルプリキュアだったプリ!」

 

 「!うんうん!歌って、踊って、ファンサし―――えっ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わ、私が、アイドルプリキュアーー!?

 

 自分がアイドルプリキュアになったことに対し、思わずそう叫ぶのだった……。

 

 

 

 

 

  

 

 変身を解いたうたは、プリルンを抱きながら帰り道を歩いていた………すると……

 

 「?あれって……」

 

 「うた?どうしたプリ?」 

 

 うたは何かを見つけ、思わず草むらがある場所へと走り出した。そこには……

 

 「え!?ちょ、大丈夫!?」

 

 倒れ込んでいるハルマがおり、うたはハルマの身体を揺すりながら声を掛けていた。

 

 「うた!そこにも何かいるプリ!」

 

 「えっ?」

 

 一方で、プリルンも何かを見つけたらしく、うたもプリルンが指を差したところを見た。そこには……

 

 『『ぷる!ぷる!!』』

 

 ハルマの心配をするゴチゾウたちがいたのだ。そして、うたとゴチゾウたちの目が合い……

 

 『『ぷる……?』』

 

 「……」

 

 『『……』』

 

 「な……何かいるーー!?」

 

 『『ぷる!?』』

 

 お互いの存在に驚くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 ついにハルマがヴラムへと変身しました。ハルマの変身ポーズは、最後の部分でショウマとは逆の構図になるようにしています。

 始めの3話を続けて投稿してきましたが、次回からは間が空くと思いますのでご了承ください。それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
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