それでは、どうぞご覧ください。
絆斗と別れたショウマは、そのまま幸果のいるはぴぱれへと戻ってきた。そして、ショウマは幸果に自身の正体と事情を話した。
『……?』
「か、可愛い……!」
「それで……これが、俺のガヴ……ここでゴチゾウを食べると、仮面ライダーの姿になるっていう……」
今はゴチゾウのことについて話している最中だった。そうして、ショウマについての話を全て聞いた幸果は……
「ねぇ……めちゃくちゃむかついたから、1つ言っていい?」
「お、お願いします……!」
「いや何なのウマショーの家、地獄?」
「え……?」
「いや人の家族にごめんけど、お母さんや叔父さん以外最低最悪レベルでやばすぎて頭の血管ブチ切れそうってか切れたと思う1万本くらい……!」
ショウマのことを責めることなく、むしろストマック家に対して怒りを露わにしていた。
「ご、ごめん、大丈夫!?」
「!いやウマショーは1ミリも悪くないよ!ここまでホントに良く頑張ってきたんだから!」
「幸果さん……」
そんな幸果を見て、ショウマは思わず安心したような表情をする。
「よし!これからは私も協力するよ!」
「えっ!?」
「ストマック家をワンパン!……は、流石に私には無理だけど―――」
そう言うと幸果は、近くにある棚からグミを取り出し……
「こうやってサポートは出来るよ!食べると元気出るんでしょ?」
「!……ありがとう」
それをショウマに渡した。
「そうだ!ゴチゾウ出るとこ見~ちゃお!いい?」
「うん、いいよ」
ショウマは早速、渡されたグミを口にした……が、
「……あれ?」
「ゴチゾウ、出ないね……」
ゴチゾウがいつまで経っても出てくる気配がないのだ……。
「最近、調子悪くて……」
「えっ!?それまずいじゃん!熱は……なさそうだけど……」
幸果はショウマの額に手を当てるが、どうやら熱があるわけではないようだ。
「あっ!病院!病院行く?」
「……俺、グラニュートだから病院はいけないんだ」
幸果はショウマに病院へ行くことを提案したが、ショウマは自身がグラニュートだとばれてしまうため、それを断った。
「!そっか……そうだよね……」
「ていうか、精神的なものらしくて」
「メンタルかぁ……」
「うん……だから、しばらくは何も食べない方がいいかも……」
そう言うショウマを、幸果は心配そうに見つめるのだった……。
◇
「その酸賀さんっていうのは、ハルマ君から見ても怪しいの?」
「……証拠はないけど、黒いショウマ兄のことにも何か関係してると思う」
ビターガヴを撃破した翌日、ハルマはグリッターを訪れていた。その目的は、昨日するはずだった酸賀の情報を教えることだったのだ……本当はハルマが酸賀のところから戻ってきてからするはずだったが、ビターガヴとの戦いもあったため、次の日にやることになったのだ。
「その人って、そもそも何者なの……?」
「グラニュートの研究家で、自分でグラニュートと戦うためのシステムを作ったりできる……本人は自分の興味あるものを研究できればいいらしいけど、本当の目的はまだ分からない」
「じゃあもしかして、ハルマ君が使っているものも―――」
ななはハルマのヴラスタムギアも酸賀が作ったのかと思い、そう訊いたが……
「いや、これを作ったのはニエルブだよ」
「ニエルブ……?」
「ストマック家の次男で、ストマック社では研究と開発をしている……昔、僕の脚を改造したのもそいつ。酸賀と同じタイプだと思ってくれればいいよ」
ハルマはそう言って、うたたちにニエルブのことを教える。
「ね、ねぇ、改造ってどういう……?」
その中に出てきた改造という言葉を聞き、うたがハルマにそう尋ねる。
「昨日、昔から足が速いって言ったでしょ。戦いの中でも、それは見てると思うけど」
「う、うん……」
「でも、処刑人になったばかりの頃は、自分でそれ制御し切れていなかった……それを聞いた当時の社長が、ニエルブに僕の脚を改造するように命令したんだ」
ハルマは自身の能力が、改造手術によって安定して使えるようになったことを明かした。
「そんな……」
「まぁ、拒否権なんてなかったからね……」
「!まさか、今も痛いとかは―――」
「いや、今は痛みとかはないよ。痕は残ったけど……でもそれのおかげで、能力を自分の思い通りに使うことができているのは事実だよ……凄く不本意だけど」
『……』
なんてことないようにハルマは言ったが、4人はそれを聞いて掛ける言葉が出ずにいた……。
「とにかく、酸賀には注意しておいて。何企んでるか分からないから」
「わ、分かりました……」
ハルマはそんな4人に向け、酸賀を警戒しておくように言った。そうして、酸賀についての話が終わった後……
「!そうだ……先輩、お願いがあるんですが……」
「お願い……?」
こころはそう言うと……
「はい!ハルマ先輩のこと、研究させてください!」
ハルマにそう頼んだのだ……研究したいという言葉は事実だが、少し暗くなった雰囲気を明るくしようと、こころはそう言ってくれたようだ。
「研究って……何で?」
いきなり言われたこころの言葉に、ハルマは思わず首を傾げる。
「私、アイドルとウインクのことを研究しているんですけど……ぜひ仮面ライダーである先輩のことも研究したいんです!」
こころは目を輝かせ、ハルマにそう頼んだ。
「……」
ハルマは少しの間、考えていたが……
『『ぷる!』』
『すぃー!』
自身のゴチゾウたちにも頼まれ……
「……分かった」
「!ありがとうございます!」
こころの頼みを引き受けることにしたのだ。
「それじゃあ早速、変身の方を―――」
「え?今……?」
「ダメ……でしょうか……?」
「……分かった。でも、やるなら別の場所でね」
「はい!ありがとうございます!」
そうしてハルマは、ヴラムの変身を見せることになった。
「……まずは、ベルトを腰に巻く」
「ヴラスタムギア」
ハルマはその言葉通りに、ヴラスタムギアを腰に装着する。
「そして……来て」
『ぷる!』
「ゴチゾウをここにセットする」
「カップオン!」
次にどっプリンゴチゾウを呼び、ギアへとセットした。
「それから右手を顔の左側にもってきて、今度は引っ搔くようにして顔の右側に動かす」
そして……
「……変身」
ハルマはそう口にしてから、ギアのレバーを倒し……
「プディングヴラムシステム!」
仮面ライダーヴラムへと変身したのだ。
「わぁ……!」
「……これで満足?」
「ありがとうございます!なるほど……プリンが落ちると変身ですか……あと、まだまだ知りたいことが山ほど―――」
「まだあるんだ……」
興奮した様子のこころに、ハルマは思わずそんな反応をした。すると……
「はいはい!私も知りたい!」
「プリルンも知りたいプリ!」
「私も知りたい、かな」
「あ、そう……」
こころ以外も全員そう言ってきたため、ヴラムは変身を解除し、グリッターの中で続きを話すことにするのだった……。
◇
「酸賀さんは……お出掛け中か……」
その頃、酸賀の研究室には、ヴラムとガヴが工場を襲撃した時の事後処理を終えたニエルブが訪れていた。
「まぁいいや……なら、ヴラムの映像を置き配……していくか」
ニエルブはそう言うと、机の上のパソコンにUSBメモリを差し込み、画面に映像を映し出した。
「赤ガヴの眷属は、人間の菓子を食べて生まれる。グミ、ポテトチップ、マシュマロ、チョコ、キャンディ、極めつけはケーキ……そこで僕は、プリンを参考にゴチゾウを作り、変身者として処刑人を選んだ」
そう言いながら、ニエルブはプリンを口にする。
「プリンカスタム。これがヴラムの基本形態……衝撃の伝達と拡散を活かした戦い方を得意としている」
パソコンの画面には、プリンカスタムで敵のグラニュートに蹴りを入れるヴラムの姿があった。
「処刑人は上手く使いこなしているみたいだ……プリンカスタムで全力の蹴りを食らえば、並大抵のグラニュートはひとたまりもないだろうね……そうそう、合わせて武器も作ってみた。弓と鎌に変形する優れものさ。ゴチゾウを弓にセット……パワーを充填し、強力な必殺技を放つことができる」
画面が切り替わると、弓モードのブレイカーで必殺技を放つヴラムの姿が映し出される。さらに……
「ゼリーというものを使って、別のゴチゾウも作ってみた。ゼリーカスタムは変身者の心臓を一瞬止めることで、その間だけ全身を透明にすることができる……危険だけど、一撃必殺」
ゼリーを食べながらそう言うニエルブの前には、透明になりながらエージェントを撃破するヴラムの姿が映し出されていた。
「さらに、水ようかんというものも参考にした。ヨウカンカスタムは、背中のボンベから特殊なエネルギーを吸い込むことで、変身者の身体能力を一時的に強化することができる……やっぱり、処刑人の能力と組み合わせると脅威だね」
ニエルブは水ようかんを食べつつ、ヴラムがヨウカンカスタムで戦闘している時の映像を見ながら、そう説明する。
「さらには影の中に潜ることもでき、一定範囲内にある別の影から出てくることも可能性だ。さっき身体能力に使っていたエネルギーは、影の中に潜っているときに窒息しないための空気代わりにもなるんだ」
そうして、ヴラムの映像を全て見終わった後……
「実はもう1つゴチゾウを作ってあるんだけど……それはここに置いておくとしよう。また酸賀さんに渡してもらうことになるだろう」
ニエルブはそう言って、近くの冷蔵庫の中に1つの箱を入れた。
「さて……このまま成長してくれれば、僕の計画もやりやすくなる。処刑人にはもっと、頑張ってもらわないとね―――」
そうして用を済ませたニエルブは、扉を通ってグラニュート界に帰っていくのだった……。
◇
「まぁ、今のところはこんな感じだよ」
ハルマはうたたちに、ヴラムの形態などについて説明をしていた。
「な、なるほど……!」
「色々あるんだね……」
「やっぱりすごいなぁ……」
だが、ゼリーカスタムについて説明した時……
『ゼリーのときって、どうやって透明になっているの?』
『あぁ……ゼリーのやつは、心臓を一瞬止めて―――』
『『『『………え?』』』』
『それで全身を透明化させているらしいんだ』
『『『『……』』』』
ハルマがそう説明すると、その内容に4人は黙り込んでしまう……そして……
『……ハルマ君』
『?』
『それ、あまり使っちゃダメだからね?』
『え?これ奇襲に使え―――』
『私からも……絶対に、ダメだからね?』
『……でも―――』
『いいですから!これはどうしようもないとき以外は使っちゃダメです!』
『ハルマ死んじゃいやプリー!』
「……」
(ゼリーの能力は、詳しく言わない方が良かったかもな……)
4人に思い切り心配されたハルマは、クリームソーダを飲んでいる4人を眺めながら、心の中でそんなことを思っていた。
「それで……参考になった?」
「はい!ありがとうございます!」
こころは満足した様子で、ハルマに礼を言った。
「なら良かった……さて―――」
「えっ?もう行っちゃうの?」
「あまり長居したら、ここが襲われるかもしれないしね……」
ハルマは自身を狙った刺客が来る可能性を考え、この場から去ろうとしていた。
「!そうだ」
「?どうかした?」
「何かあったら、今後はこの子に伝言を頼むから……逆に僕に伝言がある時も、この子に伝えておいて」
『すぃー』
すぃ~ヨウカンゴチゾウを見せながら、ハルマは全員にそう伝えた。
「!分かった、これからよろしくね?」
『すぃー!』
その後ハルマはすぃ~ヨウカンゴチゾウを含めたゴチゾウを呼ぶと、ストマック社のバイトやビターガヴが現れていないかを見回りつつ、自身の拠点へと戻って行くのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、変身講座のようなことを書いてみました。これでこころの研究も捗る……かも?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。