それでは、どうぞご覧ください。
「えっと、確かこの辺りに……」
幸果に自身の正体や事情を話した数日後、ショウマはハルマに呼ばれて指定された場所に向かっていた……ハルマはショウマの体調を気遣い、無理はしないでもいいとは言っていたが、ショウマは直接会いに行くことにしたようだ。すると……
「ショウマ兄、こっち」
「!ハルマ君!」
先に待っていたハルマに声を掛けられ、ショウマはそちらに駆け寄っていく。
「……別に呼び捨てでいいんだけど」
「!じゃあ……ハルマって呼ぶよ」
そんなやり取りをしてから、2人はビターガヴについて話し始める。
「俺と同じ姿……何でなんだろう」
「心当たりはないの?」
「……もしかしたら、俺の知らないきょうだいがいるのかも」
ショウマはそう予想したが……
「……その可能性は低いと思うよ」
「えっ?」
「これは僕の予想だけど……ビターガヴを作っているのは、酸賀だと思う」
「!あの人が……!?」
ハルマは酸賀こそが、ビターガヴを生み出しているとショウマに自身の予想を伝える。
「前にビターガヴのことを訊いてみたけど、何かを隠してるような反応だった……ハントに戦う力を与えたのにも、何か裏があるのかもしれない」
「……」
「とにかく、酸賀がビターガヴのことに関わっていなかったとしても、ショウマ兄も注意しておいて」
「わ、分かった……」
その言葉に、酸賀を疑っていなかったショウマは驚くが、言葉通りに警戒することにしたようだ………その時、
「っ……」
「!大丈夫?」
「う、うん……大丈夫」
ショウマが突然ふらつき、倒れそうになってしまったのだ……そんなショウマを見て……
「……家まで送る。どこにあるの?」
「えっ?」
「このまま放っておくわけにはいかないでしょ?それに、途中で倒れられたら困るし」
ハルマはそう言い、ショウマをはぴぱれまで送ることにするのだった………その道中……
「ハルマ……俺、思い出したんだ。オース叔父さんのこと……」
「えっ……?」
ショウマはハルマにそう告げたのだ……。
「……ストマック社じゃ、父さんはどんな風だったの?」
ハルマはショウマに対し、少し間を空けながらそう訊いた。
「優しかったよ……叔父さんは、あの家の中で唯一、母さんと俺のことを気に掛けてくれていた。闇菓子のことだって、何とかしようとしていた……それに……」
「……それに?」
「ハルマによく似ていたよ……特に優しいところとか。それも、ハルマとオース叔父さんは親子なんだなって思えるくらい」
「!……そう」
ショウマの言葉に対し、ハルマは少しショウマの方から顔を逸らしてそう言った………その直後、
「ん……?」
「あれって……」
2人の正面から、次々と人々が逃げてきていたのだ。それを見て……
「!まさか―――」
「っ!」
ハルマは人々が逃げている理由を察したのか、人の流れに逆らって駆け出して行き、ショウマもそれに続いていくのだった……。
◇
ハルマとショウマがはぴぱれに向かっている頃、絆斗はとある場所で仕事をしていた……が、
「……はい?」
『やばい、俺モンスター見つけたかも!』
友人である加太郎から突然、電話が掛かってきたのだ。それに出たところ、なんと加太郎がグラニュートを見つけたと伝えてきたのだ。
「っ!どこで!?」
『明石湾の近くだ!』
「分かったすぐに行く!喧嘩売ったり余計な真似すんじゃねえぞ?」
絆斗は電話を切ると、すぐさま加太郎のいる場所へと向かおうとしたが……
「おいお前!何してくれてんだ!」
「アハハハ!アハハハハハ!」
「!あいつ……ビターガヴ!?」
そこにダークショウマが現れ、発進しようとした車を止めていたのだ。
「確かに倒したはずだ……何で……?」
「ねぇねぇ、遊ぼうよ!」
「はぁ?」
そう言うとダークショウマは……
「アハハハハハ!」
「う、うわあああああ!?」
車の底の方を持つと、そのままひっくり返してしまった。
「どう?びっくりした?」
ダークショウマは、車の中にいる人にそう尋ねる。
「っ……」
(あいつに構ってると、加太郎がやべぇな……!そうだ―――)
絆斗は携帯を取り出し、とある人物に電話を掛ける。
『ハンティー?どうかしたの?』
その人物というのが、何でも屋はぴぱれの社長である幸果だったのだ。
「社長!ショウマの偽物が出た。あいつに伝えといてくれ」
『え?ハンティーが直接言えば―――』
「悪い、頼んだ!」
『え、ちょ―――』
絆斗はそう言い、電話を切って友人のもとに急いでいった……その後も、ダークショウマはひっくり返した車を回して暴れていたが……
「アハハハハハ!ビビってやんの―――うわっ!?」
駆け付けたハルマに、軽く蹴り飛ばされたのだ。
「またか……大丈夫?ほら」
「大丈夫ですか!」
「!あ、あぁ……!」
その後、ハルマはショウマと共に車に乗っていた人を引っ張り出した。
「あ、ありがとう……」
「礼はいいから、さっさと逃げて」
「は、はい!」
車に乗っていた人は、ハルマの言葉に頷いてからこの場を離れていった。
「何で……絆斗と俺で倒したはずなのに……」
ショウマはダークショウマを見て、驚きながらそう口にしたが……
「うーん……俺はお前らのこと知らないから……俺じゃなかったんじゃない?」
「えっ……?」
「……やっぱりそういうことか」
「やっぱりって……?」
納得した様子でいたハルマに対し、ショウマはそう訊いた。
「こいつは1人だけじゃないってことだよ……昨日僕も、こいつと同じ姿をした奴を倒した」
「!俺も絆斗と一緒に倒した……でも、その時ハルマは―――」
「その反応……僕らが倒したのは、別々のビターガヴってことか」
ショウマの反応から、ハルマはダークショウマが何体もいることを確信した。
「大正解!俺はね、何人もいるんだ!きっとまだまだ出てくるよ!」
「!……作られた存在ってこと?」
「ご主人様ってすごいよねー?」
「ご主人……お前を作ったのは誰?」
ハルマはダークショウマから『ご主人』が誰なのかを訊き出そうとしたが……
「さぁね?知りたかったら……俺を捕まえてみなよ!」
やはりというべきか、笑顔でそう返されてしまう。
「……さっさと吐かせる」
「ヴラスタムギア」
ハルマはそう口にし、ヴラスタムギアを腰に巻いた。
「遊んでくれるんだ!?やったね!」
ダークショウマは喜びながら、自身のガヴを出した。
「遊ぶんじゃない……お前を倒すんだ!」
ショウマも自身のガヴを出し、ゴチゾウをセットしようとすると……
「ショウマ兄」
「?」
「……無理はなしだよ」
「!……ありがとう。ハルマもね」
ハルマに小声でそう言われ、礼を言ってから改めてゴチゾウをセットした。
「カップオン!」
「グミ!」
「グミ!」
そして……
「BITEグミ!BITEグミ!」
「Eatグミ!Eatグミ!」
「……変身」
「変、身!」
「変身!」
「プディングヴラムシステム!」
「スパーキングミ!ヤミー!」
「ポッピングミ!ジューシー!」
3人は同時に変身していく。
「行っくよー!」
「「っ!」」
その後、ビターガヴとガヴはそれぞれのブレイドを、ヴラムはブレイカーを持ち、互いに駆け出していく。
「アハハハハハ!」
ビターガヴはブレイドで2人に連続攻撃を仕掛け……
「ハァッ!」
「フッ!」
ガヴとヴラムはそれを同時に避け、すぐさま反撃に転じていた。すると……
「おっ?」
『『『!?』』』
「アハハハハハ!よし!」
ビターガヴは近くにいたゴチゾウ3体を纏めて掴むと、2人の攻撃を避けながらブレイドに吸収させ……
「ハァッ!」
「っ!」
「フッ!」
エネルギーを纏わせたブレイドを頭から伸ばした鞭を模したエネルギーへと繋げ、それを2人に向けて振るったのだ。
「っ!?」
「ちっ、前よりも強いな……!」
その攻撃を2人は次々と回避していくが、ヴラムは前の個体よりも強くなっていることに対し、思わずそう口にしていた。
「ハァッ!」
「ぐっ!?」
縦横無尽に振るった後、ビターガヴはガヴに狙いを定めてブレイドを振り下ろし、その攻撃をガヴはブレイドで咄嗟に受け止めていた。
「っ!」
それを見たヴラムは、弓モードに変形させたブレイカーでビターガヴに矢を放とうとしたが……
「そーれっ!」
「!」
それと同時にビターガヴは車を押して滑らせ、ヴラムに当てようとしていた。ヴラムはそれを難無く避けたが、車は背後にいたハルマと同い年の女子2人組に向かっていく。それに気付き……
「っ!危な……」
ヴラムはすぐさま駆け出し、車が2人に当たる前に片足で止めて見せたのだ。
「あっ……!」
「早く逃げて」
「あ、脚が……!」
「っ……」
ヴラムは後ろの2人に逃げるように言ったが、そのうちの1人が脚を怪我して動けずにいたのだ。すると……
「アハハハハハ!じゃあ次はー……追いかけっこしよっか?」
「キャンディ!」
ビターガヴは笑いながら、ブルキャンスパイシーゴチゾウをセットし……
「BITEキャンディ!BITEキャンディ!」
「ブルキャンスパイシー!ヤミー!」
「じゃあねー!」
ブルキャンバギースパイシーを召喚すると、それに乗ってそのまま走り去っていった。
「っ!逃がさない!」
「キャンディ!」
それを見たガヴも、ブルキャンゴチゾウをセットし……
「EATキャンディ!EATキャンディ!」
「ブルキャン!」
「ヴラム、その人たちお願い!」
ヴラムにそう言い残し、ブルキャンバギーに乗ってビターガヴを追いかけていく。
「あっ、ちょ―――無理はなしって言ったんだけどな……」
ヴラムはそう言いつつも……
「……早く逃がして追いかけよう」
目の前の2人を助けることを優先することにした……その時、
「っ!?ハル―――じゃなかった、ヴラム!」
偶然近くにいたうたが、騒ぎを聞きつけてやってきていたのだ。
(ちょうどいいか……)
「2人のこと頼んだ」
「!わ、分かった!」
うたに2人のことを頼んだヴラムは、すぐにガヴの後を追うのだった……。
◇
「待て!」
「アハハ!アハハハハハ!」
一方でガヴは、逃走を図ったビターガヴを追いかけていた。始めは道路を使って逃げていたビターガヴだが、急にバギーでビルの壁を登って行ったのだ。ガヴもそれに続き、さらにスピードを上げて追っていく。
「いけいけー!」
「くっ……!」
ビルの壁を走り回りながら、2人は互いにタイヤと一体になっているガトリングを撃ち続ける……が、
「次はこれだ!」
「っ!」
ビターガヴは先に地面へ降りたかと思えば、バギーをガトリング砲に変形させ、ガヴを狙って撃ち始めた。ガヴはその攻撃を最初はバギーで走り回ることで避けていたが……
「っ……体力が……!」
段々と体力が無くなっていき……
「ぐあっ!?」
ついには攻撃に当たってしまい、そのまま落とされて変身まで解除されてしまったのだ。
「じゃあねー!」
「っ……」
それを見たビターガヴは何処かへ走り去っていき、ショウマも限界がきて気を失ってしまう……。
「確かこっちに―――いた!」
ショウマが気を失ってから少しして、女子2人組をうたに任せたハルマが追いついてきた。
「って、気を失ってる……」
気を失ったショウマを見たハルマは、ショウマを背負おうとした。そこに……
「ウマショー!?」
「!?」
ショウマを探しに来たであろう幸果がやってきたのだ。
「と……?だ、誰?」
幸果は初対面のハルマを見て、そんな声を上げた……が、
「いや、今はそれより………君、ウマショーの知り合いだったりする?」
「?ウマショーってショウマに―――ショウマさんのこと?」
「!知り合いみたいだね……よし!えっと―――」
「ハルマ」
「ハルマ君ね……ハルマ君、ごめんけどウマショー運ぶの手伝ってくれない?」
「分かった。もともとそのつもりだったし」
ハルマはそう言い、軽々とショウマを背負った。
「じゃあ、こっちに来て!」
そうしてハルマは、幸果と共にはぴぱれへと向かうのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、ハルマとショウマが別個体のビターガヴと戦闘になりました……そして最後には、幸果と邂逅し……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。