それでは、どうぞご覧ください。
チョールを倒したハルマは、うたにグラニュートに気を付けるように忠告すると、すぐさまその場から離れて行ってしまった。その後、何処かに向かって歩いていたが……
「……」
『ありがとう!私たちを助けてくれて』
(あんなこと言われるの、父さんや母さん以外じゃ初めてだな……)
ハルマがさっきあんな反応をしたのは、単純にお礼などそういうことを言われ慣れていないからだ………実際、処刑人をしていた頃は、感謝などされることはなかった。大抵、さっきのチョールのように恐怖され、始末したからと言って、それを誰かから感謝されることは一度もなかったのだ……今までそんな環境で生きてきたハルマにとって、うたの言葉は不思議な感覚になるものだったのだ。
(ひとまずはバイトたちを潰して回る方がよさそう………そうすれば、必ずあっちの方から―――)
そんなことを思いながら歩くハルマの後ろには……
『ザク……!』
ハルマの持つゴチゾウなどとは違い、ポテトチップスのパッケージを模したゴチゾウがハルマのことを物陰から見ており、ハルマが歩き出すのに合わせ、そのまま付いて行くのだった……。
◇
ハルマがチョールを撃破した翌日……
「あいつ、一体何だったんだ……?」
「でも、グラニュート倒してたし、敵じゃなさそうだよね」
何でも屋『はぴぱれ』では、ショウマと絆斗がチョールを倒した謎のライダーについて話していた。すると……
『ザク!ザクザク!』
「?こいつは……」
「うん、あの仮面ライダーを追いかけさせてたんだ」
ショウマに頼まれ、ハルマの後を追いかけていたゴチゾウが帰ってきた。
「お帰り、どうだった?」
『ザクザク!ザク!』
「何だって?」
「うん、どこにいるかも分かったって」
「そうか」
ショウマはガヴフォンにゴチゾウを乗せると、ゴチゾウの目から光が出て、プロジェクターのように見たものを映像として映し出した。
「!この子が……?」
「おいおい、まだ子供じゃねぇか……」
そこには、ハルマがヴラムの変身を解除する様子が映っており、ショウマと絆斗は予想外の人物が変身していたことに驚きを隠せずにいた。
「こんな子供まで、ストマック社に………ショウマ、どうする?」
「……一度会ってみよう。このまま放っておくわけにもいかないしね」
こうして、ショウマと絆斗はハルマに会うことを決めるのだった……。
◇
「何っ?3匹目のグラニュートハンターだと?」
『はい、そのグラニュートハンターが処刑人の始末を邪魔したものと。そのハンターによって、既にバイトの1人もやられています』
「……」
その頃ストマック社では、ランゴが自身のエージェントから処刑人……ハルマの始末が失敗したことの報告を受けていた。
「3匹目のグラニュートハンターね……まだそんなやつがいたなんて」
「赤ガヴのように面倒なことにはならないとは思っていたが………奴の行方を探れ。見つけ次第始末しろ」
『了解しました』
「グラニュートハンターの方にも、引き続き注意しろ」
ランゴにそう言われたエージェントは、会議室の中から去っていった。
「これ以上、新しい問題を増やされるのは御免なのだがな……」
「……ホント、人間ってのはしぶとい生き物だよ」
ニエルブはそう言っていたが……
(ランゴ兄さんたちが処刑人を始末しようとしていたと聞いた時は正直焦ったけど、上手く使いこなしているようだ………最高傑作を手放すことになったのは惜しいけど、まだ―――)
頭の中では、そんなことを考えているのだった……。
◇
チョールを倒してから数日後、ハルマは廃墟となっていた倉庫を一先ずの拠点とすることにした。現在ハルマは、ストマック社から支給されていた端末で、バイトなどの動きを把握しようとしていたが……
「……やっぱりダメか。まぁ、予想はしてたけど」
その端末からは、ストマック社のバイトの情報は既に見ることが出来なくなっていた。
『ぷるぷる?』
「……分かってるよ。とりあえず外に出て情報を―――ん?」
ハルマは外に出て、グラニュートに関する情報を探そうとしたが……
『ザク!ザクザク!』
「!これは―――」
入り口のところに、黄色い小さな何かがいるのを見つける………それと同時に……
「本当にここにいるのか……?」
「うん、そのはずだけど………あっ!」
「!」
それに案内されてきたであろうショウマと絆斗が、ハルマの前に現れたのだ。
「!……誰?」
ハルマは後ろへと下がりながら、突然現れたショウマと絆斗を警戒しながらそう訊いた。
「!急にごめん……俺はショウマ、この人は絆斗」
「辛木田絆斗だ。今日は話があって――」
「……」
ショウマと絆斗がそう自己紹介をしたが、ハルマが警戒を解く様子はない……。
「ど、どうしよう……」
「めちゃくちゃ警戒されてるぞ……まぁ、いきなり来たんだし無理もないよな……」
そんなハルマを見て、2人はどうすればハルマが警戒を解いてくれるのかを小声で相談し始めた……だが、そんなやり取りをしている2人を見て……
「……何か、用?」
「「!」」
悪意があって自分に近づいてきたのではないと判断したハルマは、2人にそう訊くことにしたのだ。
「……君は、鳥のグラニュートを倒してた仮面ライダー……だよね?」
「!」
ショウマがそう訊いてきたが、ハルマはその言葉にさらに警戒を強めた。
(仮面ライダーっていう言葉は知らないけど、こっちの正体はバレてる。あの小さいやつに全部見られてたのか………というか、僕の持ってるやつに似て―――って……)
『ムニュムニュ!』
『ザクザク!』
『フワフワ!』
『パキパキ!』
『『ぷるぷる!』』
(何か……仲良くなってる……?)
ショウマと絆斗を警戒しているハルマに対し、ハルマのゴチゾウたちはショウマのゴチゾウたちと打ち解けているようだったのだ。その様子をハルマは黙って見ていたのだが………
『『ぷる!』』
「え?」
『『ぷるぷる!ぷる!』』
「いや、でも―――」
『『ぷるぷる!!』』
「分かった、分かったから………」
ゴチゾウたちがハルマのところへと来て、何かをお願いしに来たのだ………そんなゴチゾウたちの頼みを聞き……
「……僕がその仮面ライダーっていうのだったら、どうするの?」
それを無下には出来なかったハルマは、2人の話を聞くことにしたのだ。
「できることなら、君と協力したいと思ってるんだ」
「協力……?」
ショウマはハルマに、自分たちとの協力を申し出てきたのだ。
「この際フェアじゃないから言うけど、俺たちも仮面ライダーだ」
「……そもそも仮面ライダーって、何?」
絆斗は自分たちが仮面ライダーであることを明かすが、仮面ライダーという言葉を知らないハルマはそう訊き返した。
「えっと……こういうやつだ」
絆斗は自身のスマホに映したガヴとヴァレンの写真をハルマに見せた。
「!」
(赤ガヴとヴァレン……この2人が………)
「君もグラニュート………ストマック社と戦っているのなら、1人で戦うよりも俺たちと一緒に戦わない?」
「……」
(赤ガヴやヴァレンと一緒に戦う………その方がいいのかもしれない。そうすれば、何で父さんと母さんがストマック社に殺されたのかも―――)
その提案を聞き、ハルマはそう思ったのだが……
「……少し、考えさせて」
「え?」
「あ、あぁ……」
何故かそう言って答えを保留にし、そのまま外へと出るのだった……。
◇
ショウマと絆斗から離れた後……
『『ぷるぷる?』』
「……何で即答しなかったのかって?」
『『ぷる!』』
ハルマは肩に乗ったゴチゾウたちに、そんなことを訊かれていた。
「元とは言え、僕はストマック社の処刑人……そしてガヴがないとはいえ、半分はグラニュート………それがあっちに知られたら、協力どころの話じゃない」
(それに、赤ガヴはストマック家の末弟だと聞いたことがある………本当に協力しても大丈夫なのか、もう少し見極めないと……)
ハルマは処刑人時代、バイトたちとは違ってストマック家の経営をしているきょうだいたちと接触する機会が多くあり、バイトたちが知らないような情報を多く知っていた………その中には、ストマック家の末弟であるショウマに関するものもあった。そのため、ハルマも慎重にならざるを得ないというわけなのだ……。
「だから、少しの間は様子見することにするよ」
『『ぷる……』』
ハルマの言葉に、ゴチゾウたちは落ち込んだ様子でいたが……
「……協力しないとは一言も言ってないから、そんな風にならなくていい」
『『ぷる……!』』
「……あと、そろそろここに隠れておいてよ?」
『『ぷる!』』
ハルマの言葉を聞き、上着のポケットに隠れたゴチゾウたちを見て、ハルマは情報収集を再開するのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
ついにハルマがショウマや絆斗と出会い、共闘を持ち掛けられました……ですが、ハルマはあまり前向きではない様子で……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。