それでは、どうぞご覧ください。
「……」
『復讐……それが僕の戦う理由だよ』
「はぁ……」
ヴラムと共闘してから数日経ち、うたは学校の自分の席で珍しくため息をつき、昨日のハルマの言葉を思い出していた。すると……
「うた?どうかしたの?」
うたの友達が来て、そう声を掛けてきたのだ。
「えっ?」
「ため息なんかついちゃって……珍しいね?」
「!そ、そうかなー?気のせいだよ、気のせい!」
うたはいつものように笑い、何とか誤魔化そうとした。
「そう?でも、悩みがあったら相談してね?」
「うん、ありがとう」
そうお礼言った後、うたは……
「ななちゃん、大丈夫かな……?」
そう呟きながら、クラスメイトである蒼風ななの方に目を向けた……が、
「あっ……!」
その瞬間、ななは弁当を持ってどこかに行ってしまったのだ………ななはピアノを昔から得意としており、ピアノのコンクールでも優勝するほどの腕前だ。今度の新入生歓迎会での合唱でも、伴奏を担当することになっている……だが、今朝から様子がおかしく、先ほどの合唱練習でも珍しく失敗してしまっていたのだ。
「うたー!お弁当一緒に食べよう?」
「!今日はごめん。また明日一緒に食べよう!」
「「「……?」」」
うたは席から立ち上がると、みことたちからの誘いを断り、ななのことを追いかけ始めたのだ。
「……」
「うーん……」
「プリ……」
ななは校舎の外にあるベンチに座り込み、弁当を食べ始めていた。
「ななちゃん、今日元気ないんだよね……何かあったのかな……?」
「プリ……?」
その様子をうたとプリルンは茂みの後ろから見守っていた……が、
「一緒にお弁当食べようと思ったんだけど……」
「プリルンお腹空いたプリ!早くお弁当食べたいプリ~!」
「あっ!」
プリルンは我慢出来なくなったのか、うたの弁当を持って飛び回ってしまう。うたはプリルンから弁当を取り返し、落ち着かせようとしたが……
「ダメ!―――って、うわっ!?」
プリルンを捕まえようとしたところで、転びそうになってしまったのだ。
「うたちゃん……?」
それによってうたは隠れていた物陰から出てしまい、ななの視界に入ってしまった………プリルンの
「えへへ……一緒にお弁当、食べてもいい?」
「……うん」
その言葉をななは了承し、うたはななの隣へと座る。
「……」
そうして弁当を広げたはいいものの、ななの表情は未だに暗いままであった……。
「うーん…………!」
うたは何かを思いついたようで……
「はい!」
「えっ?」
「元気のお裾分け!……なんてね!」
「!ありがとう……!」
自分の弁当に入っていたタコさんウインナーをななの弁当箱へと入れた。
「プリルンも、あーんプリ!」
「!あーん……」
「プリ……!」
うたはななにばれないように、プリルンにタコさんウインナーを食べさせる………そして……
「……コンクール、失敗しちゃった」
ななはうたに、自分が落ち込んでいる理由を話し始めた。
「ピアノが大好きで、毎日ずっと弾いてきたんだけど………今はもう、逃げたい………」
そんな風に理由を話してくれたななに、うたは……
「ななちゃんのピアノ~♪笑顔も大好き~♪ずっと♪一緒にいたいんだ~♪隣で歌いたい~♪」
「……!」
「ななちゃんのピアノで歌うの、私は大好きだよ!何かこう……キラッキランランな気持ちになるんだ!」
「うたちゃん……」
得意の歌で、励まそうとしたのだ。すると……
「プリ?プ…プ……
ぷえっくしょい!!」
「えっ!?」
「え……」
「ごめんプリ……」
プリルンがくしゃみをしてしまい、ななにその存在がばれてしまう……。
「えっと……その子は……?」
「!な、内緒なんだけど……こ、この子は迷子の……その……う、宇宙人?」
「プリルンはプリルンプリ!」
「うわぁ!?」
うたは必死に誤魔化そうとするが、プリルンは正直に自分の名前を言ってしまう。
「ち、違うよ!……いや違わないんだけどえっと……」
うたは考えに考えたものの……
「この子がプリルンで、私がキュアアイドルなわけ!」
「その通りプリ!」
自分がアイドルプリキュアであることを全てばらしてしまったのだ……。
「「い……言っちゃったーー!!」」
「うたちゃんが……キュアアイドル……?」
「!ごめんねななちゃん……えっと、今の話は物凄く内緒というか……」
「物凄く内緒プリ!」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
プリルンがななの前で浮かんで話しているのを見て、うたはプリルンを慌てて捕まえた。それに対して、ななは微笑んで小指を出し……
「うん、分かった。内緒ね?」
「!あ、ありがとう……」
うたと約束の指切りをしたのだ。その後、ななはプリルンの方を向き……
「プリルン、私はなな。よろしくね?」
「よろしくプリ!」
自身の手を差出し、プリルンもその手に触れた。
「実は私、この前見ちゃったんだ」
「えっ?」
「うたちゃんが……キュアアイドルが戦ってるとこ」
「そ、そうなの!?」
「プリ!?」
ななはうたとプリルンに、キュアアイドルが戦うところを見ていたことを話した。
「うん……あんな怖いモンスターに立ち向かえるなんて、強くて……」
「いや~」
「勇気があって……」
「それほどでも~」
「キラキラしてて……」
「タコさんウインナーもう1個いる?」
うたは褒められたことが嬉しかったのか、ななの弁当箱にもう1つタコさんウインナーを入れた。
「うたちゃん、本当にカッコイイよ」
「……ありがとう」
「私も、うたちゃんみたいに強くなりたいな……」
ななにそう言われたうたであったが……
「私は、まだまだだよ……」
「うたちゃん……?」
「!ううん、何でもないよ?」
「……あっ、あとうたちゃんだけじゃなくて、白髪の子が仮面ライダーに変身して戦っているのも見ちゃって……」
当然というべきか、ななはハルマのことも見ていたのだ。
「!えっと、ハ―――じゃなくてその子は―――」
うたはハルマの名前だけでも隠し通そうとしたが……
「ハルマのことプリ!」
「ちょ、プリルン!?」
プリルンはハルマのことまでばらしてしまったのだ。
「ハルマ……それがあの子の名前?」
「!う、うん……このことも物凄く内緒だからその……」
「うん、約束するよ」
ななはハルマのことについても、秘密にしてくれると約束してくれた。その後は2人とプリルンで弁当を食べていたが……
「うたちゃん……何かあったの?」
「えっ?」
「何だか今日、いつもより元気なさそうだったから……」
うたの様子がおかしいことに、ななも気づいていたようだ。
「そ、そうかな~?」
うたはいつもの明るい調子で誤魔化そうとしたが……
「……」
「!は、話すからそんな顔しないで?」
ななに心配そうな表情で見つめられ、これ以上ななを暗い表情にさせたくなかったうたは、正直に話すことにした……。
「ハルマ君はね、お腹に口……?のある化け物と戦ってるみたいなんだけど―――」
「えっ!?うたちゃん、その化け物を見たことあるの!?」
うたが実際に化け物を見ていたことに、ななは驚きの声を上げる。実際に人間界では、仮面ライダーが化け物と戦っているという事実はSNSなどで拡散されており、ななが仮面ライダーや化け物の存在を知っているのも不思議なことではないのだ。
「見たことあるというか、その化け物に私も襲われそうになっちゃって………でも、その時もハルマ君に助けてもらったんだ」
「じゃあ、そのハルマ君はうたちゃんにとっては命の恩人なんだね」
「うん……私はアイドルプリキュアとして、世界を―――みんなをキラッキランランにするために戦うって決めた。けど、ハルマ君は違う……」
「違う……?」
「ハルマ君は……復讐のために戦ってるって……」
「!」
「私、まだハルマ君と会って間もないけど、沢山助けてもらった……だから少しでも、ハルマ君をキラッキランランにしてあげたい。でも……」
どうやらうたは、ハルマの心をキラキラにするためにはどうすればいいのか………それを悩んでいる様子でいた。すると……
「……うたちゃん」
「?」
「今ね、うたちゃんがこうやって励ましてくれて、私凄く嬉しいんだよ?」
「……!」
「だから、うたちゃんはうたちゃんらしくいればいいんじゃないかな?」
「私らしく……」
「プリルンもキラキラしているうたの方が好きプリ!」
ななやプリルンにそう言われたのだ。
「2人とも……うん、ありがとう!」
どうやらうたの悩みは解決したようで、うたはななとプリルンにお礼を言い、ななにある提案をした。
「あ、そうだ!ななちゃん、今日うちに来ない?」
「えっ?」
◇
数日後、うたとななたちの学校で新入生歓迎会が開かれる日、ハルマはというと……
「終わりだ」
「ヴラムスラッシュ!」
「ぐあああああ!?」
また1人、ストマック社のバイトを倒していた。そうしているのには、そのグラニュートから情報などを聞き出す目的もあるが、自身がバイトを倒していき、無視できない損害をストマック社に出すことで、ストマック家のきょうだいが直接出て来るのを待っているのだ。
「やっぱりはずれか……さて―――」
そして……
「あ、あれ……?」
ヴラムはその場で、ヒトプレスにさせられていた濃い紫色でツインテールの髪型をした少女を解放した。
「確か、私……」
「……大丈夫?」
「!?あ、あなたは……!」
その少女はヴラムを見て、驚いた表情をしていたものの……
「っ!」
「あっ……」
少女に怪我がないことを確認したヴラムは、その場からすぐに離れていった………その後、ヴラムは人気のないところで変身を解除し、自身の拠点へと戻るために街中を歩いていた………が、
「っ!」
突如、ハルマの足元に銃弾が撃たれたのだ。それが飛んできた方に目を向けると……
『見つけたぞ、処刑人』
ランゴのエージェントが2体、ハルマを始末しに来ていたのだ。
「きゃああああ!!」
「銃だ!逃げろ!」
その銃声やエージェントの持つ銃を見た周りの人々は、一斉に逃げ回り始めた。
「また来たのか……仕方ない」
「ヴラスタムギア」
『それは……!?』
「カップオン!」
「……変身」
「プディングヴラムシステム!」
ハルマは街中ではあるものの、再びヴラムへと変身してエージェントに応戦することにしたのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
うたは前回のハルマの言葉に驚いていたようですが、ななの言葉によっていつものうたに戻ることができたようです……。
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。