ソシャゲ世界って結局中堅勢力が一番良い空気吸ってる   作:しゅないだー

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今回は前書き後書き分割ランダムQ&Aです〜

Q.銃やらの武器はどこかの組織が生産してるの?

A.水生会周りで作ってるのもいるんですが流通量は少ないですね。
それとは別にパイプ銃みたいな感じで自作してる奴もいます、2話に出てきた奴はまさにそう。
威力はそんなでもないんですが、戦闘強者でもなけりゃ飛び道具はやっぱ脅威なので。
なんで2話で百花が自分でも彩葉でもなく、春陽を付けたのは礼が一番傷付く事のない人選でもありました。
後は異能省系列に多いですが、隕石衝突前の軍用の物をサルベージして使ってる奴らもいます。やっぱり品質が違うんで高額で取引されるし威力も違います。

ただ都市の上位層には「まず当たらない」「当たってもすぐ回復する」「位置を入れ替えて誤射させる」などそもそも通用しない事が多いぞ!
インチキも大概にしろ!







#15「レイくん」

 

 

 

 あたしがレイくんの事、初めはどう思ってたかと言われたら。

 

 クソ能天気で、バカみたいで、悩んでる事なんて何もなさそうで。

 とても羨ましかった。

 

 あたしは、もうそうなれなかったから。

 

 

 あの夜、生まれ育った家を捨ててお姉ちゃん達に手を引かれるまま今の"都市"に流れ着いた。

 発足した異能省と水生会の衝突。乱立する中小勢力による蹴落とし合い。

 今の均衡に辿り着くまで毎日毎日人死にと暴力で溢れ返る都市の中で、"あたし達(伊勢屋)"は強く在り続けた。

 それが良かったのか、悪かったのか分からない。一時期のあたしは、皆あの夜に家族全員揃って死んでいれば楽だったのにな、と思う事すらあったから。

 

 

 食事の時間が怖かった。

 一言も喋らないまま、ただ黙々と栄養食を口に運ぶ。お姉ちゃんも彩葉も、誰も口を開かない。

 その頃から少しずつ2人と顔を合わせるのが辛くなって。

 

 都市の一等地に事務所を構えたけど、割り当てられた2階の部屋から次第に出られなくなった。

 お姉ちゃんが持ってくる仕事をこなす時以外は、部屋の隅でじっと座っていた。だって、あたしだけが2人と違って楽な仕事しかできなかったから。

 

 

 お姉ちゃん達はできる(殺せる)のに。

 あれからあたしだけが、あの夜と同じで何もできなかった。

 殺さなきゃ、って思うとあの夜の事で頭がいっぱいになって。

 お父さんとお母さんの最後の姿が目に焼き付いて、消えてくれなくなる。

 あの日口走ってしまった言葉が渦を巻いて、ずっと頭の中で木霊する。

 

 

 あたしだけが汚れる事すらできない卑怯者だったから。

 

 

 

 

 

 ─────────────────────────────────

 

 

 初めてレイくんがあたしに話しかけてきたのは、芯まで冷え込むような夜だった。

 家にお姉ちゃん達じゃない誰かが少し前から住み始めたのには気付いていたけど、それが誰なのか聞く勇気すらなかった。だからドアをノックされた時、心臓が飛び出しそうなほど驚いたのを覚えている。

 

「あ、もしもし。これからこちらでお世話になる者ですけど、飯作ったんでどうすか。っていうか同い年くらいなんだっけ?」

 

 馴れ馴れしくて、バカなんじゃないのかと思った。

 だから無視してやった。お姉ちゃんが何を考えてるのか分からなかったけど、あたしにはもう何もいらなかったから。

 家族を傷付けたあたしには、何も与えられちゃいけない。

 

 息を潜めて相手の様子を窺う。しばらく待ってたみたいだけど、返事がないから諦めたらしい。

 

「じゃあドアの前に置いとくんで、また明日」

 

 そう言って階段を降りていく音がした。何が「また明日」だと心の中で悪態をつく。

 ただ、なんだか良い匂いがしたから。しばらく時間が経った後でそっとドアを開けた。何かの煮込み料理だったと思う。

 まだ温かく湯気を立たせているそれが、そのまま冷めるのも勿体なくて。

 誰かが作ってくれたちゃんとした料理を食べるのは久しぶりだった。

 

 でも、そのうちどうせ愛想を尽かすだろうって。

 

「なんか食べたい物とかさ、リクエストない?」

 

 なのに次の日の朝も。

 

「嫌いな食べ物とかあったりする?」

 

 次の次の日の昼も。

 

「雪降ってるんだけど、明日の朝雪だるま作りに行かない?」

 

 次の次の次の日の夜も。

 

「じゃじゃーん、なんと今日はデザートにりんごゼリーが付いてます。でもやっぱプラント産じゃない生のりんご食べたいよなあ」

 

 何日経っても。

 ずっと無視し続けているのに、懲りずに彼はずっと料理を作り続けて、返事もしない人間に一言掛けて階段を降りていく。

 

 嫌だった。それに少しずつ安心し始めている自分がいる事が。

 いついなくなるかも分からないのに。

 

 

 ─────────────────────────────────

 

 

 

 

「昼間は少しだけ暖かくなってきたから、そろそろ春が近いかもよ」

 

 ドアの向こうからは甘い香りがした。色々やりくりしてケーキか何か焼いたんだと思う。

 近付かせちゃいけない。絆されちゃいけない。親しくなればなるほど、お別れする時が辛くなる。だから、だから。

 

「……うるさい。毎日毎日、飽きもせずにマジでウザいんだけど」

 

 あたしに近付こうなんて気が失せるように。

 久々に喋ったからか、声が掠れて裏返る。それが何だか恥ずかしくて顔が熱くなった。

 

「お、やっと口聞いてくれた」

 

 彼は別に気分を害した様子もなく、寧ろほっとした様子が伝わってくる。

 良い人だ。でも良い人はすぐいなくなる。

 

「うるさいって言われてもな。だって長い付き合いになるんだし、春陽……さんは上司に当たる訳じゃん? そりゃ仲良くしたいでしょ」

 

 あっけらかんとそう答えるから。

 

「仲良くって、バカみたい」

 

 乾いた笑いが溢れた。

 こんな、少し前まで楽しく喋ってた人が次の瞬間には殺しに来る世界で。こんな、昨日まで可愛らしく人形で遊んでいた子供が次の日にはケモノになって人肉を貪っているような世界で。

 

 何が仲良く、だ。

 

「もう放っておいてよ!! 知らない!! あたしはもう誰とも仲良くしない!! だって!!」

 

 だって、いなくなった時に辛いから。

 お父さんもお母さんも、あたしが知らない内にいなくなった。

 お姉ちゃん達もいついなくなるか分からない。絶対なんてないんだって、思い知ったから。

 

「お姉ちゃん達だって、あたしみたいな最低で役立たずな奴嫌ってるに決まってる。いなくなればいいって、絶対思ってる……」

 

 そう口に出した途端、ぽろぽろと涙が零れた。

 ああ、あたしってやっぱりいらないなあ。

 

「ご両親亡くしてるんだっけ。まあヤケになる気持ち分かるよ」

「何が……!」

 

 分かる訳ない、そんな気休めの同情いらない。気を使ってるのか知らないけど、浅い考えに怒りすら覚えた。

 

「俺も親父殺されたし、お袋に。殺さなきゃ殺されるから、お袋は俺が殺してるし」

 

 息を呑んだ。

 言葉の意味が分からなくて、耳を素通りする。

 

「だからって俺の方が辛い訳じゃないし。人って色々あるしさ、辛さバトルなんかしても仕方ないじゃん。勝っても負けても嬉しくないし」

 

 別にそんな事は何でもないように、さらりと言うから。

 

「俺、ここに住ませてもらって暫く経つけどさ。百花さんは別に春陽さんの事嫌いじゃないと思うよ、彩葉さんは……前に『視界に入るな、殺す』って言われたから多分俺の事は嫌いなんだろうな……」

 

 お姉ちゃんは、あたしの事を嫌いじゃない? そんな訳、ない。

 

「そして2人とも春陽さんを傷付けるのと同じくらい、自分が傷付く事を恐れてる。人間って感じだよね」

 

 どこか他人事のようにも思える乾いた口調で、淡々と話すドア越しの相手は何か違う生物のように思えて。

 

「でも俺は別に自分が……なんか話脱線してきたな」

 

 ドアの向こうから頭を掻く音が聞こえた。

 

「俺さ、説教じみた事言うの苦手なんだよ。そもそもまだ16だし、春陽さんと殆ど歳変わんないのに色々言われてもムカつくだけでしょ」

 

 声でなんとなくそんなに歳が離れていない事は分かってたけど、そこまでだとは思ってなかった。

 

「だから1つだけ質問に答えてくれたら、もう鬱陶しくしない。約束する」

 

 あたしが黙ってるのを不満に感じていると思ったのか、恐る恐る彼は続ける。

 

「本当に1つだけだって。そうだな、春陽さんは『お姉ちゃん達は私の事を嫌ってる』って言うじゃん」

 

 その言葉に目をぎゅっと瞑る。自分で言い出した事なのに、胸の奥に刺さっている棘を無遠慮に引き抜かれたように痛い。

 

「君の気持ちはどうなのよ?」

 

 あたしの、気持ち。

 

「お姉ちゃん達の事、嫌いな訳?」

 

 

 

 

 

 

「……嫌いな訳、ないじゃん」

 

 嫌いになれる訳なかった。お姉ちゃん達はいつも可愛くて、格好良くて、強くて、いつでもあたしの宝物だった。

 

「もう2人しかいない家族だもん。嫌いな訳ない、大好き」

 

 戻れるなら隕石が落ちる前に戻りたい。戻りたい、戻りたい。嗚咽と共にそんな言葉が出て止まらなくなる。

 

「大好きだけど、あたしどうしたらいいかもう分かんないよ」

 

 子供みたいに泣きじゃくるあたしが泣き止むまで、彼は何も喋らないでいてくれた。

 ようやくあたしが落ち着くと、おずおずと「提案なんだけど」と話し始める。

 

「とりあえずさあ、まずは俺と一緒に飯食わない? 部屋の外で、とは言わないから」

「……何? ナンパ?」

 

 不快感を隠そうともしないあたしに対して「いや、俺歳下に興味無いから」なんてぬけぬけと言って、彼はこつこつとドアを軽く叩く。

 

「こうやってドア越しでも。でさ、慣れたら百花さん達が外出してる時にダイニングで」

 

 美味いもの作っちゃうからさ、なんて戯けた調子でそう言って。

 

「それにも慣れたら、また一緒にご飯食べてみりゃいいじゃん。お姉ちゃん達とさ」

「……無理だよ」

 

 部屋を出られたとして、お姉ちゃん達とまたそんな風になれる未来が見えなかった。

 

「遠い未来の事じゃなくて、明日の事を考えて」

 

 それを見透かしたように、そんな事を言うから。

 

「変わりたい気持ちも分かるけどさ、別にちょっとずつでいいんじゃない。それに歩き出してみれば案外遠くなかったりするし」

 

 そっか。ちょっとずつで、良かったんだ。

 

「それに絶対ないけど、もし百花さん達が春陽さんに文句言ったり嫌な目で見てくるんなら……そうだな……頑張って俺が怒るから……殺されるかもしれないけど……」

 

 自信なさげなその態度につい笑ってしまう。格好良いんだか、格好悪いんだかよく分からない。

 

「1人で飯食うのも悪くないけどさ、ずっとは寂しいよ」

「分かった。食べる、から……」

 

 おずおずとドアを開ける。立っていたのは本当に、自分と大して歳も変わらなさそうな普通の男の子だった。

 あたしより少し背が高くて、目が合うと安心したようににっこりと笑う。

 なんだかずっと無視していた事が後ろめたくて、さっさとご飯を渡してと手振りで示すと何故か彼は慌て始めた。

 

「いや、あの、一応言っとくけど、女の子が大して知らない男を部屋に軽率に上げるの良くないからね!?」

 

 あたしの手振りを誤解したのか、そんな事を言うから少しからかってやる。

 

「何勘違いしてんの、あんたは外」

「え……俺がめちゃくちゃ恥ずかしい奴みたいじゃん」

 

 サンドイッチを受け取ると、ドアを勢い良く閉める。

 

「……なんで、こんなにお節介焼くの。ずっと無視してたのに。あんたに良い事1つもないのに」

 

 ドアにもたれかかるようにして、そう尋ねる。理由の分からない善意は怖い。

 

「そりゃ自分の居住環境は住み良いものにしておきたいじゃん」

 

 だからそう聞いて少しだけ安心した。

 

「後は……俺がそうしたかったから。俺はちゃんと人間なんだって、その証明」

 

 結局自分の事しか考えてないんだよ、俺。

 そんな事を言いながら、思い出したかのように彼は「あっ」と呟く。

 

「そういや自己紹介まだだった、カラスマレイです。えーと烏があの鳥から線一本引いたやつで……」

「別に漢字いらない、そこまで興味ないし。レイ……くんね」

 

 隕石が落ちてから、初めて新しく覚えた人の名前。

 

「……春陽でいい。さん付けとか、なんか気を使われてるみたいでムカつくから」

 

 

 

 

 ─────────────────────────────────

 

 

 数日をそんな感じで過ごして、あたしは部屋の外に出る事を決めた。

 確かお姉ちゃん達は仕事に出かけたってレイくんから聞いてたし。

 

「まだ無理しなくたって良いと思うけどなあ」

「無理なんかしてないもん……あたしの家だし。あたしのお姉ちゃん、なんだから」

 

 まずは部屋の外で食べられるようになれば、次に進めるかもしれない。あたしはやっぱりお姉ちゃん達の事が大好きだから。

 ゆっくりと確かめるように階段を降りた先、ダイニングに足を踏み入れた瞬間。やっべ、とレイくんが後ろで呟く。

 

「……春陽?」

 

 仕事を終え帰ってきたばかりだったのか、お姉ちゃん達がいた。

 一瞬驚いたような表情を見せた後、どうしていいのか向こうも分からないのかそっと目を伏せた。

 

 どくんどくんと心臓の音が煩かった。

 一刻も早く逃げ出したくて、手が震える。

 

 今更どんな顔して、何を話せばいい? 

 帰らなきゃ。あたしみたいな最低な人間は、早く暗い部屋に戻らなきゃ。息をするのも苦しくなって、耐え切れず振り返る。急いで階段を駆け上がって、ドアを閉めて、鍵を掛けて。

 

 そう走り出そうとしたその時。

 

 後ろにいたレイくんと目が合う。

 彼は肯定も否定も何もせずに、ただじっとあたしの目を見つめていた。

 

 前に進むのは少しずつでいい。

 でもここで部屋に逃げ込むのは。

 

 後退でしかない。

 

 

 言わなきゃいけない事があるはずだ。あたしが、2人に何よりも伝えたい事が。

 

「ごめん、なさい」

 

 傷付けてごめんなさい。

 役に立てなくてごめんなさい。

 それでも大好きで、ごめんなさい。

 

「……春ちゃん」

 

 上擦った声に顔を上げる。そこにいた彩葉の、笑っているようにも泣いているようにも見える表情でやっと気付いた。

 

「一緒に、食べよう?」

 

 お姉ちゃん達も、ずっと辛かったんだって。

 

 

 

 

 ─────────────────────────────────

 

 

 

 それで全てが元通りになる訳じゃなかった。

 あたしは部屋の外に出られるようになったけど、暫くはお姉ちゃんとも彩葉ともずっとぎこちなかったし。

 

 

 でもレイくんはダイニングにいつもいて、毒にも薬にもならないくだらない話ばかりしてた。だから食事の時間がもう怖くなかった。

 少しずつ、本当にゆっくりだったけど「もう一度、誰かと一緒にいてもいいかな」って思えるようになった。

 もういなくならないように、あたしが守ればいいんだし。

 

 

 別にレイくんがいなくたって、もっと時間が経てばあたし達は大人になった振りが上手くなって、膿んだ傷に見ないふりをして。

 表面上はそれなりに助け合って生きている姉妹を演じられてたかもしれない。

 そうじゃないと、きっとこの都市では生きていけないから。

 

 

 でもあの日レイくんが「一緒に飯食わない?」って言ってくれたから、あたしは昔のあたしを殺さずに今ここにいられる。

 

 

 だからあたしはレイくんに言ってあげたかったんだ。

 何を焦ってるのか分からないけど、がむしゃらに強くなろうとしてる君に。

 

 変わりたい気持ちも分かるけど、別にちょっとずつでいいんじゃない? って。

 

 

 

 

 

 






Q.自分のこと軽く見過ぎでは!?

A.なんでそんな自己肯定感低いんやろなあ……
本人としては「まあ確かにゲームの時よりは仲良さそうに見えるけど、俺が別にどうこうしなくても本編までには何やかんやあって今くらいにはなってるんだろうな!」って感じです。
なお外面だけ

次回、それはそれとしてvsボスエネミー

ファイッ

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