デュエル・マスターズ Aoharu Revolution   作:カレーパンパフェ

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前書き

この作品はデュエル・マスターズとブルーアーカイブのクロスオーバー作品です。
元ネタは匿名掲示板のスレッドからですが、そちらの設定を全て流用することはするつもりはないです。
基本自分が書きたい展開を書いていくつもりです。

もしこの作品を気に入っていただけましたら、高評価とお気に入り登録に加え、ここすきや感想を書いてくださるとありがたいです!
また、作品に関する質問も感想欄で受け付けます!ネタバレにならない範囲で答えていこうと思いますので、気になることがあれば気軽に質問してください!

前置きが長くなりましたが、そろそろ本編に入ろうと思います!
激しく熱かりし、青春と決闘の世界へ!デュエマ、スタート!


※ウィン編キャラは原作漫画の設定を、それ以外のキャラは基本アニメ版の設定を踏襲しています




プロローグ
ハローキヴォトスっ!勝太、先生になるっ!


「――私のミスでした」

 

 その一言から始まった、少女――連邦生徒会長の独白。

 おびただしい量の血を身体から流しながら、しかし彼女は落ち着いた声で言葉を紡ぐ。

 自らの過ちを、選択を悔やむ発言の数々は、一つ一つに重みがあった。

 

「ですが、先生――あなたになら――」

 

「あー、その先生というのは、俺のことか?」

 

「・・・・・・ん?」

 

 連邦生徒会長は困惑していた。

 当然だろう。いかにも重要そうな雰囲気を醸し出している独白の最中、それを聞いている相手が突如として茶々を入れてきたのである。

 というかこの独白に茶々を入れることが可能なのか? と読者の皆さんもお思いだろう。

 しかしこの男はやってしまうのである。

 

 黒く逆立った髪。

 きっちりとしたスーツを着込んでおり、電車の席に座る姿勢もよい。

 切れ長で真っすぐな瞳で、眼前の少女を見つめるのは。

 デュエル・マスターズ初代主人公、切札勝舞(きりふだしょうぶ)っ!!

 野球選手にハリウッド俳優、果てには世紀末覇王やジャングル大帝、内閣総理大臣まで!何もかもをこなしてしまう超人である!

 

「えぇ・・・・・・切札勝舞先生――あなたになら――」

 

 話し相手が余計な茶々を入れてきたものの、連邦生徒会長は何とか軌道修正を図ろうとする。

 しかし次の勝舞の発言は、さすがにスルーするわけにはいかなかった。

 

「黙っていても仕方ないからはっきり言わせてもらうが・・・・・・先生をやるのであれば、俺よりも適任がいるはずだ!」

「は?」

 

 沈黙。

 ガタンゴトンと、電車が線路を進む音が車内にこだまする。

 超人と謳われる連邦生徒会長であっても、勝舞の発言の意図を理解するのには時間がかかった。

 

「あなたでなければ・・・・・・、一体誰が?」

「そいつはな、いい年してる癖に大人げない。年下であろうが相手と同じ土俵に立って、対等な立場でけんかをおっぱじめる様が容易に想像できる」

「だがそれがいい。真正面から生徒たちとぶつかり、心の扉を開き、生徒たちそれぞれが進みたい道へと、あいつなら導いてくれるはずだ」

 

 あっけにとられる連邦生徒会長を前に、勝舞がその人物の名を言い放つ。

切札勝太(きりふだかった)。俺の、弟だ!」

 

***

 

「むにゃむにゃ・・・・・・もう食べられねぇよぉ・・・・・・」

「先生っ! 起きてください先生!」

 

 ソファでカレーパン模様の毛布をかぶりながら寝ている人物を起こそうとするのは七神リン。

 キヴォトス連邦生徒会の行政官である。

 先ほどから何度も声をかけており、回数を重ねるごとに語気は強くなっていく。

 そろそろ怒鳴りだしてしまうのでは? と思われるであろう段階に至った時、とある人影、否、ドラゴン影がソファへと近づく。

 

「・・・しゃーないなぁ・・・勝太ぁ!はよ起きんかぁい!」

「おごぁぁ!!??」

 

 丸々とした赤いからだ。その短い脚から繰り出される回し蹴りは、しかしその体躯に見合わぬ威力を持って、人影の後頭部へと炸裂した。

 蹴りを喰らったその男は情けない声を上げながら、痛みでソファから飛び起きる。

 

 デュエル・マスターズのことを知らない皆さんにとっては、たいっへん情けない第一印象を与えてしまっただろうが、この男こそ!

 激しく熱かりし熱血魂を持つ男っ! デュエマとカレーパンをこよなく愛する我らが主人公、切札勝太であるっ!!

 そして勝太を蹴り起こしたのはカツドン! 勝太の相棒にして家族! アウトレイジに属するクリーチャーだ!

 

「なにすんだよカツドン!」

 

「『なにすんだよ』じゃないで! そこの嬢ちゃんが、さっきから勝太のこと呼んどるんや!」

 

「・・・・・・んんん? あ」

 

 勝太があたりを見回すと、眼鏡をかけた一人の少女の姿が目に留まる。

 いかにもご立腹といった様子の彼女に対し、勝太は素直に謝罪の言葉を述べた。

 

「・・・・・・悪かった」

「・・・・・・いえ、お気になさらず。長旅の疲れが出たのでしょう」

 

 一拍おいて返答したリンであったものの、少し、どころかかなり怒っているのはまるわかりであった。

 

(こっち来て早々、やらかしちまったなぁ)

 

 溜め息を吐く勝太に、カツドンがやれやれといった視線を向けた。

 

***

 

 その後、勝太は応接間から移動しながら、キヴォトスについての説明を受けた。

 数千の学園都市が集まってできた、巨大な学園都市。勝太はそこで先生をやる、という手はずになっているらしい。

 らしい、というのは、勝太も現状をいまいち把握できていないからだ。

 

(突然兄貴に呼び出されたかと思えば、変な磁気嵐に宇宙船が巻き込まれて墜落して・・・・・・気づいたらここだったんだっけ)

 

 そもそも宇宙空間にどうやってバカ兄貴が連絡してきたのか、という話だが、そこは切札勝舞だから、でスルー可能だ。なぜなら、勝舞はあいつにできないことなんかあるのか?というレベルの超人なのである!

 

「・・・・・・というか、先生ならオレなんかより兄貴がやればいいんじゃねぇか? いまもリンたちのところの顧問やってんだろ?」

 

「確かに、勝舞さんは連邦生徒会の顧問に着任してくれました。私たちに干渉しすぎず、ほとんど見守る立場にいらっしゃいますが、それでもありがたい限りです」

 

 総理大臣までやってのける勝舞だ。連邦生徒会という物がどれほどの規模か知らないが、きっといい感じに手助けをしているのだろう。

 

「・・・・・・ですが、生徒を任せるという意味では、勝太先生の方が適任だと強く太鼓判を押していらっしゃいまして」

 

「確かに子育ての経験はあるけどなぁ」

 

 切札勝太は、普通の父親とは程遠い。

 宇宙で幼馴染とデキ婚、息子が小2の時に主人公の座を明け渡してさっさと宇宙へ行ってしまった。

 そもそもの話、息子は中学に上がったばかりである。キヴォトスの生徒は大半が女子高生らしいので、勝太には力になれる自信などカケラもないのであった。

 

(そういえば、この作品の主人公ってオレでいいのか?なんとなーくだけど、いまはジョーですら主人公じゃなくなってる気がするんだが)

 

(先生ってのはなんか特別な立場みたいやし、勝太が主人公でええんやないの?)

 

 いや、なにいきなりメタい話を始めてるんだこいつら!?

 先生やってもらう以上、主役は切札勝太だよ!紙のデュエマの現行シリーズは違うけど!

 

 ・・・・・・そんなわけで、カツドンとメタい話をしつつ、勝太はリンに大人しくついていったのだが。

 

「お、なんかべっぴんさんがいっぱいおるな」

 

「・・・・・・面倒な方々に捕まりそうですね」

 

 それぞれ違う学生服を着た生徒が4人。あとから分かったことだが、4人のうち2人は同じ学校だったらしい。

 リンは彼女自身の予測通りその4人に捕まり、糾弾されていた。

 

「連邦生徒会っていかにも偉そうな立場にいるみたいだし、大変そうだな」

 

「そうやなぁ。まだ高校生なのに、大変やで」

 

 話の内容―――武器の不正流通だの、治安悪化だの、サンクなんとかだの―――はさっぱりわかりそうにない。

 勝太とカツドンはお呼びがかかるまで、雑談しつつ大人しくその場に突っ立っていた。

 

「ちょっと待って。・・・・・・その方が切札勝太先生と、カツドン・・・・・・さん?」

 

「ん?おれたちのこと知ってるのか?」

 

「連邦生徒会の勝舞顧問が大々的に宣伝していましたから。近々、連邦捜査部「シャーレ」を稼働させ、その顧問に自分の弟を就任させる、と」

 

「・・・あのバカ兄貴、なんで宣伝なんかやってんだよ」

 

 そもそも勝太はまだ先生をやる、と自らの口では言っていないわけだが、こんな宣伝されてはもう逃げられない――かと思えば別にそんなことはなくて、自分が嫌であれば勝太は堂々とトンヅラこくだろう。

 主人公がそれでいいのかと思うかもしれないが、勝太はそういうやつだ。

 

「そういえば、ワイをみてもみんな驚かへんな」

 

「確かに」

 

 普通なら、カツドンのような人型でない生物がいるなどあり得ない話だろう。

 しかしながらチナツはおろかユウカも、他の二人の生徒――ハスミとスズミにも特に驚いた様子はない。

 

「いったい何がどうやってやがる・・・・・・」

 

 混乱する二人の様子をみたユウカたちは、そろいもそろって半ば呆れたような目でリンの方を見ていた。

 こいつ何も説明してないのかよ、とでも言いたげな表情であった。

 

「・・・・・・すみませんでした、勝太先生。ですがいまここで詳しく説明している時間はありません。ことは一刻を争います。先生にはとある場所に向かってもらう手はずになっておりますので、その時にお話しさせていただきます」

 

 ユウカたちからの視線が痛くて、心底うんざりした気分になるリン。

 この後のモモカからの報告を聞いて、その心持ちはさらに悪くなっていくこととなる。

 

***

 

 連邦捜査部「シャーレ」。

 勝太の勤め先になる予定の部活らしかったが、そのオフィスの周りで不良たちが暴動を起こした。

 

「リンのやつ、プルプル震えてたけど大丈夫なのか?」

 

「先生、それ本人にも聞こえているのでは?」

 

「・・・・・・あ」

 

「無線を繋いでいたこと、忘れていたんですね」

 

 スズミやハスミに指摘され、勝太はリンと無線を繋いでいたことを思い出す。

 余計な事言っちまった、と身構えたものの、無線からリンの声は聞こえてこない。

 ただ、向こうから奇妙な圧を感じたので、勝太は押し黙った。

 現在勝太は、ユウカたちに護衛についてもらいながらシャーレのビルを目指している。

 その間にリンからキヴォトスについての話を聞いていたのだが・・・・・・想像よりトンチキな環境だった。

 

「おかしいだろっ!? 銃を持ってるのは当たり前で撃たれても痛いで済む、まったくもって意味が分からんっ!!」

 

『そうはいいましても、これが私たちの日常なので・・・・・・』

 

 リンから説明される一つ一つの事柄に驚く勝太だが、だんだんと驚く気も失せてきていた。

 そして、勝太たちにとってここからが本題である。

 なぜキヴォトスにクリーチャーがいるのか。

 

『結論から言いますと、私たちにも詳細は分かりません。本当に、ある日突然、としか・・・・・・』

 

 突如現れた正体不明の怪物に、キヴォトスは大混乱に陥った。

 そのころには連邦生徒会長も失踪していたため、連邦生徒会の対応も遅れてしまったのだが――

 

『クリーチャーが現れたのとほぼ同じタイミングで、勝舞さんがキヴォトスにやってきました。彼は迷いなくクリーチャーのことを世間に公表し、対策を講じました』

 

「ほえー。さすが兄貴だな」

 

『・・・・・・そのついでとばかりに、キヴォトスじゅうへデュエマの宣伝を始めたのですけれど』

 

「褒めて損した。やっぱバカ兄貴はバカ兄貴だな」

 

 これまでにあったことを聞いて、勝太はリンのストレスが連邦生徒会長とやらの代行をやっていることが大部分だろうと思っていた。

 だがそれは違う。実際は勝舞の奇行による胃痛も含まれているのだろうと思ったのだった。

 

『あ。先生、お兄さんがいらっしゃいましたよ』

 

「は? タイミング良すぎだろ」

 

 噂をすればなんとやら、とはこのことである。

 ほどなくして、無線の向こうからはきはきとした声が聞こえてきた。

 

「・・・・・・久しぶりだな、兄貴」

 

『久しぶりだな、勝太!いきなり呼びつけて済まなかった!』

 

「いや、呼びつけたこと自体はいいんだけどよ・・・・・・説明が足りなすぎるんだよ!」

 

 再会を祝う暇もなく――もとより勝太はそんなことはしないのだが――兄に対して愚痴をぶつける。

 

「オレはキヴォトスがこんな世紀末みてぇな場所だって聞いてないぞ!? なんで女子高生が銃持って戦わにゃならんのだ!」

 

 眼前で繰り広げられている光景を見ながら勝太が言う。

 勝舞と勝太の会話の最中、不良たちがこちらを襲撃してきたのだ。

 ユウカたちはその相手をしてくれている。もちろんカツドンも参戦していた。

 

『まあ、それはそういう世界だからとしか言えない。だが、本当の問題はそこじゃない』

 

「・・・・・・どういうことだ?」

 

 深刻そうな声で勝舞が語ったのは、勝太にとっても簡単には受け入れられない問題だった。

 生徒たちが学園を運営しており、様々な困難に直面していること。

 学籍というものが重要視され、持たないものは真っ当な生活を送れなくなること。

 大人たちは生徒との関わりが薄い人が大半であり、なんなら生徒から搾取を行う者もいるということ。

 

「おかしいだろ、それ。学生なんて、友達と買い食いしたり、カラオケしたり・・・・・・そんなもんじゃねぇのかよ」

 

『実際、そういう当たり前のような光景も存在するが・・・・・・。そういった青春を送ることができていない者もいる。そういった生徒たちを手助けするのが、「先生」という役職だ』

 

『生徒たちの悩みを聞き、その悩みに、何より生徒自身に向き合う。そういうことは、熱い心で人に訴えかけるお前の方がぴったりだと思ってな! 勝太を呼ばせてもらった』

 

「はぁ・・・・・・簡単に言いやがる」

 

 だが、キヴォトスの現状を聞いた以上、放っておくことはできなかった。

 ここに来る間も、リンやユウカ、ハスミやチナツ、スズミの言葉からは苦労している様子が分かった。

 他にも同じような気苦労をしている生徒がいるというのなら、彼女らを助けてやるべきだろう。

 絆されるのが早すぎると思われても、構わなかった。

 

「わかったよ。正式に受けるわ、『先生』の仕事」

 

『おぉ!!』

 

『ありがとうございます、先生』

 

 勝舞が歓喜の声をあげ、リンが謝意を述べる。

 

「ただし! 毎日カレーパンを支給すること!」

 

『は?』

 

『あー・・・・・・わかった、善処しよう、うん』

 

 唐突な勝太の無茶苦茶な要望にリンは素っ頓狂な声を上げる。

 勝舞は困惑しつつも、こういうところは勝太らしいな、と改めて思ったのだった。

 そして彼は、勝太に先生としての最初の仕事を投げた。

 

『それは戦術指揮だ! ユウカたちのサポートを頼むぞ!』

 

「ちょっとまてぇ!? カウンセリングだけじゃねぇのかよ!!」

 

 予想だにしなかった仕事を投げられ、今度は勝太の方が素っ頓狂な声を上げたのだった。

 

***

 

「ふぃー、なんとかなるもんだな」

 

「私たちはなんとかなりませんでしたけどね・・・・・・」

 

「なんやあのめちゃくちゃな指揮。指示があやふやすぎるで」

 

 やり遂げた感を出す勝太に、ユウカやカツドンから辛辣な評価が飛ぶ。

 実際、勝太の指示する行動自体はよいものが多かった。

 ただ、伝達方法がカスだったのである。

 「あっち」だの「そっち」だの抽象的な表現が多かったのだ。

 

「しゃーねぇだろ。オレだって指揮なんて初めてだったんだよ」

 

「ですが、指示された行動自体は的確なものが多かった印象です」

 

「伝え方がよくないだけで、指揮能力自体は高いと思います」

 

「・・・さすがに、閃光弾をカツドンさんに蹴らせて遠くに飛ばせ、と言われたときは耳を疑いましたが」

 

「褒めてんのか貶してんのかどっちだよ・・・」

 

 チナツ、ハスミ、スズミからそれぞれ評価を言い渡された結果、勝太は複雑な気分になる。

 そんな会話を繰り広げながらシャーレの部室に急いでいると、リンから通信が入った。

 今回の騒動を引き起こしたのはワカモという生徒である、という内容だった。

 

「・・・・・・で、報告を受けた直後にご対面とはな」

 

「あらあら、連邦生徒会の子犬たちのご登場ですか」

 

 こちらを見ても、ワカモは余裕の態度を貫いている。

 そんな彼女に、勝太は素朴な疑問をぶつけた。

 

「なぁ、どうしてこんなことするんだ?」

 

「私の趣味だからですね」

 

「は?」

 

 ノータイムで返された答えに思考がフリーズする勝太であった。

 

「あの嬢ちゃん、ヤバイ子やな」

 

『七囚人に会話など通じないと思いますよ、先生』

 

「いや、でもあいつもオレの生徒にあたるわけだろ・・・・・・? だったら会話くらいしといた方がいいんじゃねぇかなと思ってさ」

 

 まあ先生の言いたいこともなんとなくわかるかも・・・・・・と一瞬思ったユウカたちだったが、その疑問にバカ正直に答えてくれる相手は限られているだろうとも思った。

 

「あ、先生! ワカモが逃げていきます!」

 

「いや、逆にチャンスなんじゃねぇのか? ワカモがいなくなった今、不良たちの勢力は弱くなったはずだ! このままシャーレまで突っ込むぞ!!」

 

 勢いよく駆け出す勝太。そのあとを慌ててカツドンやユウカたちが追いかける――すぐに追い抜いて行ったが。

 

「・・・・・・!? 前方に、クルセイダー型の戦車を発見!」

 

「戦車ぁ!? そんなもんまであるのかよ!」

 

 これはさすがに生徒たちでも無理か・・・? と思った勝太だったが、ユウカたちは果敢に戦車へと向かっていく。

 

「・・・・・・まじか。んじゃあ一応やるか、指揮」

 

「まあ、ないよりはましなんでない?」

 

 カツドンから微妙に受け入れがたい評価をされ、またも複雑な気分に陥る勝太なのであった。

 

***

 

「・・・うし、片付いたな」

 

『お疲れさまでした、先生。私と勝舞さんももうすぐ到着予定です。建物の地下でお会いしましょう」

 

「おう!おれもすぐに向かう――」

 

「ちょっと待ったぁ!!」

 

 勝太がリンに返事をしようとしたところで、どこからともなく声がかかる。

 声の主は、先ほどユウカたちが蹴散らした不良の一人だった。

 

「切札勝太!お前、連邦生徒会の切札勝舞の弟なんだってな・・・・・・。つまり! デュエマも強いということ!! 」

 

 キヴォトスでは、切札勝舞はデュエマが強い、というのは周知の事実だ。その弟も強いはずだということで、不良は勝負を挑んできたのだ。

 なんで自分が勝舞の弟だと知っているのかと疑問に思う勝太だったが、勝舞が勝太の着任を宣伝していたという話を思い出して納得した。

 思い出したらムカついてきたので、後で一発勝舞を殴ってやろうと思う勝太であった。

 

「私らみてぇな荒くれものに、今後お前に会えるチャンスが訪れるとは限らねぇ!! 今ここで私とデュエマしやがれ!」

 

 これは後でわかったことだが、デュエマにはまっていた不良の一人をワカモが焚き付け、勝太に挑戦してみたらどうかと提案したのだ。

 つまり時間稼ぎに利用されているわけだが、不良は知ったこっちゃない。

 

「・・・何を言っているのですか、あの人は」

 

「閃光弾で目くらましして、さっさと通り過ぎましょう」

 

 勝太に熱い宣戦布告をかました不良に対し、ハスミとスズミの態度は冷めていた。

 

 一方ユウカとチナツはというと、シャーレの奪還という本命自体は済んでいることもあり、勝太のデュエマの実力が少しばかり気になっていた。

 ミレニアムやゲヘナではデュエマが大流行中であり、ユウカとチナツも頻度こそ少ないがデュエマをたしなんでいた。

 ちなみにトリニティではまだ普及はしていない。ハスミやスズミの態度が冷めていたのもそれが原因だろう。

 そして、宣戦布告された当人はというと。

 

「いいぜ! その挑戦、受けてたとうじゃねぇかぁ!!」

 

 めちゃくちゃに乗り気であったぁ!!

 

『せ、先生!? 今はデュエマなどしている場合では!』

 

『いや、存分にやれ、勝太!』

 

『勝舞さん!?』

 

 勝舞が勝太を急かすこともなかったため、このままデュエルは始まろうとしていた。

 

「あ、台がねぇな。まあいいか、地べたで――」

 

「かっちゃん、その心配は無用よ!」

 

「え?この声は・・・・・・っておわぁぁぁぁぁ!?」

 

 聞きなれた声がするな――と思う間もなく、空からデュエマ用の台が降ってくる。

 ぎりぎりで避けた勝太の目の前で、台はずしんと音を立てて着地した。

 その上に立っていたのは!

 

「で、でこちゃん!?」

 

 勝太の妻! 病弱系ヒロイン(自称)、切札るるっ!!

 病弱とは程遠い、超怪力系ヒロインであるっ!

 先ほどの台も、でこちゃんがぶん投げたものなのであった!

 

「勝舞さんに呼ばれたの! かっちゃんが先生をやるから、サポートを頼むって!」

 

「でこちゃんまで呼んでたのかよ!」

 

 勝舞の用意周到ぶりに若干引き気味の勝太である。

 

「さあ!思う存分デュエマしちゃって!」

 

「おう!・・・・・・あれ」

 

 勝太は服のポケットを探る。続いて上着のポケット。服と肌の間。何ならパンツの中までも探して・・・。

 ない。ない。ない。ない。

 

「・・・・・・デッキ、宇宙船に忘れちまったみたいだ。てへっ♪」

 

「「「「「「『『えぇぇぇ!?』』」」」」」」

 

 ズコーッと音がしそうな勢いで全員がずっこける。

 何やってんだこの主人公!

 

「何やっとんのや。・・・・・・しゃあない、こいつを貸したる!」

 

 勝太に呆れるカツドン。その手には、彼のとっておきのデッキが握られていた!

 

「これは・・・・・・すっげぇ! これならきっとなんとかなるぜ!」

 

 カツドンから渡されたカードたちを見た勝太は、このデッキなら勝つことができると確信したのだった!

 

「そんな急ごしらえのデッキで、この私に勝てると思うのか!」

 

「ああ、勝つさ!だっておれは!」

 

「主人公だからなぁ!」

 

 両者気合十分!

 勝太のキヴォトスでの最初のデュエマが、いま、始まる!!

 

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