デュエル・マスターズ Aoharu Revolution   作:カレーパンパフェ

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非ジョ―自体に立ち向かえっ! 打ち倒せドキンダンテXII!!!

 勝太の宣言により、戦端は開かれた。

 シッテムの箱を通して勝太は生徒たちの現状を把握し、右へ左へと指示を飛ばす。

 アヤネも手伝ってくれてはいるが、いかんせん脳内を飛び交う情報が多く大変である。

 

『先生、大丈夫ですか?』

 

「大丈夫だろうが大丈夫じゃなかろうが、ここで踏ん張らなきゃ意味がねぇ」

 

『そうですね、私もできる限りサポートします! 一緒に頑張りましょう!』

 

「おう!」

 

 勝太がシッテムの箱で最適な座標を割り出し、そこへアヤネが的確に支援物資を投下していく。

 セリカが果敢に攻め、ノノミが薙ぎ払い、シロコは敵のウィークポイントにドローンで弾幕を打ち込んでいく。

 少しずつ相手の戦力を削っていくことで多勢に無勢なこの状況を打開していく。

 そして包囲されかねない状況になれば、勝太の頼れる相棒の登場だ。

 

「カーツカーツ……ドン、ドン!!!」

 

「どわぁ!!!???」

 

「おい気を付けろ! このチビ強いぞ!!!」

 

「カツカツドンドン!?」

 

 誰がチビやてぇ!? と怒ったカツドンは腹いせにPMC兵の胸部を蹴り飛ばす。

 それに数人の兵士たちが巻き込まれ、隊列が崩れた。

 

「よしそこだ! セリカ、シロコ!!!」

 

「了解」「任せて!」

 

 秩序が乱れた場所にシロコがドローンで爆撃を行い、ダメ押しとばかりにセリカが突っ込む。

 周囲の妨害はノノミが牽制を行った。

 瞬く間に1隊壊滅である。

 

「いよっしゃあ!!! ―――『こちら勝太! お前ら体調は大丈夫か!』」

 

『ん、大丈夫』

 

『私たちのことナメてるわけ?』

 

『まだまだいけますよ!!!』

 

「『オッケー、んじゃあそのまま……おい、また()()が来るぞ!』」

 

『『『了解』』』

 

 瞬間、赤黒い邪悪なうごめきと、神聖なる奇跡が合わさった無秩序な砲撃が放たれる。

 シロコたちは難なくかわし、勝太も念のため位置を変える。

 砲撃の着弾点とその周囲は、アスファルトの破片も、舞い上がった砂ぼこりも、余波に巻き込まれたPMC兵もぴたりと止まっている。

 理事がディスペクターの力を借りて放った、()()()()()()()()だ。

 

「はははははは!!! 見たかこの圧倒的な力を! ドキンダンテの前にひれ伏すがいい!!!」

 

 とか理事のバカがのたまっているが実際にはそう圧倒的ではない。

 まず予備動作が長い。

 アロナの分析によれば生徒用クロスギアと似たような機構がゴリアテに搭載されているらしかったが、当然ゴリアテに合わせてサイズはでかくなっている。

 よって機構にエネルギーを供給するのに時間がかかるのだ。

 連射ができたらこちらはさぞかし苦しかっただろうが、実際はそうではない。

 タイミングさえ分かれば避けてしまえるのである。

 

 で肝心の2つ目だが、「ドキンダンテの前にひれ伏すがいい」とかいいつつそのドキンダンテが出てきていない。

 当たり前だが、カイザー理事にクリーチャーを実体化する術なんてない。

 ドキンダンテの力を無理やり引き出して、不完全な運用をしているにすぎないのだ。

 

(ドキンダンテ、か。戦闘前にちらっと見えた幻影のやつか? 実体化してない以上は心配する必要ねぇと思うが……)

 

 再び勝太は戦場に意識を向ける。

 砲撃の合間を縫い奇襲を仕掛けてくる兵士たちだが、対策委員会のメンバーはなんなく制圧していった。

 少し疲れは出てきているようだが、それでもまだまだ動けそうである。

 

 そしてしばらく、戦況は膠着状態だった。

 砲撃を避け、兵士を倒し、また砲撃を避ける。

 そんな攻防が何度か繰り返されたあと、シロコから通信が入った。

 

『先生。砲撃の着弾点、しばらくの間時間は止まりっぱなしみたい。そのせい、私たちが自由に動ける範囲がだんだん狭くなってる』

 

『まじかよ!!! ちょっとまってな』

 

 通信を保留にした勝太は、再びシッテムの箱の画面に目を向ける。

 

『アロナ、着弾点の分析できるか?』

 

『はい、地図上にマーカーを打ちますね!」

 

 そうして完成した地図をみると、確かに砲撃は勝太たちの周りを囲むかのように放たれている。 理事もばかではないようで、砲撃が簡単によけられてしまうと分かると作戦を講じてきたのだった。

 勝太たちの周りに砲撃を放ち、内側へ内側へと囲い込む。

 そうして勝太たちを一か所に留めることに成功すれば、あとはそこにでかい一撃を打ち込むだけでいい。

 

『…………そんな作戦、スーパーアロナちゃんはお見通しですよ!』

 

「お、おう、頼りにしてるぜアロナ!」

 

 自分の推測をアロナに伝えた勝太。

 するとアロナからはなんだか苦し紛れに聞こえる返事が返ってきた。

 気付かなかったんだな、と勝太は思ったが、アロナの名誉のためにあえて指摘しないことにした。

 

「向こうがこっちを誘い込もうってんなら―――のってやろうじゃねぇか」

 

 その旨を対策委員会に伝え、勝太は待機中の助っ人たちにも一報入れる。

 再びゴリアテから砲撃が放たれるが、勝太はわざと交差点の中央に向かうように回避。

 シロコたちも同様にして、やがて4人が一か所に集まる。

 

『先生、理事の策に乗ったのはいいんですけど……これからどうするんでしょう?』

 

『でかい一撃が来るかもっていってたけど、なんとかできるんでしょうね!?』

 

『だいじょぶだいじょぶ、さすがに後先くらいは考えてるよ』

 

 通信で軽口を叩きあっている間に、理事は高らかに勝利宣言をしていた。

 

「諸君が私の戦略にまんまと引っかかってくれて嬉しいよ。 さて、追いかけっこも終わりにしようか」

 

 ゴリアテの砲身へ、これまでのものとは比べ物にならないようなエネルギーの奔流が集まっていく。

 勝太は周りの空気が震えるのを感じ取った。

 ――――――禁時混成王、その奥義の一端が姿を見せる!

 

「くらうがいい!!! 『禁時王秘伝 エンド・オブ・ランド』!!!」

 

 世界から「時」という概念を消し飛ばす最悪の一撃。

 さすがにゴリアテのスペックでそのような力は発揮できないが、勝太たちから未来を奪い取るのには十分すぎる力である。

 満を持して放たれた一撃、その直後。

 

 

 それは虚しくも"無"に呑み込まれ、なかったことになった。

 

「は?」

 

 勝利を確信して放った渾身の一撃。

 それが、瞬きする間もなく目の前から消えてしまった。

 代わりに現れたのは、妙に背の高い黒ずくめの男。

 そのすべてを吸い込んでしまいそうな漆黒の瞳がこちらを見据えている。

 彼の目が細くなり、口角が上がる。おそらく笑っているのだろうが、理事からしたら気味が悪くて仕方がない。

 

(一体どういうことだ? こいつは何者だ!?)

 

 そして、その困惑が命取りになる。

 

「行くよアルちゃん!」「ふふふ、準備は完璧よ!」

 

 ビルの屋上から、二人の人影が飛び出してくる。

 あるカードの力をまとったバズーカを構えるジョー。

 そして、愛銃のスナイパーライフルを構えたアルであった。

 

「引き金は二度引かねぇ! 一発がすべてだ!!!」

 

 二人の銃から弾丸が放たれる。

 先行して着弾したスナイパーライフルの弾がゴリアテの本体と砲身を泣き別れにする。

 続いて着弾したバズーカの弾が、激しい爆発音と共にゴリアテ本体に命中した。

 カイザー特注のゴリアテは、一瞬にしてみるも無残な姿と化したのだった。

 

「ば、バカなっ!!! 私のゴリアテがぁ!!!」

 

 想定していなかった事態にカイザーが狼狽する。そして、悪夢はそれだけでは終わらない。

 

~~~~~~

 

「アル様の手を煩わせるなんて…………あなたたち全員、ゆるしませんっ!!!!!!」

 

 爆発、爆発、また爆発。

 C4爆弾を惜しみなく使ったハルカの猛攻に、小隊の連携が乱れる。

 たまらず後退した愚か者には、ムツキちゃんから爆弾のプレゼントだ。

 

「あっはは!!! た~のし~!!!」

 

『先生聞こえる? こちらカヨコ。東側の小隊は半壊状態。このまま突破してそっちに合流する』

 

~~~~~~

 

「ふははははは!!!!!! 恐れ慄け! ひざまづけ小物共が!!!」

 

「邪神くん、久々に元のサイズで張り切るのはいいけど、殺しちゃだめだぞっと」

 

「ふん、甘っちょろいことを」

 

 といいつつもしっかり不殺は守っている邪神である。

 しかし悲しいかな、生き残ったとしても、その身体と心には深淵の支配者に対する畏敬と恐怖が刻み込まれるのだ。

 いっそ地獄に落ちた方がましかもしれない。

 

『こちらウィン! 西側の兵隊たちは邪神くんがほとんど倒したぞっと! すぐそっち向かうね!!!』

 

~~~~~~

 

 なにもかもが理事にとって驚きの出来事であった。

 あの甘っちょろい大人が、便利屋や得体のしれない化け物どもを援軍に呼んでいるなどとどうやったら予想できるというのだ。

 

「おい部下たち! 早く私を助けに来い、さもないと今期のボーナスは―――」

 

「いや、それは無理だろ。周り見てみろ」

 

 理事があたりを見回す。

 そこは時間を消し飛ばす砲撃の着弾点だらけであり、いまも巻き込まれた兵士の時間が止まっている。

 それに恐れをなした兵士たちは、最前線に近づくのをやめてしまったのだ。

 

「敵に塩を送る形になったなぁ? 理事さんよぉ?」

 

「貴様らぁ……許さんぞっ!!! よくもこの私をここまでコケにしてくれたなぁ!!!!!! こうなれば、最終手段だ!」

 

 あまりの屈辱にカイザーが激昂。

 その口から飛び出た最終手段はまさかのものだった。

 

「真のデュエルだ!!! 私が勝利すれば、ディスペクターのダイレクトアタックによりお前たちは消滅するっ!!!」

 

 ああ、なるほどな、と勝太は理事の考えを大体察した。

 例え本人にクリーチャーを実体化させる力がなくとも、真のデュエル中であれば限りなく本物に近いクリーチャーが現れるはずだ。

 それを利用して、理事は勝太たちを広範囲の攻撃でまとめて始末しようとしているのだろう。

 なんて無茶なことを、と勝太は思ったが、もしかするとジェンドルに間違った知識を吹き込まれたのかもしれねぇと思った。ただの推測ではあるが。

 あとは肝心の対戦相手であるが――――――。

 

「そして私が指名するのは……バズーカを持ったガキ! お前だ!」

 

「え、ジョーくんを!?」

 

 理事が指名したのはまさかのジョーだった。

 ゴリアテを粉々にされたのが相当堪えたらしい。

 

「こんな小さな子を命懸けの戦いに巻き込むなんて……なんて卑劣な奴なの!!!」

 

 アビドス勢やアルの反応は普通である。

 ジョーはまだ中学1年生だ、当然だろう。

 しかし、ジョーのことを知っているものが見せた反応は違う。

 ゼーロは目の前の哀れな生き物をじーっと見つめている。

 勝太に至っては、口角が上がりくすくすと笑っている。ついには吹き出して笑ってしまう。

 

「な、なにがおかしいっ!!!」

 

「いやー、お前マジで運わりぃな。だってお前が指名したのは――――――」

 

「――――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だぜ?」

 

 対策委員会も、アルも、理事も衝撃で固まる。

 それはつまり、目の前のこと少年が、何度も何度も命を懸けた戦いに挑んできたということで―――。

 

「にししっ、それに俺、ドキンダンテなら前に倒したことあるもんねー!」

 

 切札ジョーは、まっすぐに理事の前へと進み出る。

 これから命を懸けた戦いが始まるというのに、やる気満々であった。

 

「最初に言っとくけど、俺が勝ってもお前の命はとらないよ。でも、ちょっと痛い目は見てもらうかもねっ!!!」

 

******

 

 切札ジョー VS カイザーコーポレーション理事

 

 真のデュエル、スタート!!!!

 

 

 まさかのまさか、切札ジョーとカイザー理事の真のデュエルが始まった!

 果たして、カイザー理事のデュエマの実力は!?

 そしてジョーが使っているデッキは、一体全体、何なのかぁ!!!

 

 理事はササゲ―ルを持つディスタスを召喚し、着々とドキンダンテ降臨の準備を整えていく!

 

「私のターン。『神官 フンヌ-2』を召喚し、シールドを攻撃!」

 

 炎の身体でできた拳で、フンヌがジョーのシールドを攻撃!

 シールドの破片がジョーに迫るが、彼はうわあああ!? と叫び声を上げながらそれを避ける。

 

「ふぃー……。やっぱいつまでたっても慣れないや……」

 

 慣れないとかいいながら、ほぼすべての破片を避けきっている。

 さすがは経験豊富なジョーであった。

 

「俺のターン! 呪文『獅子王の遺跡』っ!」

 

 一方ジョーはマナ加速を行い、こちらもあとあとの大きな動きに備えていく!

 

「なるほど、お前のデッキは5文明か。ジェンドルと似たようなものだな」

 

「うっわ、それだけは言われたくなかった」

 

 実際デッキを組んでいるとき、あのツートンカラーが何度頭をよぎり苦悶の声を上げたことだろう。

 しかしこれも、切札へ確実につなげるため、我慢である。

 

「では私のターン。呪文『ナウ・オア・ネバー』を発動。ザーディクリカをバトルゾーンに!」

 

 ジェンドルも使用していたディスペクターが再び現れる。

 ザーディクリカが呪文で『グローリー・スノー』を唱えたことにより、理事のマナも加速していく!

 

「加速したマナでジェイド-1を召喚。私はこれでターンエンドだ」

 

 ナウオアネバーの効果によりザーディクリカが手札に戻されようとするが、EXライフが身代わりとなった。

 

 

「ジョーはマナの数で差をつけようとしたけど、あいつすぐに対応してきたね」

 

「ま、一応大企業の理事やってんだろ? それなりに頭は回るんじゃねぇか?」

 

 デュエマの経験は浅いであろう理事だが、しっかりとデッキを使いこなしている。

 決して油断していい相手ではないのだろう。

 

 

「俺のターン! 『フェアリー・ミラクル』でマナ加速! さらにエメラルーダを召喚!」

 

 理事の猛攻に対しても慌てず、ジョーはひたすらリソースを増やしていく!

 

「余裕そうだな。既に私は勝利目前だというのに」

 

「勝負は最後まで分からないからね」

 

 キラキラとした目でジョーが言う。

 それは紛れもない、自分の勝利を信じぬいている眼であった。

 

「くだらん。そのような目を見ていると虫酸が走る。これより圧倒的な力を持って、その瞳を曇らせてやろうではないか!!!」

 

 「ササゲ―ル」の発動により、理事の場にいるディスタスが破壊されていき、そして。

 生贄を捧げ現れたのは、巨大な石柱。

 地響きを立てながら石柱は意思を持つかのように振動する――――――否、本当に意思があるのだ。

 石柱から生える2対の足。

 柱の正面には、両の手足を「混成」されているドキンダムXの姿が確認できる。

 背後に現れる奇跡の力を持つ時計盤。

 悪意と奇跡が合わさった、最凶のディスペクター。

 

「召喚っ!!! 『禁時混成王 ドキンダンテXXII』!!!」

 

 ジェンドルから預かった理事の切り札が、ついにその姿を現した。

 ドキンダンテの背後の時計盤、その時計の針と禁断の槍が、XIIを差した。

 瞬間、バトルゾーンに青白い衝撃波がほとばしる。それをまともに浴びたエメラルーダは石化してしまった!

 

「これで邪魔なブロッカーはいなくなった! 行け、ザーディクリカよ!!!」

 

 ザーディクリカの槍がジョーのシールドを貫く!

 避けきれないと判断したのか、ジョーは頭を抱えてうずくまり防御姿勢を取った。

 シールドの破片が、ジョーの手足に傷跡を残していく。

 

 

「ちょ、先生!? ジョーくんは大丈夫なのかしら!? こここ、このままだと……」

 

「大丈夫だよ。 俺の息子だぞ?」

 

『ですが先生! ジョーくんは理事のシールドを1枚も割れていません!』

 

 現在、ジョーと理事のシールドの差は2枚である。

 デュエマは相手のシールドをブレイクしてとどめを刺すゲーム。

 その点でみれば現在圧倒的に不利なのはジョーであった。

 エメラルーダの能力で盾を追加したとは言えど、はたから見たらジョーが攻めあぐねているようにしか見えないのだ。

 なのに勝太は大丈夫大丈夫と笑うし、ジョーもたいして困っている様子はない。

 

 

「俺のターン! エメラルーダをもう1体召喚!」

 

 ジョーは攻めではなく、耐えることを選択する。

 先ほど同様、おそらくトリガーを仕込まれたであろうシールドを見て煩わしく感じる理事。

 しかし、ジョーがエメラルーダを召喚したことでドキンダンテの能力が起動する!!!

 

「ドキンダンテの能力により、『S・S・S』を発動!」

 

 これにより、2体のエメラルーダがバトルゾーンを離れてしまった!

 

「まだまだぁ! デドダムを召喚!」

 

「では私は『ブレイン・Re:チャージャー』を唱えよう」

 

 これにてジョーのターンは終了してしまった。

 理事のターン、ドローで来たカードを見て彼は勝利を確信した!

 

「呪文『ファイナル・ストップ』! これでお前が仕込んだトリガーは無意味だ!」

 

 

「ちょっ、こんな時に呪文封じ!?」

 

「大丈夫、クリーチャーのトリガーかもしれない」

 

 反撃の芽を一つ潰され、慌てる観戦者たち。

 一方勝太とゼーロは落ち着いていた。

 ジョーが勝つことをまるで疑っていないからである。

 

 

 そして、それはデュエルの舞台に立つジョーも同じこと。

 自分の勝利を疑った時点で、デュエマは負けなのである!

 だからこそ、自分が敗北するかもなどとは考えないのだ!

 

「呪文を封じられてなおそのような顔をしているとは……。その根気は認めてやろう。……だが、これで終わりだ!」

 

 ドキンダンテの槍が宙に浮き、禁断の力と奇跡の力をその刃にまとわせ始めた!

 

「さらにアタックチャンス呪文だ!!! 『禁時王秘伝 エンドオブランド』、『電融秘伝グリードソレノイド』!!!」

 

 パワー99999のドキンダンテが、パワー2倍になりさらなる脅威と化す!

 今のドキンダンテはシールドを34枚ブレイクする大化け物だ!

 ドキンダンテが放った槍はデドダムを巻き込んで破壊し、ジョーのシールドへ迫る!!!

 

「破壊しろぉドキンダンテ!!!」

 

 ジョーのシールドが禁断の槍によって全て叩き割られる。

 

「……ぐっ……!」

 

 腕をクロスさせて頭をかばうが、その両腕にはおびただしい数の擦り傷がついていく。

 そしてS・トリガーは――――――なし。

 

「小僧! 私の勝ちだぁ!!! ザーディクリカでダイレクトアタック!!!!!!」

 

 ザーディクリカが3対の腕でエネルギー弾を生成、そのままジョーへ向けて解き放った!

 見ていられないといった様子で目を瞑るセリカ、手を顔で覆うノノミ。

 他の生徒たちも焦った様子でジョーを呼ぶ。

 

「『うわああああああ!!!!!!』…………なーんてね」

 

 ダイレクトアタックがジョーに届く直前、()()()()()()()()1()()()()()、ダイレクトアタックを防いだ。

 

「『ニンジャ・ストライク』、『怒流牙(どるげ)サイゾウミスト』!!!」

 

「な、なんだと!?」

 

 ニンジャ・ストライク!

 マナゾーンのカードが十分あれば、手札からシノビが飛び出しピンチを救ってくれるのだ!

 

「小癪な真似を……!!! だが、貴様にこの状況から逆転する余地はない!!!」

 

「いや、大ありだけど?」

 

 そう言ってのけると、ジョーは自分の頬をぺしぺしと叩き気合いを入れ直す。

 そして逆転の一手をつかみ取るため、山札に手をかけるのだ!!!

 

「さあ、反撃開始だぁ!!!」

 

 

 迫る嵐も風のうち!!!

 俺が最高の――――――追い風に変えるっ!!!!!!

 

 行くぞぉ!!!!!! ドローーーいっぱぁつ!!!!!!

 バーキュビキュブキュベキュボキュ、超バッキューン!!!!!!

 

 最高の追い風、ビュビュビュビュービュー、吹いてきたぜ!!!

 

 

「まずは呪文!『謎帥の艦隊!』ザーディクリカとドキンダンテを手札へ!!!」

 

 艦隊の波動砲によってクリーチャーを戻せる回数は計3回!

 EXライフにも対処可能なのだ!!!

 水文明の大艦隊がザーディクリカとドキンダンテを取り囲み、一斉砲撃!

 まずはザーディクリカが飲み込まれ、続いてドキンダンテが苦悶と怨嗟の声を上げながら水底へと沈んでいく。

 

「おのれ、私の切り札を!!! だがうかつだったな! ドキンダンテの効果で『波乗りサーファーBW(ビッグウェーブ)』を発動!」

 

 これによりサイゾウミストが手札に戻ってしまう!

 しかしまだジョーには十分なマナが残っている!!!!!!

 

「…………さあ、決めに行くよ……!」

 

 それは、ジョーカーズと別れても、なおジョーの下に残ったすべての始まり。

 正真正銘、最初にジョーが生み出した切り札であるっ!!!!!!

 

 馬の蹄の音が、いななきが聞こえる。

 その背に乗る、巨大なバズーカを背負った、赤に身を包んだガンマン。

 その名は――――――!

 

『ジョリー・ザ・ジョニー Joe』の、参、ジョー、だああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

 いつまでも、そしてこれからも。

 例え意思の疎通はできなくなっても、ジョニーはジョーのそばに居続けるのだ!!!

 

「な、なんだ……?」

 

 ジョーが自信満々に繰り出した予想外の切り札に、あっけにとられる理事。

 ぽかんとしているのは理事だけではなく、対策委員会やアル、ゼーロも例外ではない。

 だって普通の人からしたら、ただの落書きにしか見えないのだから。

 ただ一人、勝太だけが昔を懐かしんでいる目でそのクリーチャーを見ていた。

 そして、ジョーの勝利が、決まる。

 

「ジョニーの能力。バトルゾーンに相手のクリーチャーがいなければ……自分はゲームに勝つっ!!!!!!」

 

「なんだとおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 いきなり突き付けられた敗北に理事は絶叫する。

 そんな彼に向かって、ジョーは高らかにきめ台詞を言い放つのだ!!!

 

「引き金は二度引かねぇ!!! 一発がすべてだ!!!」

 

 ジョニーのバズーカから大口径のビームが飛び出す!!!

 それが引き起こした爆発に、理事はなすすべなく飲み込まれていったのだった!!!!!!

 

「ぐおおおおおおぉぉぉぉぉぉ…………」

 

 俺たち勝ったぜ! ジョーデッキ―!!!

 

******

 

「た、大変だ! 理事がケガを!」

 

「理事、撤退のご指示を!!!」

 

「私が、貴様ら相手に撤退する羽目になるなどぉぉぉ!!! ぜぇ、はぁ、覚えておけぇ!!!!!!」

 

 捨て台詞を吐いて、理事は率いていた軍隊とともに撤退していく。

 様々な助っ人の手を借りて、アビドス高校が勝利を収めたのだ!!!

 

「ぃやったぁ!!! ありがとね、ジョーくん!」

 

「いや、俺の力じゃないよ。セリカちゃん、それからシロコちゃん、ノノミちゃん、アヤネちゃん、父ちゃんたちが頑張ったから、あいつらに勝てたんだ」

 

 理事の策を見抜き、エンドオブランドの矛先を誘導したのは勝太と対策委員会のメンバーだった。

 最初に命を懸けた彼らなくして、この作戦は成立しないのである。

 

「それはそれとして、だ。お疲れさま、ジョー。帰ったら傷の手当してやるからな」

 

「ありがとう父ちゃん!……そうだ、ドキンダンテ!」

 

 理事が敗れたあと、地べたにカードは散らばったままだ。

 一刻も早くその中からドキンダンテ、否、ドキンダムXとミラダンテXIIを救出しなければ。

 そう思い先ほどデュエマした場所へ向き直るジョーだったが、時すでに遅し。

 

「やれやれ、最初から期待していませんでしたが……まさかあれほど小物だとは。ジョーカーズを失った切札ジョーにすら勝てないなど……言語道断です」

 

「ジェンドル…………」

 

 ドキンダンテを回収しに来たのだろう、次元の狭間からジェンドルが姿を現した。

 その手にはすでにドキンダンテのカードが握られている。

 

「ドルファディロムの時と同じヘマはしませんよ…………。ああ、皆さんそんな目で見なくても大丈夫ですよ。今すぐあなたたちをどうこうしようというわけではありませんから」

 

 いまデュエルを仕掛けても、ジェンドルのデッキはまだまだ力不足。

 中途半端なまま挑んで敗北するような結果になってはならない。

 それに、西側からこちらに向かっている得体のしれない気配も気がかりだった。

 ゆえに、彼らを始末したい気持ちを抑えてジェンドルは過去への扉を再度開く。

 

「おい待てジェンドル!!!」

 

「切札勝太。そう焦らなくとも、私たちはいずれ直接相まみえることになる。その時にこそ――――――真の絶望をお見せしましょう」

 

 高笑いしながら、ジェンドルが次元の向こうへと消えていく。

 勝太は改めてホシノ奪還について話し合うべく、対策委員会の方へと向き直るのだった。

 

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