デュエル・マスターズ Aoharu Revolution   作:カレーパンパフェ

17 / 25
アビドスでファイなろうぜ! 決着、砂漠の大決戦っ!!!

 前回の…………ぁあらすじっ!

 

 対策委員会やジョー達が見守る中、アビドス引いてはキヴォトスの命運をかけたデュエマが幕を開けた!

 勝太は序盤から多くのドラゴンを繰り出し攻め立てるも、ジェンドルはS(シールド)・トリガーを駆使して反撃!

 彼は奪った勝太の切り札を使ったディスペクターを多数繰り出し、デュエマでも、精神面でも勝太を追い詰めるっ!!!

 しかし、シロコの助力も受けつつ冷静さを取り戻した勝太は、革命0トリガーでミラクル・ミラダンテを繰り出しピンチをしのいだっ!!!

 そして再度ビクトリーモードを解放、反撃を開始したのだったっ!!!!!!

 

「とはいっても、ジェンドルのシールドは9枚に対して、先生のシールドはなし……」

 

「しかもクリーチャーの数も圧倒的にジェンドルが有利……本当にここから逆転なんて可能なんですか……?」

 

 何も知らないアビドスの面々からしたら当然の感想である。

 シールドの枚数も、クリーチャーの数もジェンドルが勝太に大差をつけている。

 そしてもうミラクル・ミラダンテも意味をなさない。種族にコマンドを持たないミカドレオやVol-Val-8がいるからだ。

 つまり、勝太はこのターンでブロッカーのミカドレオを倒しつつ、9枚のシールドをブレイクしとどめを刺すという大業をなさねばならないのだ。

 

「――――――それでも、『切札勝太』ならひっくり返せるでしょ」

 

 ウィンが噛みしめるように言う。彼にとって『切札勝太』とは漫画やアニメの登場人物にすぎないが、それでも彼の繰り広げた激闘はウィンの心を熱く打った。

 だからこそ、無条件に信じられる。

 そして彼を信じているのは、勝太の息子であるジョーも同じである。

 

「大丈夫だよ。父ちゃん、普段はちょっと情けないとこもあるけど……ここぞってときには、びしっと決めてくれるからね!」

 

 そしてジョーは、眼前で死闘を繰り広げている父に向って叫んだ。

 

「いっっっけええええええ!!! 父ちゃん!!!」

 

 その応援に、勝太は言葉の代わりに左拳を天に高くつき上げて応える。

 ――――――いよいよ、反撃の狼煙が上がるっ!!!

 

「まずは呪文!『ドラゴンズ・サイン』っ! その効果でこいつを出すぜ!」

 

『ひっさびさの出番だぜぇい!!! どりゃああああああ!』

 

 燃える炎があしらわれたファーコート。

 ビシッと決まったサングラス。

 そこに添えるは金色のキセル!

 そして、この拳に宿る漢気は、戦場に革命の風を吹かせる足掛かりとなるっ!!!

 どっしりと戦場に着地したのは、ハムカツ団の頼れる兄貴分!

 

漢気の2号 ボスカツっ!!! 参上!!!

 

「ボスカツの能力で、お前の手札を1枚捨てさせるっ!」

 

 ジェンドルの手札が1枚墓地へと送られる。送られたカードは、『S(スクラッパー)S(スパイラル)S(スパーク)』だ!

 

「ビンゴっ! ボスカツのもう一つの能力発動!」

 

「……先ほどから好き勝手していますが、ドキンダンテの能力を忘れていませんか?」

 

 勝太がどう反撃してくるのか気が気でなかったジェンドルだが、至って普通に呪文やクリーチャーをプレイしてきた。

 そのことに安堵し、彼は落ち着きを取り戻していた。なぜならジェンドルにはドキンダンテがいるからだ。

 ドキンダンテは勝太のカード使用に反応して、カウンター呪文を放つ能力を持っているのである。

 実際ドラゴンズサインの使用により能力のストックが溜まっていた!

 しかしっ! デュエマに関してはことさら頭が回る勝太が、それを忘れているわけがなかったっ!!!

 

「いーや? 忘れちゃいねぇよ、だからこいつを呼ぶんだぜ!」

 

 ボスカツが光、水文明のマナを宿し、大地を踏みしめるっ!

 そしてエネルギーをまとった拳を、ドキンダンテの方へ向けて思いっきり撃ち放ったっ!!!

 

『頼んだぜぇ!』

 

『お任せをっ!!!』

 

 虚空をぶち抜いた拳は空間を割る。そこから飛び出してきたのは、純白に桃色が映える体表に、きらびやかな装飾をまとうドラゴンっ!!!

 

音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ、推参。

 ジェンドル。あなたの希望は、もうないわ』

 

 最愛のミラダンテを弄んだジェンドルに対し、ラフルルは凍えるほど冷たい声で言い放つ。

 親しき者には礼儀あり、しかし敵対者には容赦の欠片もない、それが彼女であった。 

 

 ラフルルはその身に封殺の力を溜めると、ドキンダンテへ向けて渾身のブレスを放つ!!!

 自分への攻撃を察知したドキンダンテは、2本の槍と2本の時計の針でそれを迎え撃とうとした。

 しかしブレスは着弾の直前に拡散し、鋭いとげを持つ光のつるが無数に枝分かれしながら伸びてゆく。

 苦しみもがくドキンダンテ、力ずくでつるを振りほどこうとするも、そうしようとすればするほどつるは全身に絡まってゆく!

 

「な、なんだこれはっ!?」

 

 同様にカードを持つジェンドルの腕にも、光のつるが巻き付いていく。

 彼は腕をぐいぐいと動かし抵抗するが、振りほどくことはできそうにない。

 

『……無駄よ。歪められた奇跡では、純然たる奇跡の一端には対抗できない』

 

 最愛の方の力を歪め悪しき行いに用いる醜い化け物を、そして、それを生み出した狂人を、ラフルルが許すことはない。

 

「これで、ドキンダンテの能力に意味はなくなったぁ!!! 一気に畳みかけるぞぉ!」

 

 ラフルルが呪文を止めてくれたおかげで、ドキンダンテが反撃してくる心配はなくなった!

 心置きなく、全力で攻めにいくことができるっ!!!

 

「真打登場だ! 『切札勝太&カツキング ~熱血の物語~』を召喚っ!!!」

 

『おっしゃあ!!! 暴れたるでぇい!!!』

 

 自分のディスペクターを作られたカツドン、もといカツキングは怒り心頭っ!!!

 戦いの準備は万全だ!!!

 

「山札から5枚をチェックっ! カツえもんを手札に加える!

 さらに! 加えたカードに火文明が含まれてるから、ガイゼキアールを手札に戻すぜ!」

 

「くっ……」

 

 ミラクル・ミラダンテとの攻防によりEXライフを失っていたガイゼキアールは、なすすべなくジェンドルの手札に戻ってゆく。

 

「さあ、仕上げといこうじゃねぇか! ボスカツでシールドを攻撃!

 ……する、と~き~にぃ!!!」

 

 ゴウンゴウンという音を響かせ、レールが伸びてゆく。

 カタパルトにけたたましく警報が鳴り響き、発信を伝える。

 要塞の中から現れるは1枚のカードであり、そしてそこから、誇り高きドラゴンが姿を現す。

 

 正義を貫く蒼き鎧。

 風にたなびく勇気のマント。

 その強靭な肢体を4つの足場に乗せると、カタパルトが動き、勢いよく射出を行ったっ!!!!!!

 

『団長~!!! 久しぶりでい!!!』

 

 眼下に見ゆるは、かつて何度もともに革命を起こした頼れる仲間。

 彼に向かって、団長はその手を差し出す。ボスカツも、それに応える。

 

「革、命っっ!!!!!!」

 

『チェーンジでぇぇい!!!!!!』

 

『『タッッチ!!!!!!』

 

 ボスカツが、手札へと戻っていく。

 そして伝説が戦場に降り立ち、光の粒子とともに、勝利をもたらす黄金の剣が姿を現す!!!

 

「『蒼き団長 ドギラゴン(バスター)』!!!!!!」

 

 勝太の最強の切り札が一つ、ドギラゴン剣が満を持して登場したっ!!!!!!

 

「きたぁ!!! 父ちゃんの最強の切り札!!!」

 

「あれが、先生の切り札……すごく、かっこいい」

 

 ジョーはひさびさのドギラゴン剣に大盛り上がり、シロコは目をかがやせてドギラゴンを見ている。

 一方のジェンドルは険しげな表情をしている。彼の頬を汗が伝った。

 それを煽るかのように勝太が言い放つ。

 

「焦ってるとこわりぃけど……こいつには、必殺技があるんだぜ?」

 

「な、なにを!?」

 

 ドギラゴン剣はレジェンドっ!!!

 つうことは、革命チェンジで出てきた今、今でこそ発動できる、必殺技があるっ!!!

 さあ、ドギラゴン剣!

 俺と、お前で!

 ファイなろうぜ! ファイなっちまうじゃねぇかあああぁぁぁ!!!!!!

 

 ファイナル、革命っ!!!!!!

 

「くっ、何がファイナル革命だ! つぶせミカドレオ!!!」

 

 ミカドレオが複数の剛腕で、ドギラゴンを薙ぎ払おうとするっ!!!

 しかし。

 

『……また、つまらないものを斬ってしまったでござるな』

 

「は?」

 

 ミカドレオは、硬直して動かず。しばらくすると、そのEXライフごと、木っ端みじんに切り刻まれてしまっていた。

 そして大爆発を起こしたミカドレオの残骸を背景に、カツえもんは刀を鞘に納めた。

 

刀舞の3号 カツえもん。 場に出たとき、ブロッカーを2度破壊するでござるよ』

 

「な、なんだと!?」

 

『まだまだや! ワイを忘れてもろたら困るでぇ!!!』

 

 とう、とカッコつけながら、小さな影が地上に降り立つ。

 巨大なヌンチャク型エネルギー砲を携えて、ハムカツマンが登場だ!

 

風波の1号 ハムカツマンっ!!! ……そんじゃあ久々に!』

 

『あれ、行くでござるかっ!!!』

 

『『俺たちっ!!! ハムカツ団っ!!!!!!』』

 

 かつて最終禁断から世界を救った伝説のチームが、キヴォトスを舞台についに復活したのだ!!!

 そして革命チェンジの都合上、一人ぼっちになる団員がいるのもお約束である。

 

『やっぱり俺は仲間外れかよぉ!!! ……まあ今回は許してやるぜ、ハムカツ、カツえもん、団長!!! かませぇ!!!』

 

 ボスカツの激励を受け、他の団員たちは躍起になっている!

 

『ヤム、ボスカツ殿の分まで、精進するでござるよ!!!』

 

『久々の出番や、気合い入れていくでぇ!!!!!!』

 

 ドギラゴンと並び、ハムカツマンとカツえもんが戦場を疾走!

 その先には、ディスペクターたちが立ちふさがる!!!

 

 先手を取ったのはガイアトム・シックス。6つの神体に集めた力を左腕の剣に凝縮し、大地を割らんとする斬撃を放つ!

 これに対しドギラゴンは正面から挑む!

 冷たき熱血が放つ起源たる一撃と、勝利をもたらす黄金の剣が正面から打ちあうっ!!!

 しかし、熱かりし魂のこもっていない斬撃など、ドギラゴンの敵ではなかった!!!

 飛んできた斬撃をドギラゴンが叩き斬り、ガイアトム・シックスを強襲、これを突破!

 そしてその向こうから、Vol-Val-8が突撃してくるっ!!! しかしドギラゴンは背後に何者かの気配を察知すると、Vol-Val-8をかわし前へ進むっ!

 やってきたのはミラクル・ミラダンテだ! Vol-Val-8の禁じられし力を、ミラクル・ミラダンテは奇跡の力で牽制するっ!!!

 一方、カツえもんはピンチに陥っていた! デッドNEXTの槍を自慢の刀で受け止めているが、徐々に押し込まれている!!!

 そしてデッドNEXTは卑怯にも、空いている右拳でカツえもんを殴り潰さんとしていたっ!!! だが、そこにもう一人のヒーローが参上するっ!!! 

 

『目ぇ、覚ませやああああああ!!!!!!』

 

 ハムカツマンがヌンチャクでデッドNEXTの顔面を思いっきり殴打!

 バランスを崩したデッドNEXT、そして槍先がずれカツえもんが鍔競り合いから解放される!

 

『助かったでござる!』

 

『しゃあ、行くでぇ!』

 

 ディスペクターたちの猛攻を乗り越え、クリーチャーたちはジェンドルのシールドへとたどり着いた!

 

「ドギラゴン剣とミラクル・ミラダンテでシールドをブレイク!!!」

 

 ドギラゴンが剣でシールドを薙ぎ払い、ミラクル・ミラダンテは時計の針の形をした光の矢を降らせる!!!

 

『ワイらも続くで!!!』

 

『ヤムっ!!!』

 

『とりゃああああああああああああ!!!!!!』『せいやああああああああああああ!!!!!!』

 

 ハムカツマンとカツえもんの2連撃!

 ジェンドルのシールドはついになくなった!!!

 

「バカな、バカなバカなバカなバカな!!! この、私が、また敗れるというのか!」

 

「――――――お前、最強になりたいんだってな」

 

 喚き散らすジェンドル。

 彼に対し、勝太は真剣な口ぶりで言葉をかけた。

 

「俺が見てきたやつらは、みんなデュエマに真剣に向き合ってた! 

 切札と心を通わせ、仲間とともに高めあって、そうして始めて、最強のスタートラインに立てるんだ!

 人から奪った切札で作ったまがい物しか持ってねぇ、独りぼっちのお前に! 俺が負けるわけにはいかねぇだろうがぁ!!!!!!」

 

 ビクトリーモードの炎が、さらに激しく、熱く燃え上がるっ!!!!!!

 そしてバトルゾーン、2体のクリーチャーが向かい合う。

 

『本物と偽物……どっちが強いか、決めようやないか?』

 

『○!※□◇#△!』

 

 カツキングは公正な決闘を仕掛けようとするが、我欲にまみれた哀れな王はそんなもの意に介さない。

 本能のままカツキングに襲い掛かり――――――その剛腕を、いともたやすく受け止められていた。

 

『今度くるときゃ、アタマとカラダの使い方、みっちり練習してくるんやなぁ!!!!!!』

 

 そのまま剛腕を抱え込むと、カツキングはその場で大回転、ギュカウツの身体を豪快にフルスイングし始めた!!!

 

『どぉりゃああああああああああああ!!!』

 

 勢いのままギュカウツを投げ飛ばす。

 受け身の取り方すら分からないギュカウツは、無防備な姿勢のまま遺跡の壁に叩きつけられた。

 そしてカツキングは、ジェンドルの方を見据える。

 

『覚悟、できとるんやろなぁ!!!!!!』

 

 カツキングは猛ダッシュでジェンドルに近寄ると、腕を大きく振り上げアッパー! ジェンドルを上空へと弾き飛ばす!

 そして反対の腕でもアッパー! しかし今度は人を殴り飛ばすためではなく、人を空高く打ち上げるためのアッパーだ!

 

「んな、なにぃ!?」

 

 情けない声を上げるジェンドル、その視界の先には、右拳を固める、憤怒の形相の勝太がいた!

 

「『()()()()()()()()()()』でぇ!!!!!!

  とぉどぉめだああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「おごっ!? ぐわああああああああああああ!!!???」

 

 ジェンドルの顔を勝太が正面から殴り飛ばす。

 落下速度に加えて怒りもこもった一撃は、ジェンドルを瞬時に地上へ送り届ける。

 そうして彼が墜落した場所で、大爆発が起こったのだった。

 そして同様に落下してくる勝太を、カツキングが受け止める。

 

『オーライ、オーライ……っと。全く無茶しよるでぇ』

 

「だって、最初に言っただろ? ()()()()()()()()()()って。 …………つうわけでぇ!!!」

 

 大、勝利ぃ!!! 青春、決着っ!!!!!!

 

~~~~~~

 

 デュエマが終わった後も、ジェンドルは動かなかった。白目を剥いたままぴくりとも動かず気絶している。

 それを確認すると、勝太は対策委員会の方を向き、歯を見せながらニッコリ笑ってサムズアップ。

 それを見たシロコたちは勝太のもとへ駆け寄ろうとするが――――――拍手の音がその動きを止めた。

 振り返った方から、数時間ほど前に勝太と密談をかわした人物が歩み寄ってくるのが見えた。

 拍手が止み、「黒服」が口を開く。

 

「…………先生のお力、しかと拝見しました。さすがの一言です」

 

「黒服?」

 

 勝太がつぶやいた言葉を聞き、対策委員会の面々が殺気立つ。

 ことの経緯は勝太から簡単にではあるが聞いていたため、カイザーやジェンドルと並ぶこの事件の元凶が黒服だと彼女は認識していた。

 特にシロコやセリカは今にも黒服に飛び掛からんとしていたが、勝太は彼女らを制止した。

 

「約束通り、ジェンドルは倒した。……それで? 俺たちを一網打尽にしようってんなら、相手になるが、どうすんだお前」

 

「ご冗談を。先生のお力を確認した以上、今更敵対しようなどとは思いません」

 

 シッテムの箱をちらつかせつつ黒服の真意を探る勝太。しかし彼の言葉から、敵対の意思は感じられなかった。

 

「それはそうと先生。()()は早く解除した方がよろしいのではないでしょうか」

 

「―――? ああ、ビクトリーモードか」

 

 勝太は思い出した。大人のカードの使用には代償が伴うのである。

 それじゃああまり出しっぱなしはよくないか、と認識を改める勝太だが、どうやって引っ込めればいいのか。

 とりあえず財布から「大人のカード」を取り出し、両手でぎゅっと握って願掛けするようなポーズをとる。

 引っ込め~、引っ込めぇ~と念じていると、V字の炎は本当に消えてしまった。

 割とあっさり消えて驚きを隠せない勝太。いつの間にか肩に乗っていたハムカツたちの方へ聞き耳を立ててみるが―――。

 

「ちゃうちゃう!!!」「ボスボス、ボス?」「ヤムヤム、ヤムヤムヤム」

 

 彼らの言っていることがわからなくなったので、本当にビクトリーモードが切れたことが確認できた。

 クリーチャー語だけでなくハムスター語を学ぶ必要があると勝太は思ったが、それに関しては後回しである。

 

「はぁ……なんかしゃくだけどサンキュー。んで、それだけのために来たわけじゃねぇんだろ」

 

「はい。今日は彼を排除するついでに、先生と私、共通のパートナーになりうる存在を証明しておこうと思いまして」

 

 そんなことを言われてもさっぱりわからん、と勝太は思った。

 生徒を可能な限り助け、指導していくシャーレ。

 ゲマトリアとやらはよくわからないが、ホシノに何かしら実験を施そうと企んでいる時点でろくな組織ではないだろう。

 その両方の組織と関わりが持てそうな人物など、勝太には見当がつかなかった。

 が、次に黒服が発した一言で心当たりを見つけることになる。

 

「そういえば……あの方ですが、切札勝舞連邦生徒会臨時顧問とも面識があるようですが」

 

「は? …………あ」

 

 勝太は思い出した。この間の兄との会話の中で、たびたび出てきたあるワードを。

 

「"天才"?」

 

「ピーンポーン! おおあったり~!!!」

 

 どこからか少女めいた声が聞こえた。

 その声を聞くのは初めてだった……が、自信たっぷりでどことなくうざったい感じの声である。

 直後、視界の端になにか奇妙なものが映ったような気がして、勝太はそちらを向いた。

 

「はぁ!?」

 

 気絶したままのジェンドルが宙に浮いている。そして謎の装置が作り出したこれまた謎の穴へと吸い込まれていく。

 ――――――その穴の中は、完全なる闇だった。

 ジェンドルが闇に消えるとテレポート装置は瞬く間に縮小され、その持ち主はそれを手のひらサイズに畳み込むとどこかへしまった。しまうような動作をしたのは確かだったが、勝太からしたら消えたようにしか見えなかった。

 その持ち主の風貌だが、外套を羽織っておりぱっと見ではわからない。声の高さからして女性であることは確かなようだが。

 そして件の彼女は勝太たちの方を見るや否や、一人で勝手に盛り上がり始める。

 

「いやー、壮観ね。 最終禁断を討伐した英雄、新たな文明を生み出したデュエルマスター候補、資質たっぷりの闇の王候補に、こちらは神秘たっぷりの生徒たちっ!!! 上玉だらけっ!!! こんな逸材を排除しようとしてたバカがいたとはね…………あんなのをキヴォトスに留まらせるなんて考えらんないっ!!!」

 

「……先生たちが困惑しています。まずは自己紹介の方からお願いいただけますか」

 

「え? あー、そうよね、ごめんごめん」

 

 彼女は謝る気など1ミリもない適当な返事を黒服に返す。

 そして再び勝太たちの方を向くと、びしっと決めポーズ。 

 

「人は私をこう呼ぶわ――――――仙界一の天才、と」

 

 聞いてるこっちからしたらむずがゆくてどうにかなりそうなイタイ口上を述べながら、その肩書にふさわしい、"天才"が名乗る。

 

「というわけで、黒服くんのご紹介に与りました! 大天才のミロクちゃんで~っす!!!」

 

 よっろしくね~!!! と無邪気に挨拶する彼女だが、そのハイテンションに勝太たちはついていけない。

 唯一反応が違ったのはウィンと邪神。うわぁ出た、とでも言いたげなうんざり顔である。

 まさにシリアスブレイカー。天才は天才でも空気読みに関しては天才レベルではないらしい。

 絶対に関わらない方がいいと感じた勝太は、ミロクをガン無視して帰ろうとした、のだが。

 

「キヴォトスでの所属はゲマトリア、と、あとこれからシャーレの対クリーチャー部門の技術顧問になる予定で~す」

 

「ちょっとまてぇ!?」

 

 聞き捨てならない単語が二つも聞こえたため、ぐりんと方向転換し勝太はミロクに詰め寄る。

 

「ゲマトリア所属!? シャーレの技術顧問!? どういうことだ説明しやがれ!」

 

「きみ暑苦しいねぇ。ただでさえくそ暑い砂漠なんだしやめてほしいんだけど」

 

 勝太の疑問には全く答えずミロクは文句を吐く。

 怒りのボルテージがだんだんと上がっていくのを察した勝太だったが、こんなくそ暑い場所に留まる理由などないのも事実である。

 

「…………とりあえず、帰るか。ホシノも安静にさせとかなきゃいけねぇし。黒服、こいつ連れてっていいか」

 

「お好きにどうぞ。…………いささか大変だとは思いますが」

 

 黒服が本気で気遣っているのが分かってしまい、勝太は大きくため息を吐く。

 

「なんか…………締まらないわね」

 

「セリカちゃん、たぶんそれ今言わない方がいいんじゃないかな……」

 

 そんな会話が耳に入ってしまい、思わず勝太はより深いため息を吐いてしまったのだった……。

 

 無事にホシノを救出し、ジェンドルを討伐することに成功した勝太たち。

 ミロクの横やりにより彼をキヴォトスから追い出すことができたものの、そのミロクが勝太の新たな悩みの種となる!

 果たしてキヴォトスにやってきたミロクの目的とは?

 次回、対策委員会編前編エピローグっ!!!

 

 




ミロクはデュエマGT(グラッサタレット)のお話基準で書きます
ベスティの方は上位存在ムーブしすぎなので
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。