デュエル・マスターズ Aoharu Revolution   作:カレーパンパフェ

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更新が遅くなってしまいすみません……

それはそうと、最近カラーパイっていう概念を知ったんですよ
じゃあブルアカキャラも、性格から逆算してデッキの色を決めるのがいいかな……?
とか思ったりもしましたが、とりあえず握ってもらいたいデッキで書いていきます
カラーパイに合いそうならラッキー、くらいで。


便利屋参ジョー! 熱血バカと闇の王!

「それではこれより、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」

 

 アヤネの言葉で会議が始まった。

 会議室には対策委員会の5人。そして勝太も席に着いていた。

 

「今回は先生がいらっしゃるので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが……」

 

「その言い方だと、いつもは真面目にやってないみてぇに聞こえるんだが」

 

 勝太が生徒たちの顔をうかがう。

 シロコ、ノノミ、セリカは首を横に振った。ホシノはいつも通りぐでーんとして机に頭を乗せたままだ。

 その後にアヤネが苦笑したので、まぁまじめとはほど遠いんだろうな、と勝太は結論付けた。

 

「オレがいたところで真面目な会議になるもんかぁ?」

 

「逆に真面目になってくれないと困るんですけどね……」

 

「うへ~。そういうことだからよろしくね、先生?」

 

 そんなこんなで始まった会議。

 しかし。

 

「このブレスレットを周りの3人に売れば……!」

 

「マルチじゃねぇかぁ!? 却下!」

 

 セリカは悪徳業者にまんまと騙された結果マルチ商法を提案し。

 

「銀行を襲う。襲撃計画もバッチリ」

 

「……キヴォトスって、強盗も違法じゃなかったり?」

 

「そんなわけないじゃないですかっ!」

 

「んじゃあまぁ、却下」

 

「そうだよシロコちゃん。強盗なんてダメ。スクールバスを拉致して生徒数を増やす方にしなよ~」

 

「そっちは明確に犯罪だろ!」

 

 ホシノとシロコは、何でもない事かのように犯罪を提案し。

 

「スクールアイドルなんてどうでしょうか☆」

 

「……これは別に良くね? なんならオレの知り合いにその道のプロが――――」

 

「うへ~。却下」

 

 勝太的には今までより数段ましだったノノミの提案も、他の生徒により却下と相成る。

 そしてとうとう――。

 

「…………いいかげんにしてくださいっ!!」

 

 アヤネのちゃぶ台返しが決まり、会議は一旦中断となった。

 

***

 

「……いつもこんなんなのか?」

 

「うぅ……はい」

 

 説教を終え、疲れた顔のアヤネから返事が返ってくる。

 ふくれっ面のアヤネが他の4人の方を見やると、それぞれがお茶濁しの笑顔を浮かべる。

 

「そうだ、先生は何かご意見ありますか?」

 

「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたなぁ! あるぜぇ? とっておきの秘策がよ!」

 

 豪語する勝太に視線が集まる。

 

「そ、それはいったい……?」

 

「それはなぁ……」

 

「それは……?」

 

「……カレーパン屋だぁ!!」

 

 あまりにも期待外れな答えにアヤネが思わずよろける。

 

「さ、最後の頼みの綱が……。まさか先生までそっち側だったなんて」

 

「待て待て待て待て! オレはこいつらと違って1ミリもふざけてないぞ!」

 

 ふざけていると言われた4人のうち、ホシノ以外が心外そうな表情で勝太の方を見る。

 それを意に介さない勝太は熱弁を始めた。

 

「いいか! オレが目を付けたのは柴関ラーメンだ!」

 

「……え、大将のお店?」

 

「そう! あそこはラーメンがめちゃウマい! 聞けば他校の生徒もたまに食べにくるそうじゃねぇか!」

 

 これは本当だ。

 柴関ラーメンは他校に評判が伝わるほどの店である。

 アビドス自治区にある、というアクセスの悪ささえなければ、もっと繁盛していいはずの店なのだ。

 

「つまり! メシがウマければ人が集まる!」

 

「……確かに一理ある、かも?」

 

 頭に疑問符を浮かべつつもセリカは一定の理解を示す。

 客に出せるほどの腕前になるのは大変だろうが、スキルさえ身に着けてしまえばさぼらない限りは継続的に利益を出せるかもしれない。

 

「ね~、だから言ったでしょ? 先生に任せておけば、思わぬアイデアが出るかもしれないって」

 

 なぜか腕を組みながら自慢げにつぶやくホシノ。

 会議室がなんかいけそうじゃね? みたいな空気に包まれる。

 自分の提案が通ったことを確信する勝太だったが――――。

 

「あのぅ……確かに一言でなし、と切り捨てる意見ではないと思います」

 

「そうだろうそうだろう」

 

「でも……なんでカレーパンなんですか?」

 

「なんでって、オレが好きな食べ物だからだよ」

 

「はいぃ!?」

 

 アヤネの疑問は至極まっとうである。

 そもそもカレーパン専門と言わず、様々な種類のパンを作ったほうが客を呼び込みやすいだろう。

 さらにいえばパンにこだわる必要もない。

 

「確かにカレーパンの専門店があっても、得するの先生くらいじゃない? もっと女子受けするもののがいいよ」

 

「それなら、ダイエットフードを扱うのはどうでしょう!」

 

 結果、飲食店の経営というアイデアだけが独り歩きして、カレーパン屋を開くという勝太の目論見は潰えることとなった。

 

(ちくしょう……アビドスを復興して、ついでにオレ専用のカレーパンショップを作る計画がぁ)

 

 大真面目にアビドスのことを考えつつも、ちゃっかり自分にも利益が行くような考えを提案した勝太。

 少しだけ邪な考えを持っていたのが災いしたのか、彼の思い通りにはならなかった。

 

 ちなみに飲食店の経営自体も、設備投資や原材料の搬入など様々な問題点が浮かび上がり、却下になってしまったそうな。

 

***

 

「いやぁごめんってアヤネちゃん。機嫌直してよ~」

 

「……別に、いいですよ」

 

「いや、すっげぇ拗ねてるじゃん」

 

「拗ねてませんっ!」

 

「……先生、デリカシーがない」

 

 グダグダの会議を終えた対策委員会。

 セリカは先に学校を抜けてバイトに行ったのだが、他の4人と勝太もそのバイト先に顔を出そうとしていた。

 普通に昼ご飯を食べようとしていたのだが、はたから見たら冷やかしにしか見えないだろう。

 当然セリカ本人からも冷やかしだと思われたため、複雑な視線を向けられながら4人は着席したのだった。

 

「……あれは、ジョーか?」

 

 勝太たちが座っているテーブルのすぐそばに、ジョーが座っていた。

 同じテーブルには見慣れない生徒が4人座っている。

 

「ん~おいしーっ!」

 

「わ、私なんかがこんな美味しいものをいただいてもいいんでしょうか……」

 

「いいのよ! 想定外の出来事だけど、そういうのが人生の醍醐味! 厚意に応えてきっちりいただいちゃいなさい!」

 

「社長、おおげさ。それはそれとして、久々にちゃんとしたご飯だ……」

 

 時折会話を挟みながら麺をすする4人。

 彼女らの隣で、ジョーは満足げにうなづいている。

 褒められているのは柴関ラーメンなのだが、ジョーは自分事のように自慢げだ。

 

「あ、父ちゃん!」

 

「よぉ。……そいつら―――じゃ、なくて、その子たちは?」

 

「あ、アルちゃんたちのこと?」

 

 ジョーが言うには、彼女らは金欠らしく安く食べられるメニューを探していたとのこと。

 柴関への道中でばったり彼女らと出くわしたジョーは、一杯450円のラーメンを紹介して道案内をした。

 まさかジョーにも、彼女たちが一杯分のお金しか持っていないとは思っていなかったのだが。

 

「おれがもう3杯分おごるって言ったんだけど、大丈夫だって聞かなくて」

 

「だって、さすがに年下の子に奢ってもらうわけにはいかないじゃない……」

 

「……言ってることはまともなんだけど、それはそれとしてそんなこと言ってる場合じゃないよね、社長」

 

 ラーメン4杯分のお金すらまともに払えないような経済状況の女子高生が4人。どう考えてもマズイ状況である。

 見かねた大将が親切にも大盛4杯分を並盛1杯分のお値段で提供したことで、アルたち4人は空腹を逃れたのだった。

 

「……それやばくね? まともな生活できてるのか?」

 

「大丈夫よ! 今度の仕事の報酬が入ればね!」

 

 勝太の疑問に、アルと呼ばれた生徒が満面の笑みで答える。

 横で「その仕事にお金を使いすぎてこんなことになってるんだけどね……」という呆れたような呟きを漏らされていたが。

 経済状況が悪いにもかかわらず、そんな大金をはたかないといけないような仕事とはなんなのだろうか。

 

「――――私たちの仕事? ふふふ。よくぞ聞いてくれたわね!」

 

 アルがドヤ顔で言い放つ。

 

「私たちは便利屋68! 裏社会を牛耳るアウトローよっ!」

 

 でかでかと声が響き渡り――しばしの沈黙。

 気まずそうに勝太が一言。

 

「……裏社会で生きてるんなら、そんな簡単に正体ばらしたらだめじゃね?」

 

「確かに!?」

 

 痛いところを突かれ、先ほど発言した生徒――アルが白目をむく。

 ムツキは面白げに笑い、カヨコは呆れた様子で頭を抱え、ハルカはおろおろとした様子でアルの方を見ていた。

 

(こいつら、大丈夫なのか……?)

 

 でこちゃんに頼んで、カフェでバイトでもさせた方がいいんじゃないか、そう思う勝太であった。

 

***

 

「はあぁぁぁぁ…………」

 

「くふふ、やっちゃったねぇアルちゃん?」

 

「ううう、うるさいわよ! あれくらいのアクシデント、よくあることよっ!」

 

「そそそ、そうなんですか!? さすがはアル様、場数を踏んでおられるのですねっ!」

 

「いや、そんな頻繁にあるわけないでしょ、あんなうっかり」

 

 便利屋のいつもの光景である。

 アルがポカをして、ムツキがそれをからかい、ハルカがあわあわしながらアルを称え、カヨコが冷静にツッコミを入れる。

 何度繰り返したか分からないパターンである。

 

「しかし、ゼーロがいなかったのが悔やまれるわ……。あんな美味しいラーメンを食べられないなんて」

 

「食事摂る必要ないって言ってなかった?」

 

「それでもよ! 美味しいご飯は人生を豊かにしてくれるわ!」

 

 ゼーロ本人から聞いた彼の生態を引き合いに出すカヨコだが、アルはその発言をぶった切り豪語する。

 ちゃんとぶった切れているかは怪しいが。

 

「ゼーロもゼーロよ! インターンなのに、会社の食事会をさぼるだなんて……」

 

「えー? これそんな大層なものだったのぉ? 残りの財産で食べれるものを必死で探してただけなのに?」

 

「ちょっとムツキは黙ってて!」

 

 隙あらばアルをからかうムツキ。

 先ほどより語気を強めてアルが言うものの、ムツキはどこ吹く風である。

 

「……というか、まだインターンなんて言ってるの。 ゼーロはギリの様子見に来てるだけでしょ」

 

「で、でも、時折仕事手伝ってくれてるし……」

 

「強いて言うならアルバイトじゃないの? それ」

 

 社員数が欲しいアルは事あるごとにゼーロをインターンとして扱いたがる。

 が、実際はそうではない。

 

―――

 

 一月ほど前のことだ。

 いつものように野良猫の様子を見に行ったカヨコは、そこで見慣れない子猫が足をケガしているのを見つけたのだ。

 

「……これでよし」

 

 自分のケガすらも意に介さず、気だるそうな表情から一切変化しない名も知れぬ猫。

 カヨコがケガを簡単に治療したときはそれなりに気味が良さそうにしていた。

 間髪を容れず、猫はカヨコの持っている猫用のおやつを指差した。

 

「……これ、食べる?」

 

 猫がこちらを指差してきたことに多少なりとも驚いたカヨコだったが、それはそれとしてご飯はあげたのだった。

 そしてしばらくの間、猫はたびたびカヨコの前に現れてはエサを要求するようになった。

 なんてふてぶてしいやつなんだと思ったカヨコだったが、特に断る理由もないのでエサは継続してあげていた。

 そんなある日のことだった。

 

「……誰?」

 

 野良猫と戯れている、長身の男がそこにいた。

 髪も、衣服も真っ黒で、肌は青白い。

 ただの人間ではないと一目で分かった。

 

「……ゼーロは、ゼーロ」

 

 ゼーロ。

 それがこの男の名前らしい。

 

「ギリのケガなおしたの、おまえ?」

 

「ギリ…………ああ、その猫の名前か」

 

 今まで世話していた猫はギリというらしかった。

 そしてゼーロと名乗ったこの男は、飼い主、といったところか。

 

「ギリ、おまえのこと、きにいってる。だから、おまえにあずける」

 

「……え?」

 

 猫をカヨコの腕の中に収めると、ゼーロがその場から立ち去ろうとする。

 

「ま、待って! この子、あなたの猫じゃないの……?」

 

「ゼーロ、ほかにもさがしもの、ある」

 

 どうやら、ギリはゼーロの探し物のうちの一匹らしい。

 そして、彼には他にも見つけるべきものがあるらしかった。

 それが物なのか人なのかは知る由もないが。

 

「…………ときどき、みにくる」

 

 それだけ言い残すと、ゼーロは一瞬でその場から姿を消した。

 瞬きする間もない、本当に一瞬だった。

 

「…………なんだったの」

 

 腕の中にギリの温もりを感じながら、カヨコはその場に立ち尽くした。

 のちにキヴォトスにクリーチャーが出現したという情報を耳にして、カヨコはゼーロもクリーチャーだったのかな、と思ったりしたのだった。

 それまたあとにゼーロは人間でもクリーチャーでもない"何か"だと知って困惑したのだが。

 

 飼い猫だと分かったので、ギリはある程度環境をセッティングして事務所で飼うことにした。

 今では便利屋のアイドル的存在である。

 ゼーロは本当に唐突に事務所に現れるようになった。

 最初に現れたとき、アルが驚きのあまりコーヒーを吹き出し、パソコンを大急ぎで拭く羽目になっていたのは記憶に新しい。

 ソファで眠ったり、ギリと遊んだり、ときたま仕事についてきたり。

 神出鬼没で自由奔放、そんな印象だった。

 そしてアルがゼーロを勝手に社員扱いし始めたのは、つい最近のことである。

 

―――

 

「勝手に社員扱いするくらいなら、いっそのこと入社してくれないか頼んでみたら?」

 

「でも、ゼーロにも探し物があるんでしょ? こっちの都合で無理に引き止めたりできないわよ……」

 

 じゃあなおさらインターンじゃないじゃん、とツッコミたくなったカヨコであった。

 変なところでアルは真面目なのである。

 

「…………ところで、社長。さっき会った連中の制服なんだけど」

 

「え? 制服?」

 

「あ、ほんとに気付いてなかったんだ~。アビドスだよ、あいつら」

 

「…………え? なななな、なんですってえぇぇ!!??」

 

 白目をむいてアルが絶叫する。

 先ほど会った子たちはいい人たちだった。

 お金がなくて困っているアルたちを励ましてくれたし、仕事の応援もしてくれたのだ。

 

「そそそ、そんな子たちを、これから、私たちは…………?」

 

「はぁ…………」

 

 カヨコは大きくため息を吐いた。

 

***

 

 そんなこんなで、襲撃準備のために事務所に戻ってきた便利屋。

 

「あ、ゼーロくんじゃん、いらっしゃい♪」

 

 ソファに座ってぼーっとしていたゼーロは、ぺこりと頭を下げた。

 

「ゼーロ、悪いけど手伝ってちょうだい! これから仕事なの!」

 

「社長、さっきゼーロをこっちの都合に付き合わせるわけにはいかないって言ってなかった?」

 

「あぁそうだった! えーとやっぱり大丈夫――――」

 

「…………わかった。てつだう」

 

「…………え……そ、そうよね! ゼーロは我が社のアルバイト! 雇い主の依頼には答えてくれるわよね!!」

 

 インターンからアルバイトに変えたんだ、とこの場の全員が思った。

 さっきからアルの発言が支離滅裂である。

 

「そうと決まれば、早速出発よ!」

 

「…………わかった。ぜんぶ、こわす」

 

「壊さないでね」

 

「………………やっつける」

 

 

―――

 

「南の方角に大規模な兵力を確認!」

 

「よっしゃあ! 対策委員会、出動!」

 

 アヤネの報告を受けて、勝太が号令。

 対策委員会の他に、ジョーも出撃した。

 アルたちと別れた後対策委員会とラーメンを食べ、そのまま学校までついてきていたのだ。

 現場に急行する対策委員会とジョー、そして勝太。

 

「……先生は後方支援じゃないの?」

 

「後ろで指示してるだけってのは性に合わなくてな。せめて現場には行こうと思ってさ」

 

「気を付けてくださいね……。銃弾一発でも掠ってしまえば、先生は重傷ですから」

 

 セリカやノノミに心配の言葉をかけられるが、勝太は笑って返した。

 そして、大規模な集団を視界にとらえた、目前。

 

「え」

 

 ジョーが、急に立ち止まる。

 先日カタカタヘルメット団との戦闘で使用した機械を瞬く間に構える。

 そして全身真っ黒なその男に向かって、バズーカを構える。

 

「……ゼーロ」

 

 きょとん、としているゼーロは、数拍おいて両手を上に上げた。

 便利屋の仕事を手伝う中で、銃を突きつけられて両手を上げる人を見ていたので、真似したのだった。

 

「え? え?」

 

 アビドスの生徒と会うのが気まずいな、なんて声をかけようかな、と思っていたアルは、唐突に起きた出来事に思考が追い付かない。

 それでも、身内に銃を突きつけられて黙っているわけにはいかない。

 

「ジョ、ジョーくん!? うちのアルバイトに何するのよ!」

 

「…………アルちゃん、こいつがどういうやつなのか、分かってるの?」

 

「……それは」

 

 ゼーロはとにかく謎だらけだ。

 人間でも、クリーチャーでもない。

 じゃあなんなのかと問うて返ってきたのは、たったの一言。

 

『わからない』

 

 自己定義すらない、異質な存在だった。

 

「……そいつは、世界を滅ぼそうとしたんだよ」

 

「……なんですって?」

 

 ジョーから、衝撃的な一言が告げられた。

 

「ゼーロは、手下から闇の王、とか呼ばれてて……。いろんな場所を壊そうと暴れまわってたんだ」

 

 アルが雇ったバイトたちの間でざわめきが広がる。

 ジョー達の言葉をうのみにして、怖くなり逃げ出すものも現れた。

 重苦しい雰囲気がその場に流れ――――。

 

「……で、お前らから見て、そいつはどんなやつなんだ?」

 

 勝太が悪い空気にメスを入れる。

 便利屋の面々が、一斉にゼーロの方を見やる。

 最初に口を開いたのは、意外にもハルカだった。

 

「あの、えっと、こんな私の考えなんて参考にならないかもしれないですけど……ゼーロさんは無口で、何考えてるか分からないけど、悪い人ではない、と思います」

 

 ハルカを皮切りにして、他の3人からもゼーロの印象が語られる。

 

「猫と遊んだり、1日中寝っぱなしだったり、無害だとは思う。それに、探し物をしてる時はすごく真剣」

 

「時折壊す、なんて物騒なことも言うけど……意外とゼーロくんは素直だよ?」

 

「えーと、たまに仕事を手伝ってくれるんだけど……そんなむやみやたらに物を壊したりはしないわ。言うことはきいてくれるし。あとは……猫と遊んでる時は優しそうな顔してるわよ」

 

 便利屋のゼーロ評を聞いて、信じられないといった表情を浮かべるジョー―。

 ジョーの脳裏には、ジョニーとジョラゴンの攻撃から零龍をかばい、安らかに消えていったゼーロの姿が浮かんでいた。

 

「……ゼーロも、アルちゃんたちと出会って、変われたのかな」

 

 自分の見てきたゼーロと、アルたちの見てきたゼーロが離れすぎていて思い悩むジョー。

 次に口を開いたのは、またも勝太だった。

 

「昔ラスボスやってても、改心して丸くなるなんて事例はいっくらでもある。まあ、大丈夫だろ!」

 

 勝太の脳裏に、3キル常習犯のバイクレーサーが浮かぶ。

 そんな無責任な、と誰もが思った。

 変な空気になったのを感じ取った勝太は、コホンと咳払い。そして――。

 

「このままやっててもらちが明かねぇ。手っ取り早く、デュエマで白黒つけようぜ!」

 

 その場にまたしても変な空気が広がる。

 デュエマで白黒つけるとは、どういうことなのか。

 

「オレがゼーロとデュエマする。そうすりゃ、こいつがいい奴か悪い奴かなんてすぐにわかんだろ」

 

「……あんた、本気で言ってるの?」

 

 あまりにも馬鹿馬鹿しい提案にカヨコがドン引きといった様子で言葉を紡ぐ。

 デュエマがキヴォトスで流行り始めているのは知っている。

 だが所詮はただのカードゲームだ。カードゲームに相手の善悪を判断する力などない、はずだ。

 しかし、勝太は大真面目だ。

 

「ああ本気だ。デュエマってのは魂と魂のぶつかり合いだ。本気でデュエマすりゃ、相手の人柄くらい余裕でわかっちまうぜ。今までオレが、いろんなやつと分かりあってきたみたいにな」

 

 言葉に乗せられた重みに、カヨコは押し黙った。

 本当に、デュエマを通していろいろな人々と関りを持ってきた、勝太だからこその重みだ。

 

「ゼーロ、おまえとデュエマ、する」

 

 虚空から、ゼーロがデッキを取り出す。

 その顔には不気味な笑顔が浮かんでいた。

 久々のデュエマが楽しみのようだ。

 

「いい顔するじゃねぇか! ゼーロっつったか? かかってこいやぁ!」

 

「父ちゃん、どうせやるなら、ズバッと勝っちゃってよ!」

 

 息子からの声援に、勝太は笑顔でサムズアップして答えたのだった。

 

 

 切札勝太 かき鳴らせレイジング・ビート!

 ゼーロ  至高の無月

 

「「デュエマ! スタート!」」

 

 

 激しく熱かりし主人公切札勝太と、無月の魔王ゼーロが激突するっ!

 こんないいところで、泣く泣く次回に続くっ!!

 

 

 

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