カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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5話目

 修学旅行にその後に待ち受けていた中間試験を何とかクリアし、平和な6月に入ったある日。この日も俺はいつも通り屋上に出て授業(数学)をサボってる。この後は昼休みだから、このまま屋上で寝て過ごすつもりだ。ただ今日は、

 

 

「んー?どったのクロチャー。ボクの顔に何か付いてるかい?」

 

 

 先客が1人いるんだけどな。

 この、3限目からサボってるらしい先客は1年生の東雲レイ。去年の俺みたいに授業を抜け出してはこうして屋上に出て来てパソコンを弄っている。4月に出された神楽坂の頼みでこいつを生贄として差し出し、もとい紹介してからというもの、サボりの時間が合ったり廊下ですれ違ったりすれば何かと絡んできてた。言葉遣いも悪く、先輩だというのもお構いなしにタメ口で話してくる。まあ、堅苦しい敬語よりは気楽でいいんだけど。てか、そんなに後輩と関わってないか。

 それにしてもこいつは、危機感というものがないんだろうか。仮にも女子なんだから、寝転んでる男子の隣で胡坐掻いて、スカートの中身見られても平気だとでも言うのか?

 

 

「いや、なんでお前と一緒にサボってるんだろうなって……」

「ボクがいる時にクロチャーが来たからだろ?」

「確かにそうだけど、わざわざ俺の隣に来ることないだろ。ところで今何時だ?」

「だってクロチャーの近くにいたら、何かあった時身代わりに出来そうだからね。今?12時半回ったところだね」

「あと10分か………」

 

 

 そろそろ購買に行く準備でもするか………やっべ、今日財布家に忘れてきた。どうすっか――わぷ。おい東雲、髪が顔にかかって鬱陶しいからちょっと離れろ。

 

 

「やだよめんどくさい。クロチャーが退けばいいだろ?」

「俺だって面倒だよ。あと、いい加減その呼び方止めろよ。火野先輩、せめて火野さんだろ」

「今更先輩呼びとか無理だね。それに、好きに呼べって言ったのクロチャーだろ?」

「言ってない」

「言ったよ」

「言ってない」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 っと、もう終ったのか。昼以降は出るって言っちゃったからなぁ。とりあえず教室に戻るしか「見つけたぞ東雲ぇ!!」あ?

 バーン、と屋上の扉を思い切り1人の男子が入ってくる。走り回ったからなのか息は切らせてるし髪はボサボサだ。ネクタイは青、1年生か。しかも、どうやら東雲の知り合いっぽいな。

 

 

「んー?……うげっ、ミヤビンか」

「登校したならちゃんと授業を受けろ!そもそもちゃんと登校しろよ!」

「あーもーうっさいなーミヤビンはー……どうしようがボクの勝手じゃん」

 

 

 この1年、とりあえず五月蝿い。

 

 

「あ、すんません。つい――って、なんでタイしてないんすか!」

「五月蝿いなぁ。で、お前は一体誰なんだ?」

「通りすがりの風紀委員っす。覚えなくていいっすよ」

「そういうのいいから名乗れよ」

「あ、はい。1年C組の木林(こばやし)(みやび)っす。2年の火野先輩っすよね。桐崎先輩から聞いてるっすよ。昔は喧嘩にあ――――むぐっ」

「それ以上喋ると上顎と下顎が別れることになる。いいな?」

 

 

 喋りきらせる前に口を塞いで脅しを入れる。思い切り掴んでる所為で頷けないから目で頷くと、離してやる。くそ、あの剣道野郎め。後で一発ぶん殴ってやる。

 とりあえず、俺のタイはちゃんとここにあるから俺のことは無視してくれ。代わりに東雲を差し出す。

 

 

「ちょっ、裏切るのかクロチャー!?」

「今回だけっすからね。それと東雲。お前はもう少し先輩への態度考えろ」

「あー木林、もう慣れたからいいよ。そこはほっとけ」

「……それでいいんすか。まあ、東雲。残りの授業には出てもらうからな、ほら、教室に戻るぞ。答えは聞かないけど」

「やめろー、そんなこと言ってボクに乱暴する気だろ」

「しねぇよっ。毎回毎回変なこと言って逃げやがって!」

 

 

 なんかこういうの見てると、微笑ましいな。一枚撮っておこう。それにしても、木林のやつ、いくらなんでも東雲のこと気にかけすぎじゃないか?まさかとは思うけど、

 

 

「なあ木林。お前、東雲が好きなのか?」

「は?…………はあ!?いやいやいやいやそんなんじゃねーっすから!ただの腐れ縁っすから!」

「そこまで慌てると、肯定してるもんじゃね?知らんけど」

「え、好き………え?」

「なんでもない、なんでもないからな東雲!」

「あっはっは、愉快愉快。じゃ、俺は先に失礼するな」

「ナニイテンダ!プジャケルナ!」

 

 

 2人の間に盛大な爆弾を投げつけて、そそくさと屋上から逃げる。いい写真も手に入ったし、あいつ相手ならなんとかなるかな。……お?

 

 

「おっと、確か五十鈴のお兄様の」

「火野だよ。あと、様付けはキモいから止めろ」

 

 

 中二病末期患者が現れた。後ろの2人は、例の暁とかいうやつのメンバーか。

 

 

「あ、すみません。手が滑りました」

「言ってろ」

「冗談っすよ冗談。あ、紹介します。暁の側近の桐生(きりゅう)一馬(かずま)と手下のキョンです」

「なんでそっちで言うんだよこの馬鹿。佐久間(さくま)恭介(きょうすけ)です」

 

 

 この、個人的には近付きたくない集団にいるから面倒なやつばかりかと思ったけど、この佐久間はまともだったか。むしろ苦労人気質なこっち側?こっちの桐生は、側近て言ってるくらいだからあっち側か。

 それにしてもこいつら、屋上に何の用か。って言っても、昼飯か。

 

 

「そうっすよ。先輩もどうすか?」

「遠慮する。それと、今日は屋上に出ない方がいいぞ」

「え、でもさっきまで先輩屋上にいたんだよな?なんでだ?」

「言葉遣いは面倒だからスルーするが、出たら馬に蹴られるとだけ言っておく」

 

 

「馬に蹴られるって、屋上に馬がいるってことか!?」

「そりゃあ大変じゃねぇか!捕まえるぞサスケ!」

「な訳ないだろこの馬鹿共!おいバカズマ、いいからこっち来い!サスケも覗こうとするな!!」

 

 

 教室へ戻る途中、佐久間の大声が届く。大変そうだな、佐久間のやつ。それにしてもバカズマか。漢字に直したら馬鹿馬になるのかな。

 っと、そんなことより今日の昼どうしようか。るんバーも確かストック切れてたと思うし。

 

 

 

 

 

 

 で、教室に戻ってみると、

 

 

「黒兄、今日ちょっと弁当を作りすぎてしまってな。食べるのを手伝ってくれないか?」

 

 

 マイリトルシスター鈴ちゃんからありがたいお言葉が。鈴ちゃんが天使、いや、女神だったか……。

 

 

「馬鹿なこと言ってないで。ほら、黒兄の分だ」

「ありがとう鈴ちゃん。今度何か奢るよ」

「うにゃ、頭を撫でるなぁ~………」

 

 

 そうは言っても、目を細めて喉を鳴らしてると説得力ないな。それにしても、やっぱり癒されるなぁ、鈴ちゃんは。なんか教室のあちらこちらでシスコンだとかロリコンだとか聞こえるけどノーウェイノーウェイ。何言われても神奈川じゃノーカンだから。ただ、約1名からの視線が痛い。痛すぎる。

 

 

「な、なあ……望月?」

「ん?なにかしら?」

「……何でもないです」

 

 

 突き刺すような視線から一転、笑顔を見せてくれるが、その笑顔がどうも怖い。なんであんなに機嫌悪いんだよ、あいつ。この前の誕生日パーティーではあんなに喜んでたのに。あれか、その為の準備で避けてたのを根に持ってるのか?ここ最近よそよそしいのはその所為なのか?

 

 

 

 ――時は少し進んで、放課後。

 

 

「望月、部活行こうぜ」

 

 

 俺以外にはいつも通りだったから原因は俺なんだろう。だから、部活とはいえあまり誘わない方がいいんだろうけど、気になるからな。せめてもう少し会話があれば、原因が解るかもしれない。なのに、

 

 

「あ、火野くん」

「ん?」

「私、しばらく部活休むかもしれないから」

「え、あ、望月?」

 

 

 そう言って、俺が困惑してる間にさっさと教室から出ていってしまった。こ、これはどうするべきなんだろうか。奥さんにほとぼりが冷めるまで実家に帰られる旦那さんもこんな感じなのかな。知らんけど。

 

 

「はぁ……1人じゃ部活にならないし、鈴ちゃんとこに行くか」

 

 

 そうと決まれば、華道部の部室に行くか。それにしても望月のやつ、一体どうしたんだろ。

 

 

 

 

 

 

「ぐあぁーーっ、また飛んだーー……」

 

 

 あれから数日、休部宣言をした望月とはあまり会話できずのまま過ぎていった。何か悩んでるのは間違いないんだろうけど、俺とは目を合わせてくれないし。それでもやもやしたままネト麻をしてはこうして飛ばされて終局だ。うー、今までなら何かに悩んでてもここまで酷い戦績はなかった、というか好戦績だったんだけどな。

 

 

『ミスト君、今日は調子悪かったね』

 

 

 ん、間宮先輩か。って、なんだ俺のこの打ち筋。そりゃ心配されるわけだ……。

 

 

『はは、すみません…。今日は、もう落ちますね』

『ん、そうかい?何か悩みがあれば聞くが』

『あー、じゃあ少しいいですか?電話の方で』

『うん、解った。じゃあ、わたしの方から掛けるよ』

 

 

 それを合図に落ちて、そのすぐに先輩から電話が掛かる。

 

 

「すみません、わざわざ」

『大事な後輩の悩みだからね、話くらいは聞くよ』

「ありがとうございます。それで、話は望月のことなんですけど」

『エレナの?何があったんだい?』

「実は、最近よそよそしくなったり、妙に機嫌が悪かったりするんですよ。部活も休みがちになってますし、この前なんてしばらく休むって言ってましたし」

『あのエレナが?部活を休むのも気になるが、君への態度も気になるな。具体的にはどうなってるんだい?』

「あー、一応挨拶はしてくれるんですが目を合わせてくれなかったり……」

 

 

 ここ最近の望月とのやり取りなんかを覚えてる限り伝えて、相談に乗ってもらう。鈴ちゃんが拗ねた時とはまた違うから、やっぱり年上の知り合いって必要だな。

 

 

 

 

 

   ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲

 

 ――時、同じくして

 

 

「うぅ、やっちゃったぁ……」

 

 

 今日も今日とて早足で帰ってきた私は、着の身着のままベッドにダイブして絶賛後悔中。ここ最近は写真が上手く撮れなくてスランプ気味だから部活に出るのをためらっちゃうし、火野くんへの態度に棘出ちゃうし……。

 

 

「でも、スランプの原因は、火野くんなのよねぇ…………」

 

 

 そう。上手く撮れなくなってるのは、いつもみたいに女の子を撮ろうとしたら火野くんの顔が出てくる。それでシャッターチャンスは逃しちゃうし、女の子へのときめきもなくなっちゃう。なくなるどころか、そのときめきが火野くんへ向いてる。

 

 

「……私、もしかして…………火野くんのこと……」

 

 

――好き、なのかも……。




 あてーんしょーん、はろはろ~。ここ最近の暑さによって死亡間近に追いやられてるクロウズです。防具なしでも暑さ倍加のスキル発動しますね。
 今回でようやくエレナが自覚してくれました。次回書いてる時はきっと、壁が欲しくなるんだろうなー。誰か壁殴り代行サービスやってませんか?正直、6話目もさっさと書ききってしまいたいのですが、この暑さの所為で筆が乗らない乗らない。感想があれば乗るんだけどなー(チラッ
 まあ、出来る限り頑張りますので続きをお待ちください。いつ更新されるか解りませんがね!




それではこの辺で。はらたま~きよたま~。





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