カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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11話目

「……はぁ、本当にやるつもりか?」

「当たり前だ」

 

 

 夏も過ぎて気候も穏やかになってきた秋のとある日。聖櫻学園では放課後に体育祭のための練習をしてる中、俺は桐崎を脅し―――使っ―――頼んで風紀委員の手伝いとして見回りをしている。というのも、聖櫻生が利用してるヒトコト内で『カメラを持った不審者が現れた』とか何とかで、エレナが真っ先に疑われたからだ。確かに去年同様あいつは練習に励んでる女子に興奮してるけど、そうなってるのは放課後の練習中くらいだし普段は俺といるから暴走してないし(別の方向で暴走してるかもしれないけど)、そもそもエレナは堂々と撮るだろうし、いくら前科持ちだからって彼女が疑われっぱなしってのは頭に来るからな。その不審者をとっ捕まえてエレナの無実を証明する!その為、この見回りの間は風紀委員の腕章を付けさせてもらっている。

 

 

「それにしても、犯人を捕まえたら全身の皮膚と爪を剥がして市中引き回しの刑はやりすぎだろう?」

「言ってねぇよそんなこと。どういう目で俺を見てんだお前は」

「中学時代この辺一帯で暴れていた不良」

 

 

 桐崎の中の俺はまだその頃のままかよ……。

 あまり知りたくなかったことに頭を抱えて、見回りを再開する。一体どこのどいつなのか。見つけたらさすがに加減は出来ないぞ。

 

 

 

 

 結果として、今日はその不審者は見つからなかった。まあまだ一週間程度だからな。まだ淡照、もとい慌てる時間じゃない。………なんだ淡照って。ともかく、不審者は見つけたら徹底的にぶちのめす。

 腕章を一時風紀委員に返して教室に戻り、鞄その他の荷物を持って部室に行く。鍵はエレナに渡してるから先に入ってるはずだし、開けっ放しにしてどこかに行ってないだろうと思いながらドアを開けると、

 

 

「へ?」

「えっ……」

 

 

 着替え中だったエレナと目が合った。練習終りに着替えてなかったのかこいつ。それにしても、肌白くて綺麗だな……。窓から差し込んでくる夕日もあって、より綺麗に見え…………って、そうじゃなくっ!

 ハッとして急いで部室のドアを閉めて壁にもたれかかる。部室の中からは少しの静寂の後、慌てたようなエレナの声と一緒にガチャガチャとか何か落としたような音が聞こえる。……大丈夫だろうか?それから少ししてドアが開き、慌てっぷりが解るくらいに息を切らしたエレナが顔を覗かせる。あの間に一体どれだけの事があったんだろうか。

 

 

「ど、どうぞ……」

「お、おう」

 

 

 促されて部室に入り、エレナが座ったソファの対面に座る。こうやって向かい合わせに座るっていうのは初めてでもなんでもないんだけども、ついさっきの事でどうにも気まずい。その所為か、色んな方向に視線を泳がせてたエレナと目が合った瞬間にお互い目を逸らしてしまう。

 ただ、さすがにこの気まずいままの空気も辛いからと思って口を開いたら、

 

 

「「あのっ…」」

 

 

 見事にハモった。さらに気まずい。あまりの気まずさにエレナは俯くほどだ。

 

 

「……あー、その、ごめんな。着替え中だとは知らず」

「わ、私の方こそ教室で着替えればいいのに部室で着替えたりして霞黒くんに変なとこ見せちゃったりしかも無地の可愛くない下着だしいや、だからって派手なのだとそれはそれで恥ずかしいしそもそもまだそこまでいくのは早すぎるし初めてが学校の部室っていうのは背徳感あるけどやっぱり初めては霞黒くん家がいいというか……!!」

「…………」

 

 

 テンパってる人見ると冷静になれるな。とりあえず後半口走ってしまってるとこは聞かなかったことにしておこう。

 それからたっぷり十分経って、エレナもだいぶ落ち着きを取り戻して今は紅茶を飲んでる。俺としてはココアが飲みたかったけどパウダーなかったし、紅茶って鎮静効果あるらしいし。

 

 

「霞黒くんは、今日も見回りしてたのよね?」

「ああ。収穫ゼロだったけどな……」

 

 

 いくら尽力しても、何かしらの証拠とかがないと無駄骨以外の何でもない。

 

 

「そろそろ練習に参加しないといけないんだけどなぁ」

「そうよぉ。霞黒くんがいないと、二人三脚の練習出来ないんだからぁ」

「あー?そういえばそうだっけ。というか、俺が出場するやつリレーばっかじゃないか?」

 

 

 エレナとの二人三脚に始まり、障害物競走に借り物競走。これらって確か、勝手に決められた気がするんだよな。あと誰だよ種目内に俵運び入れた奴は。しかも俺これも出なきゃいけないし。ただパン食い競走に入ってるのは良しとしよう。

 

 

「だってぇ、霞黒くん足速いでしょ?だからリレー類は霞黒くんに任せようって男子がね」

「だからってなぁ……」

「あと、その時サボってたのが悪いと思うわよ?」

「ぐっ……」

 

 

 それを言われると辛い。

 

 

「不真面目な彼氏を持つと苦労するわぁ」

「女子相手なら所構わず暴走する彼女に言われたくない」

「もー、ああ言えばこう言う」

「事実だろ。って、ああもう言い過ぎたから拗ねない拗ねない」

「拗ねてなんかないわよーだ」

 

 

 むすっとふくれっ面になるエレナを軽く宥めて今日は備品の手入れをしていく。

 

 

 

 

 

 そして、体育祭当日――。

 

 

「うぁあああ………朝の光がきついー…………」

「しっかりしてよ?リレー類は君頼りなんだからさ」

「お前らも頑張れよ………」

 

 

 開会宣言とかが終ってプログラム通り進んでる中、昨日徹夜で麻雀をさせられてた俺は絶好の体育祭日和と言わんばかりの快晴から隠れるように日陰に潜り込んで休憩中。今すぐ寝てしまいたいけど日陰にいても容赦なく襲ってくる朝の光と朝田によって阻まれる。邪魔なんだけど。

 

 

「ところで、不審者って見付かったの?」

「あー?3日前に木林がとっ捕まえてボコったらしい」

「ボコったって………」

『ただいまから全校生徒対抗玉入れを開始します。皆さん、指定の位置に集合してください』

「おっと、それじゃあ行こうか」

「ダル……浜風に任せる」

「あいつはノーコンだから期待したら駄目だって。ほら、行くよ」

 

 

 ハンドボール投げの記録16メートルしかなかったのにこのやる気とは、真面目かまったく。そう呟いたらすごい形相で睨んできたから睨み返したら引きつられた。先に睨んでおいてその反応は辛いな。そんな怖いかな?

 しっかし今時玉入れって………。まあ、この学校らしいっていえばらしいか。だるいし、そこそこ頑張る程度でいいかな。早く帰って寝たい。




 あてーんしょーん、はろはろ~。1ヶ月以上間が空きましたが生きておりますクロウズデス。あけましておめでとうございます。
 今回は次回へ持ち越し型の体育祭になります。体育祭に良い思い出はありません、主に熱中症で倒れてたので。皆さんはどうでしたかね?



 ほぼ全てのリレーに出る羽目になった霞黒。二人三脚では相方であるエレナと密着してそれどころじゃない、借り物競走では無理難題を引き当て、障害物競走ではまさかの事態が。波乱万丈の体育祭は、一体どうなる!?次回、『一っ走り付き合えよ』。あの子の笑顔に、シャッターチャンス!!(嘘です)




 それではこの辺で。はらたま~きよたま~。
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