生暖かい目で読んでね。
宇宙世紀――ガンダムファンなら知らぬ人はおらず、そしてガンダムファンなら誰しもが転生したくないガンダム世界トップ3に名を連ねるだろう時代。
有名な1年戦争に始まり、数々のジオン残党による紛争やそれを阻止すべく結成されたティターンズの暴走からなるグリプス戦役と二度にわたるネオ・ジオン抗争に加え、その合間にも余裕を作るまいとギッチギチに詰め込まれた小規模紛争の数々。
それが終わったかと思えば、今度はラプラス事件だのマフティー争乱だの数十年にも渡って戦争が止むことのない世界なのだ。
でも、みんな心の中ではこう思ってもいるはずだ。
ガンダムの世界でモビルスーツを動かしたいって。
そして、奇跡かそれとも不幸か。今世ではグラン・リースという名を得た俺は、前世の記憶を持ったまま宇宙世紀――しかもジオン公国発祥の地であるサイド3に転生してしまった。
正しく認識したのが5歳ぐらいの頃。ようやく言語の読み書きを習得した後、宇宙世紀0064年にジオン・ズム・ダイクンの街頭演説を聞いたことがきっかけだった。
それからというもの、どうにかして全ガノタの夢であるモビルスーツへの搭乗を果たすため、ジオン士官学校を目指して猛勉強と体力錬成を始めることにした。
ジオンがモビルスーツを作っていることは原作知識で当たり前のように知っていたし、入校する時期を合わせればシャアやガルマの代に当たることもできる。そのころに優秀な成績を収めればモビルスーツパイロットへの道が開けるのも分かっていたのは僥倖だった。
そして0074。お目当て通りシャアと同じ代にジオン士官学校に入学できた俺は、前世の怠惰はなんだったのかと言わんばかりの必死さで勉強と訓練の激動の日々を過ごし、主席のガルマや次席のシャアとは差があるとはいえ、かなり立派な成績で卒業できた。
それから数か月後、ガトルでパトロール活動を行うしかやることがなかった俺のもとにドズル中将の宇宙突撃軍への配置転換命令が通達され、同時にモビルスーツの受領ができるという話まで上がってきた。
ワクワクしながら勤務先のソロモンへと移動し、母艦となるムサイのクルー達への挨拶を終え、軽い足取りでモビルスーツ格納庫へと向かった俺は、機付き長となる整備クルーと談笑しながら自機へ向かった。
そして俺を待っていたのは想像だにしない光景だった。
「……え?これ……」
「ええ、すごいでしょう少尉。これが我がジオン初の実戦用モビルスーツです」
「いや、だって、これ……」
俺の目の前にいたのはあの緑色のよく見る
「MS-04 ヅダ!……どうしました?少尉」
とある外伝作品で主力機の座をザクに奪われたという設定を持った、あの欠陥機。
「ザ、ザクじゃないの?」
「ザク?少尉って結構モビルスーツの開発事情に詳しいんですね。ヅダですよ」
「正式採用されたのってザクじゃないの⁉」
「ヅダですが」
驚く俺を他所に、機付き長はヅダの性能諸元が載ったデジタルパッドを俺に見せながら、ヅダの特徴やらチューンアップ可能域だのを説明し始めた。
意味が分からない。
本当に
というか、本当にザクじゃないとして、シャアはどうなるんだ?赤いヅダに乗って戦うのか?そしたらスピードはどうなるんだ?ヅダの3倍になるのか?そうか、死ぬなアイツ。
「なあ」
「なんです?ある程度のカスタムなら許可されてるんでできますよ」
「いや、なんていうか……本当に俺の乗るのってコイツじゃないとダメか?どうにかしてザクをよこして貰えるようにかけあったりできないか?」
「何言ってるんですか。あなたの搭乗機はこのヅダですよ」
「ホントにヅダなのか」
「ヅダですが?」
ヅダしかなかったけどいいかな?