日付を超えて申し訳ないです。
先ずはAfterglowです!
——Afterglowの場合
文化祭準備期間と言えど,バイトを休む事はない。
無論残り一週間くらいとかになれば最後の詰めの為に休ませてもらうが,まだそこまで迫った訳でもない為俺はCiRCLEにいつも通りやって来た。
今日はライブが入っているが,初めてPAした時のように誰かが倒れたした訳でもない為当初の予定通りに俺はカウンターで接客業務に勤しんでいた。
「こんにちは」
やる事をやって暇になってしまいかけた時,のほほんと伸びるような声が俺の耳に入って来た。
そして足音の数から全員いるようでホッとし,次々に挨拶してくれる先輩達に俺も挨拶し返した。
「いらっしゃい,Afterglowの皆さん」
言いながら俺はカウンター下にある時計の針がむき出しの時計に触れて予約時間よりも少し早い事を確認すると,その時計の横に置いてあった招待状に触れて確認する。
今更ながらに恥ずかしいが,流石にこればかりは姉ちゃんや香澄さん経由という訳にもいくまい。
んな事を思っていると,ボーカルの美竹先輩がどこか申し訳なさそうに言ってきた。
「ごめん,少し早かったかも」
「大丈夫ですよ,美竹先輩。スタジオはBスタです。」
「サンキュー導志」
宇田川先輩が陽気にお礼を言ってくるのに頷き,所定の手続きを進める。
受付表を発行し,彼女達のリーダーである上原先輩に渡す。
「ありがとう導志君!」
「いえ,あとそれからこっちはスタジオじゃなくて俺からです」
普通にスタジオに直行してしまいそうな雰囲気になってしまったので,俺ははやる気持ちを抑えながらカウンターの下においてあった文化祭招待状をカウンターに取り出した。
それによって少し彼女達の空気が変わる事を感じたが,約束したものは仕方がないので甘んじて受けよう。
予想通りというか,お祭りが好きな上原先輩や宇田川先輩は喜色の声をあげた
「おお!文化祭の招待状か」
「わーっ!ありがとう導志君!」
…今更だが,俺が通う黎明学園は都内では進学校として有名だ。
別にバンドとかが流行っている訳ではないが,学力や体育会系の実力はそれなりに高いらしい。
その割には学校の雰囲気は緩いのが評価されている理由の1つでもある。まあ,そのせいで月の森ほど神格化はされていない訳だが。
それに広大な校舎に,最新鋭の授業設備もあるという事で都内の中学生であれば生徒にはなれずとも一度は行ってみたい高校ランキングにも入っているらしい。
そんな所の文化祭の招待状ともなれば人によってはワクワクもするらしく,羽沢先輩はその典型だった。
「黎明学園って初めていくから凄く楽しみ。」
「そう言えば,導志のクラスはなにするの?」
美竹先輩はパッと聞いた所,不機嫌なのかなって思う位低い声をしているがこれは彼女のディフォルトだ。
だからそれに気にすることなく,でも答えるの恥ずかしいなって思いながらも
「俺のクラスは演劇です。」
…ここで余計なことを言わない,俺が主役をやるとかって言ったら弄られるのは分かりきっている事だからな。
どうせ後で香澄さん辺りが勝手に教えてしまうのもあって。
「そうなんだ!あ…えっと,楽しみにしてるね?」
多分だけど,羽沢先輩が一瞬言葉に詰まったのは俺はどんな事をしているのかを聴きたかったのかもしれない。
けど普通に考えれば役者以外なら小道具作りくらいだろうというのは分かるので言葉を飲み込んだのかもしれない。
彼女の優しい性格が伺えるが,当日のビックリにするのは悪くない。
「ありがとうございます。」
「ねえねえ,他にどんな出し物があるとかって分かる?」
羽沢先輩とチェンジするように上原先輩が滅多に行かないであろう他校の文化祭に興味津々で聞いて来た。
彼女達は中学から今の羽丘女子学園に通っているから他の学校の文化祭に行く機会は少ないのかもしれない。
「今んとこ屋台の方が多いですけど,確かクレープとかお化け屋敷とか,あとクイズ大会とかもありましたね」
と言っても,どれもこれも園田が手に入れて来た情報だけど
「ふーん,演劇は少ないんだね」
「1年の段階で演劇やろうってクラスは少ないかもしれませんね。どうしても演劇部には一歩劣ってしまうのでグランプリを取ろうと思うならまだ屋台の方がって考えるんだと思います」
俺のクラスは園田のエゴで演劇に決まったが,演劇部が当然出てノウハウも経験も負けているのにわざわざ負ける勝負をしようとは思わないのだろう。
それなら食べ物やお化け屋敷みたいなエンタメに振り切った方が良いと考えるのは賢い選択だと思う。
「グランプリって取ったら何かあるのか?」
「えー,確か食券5000円分だったと思います」
「おお!良いなそれ!」
キャッキャッワイワイ文化祭の内容について騒ぐAfterglowさん,彼女達の声色やテンションから心から楽しみにしてくれているのが分かる。
…まあ,プレッシャーではあるけれどそんなプレッシャーも悪い気じゃない自分がいる。
「じゃ,私達は行くよ。導志も文化祭頑張って」
このままでは練習に入れないと思ったのか,美竹先輩が強引に断ち切るように言ってきてこのままカウンターの前に居座られるのもそれはそれで困ると思っていた俺は渡りに船と多分笑って頷いた。
「はい,あ,今度のライブPA俺担当になったんでまたセトリ決まったら教えてください」
「うん!じゃバイト頑張って」
「ばいばーい」
上原先輩と青葉先輩ののほほんとした声が廊下に響きながら,彼女達はBスタジオに向かったのだった。
彼女達が去ったラウンジを前に俺は1つ息を吐き,何とか渡せた事に安堵しながら…こうやって誰かに招待状を渡すって言うのが家族以外では初めてだと気がつき,俺も少しは変われたのかと思考に耽る。
去年,中学の文化祭はあったが俺は誰にも来てほしくなかったから聴かれない限り普通に黙っていたから香澄さんに文化祭があった事を言った時,行きたかった!って拗ねられていたからな。
…あ,違うわ。普通に行きたくなかったから休んでたわ確か。
けど,去年は普通にトラウマ勃発中だったから許して欲しいとも思ったのだった。
次です!
香澄と導志,付き合った後のお話でどれがみたい?
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交際後,初デート
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2人がそれぞれリサに恋愛を相談する話
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2人の期間限定バンドのお話
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2人で海と夏祭りに行く話