ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話 作:さざみー
ミラーワールドに突入した俺たちが見た町は、すでに炎に包まれていた。
予想はしていたが、すでにミラーワールド内は戦場と化していたのだ。
特に燃える町を明かりに照らし出される、宙を舞う怪物は見覚えがあった。
「確認した。レイドラグーンとニューヨークで見た量産型ライダーがいる」
変身前ではあるが、俺の視力は常人をはるかに上回る。
上空を飛び回るレイドラグーンは元より、そいつらに交じっているライダーの姿もはっきりと確認できる。
シルバーのボディに濃い青のラインが入ったミラーワールド系……外観としては仮面ライダーインペラーに近い姿だ。もっとも、インペラーの角等の装飾は無くのっぺりとした姿をしており、その点はライドプレイヤーを思わせる外見をしている。
ライダーとしての性質も似ており、自身が契約したレイドラグーン以外とも意思疎通が可能で支配権を有していた。
武装としては召喚機も兼ねた長槍に、ソードベントでもある蜻蛉の羽根で飛び回る。後はストライクベントで籠手の一部を飛ばしてきたっけ。
しかし、ナイト一人を攻撃するには数が多く、また複数個所を狙っている。
秋山さんと浅倉の奴と呉越同舟は無いだろう。だとすると、ライダーバトル参加者の救出に成功して、そのまま狙われたか?
急ぐ必要はありそうだな。
「ニューヨークで君が本郷さんたちと共に戦った……」
手短に連中の特徴を話すと、筑波さんがぽつりとこんな呟きを漏らす。
「偶然同じ相手と戦っていただけだ。行くぞ、ナイトたちと合流して状況を確認しなければ」
あれは滝のじいさんに会いに来た本郷さんと一文字さんが偶然その場にいただけだ。それ以外の何物でもない。
悠長におしゃべりをしている時間などなかった。話を打ち切り、二人を尻目にさっさと先に進むことにする。
「行くぞ、ライダー変身!」
腰に出現したベルトの風車が回り、世界からエネルギーを汲み上げる。
風が、炎が、時が、重力が、その全てが俺の力となり、全身を駆け巡るナノマシンが目覚めの時を迎える。
空中に出現した黒の強化戦闘服が身を包む。頭部に赤い複眼のヘルメットが装着される。
最後に流れた血と同じどす黒い赤のマフラーが風になびき、夜の闇に溶け込んでいく。
ミラーワールドに、俺という化生が出現する。
「おいおい……。まったく、あいつを思い出すよ」
まだ何か言いたそうだが、俺が会話をする気が無いのを悟ったのか筑波さんも腰のベルトを出現させると腕を大きく振りかぶった。
左の掌を前面に、腕が大きく弧を描く。
そして左腕が終点に到達した瞬間、右腕を突き上げながら力強くキーワードを叫んだ!
「スカイ……変身!」
ベルトの風車が回り、筑波洋の身を変えていく。
鮮やかな緑のボディに、銀のベルト。その左右のサイドに装着されているのは重力低減装置セイリングジャンプ。
最後の戦いを前に、スカイライダーの正義の情熱を現す赤きマフラーが風にたなびく。
天空の王者、伝説の男。スカイライダーがその姿を現す。
1人のライダーと、1人の疑似ライダー、そして化け物が一体、ミラーワールドを進む。
意外でも何でもないが、ミラーワールドを進む俺たちもすんなりと進めた訳ではない。
此方を発見したレイドラグーンや量産型ライダーが、当然のように襲い掛かってくる。
ナイトの状況が分からない以上、こいつらを振り切って進軍するわけにはいかない。
こいつらの迎撃に一番活躍したのは集夢さんの疑似ライダーであった。
そもそも、俺やスカイライダーは徒手空拳の近接戦専用であり、飛び道具を持っていない。
こちらを発見し飛んでくる連中を打ち落とす役目は、当然銃を持つ集夢さんとなる。
射撃精度や威力は十分だ。
面白いようにレイドラグーンは叩き落され爆散し、極まれに間合いに入ってくる量産型ライダーを俺とスカイライダーで軽く処理するだけで終わった。
戦った時の感触から、材料そのものが実戦レベルに達していない印象はあった。
この射撃精度や威力を見る限り、うちらが使うような材料……、うちで販売した海賊版G3レベルの材料があれば十分に近接戦も出来る代物に仕上がったんじゃないか?
野生の天才はこれだから困る。
「もうすぐだな」
戦いの喧騒はもうすぐそこまで迫っている。
ここまで近づくと、音だけでも多数が入り乱れて戦っている事が分かる。
そんな事を考えながら進んでいると、これまでの散発的な襲撃ではない多数のレイドラグーンと量産型ライダーが向かってきていた。
まずいな、あの数だと乱戦になり足止めを食らうな。
「ここまでで十分だ。お前らは先に行け、あれは俺が処分する」
「待て、お前何を言っているんだ!?」
駆け抜けながら銃の再装填を行っていた集夢さんが叫ぶが、構っている時間はさほどない。
優先するべきはナイトとの合流であり、一緒にいるであろう現地ライダーの保護、もしくは護衛。そしてネオショッカーの撃破だ。
「じゃ……」
「頼めるか、誠太郎君」
俺の言葉を遮り、スカイライダーが確認をしてきた。
まったく、如月さんといい、この人といい、俺の発言を遮るのがトレンドなのか?
まぁ、いい。時間は無いので手短に済ます。
「誰に物を言っている。貴様ら旧式と一緒にするな」
言うが早いが俺は跳躍するとレイドラグーンの一体に目を付ける。
空中はレイドラグーンのフィールドだ。生意気にも自らの舞台に上がってきた羽虫を惨殺するべくレイドラグーンがその鈎爪を振るう。
俺はその鈎爪を腕ごと掴む。
「確か……こうだったな!」
記憶にある昼間の戦闘。スカイライダーのセイリングジャンプを思い出し、ベルトが汲み上げた重力を開放してレイドラグーンの体重を奪う。
唐突に自身の体重が消えた事に驚いたのだろう。空中でバランスを崩したレイドラグーンの背に飛び乗ると、奴の背中をキックで打ち砕きながら再度の跳躍を繰り出す。
まさか仲間を踏み台にするとは思っていなかったのか、肉薄されたレイドラグーンは碌な防御行動をとっていない。
なら!
「次は貴様だ! ライダーチョップ!」
赤く輝く手刀がレイドラグーンを切り裂く。
胴体から真っ二つに砕かれたモンスターは、俺の背後で爆発を起こし夜空に消えて行く。
二体のレイドラグーンを仕留めた俺は、そのまま地上に降り立つ。
見よう見まねで重力制御を試してみたが、俺に自由自在の飛行や威力無限大のキックは無理だな、こりゃ。出力が全然足りない。
電撃と同じで仕様外のエネルギー利用だから仕方ない。ちょっと飛べたら良いなと思ったが、世の中そう上手くはいかなかったか。
でも、空中での姿勢制御や跳躍の上昇、あるいは技の精度や威力向上には使えそうなので良しとしよう。
仲間の撃破で俺を脅威と見たのか、レイドラグーンが次々に集まってくる。
狭い路地では自慢の飛行能力が使えないと判断したのか、数体のレイドラグーンが地上に降り立つ。
スカイライダーと集夢さんは先に進んだことは着地前に確認している。
彼らの実力なら、ナイトと合流できるだろう。後はこいつらを蹴散らし、俺も先に進むだけだ。
かぎ爪を輝かせじりじりと包囲網を狭めてくるレイドラグーンを相手に俺は構えをとる。
こいつら自体はさほど強くない。今の俺なら少々時間はかかるが突破は可能だ。
互いに間合いへ入る。
そう思った瞬間だった。
不意に、俺を包囲していたレイドラグーンの内、後方にいた一体の胴体が横にずれたかと思うと倒れ爆発を起こす。
「!?!?!?!?」
「なっ!?」
余りにも唐突な事態に俺もレイドラグーンの群れも驚くが、驚きながらも俺の身体は自然と動いていた。
爆発が起こった方向とは逆、後方に大きく飛び退くと、拳を繰り出し後ろを塞いでいたレイドラグーンを打ち砕く。
3体いたレイドラグーンは抵抗らしい抵抗も出来ず頭部を砕かれ倒れ小爆発を起こす。
それとほぼ同時に、前方を包囲していた残りのレイドラグーンも何者かに叩き斬られ爆発をしながら消滅する。
そして、路地の奥、闇の向こうからそれが姿を現す。
イメージとしては、中華風の武者と言ったところか。
赤い龍鱗の鎧を身に纏い、首の装飾は中国にありがちなマフラーか。どこか龍の頭を思わせる金属製の頭部の下から乱杭歯がむき出しだ。
左腕に龍のガントレットに、右手に持つのは巨大な柳葉刀。胸に刻まれる2002の数字とRYUKIの文字。
色以外はアナザーリュウガに酷似したその化け物の名はアナザー龍騎。
龍騎を歪めたアナザーライダーの一体だ。
ネオショッカーはアナザーリュウガを用意していたのだ。アナザー龍騎を準備していてもおかしくはない。
しかも、味方殺しも辞さない化け物を素体にしているとは、相当な凶暴性があると考えて間違いないだろう。
背筋に流れる冷たい汗を感じながら、俺は油断なく構えアナザー龍騎と対峙する。
「ショッカーライダー……」
「俺を知って挑むか」
アナザー龍騎の口から不明瞭なくぐもった声が聞こえる。
あちらもこちらを敵と認識したのだろう。柳葉刀を構え、こちらとの間合いを図りはじめた。
武器がある分リーチではあちらが有利だ。
場所が狭い分、互いに動きが制約される。
互いに機会を窺う。
隙が無い。魔神提督に勝るとも劣らない戦強者だ。こんな奴がまだネオショッカーにいるのか。
拳に赤いエネルギーが籠り、竜の咢から炎が漏れる。
互いの緊張が最高潮に達し、ついには攻撃に出ようとしたその瞬間だった。
「お前ら何をやっているんだ? 馬鹿か? いや、二人そろって馬鹿だったな」
心底呆れた調子の門矢士の声が路地裏に響いた。
ん? まてや。今の声誰だ?
改造人間、しかも変身中なので聞き間違える事など無いのだが、それでも拒否したい感情で溢れるが拒否できない現実が勝手に向こうから歩いてくる。
路地の暗がりをゆっくりと歩いてくるのは、マゼンダのボディに緑の複眼、縦に入った板状のパーツが特徴的な仮面ライダー。
その名もディケイドであった。
「何故お前がここにいる?」
「俺がどこにいようと勝手だろう」
「問題あるだろう! 一応、今の身分はショッカー総司令だろう、お前」
少なくともその辺をホイホイ歩いていていい立場ではない。
歩かれては迷惑だ。主に部下の立場からすると。
というか、こいつアナザー龍騎と知り合いっぽいな。となると、こいつはネオショッカーではなくショッカー? いや、でもそれなら俺の顔を知らないはず無いしなぁ……。
「え? 士、お前またショッカーなのか!?」
「成り行きでな。期間限定で雇われている」
おい、待てや!
なんかアナザー龍騎がくぐもった声だが明確に驚いて振り向いているぞ。
どこの誰だか知らないけれど、知らんでつるんでいるのか?
「すまんが漫才なら余所でやってくれ。急いでいるのでな」
「誠太郎。お前本当に俺と天道で露骨に態度が違うな」
「胸に手を当てて考えてみろ」
別にこいつに悪意があるとは思っていない……いや、少し疑ってはいるが、とにかくこいつは何事も唐突すぎる。
よくよく考えてみたら天道さんも唐突さは変わらないが、二人の違いはなんだろう。
いや、そもそも何で天道さんと俺が会ってたことを知っているんだ、こいつ? どこかで覗き見していたか?
まぁ、いい。ここで出てきたという事はなんか意味があるのだろう。
そう思い直し問いただそうと考えていると、くぐもってはいるが素っ頓狂な声を突然上げたのはアナザー龍騎であった。
「ちょっ、ちょっとまて!? お前星太郎なのか!?」
ん?
いや、ちょっと待て?
声は違うが……このイントネーション。
……え?
「おい、城戸。お前また変化が進んで声が変わっているぞ。自分を思い出せ」
「え? マジ? あーあーあー」
答え合わせが終わった。
喉を抑えながら声を上げるアナザー龍騎だが、その声が徐々に城戸さんの物となっていく。
いや、ちょっと、何が起きているのよ?
「何で城戸さん!? あんたがアナザー龍騎になっているんですか!?」
「そういう星太郎こそ、何でお前がその黒いショッカーライダーなんだよ!?」
互いに戦場であるという事も忘れ、思わず驚きの叫びを上げる。
城戸さんがアナザー龍騎になっているのもだし、普通の高校生がショッカーライダーになっているのも唐突すぎて驚くのも仕方がない事だろう。
そんな俺たちを呆れて見ていたディケイドこと門矢士が、ここでさらにいらんことを口にした。
「そいつは先日ショッカーをクビになったぞ。今はただのリストライダーだ」
上手い事を言ったつもりなのか、仮面越しでもどや顔をしている事が分かりむかつく。あと城戸さん、アナザー龍騎状態でその同情の視線を向けるのはやめてくれ。
ほんと、一発ぶん殴りたい。
とはいえ、葵さんの事や町の事がある。俺の個人的な欲求など後回しだ。
「俺の事はどうでも良い。状況を話してくれ。葵さんを助けなければならないんだ」
「なんでそこで葵ちゃんが!?」
「そっちも聞き次第すぐに話す。おそらくはもう時間がない」
お互いに予想外の状態だったために起きた混乱は、この一言でとりあえず収まる。
もっとも、互いが持っていた情報は、それぞれ驚きと状況の悪化を示す話に他ならなかった。
唯一の好材料は、浅倉が退場となった事くらいだろう。
この鉄火場で唐突に横殴りをされては堪った物じゃなかったからな。
「葵ちゃんがオーディンにされ、連れて行かれた……」
「ああ、彼女の願いを使い、このミラーワールドを潰す気なんだろう」
主力はレイドラグーンだろうが、他にも現実世界に適応させたモンスターがいると見て間違いない、連中はミラーモンスターの住処を奪い、現実世界に押し出す気なのだ。
互いの情報の開示が終わった、その瞬間であった。
敵の本部付近でひと際巨大な爆発が起こる。
「どうやらスカイライダーとナイトがリュウガたちと戦っているようだな」
「急がないと!」
アナザー龍騎、いや、城戸さんの言葉に頷くと、俺たちは駆け出す。
すでに戦いが始まっている以上、急ぐ必要があった。
きっと量産型はライドプレイヤーのリデコライダー
次のメインライダーは現在クウガが有利。
ただ、RXも善戦しているので今後どうなるか予断を許さない状況。
NEXT Rider?
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ゆ゛る゛さ゛ん゛!!(BlackRX)
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サムズアップ(クウガ)