ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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と、書いているうちに、400超えた。

本当に皆様、ありがとうございます。
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第10話 episode・000 閑話・パンツ先生とヒゲ先生

 火野映司はたくさんの人と手をつなぐ……そんな理念を掲げ、その甘いマスクと柔和な人柄で幅広い性別年齢層で支持を集める若手政治家の一人だ。

 そんな彼がとある高級ホテルにやってきたのは、超党派の勉強会に出席をするためだ。

 

 問題となっている法案は超常犯罪防止法。これまでは怪物や怪人、秘密結社の行う超常犯罪に対しては警察もしくは専門に特設された特務機関が各々対応していたのだが、これらを一本化してあらゆる超常犯罪に対して強力な捜査権限、技術開発および目標の制圧を行う新組織を新設しようというのだ。

 このこれまでの組織をはるかに上回る強権を持つ組織の設立は反対意見も根強く、成立は困難を極めていた。

 

 火野映司も法案に反対の立場をとる議員の一人だ。

 

 若干早めの時間に到着してしまった。一緒に来たというか付いて来た相方はレストランで開催しているアイスフェアに勝手に行ってしまい姿を消した。

 

 ホテルのロビーには割と人が多い。黒服は……おそらくは特別に雇われたSPだろう。中には若い人間もいるが……アルバイトか?

 

 旅人だった頃なら気にもしなかったが、今は国会議員という立場のある身だ。あまりブラブラしているのも良くない。

 時間まで併設されている喫茶店で時間を潰すか。そう考えて足を向けると、入り口にて意外な人物と遭遇する。

 

「氷室先生?」

「火野先生?」

 

 そこで出会ったのは与党の議員、氷室幻徳だ。前首相の氷室泰山を父に持つ幻徳は、泰山が病気を理由に政界を引退するのを機に、父の地盤を引き継ぎ政界へと乗り出した。

 一時は剃っていた髭を再び伸ばした精悍な若者は、やはり幅広い支持を集める若手のホープと見做されている。

 議員としてはまだ一期目だが長らく父の秘書として活躍をしており、政界での経験は映司以上に長い。

 特に親しい間柄ではないが、見知った顔であった。……実は幼い頃に政治家の子弟として親に連れられて出会っているのだが、さすがに二人ともその記憶はない。

 

「氷室先生も、勉強会に?」

「ええ、火野先生もですか」

 

 玄徳は若手ながらタカ派議員として知られており、常々超常犯罪に対する防衛力強化を訴えている。そんな彼が反対派議員の勉強会に出席するのが映司には意外だった。

 

「そうです。ただ、少し早く着きすぎてしまいまして……」

「ははは、私もですよ。遅刻するとお歴々に怒られますからね。お互い若手は辛いところだ」

「確かに」

 

 逆に玄徳にとっては、映司がこの勉強会に出席するのは不思議でも何でもない。たくさんの人と手を繋ぐ、そんな政治理念を持つ映司が事すれば人権侵害にもつながりかねない法案に反対するのは当然であった。

 

「火野先生も時間を潰しに? なら、ご一緒しませんか?」

「ええ、よろこんで」

 

 どちらも若手議員で、タイプは違うが双方とも顔形が整っている。また名前が火と氷で相対しているとあり、マスコミが数字が取れると面白がって対比させる事の多い二人だ。

 もっとも、あくまでもマスコミが面白がっているだけで大した繋がりはない。

 

 二人は喫茶店、その奥まった席を陣取り適当な飲み物を注文する。

 

「お父様のその後は?」

「ええ、順調に回復していまして……、最近は暇を持て余して執筆活動なんかを始めましたよ」

「それは良かった」

 

 普通なら社交辞令だろうが、彼に関しては本気で言っているのだろうな。政治理念的には対立することが多い人物だが、映司の人柄に関しては玄徳は高い評価をしている。

 なので、少し腹を割ってみるか……。玄徳は少し踏み込んだ話題を始める。

 

「意外でしたか、私が今回の勉強会に参加をするのは?」

 

 自身がタカ派とみられている事は承知しているし、玄徳自身もそのつもりだ。

 彼のその言葉に、映司は一瞬だけ詰まるものの、すぐに答えを用意する。

 

「ええ。正直に言って意外でした。氷室先生はてっきり賛成に回るものだと……」

 

 この法案に関して玄徳は態度を保留にしていたと映司は記憶している。そんな彼がこの場に姿を現したのは意外であった。

 

「この法案……それによって出来る組織があまりにも危うい。そう思いましてね」

 

 映司の言葉に玄徳は一瞬だけ目をつむり、存在しない過去を思い出す。

 

「強力な防衛力は確かに必要だ。だが……それを振るう者が全てを支配できる……そんな体制を作ってはならない」

 

 彼の言葉に不思議な重みと悔恨がある、そう映司は感じた。

 自分とは違い首相秘書としての政界でのキャリアを持つ彼がそこまで思い詰めるのものは何なのか……。

 映司のその疑問は、当の玄徳からの問いかけで中断する。

 

「火野先生は?」

「私は……手を繋げるかもしれない者たちまで追い立てかねない……そう思ったんですよ」

 

 なるほど、一部の人外の中には人類に友好的でひっそりと過ごす者も存在する。玄徳が知るアレは絶対に手なんか繋げないが、穏やかな者まで追い立てる事は藪をつついて何とやらだ。

 そして、たくさんの人と手をつなぐ……そんな政治理念を持つ映司らしい回答だ。だが……その言葉に重みを感じるのは、旅人だったという彼の経験からか?

 

 二人の若手政治家は互いの内に秘めるものに興味を抱きながらも、この時はごく平凡な内容を話すに留まった。

 

 

 その後行われた勉強会そのものは、恙なく終わった。

 超常犯罪の危険性をしっかりと説明しながらも、現在の警察等の対応や法案の持つ問題点をわかりやすく説明していた。

 東雲議員のスタッフが作った資料というが、なかなか専門的だと映司は感心した。

 

 勉強会に参加した議員が帰る中、映司と玄徳が最後まで残ったのは単なる偶然だ。

 

 映司が残ったのはアイスフェアに行った相方が戻って来なかったので待っていただけであり、特に他意は無い。

 玄徳が残っていたのは、父とも交流が深かった東雲議員に挨拶をしていくためだ。

 

 だが、二人が最後まで残っていた事は不幸中の幸いであった。

 

 

「おや、火野先生? まだお帰りになっていなかったので?」

 

 ロビーのソファで携帯を操作する映司を見つけたのは玄徳だった。

 

「あ、氷室先生……と、東雲先生?」

「ああ、どうも」

 

 恰幅の良い老人……与党の大物と目される東雲議員とともに現れた玄徳に映司が立ち上がり挨拶をする。

 白髪の好々爺としか見えない人物ではあるが、経済通であり財務省にも顔が利くという。

 そんな彼は玄徳と、更には一人の少女と現れる。都内にある名門中学の制服に身を包んだ、大人しそうな黒髪の少女だ。

 

「ああ、孫娘でね。学校が近いので待ち合わせていたんだよ」

 

 映司の視線に気が付いたのか、東雲はにこやかな表情のまま少女を紹介する。

 なるほど。そういえばここから直ぐのところに名門中学はあったと思いだす。

 

「火野君はまたどうして?」

「私も人を待っていまして……」

 

 ちょっとばつが悪いが、大した理由でもないのでそう話し始めた、その瞬間であった。

 

 唐突に、ホテルの入り口が爆発を起こす。

 突然の事態にある者は悲鳴を上げ、ある者は怒声を上げる。

 

 誰もが混乱する中、その爆発を引き起こした者たちがホテルに躍り込む。

 

『イーッ!』

 

 それは、全身骸骨の意匠が刻まれた黒いタイツとマスクを身に纏う男の集団であった。

 その名はショッカー戦闘員。

 

「えっ? なんで?」

 

 誰かが上げた間の抜けた声がホテルのロビーで聞こえた気がするが、映司と玄徳にとってはそれどころではなかった。

 唐突にやってきた戦闘員が、逃げ纏う従業員や他の客などそっちのけで、こちらに襲い掛かってきたからだ。

 

「仮面ライダー!!」

 

 その戦闘員の一人が奇声を上げる。

 

「えっ!? その声、千堂さん!? な、なんで!?」

 

 もうだいぶ前になる。ある事件で知り合った元ショッカーの戦闘員だった男。あの声は確かにそうだった。

 確か和解したはずだが……、その男が再びククリ刀を振りかぶり襲い掛かってきているではないか?

 

「らぁいぃだぁぁぁぁ!」

「ちょ、正気じゃない!?」

 

 何とか受け流しながら様子をうかがうと、マスクから見える目がぐるぐると回っており正気には見えない。

 

「おい、火野! そいつは知り合いか!? 知り合いなら止めさせろ!」

 

 東雲議員を守りながらで余裕が無いのか、玄徳は思わず映司を呼び捨てにして問いかける。

 

「えっと、古い知り合いですけど……正気じゃないっていうか!?」

 

 映司も映司で混乱しているのか、議員としての丁寧なしゃべり方が飛んでいき、地の砕けた口調が飛び出す。

 まぁ、無理もない。ショッカー戦闘員は次から次に襲い掛かってきているのだ。

 

「きゃあああっ!?」

 

 さらには、いつの間にか別の窓を突き破って侵入してきた戦闘員が、刀を振りかぶり東雲議員から孫娘を奪い、刀を突き付け……。

 

「やらせるかっ!」

 

 だが、唐突に黒服……護衛のアルバイトらしき少年が割り込み、戦闘員を殴り飛ばす。更には複数人の戦闘員が得物を振り上げ襲い掛かるが、少年は見事にそれを捌き、戦闘員を叩きのめす。

 

「やるな!」

「誰だか知らないが、助かる!」

 

 誰だか知らないが、心強い援軍。だが、安堵している暇なんてない。 

 新たに突入してきた戦闘員は、バズーカまで持ち出して……。

 

「って、ちょっとまって!?」

「な、なんだと!?」

 

 二人が慌てるが、そんなことで止まってくれるショッカー戦闘員ではない。問答無用でロビーにバズーカを撃ち込む。

 幸いというのもなんだが、どうやら戦闘員の技量は相当低かったらしく、バズーカの弾はひょろひょろと明後日の方角にねじ曲がり、天井を破壊する。

 

「大丈夫か!?」

「東雲さんはいるけど……お孫さんが!?」

 

「そ、園子、そのこおおおお!」

 

 どうやら衝撃で瓦礫の向こうに分断されてしまったようだ。よく見れば先ほどの護衛の少年もいない。

 東雲議員が、姿の消えた孫娘に嘆き、錯乱し瓦礫を叩く。

 

 さらには……。

 

「どれだけいるんだ……」

「あれは……怪人?」

 

 さらに増える戦闘員。更には、蜘蛛を模した怪物の姿まで混じっていた……。

 

「氷室さん、ここは俺が引き受けるんで、貴方は東雲さんを連れて逃げてください!」

 

 映司のその言葉に、玄徳が驚きと反対の声を上げる。

 

「何を言っているんだ! ここは俺が引き受ける。お前こそ議員を連れて逃げるんだ!」

 

 素人が怪人を相手になんとかできるわけがない。足止めをしようにも無駄に死ぬだけだ。

 その思いは二人共通であった。

 

「あんたこそ、何をかっこつけて!」

「君こそ! くそっ!」

 

 迫る怪人に、もう時間は無かった。

 

 その時だ。

 

「映司! これを使え!」

 

 先ほどまで行方不明だった映司の相方が突然現れ、何かを投げる。

 

 誰が来たのか、それが何か、玄徳は確認する暇もなく、懐にしまっていたボトルとバックルを取り出す。

 

 相方が投げた物……、三枚のメダルを、映司はどこからともなく取り出したベルトにセットする。

 

 

 

 玄徳の腰に装着されたスクラッシュドライバーにクロコダイルクラックフルボトルがセットされる。

 

 映司は腰横のオースキャナーが、3枚のメダルを読み込む。

 

 

【デンジャー! クロコダイル!】

 

【タカ! トラ! バッタ!】

 

「変身!」

「変身!」

 

 二人の男が、もう一つの姿に変身をする。

 

 玄徳の足元から巨大なビーカーが出現し、彼の身を包む。

 巨大な顎がそのビーカーを砕く。

 

【割れる! 食われる! 砕け散る! クロコダイルインローグ! オーラァ!】

 

 そして出現する、黒と紫の仮面ライダー……。その名も、仮面ライダーローグ!

 

 

 一方、映司の周りには色とりどりのメダルが舞う。

 メダルは映司の身体に吸い込まれる。彼の身が輝き変わっていく。

 

 胸のオーラングサークルを境に、赤い頭、黄色の腕、緑の足……。

 古代錬金術の戦士、仮面ライダーオーズが、そこに出現した。

 

 

 変身を遂げた二人の仮面ライダー、その出現の第一声は、こうであった。

 

「ええええっ!? 氷室さんって仮面ライダーだったんですか!?」

「おい、火野! お前も仮面ライダー……その姿は、噂のオーズなのか!?」

 

 仮面ライダーとして面識が無ければこんなもんである。

 

 

 互いに間の抜けた声を上げるが、身体はそうではなかった。

 双方、激しい激戦を潜り抜け、それぞれ別の世界の危機に立ち向かった歴戦の仮面ライダーだ。

 顔見知りが仮面ライダーだったことに驚きはしても、敵を前にすれば自然と体が動き、襲い来る戦闘員を次々となぎ倒していく。

 

 そして、倒れた戦闘員はメダルへと姿を転じた。

 オーズには見慣れた光景だが、ローグにとっては初めて見る変化だ。落ち着いて考えれば思いついたかもしれないが、戦闘中にはとっさにそれが何かは出てこない。

 

「どういう事だ!? なんでショッカー戦闘員がメダルに!?」

「戦闘員じゃなくて、戦闘員ヤミーなんですよ!?」

 

 ローグの疑問の声に、オーズが答える。

 ヤミー……。セルメダルで作られる怪人……。なるほど、こいつの事なのかとローグは納得した。

 

「おい、映司! 中庭に戦闘員が集まっているぞ!」

 

 戦闘員を蹴散らすライダーたちをよそに、後方で様子をうかがっていた映司の相方……アンクが状況を叫ぶ。

 庭では子供が二人、戦闘員から逃げまわっているようだ。

 

「あっちにはお孫さんが……」

「そ、園子が!? た、助けに行かなければ……」

 

 その声に東雲議員が慌てて駆け出そうとするが、それは無理というものだ。

 

「議員は動かないで! 守り切れません!」

 

 オーズがそう叫ぶ。だが、あちらにお孫さんがいるなら……。

 

「おい、火野。先生は俺が引き受ける。お前はお孫さんの救出に向かってくれ!」

 

 先ほどまでと似たような言葉だ。

 だが、仮面ライダーがそう言うのなら……任せる事が出来る。

 

「わかった! ここは任せた!」

 

 瓦礫を迂回し進むオーズを見送りながら、ローグは状況を分析する。

 幸い、先ほどまでの戦闘で戦闘員はだいぶ数を減らした。

 

 あとは、リーダー格らしいあの蜘蛛の怪人を倒せば安全の確保が出来る。

 

「行くぞ!」

 

 手に持ったネビュラスチームガンで戦闘員を撃ち倒しながら進む。

 

「キシャアアアアア!」 

 

 ローグが最大の強敵と分かったのだろう。蜘蛛の怪人は口から糸を吐き出す。

 

「そんな物!」

 

 吐き出された糸の速度はそこまで速くない。ローグは糸をサイドステップでかわす。

 だが……

 

「キシャアアアア!」

 

 蜘蛛の怪人は首を横に振ると、糸の軌道を変える。

 予想外というほどではないが、それでもその動きにネビュラスチームガンは絡め取られ落としてしまう。

 

「武器を落とした程度で……調子に乗るな!」

 

 だが、ローグは落とした銃などお構いなしに突き進むと、蜘蛛怪人の懐に飛び込む拳を振るう。

 一発、二発……。重い打撃に蜘蛛怪人がよろけ!

 

「ガアアアアアアアッ!」

 

 だが、踏ん張ると背中から生えた4本の棘の腕でローグの身を打ち据える。

 

「ひ、氷室君!」

 

 激しい打撃音がホテルのロビーに響く。さらには、蜘蛛怪人はその鋭い牙をローグの首に突き立てる!

 あまりの凄惨な光景に、東雲議員は思わず目をつぶる。

 

 だが……。

 

「それで?」

 

 複数の打撃を受けたはずのローグは、まるで意にも返さずに蜘蛛怪人に再度の殴打を行う。そのあまりの威力に、それまで余裕を見せていた蜘蛛の怪人が苦悶の表情を浮かべる。

 仮面ライダーローグ。彼は柔軟かつ瞬時に硬化する特殊な装甲を持っており、打撃に関しては高い抵抗力があるのだ。

 

「とどめだ!」

 

 ローグがベルトのレバーを下げる。

 莫大なエネルギーがボトルから生み出され、その両足が怪しい紫に輝く。

 

【クラックアップフィニッシュ!】

 

 右足の蹴りが蜘蛛怪人の胴を薙ぐ。

 それと同時に左足の蹴りが決まり、蜘蛛怪人の胴を潰す。

 

 顎となった両の足が蜘蛛怪人を挟み、砕き、蹂躙していく。

 

「ギャアアアアアアア!」

 

 膨大なエネルギーにさらされた蜘蛛怪人はホテルの外に吹き飛び、メダルをばら撒きながら爆散した。

 

「東雲先生、まずは、この場から逃げましょう」

「だが、園子が、孫が!」

 

 孫娘を心配する東雲議員。彼の言葉は好ましいが、今はその言葉を聞くのは無理だ。

 後詰が来ないとも限らない。まずは逃げることが先決だ。

 

「あちらは火野に……オーズに任せましょう!」

「だが……」

「あれが噂に名高いオーズなら、大丈夫です。さあ、早く!」

 

 東雲議員を立ち上がらせ無理やり引っ張ると、ローグはこの場を後にする。

 だが、撤退をしながらもローグ……いや、玄徳の頭には妙な違和感が浮かんでいた。

 




警官ライダーは色々いるけど、政治家ライダーはこの二人だけ!
二人もいるんかい……(白目

勢いが止まらないのは、ガヴが神回すぎたのがいけない。
OP(ED?)の入り方、完璧やん……
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