ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第115話 episode・KUUGA えっ!? えっ!? えっ!?

 長野県九郎ヶ岳に向かいう最中、峠前の食堂に立ち寄ったのは此処から先はしばらく店が無いので食事をとる為であり他に他意は無い。

 

 俺の腹に埋め込まれた無尽蔵のエネルギーシステムは食べなくても活動可能だ。水すら不要という生物的にそれってどうなのという俺には理解できないシステムなのだが、別に食えない訳でも腹が減らない訳でもないので可能なら三食きっちり食べる事にしている。昔はエネルギーで賄えるので食べる機能を取っ払った改造人間もいたそうだが現在は完全に廃れていた。

 

 昼飯時の店内はだいぶ混んでおり、見た限り席は空いていない。

 まいったな。ちょっと戻ってコンビニを探すかな。

 

「いらっしゃい!」

 

 そんな事を考えていると、店員さんが俺を見つけ声を掛けてくる。

 そして店内を見渡しテーブル席の男女二人に何やら話しかけて笑みを浮かべこちらにこう尋ねて来た。

 

「ちょっと今混んでいて、相席で良いかしら?」

「あ、はい。大丈夫です」

 

 しまった、気を使わせてしまった。

 まぁ、こうなったら仕方がない。俺は店員さんに案内されるままテーブル席に着く。

 先客は男女二人組だが、カップルという感じではない。二人とも着慣れたスーツに身を包んでいる上に年齢差もあるので、職場の上司と部下といったところか。

 

「すいません、失礼します」

「いやいや、私たちはもうすぐ出るところだから気にしないで」

 

 確かに男性はもう食べ終わっており、女性が食べ終わるのを待っている状態のようだ。

 互いに軽く挨拶をして、互いに相席者に対する興味を失った。

 人の話に聞き耳を立てる趣味も無いので店員さんにかつ丼超特盛を頼んだ後は、つけっぱなしになっているテレビを何気なく見る。

 

 流れていたのは地元のローカルニュース番組だ。どうもこの先の峠で事故が頻発しており、死亡事故も起こっているらしい。

 連続でカーブが続く峠の道は、地元の暴走族や他県から来る走り屋が夏の夜には屯しているそうで、この時期はよく事故が起こっているそうだ。

 警察がパトロールを強化しているそうで、山道を警戒しなきゃならないお巡りさんも大変である。

 

 ぼんやりとテレビを見ていると、頼んでいたかつ丼超特盛が届く。

 デカかった。

 ひたすらデカかった。

 

 あえて例えるなら! 巨大すぎる器という惑星に存在する卵とじの海に泳ぐとんかつの群れ! 良く煮えた千切りの玉ねぎの波が! 漂うミツバを揺らしている!

 ま さ に かつ丼の海!

 シー・オブ・カ・ツ・ド・ン!

 

 と、思わずどこぞのスピンオフ漫画風に内心で解説してしまうぐらいにはデカかった。

 相席の二人が運ばれてきた超特盛を見てギョッとしている。まぁ、俺もなんか面白そうと頼んでみたが、ここまでデカいとは思わなかった。

 というか、店中から注目されてない、これ?

 

 この程度の量なら普通に食べる事が出来るけど。

 

 

 

 改造人間の機能を無駄に使い超特盛かつ丼を半分平らげたところで相席の男女は店を発ち、きっちり食べ終わると店員さんが目を丸くしてこちらを見ていた

 流石に記録が残るのは困るので記念撮影は丁重にお断りしたが、一人で完食する人は珍しいらしい。

 俺の場合は改造人間のズルなので褒められた話ではないが、世の中には改造人間並みに食べる奴がいると考えると空恐ろしいものだ。

 

 

 

 峠の道はそこかしこに安全運転を呼び掛ける看板が立っていた。

 ローカルニュースを信じるのなら、ここは暴走族や走り屋が夜な夜な無謀運転を繰り返しているらしい。周囲に民家が無いので騒音被害は無いだろうが、地元の人には迷惑だろう。

 昼間だろうか、車の数は非常に少ない。たまにすれ違ったり、途中脇に白い乗用車が止まってたりはするが渋滞という事も無い。

 

 そんな道を進んでいると、後ろから黒いオートバイが追い上げてくる。

 曲がりくねって見通しの悪い道路だというのに、かなりの速度だ。スピード違反間違いなしだろう。そんな暴走バイクが見る見る間にこちらに迫って来る。

 偽装したサイクロンヘルはかなりごついバイクだ。そのせいか、何度かあの手の奴に絡まれた事がある。

 

 あんなものに張りあってもしょうがない。速度を緩めると脇により道を譲る。これで9割がたトラブルは回避できるのだ。

 

 そんな事を考えていたが、暴走バイクは速度を緩めることなくこちらに迫り続け、このままだと……追突コースじゃないか!?

 俺は慌ててハンドルを切り進路を変える。直前まで俺が走っていたコースを暴走バイクが通り抜けていく。

 

「何しやがる!」

 

 別に追突されても弾き飛ばされるのは暴走バイクでありサイクロンヘルには傷一つつかないのだが、だからって追突されて楽しい訳では無い。

 通り過ぎていった暴走バイクに大声で文句を言う俺だったが、攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 今度は俺に並走したかと思うと、何やらチェーンを振り回してくる。

 

 って、なんだよこいつ!?

 

 金属製のチェーンを片手で弾き飛ばしつつ速度を上げ引き離すが、暴走バイクもまた速度を上げてくる。

 ちょっと待て。

 どう考えても一連の行動は暴走馬鹿のやる事を大きく逸脱している。あきらかに俺を狙って攻撃してきていた。

 

 どこかの刺客か?

 

 瞬時に精神を切り替える。

 とりあえずは取り押さえるべきだろう。襲ってきた背景が知りたいしな。

 そう考え変身しようとした矢先だった。俺を追ってきたのは暴走バイクだけでは無かった。

 

 後方から追いかけてきたのは一台の乗用車だ。多分来る途中で脇に停まっていた自動車だ。ごく普通の白い国産車に見えるが、追手が増えたって事は組織的に狙われているって事か?

 ここに来たのはブラックサタンの指示なのだが、どこからか情報でも漏れたのか。

 

 もっとも、これは俺の早とちりであった。

 いや、追ってきたことに違いは無いのだ。だが、追ってきたのは俺をじゃない。

 

 白い乗用車の天井の一部が何やら起動し、赤い回転灯がせり出してくる。耳に馴染んだサイレン音と共に、スピーカーから女性の声が響いて来る。

 

『そこの白いバイク! 脇にそれて!』

 

 追ってきた自動車は覆面パトカーで、黒いバイクを追いかけて来たのだ。

 いや、あの速度で走ってりゃ、警察なら追ってくるか。

 もっとも、そんな俺の考えをあざ笑うかのように状況はさらに進む。

 

 覆面パトカーの助手席から男性が頭を出す。先ほど食堂で相席をした男性であった。警官だったのか、あの二人組。

 その男性警官が何かを言うかと思ったが、彼は拳銃を握った腕を出すと即座に発砲した。

 

 どうやら威嚇目的の空砲だったようだが、日本の警察がこんなに引き金が軽い筈がない。

 それにあの男、食堂では気が付かなかったが、どこかで見たような記憶がある。

 

「サイクロンヘル、偽装解除」

 

 男性が何者かはすぐに思い出せなかったが、俺はこの異常事態に即座に行動に移す。

 サイクロンヘルの邪魔な偽装を消し去り腰のベルトに力を籠める。

 

「ライダー変身」

 

 バイクの疾走による向かい風に、ベルトの風車が回る。

 稼働状態に移行した動力炉が周辺のエネルギーを汲み上げ、全身のナノマシンを叩き起こす。それと同時に俺の身体に黒い強化戦闘服がまとわりつき、赤い複眼のヘルメットが頭部を覆う。

 最後に深紅のマフラーが風にたなびき、俺は俺と変わる。

 

 一瞬だけ変身時に違和感を感じるが、理由は分かっているので今は無視で良いだろう。

 

『えっ!? ちょ、ちょっと!? か、仮面ライダー!?』

 

 覆面パトカーから驚きの声が響いてくるが人違いだ。

 もっとも、誤解を解く暇もないので、放置しておくしかない。

 

 俺はサイクロンヘルから飛び降りると同時に、再び並走しようとしていたバイクの後方に飛び乗ろうとする。

 これで相手がただの人間なら、そのまま取り押さえて警察に突き出せばいい。人間相手に変身をした間抜けが一体いるだけで終わる。

 もっとも、空砲とはいえ即座に警察が発砲したように、やはりこの運転者は人間では無かったようだ。

 

 俺の動きにきっちりと反応し、飛び乗る俺を回避し少し進んで反転して止まった。

 そのままバイクから降りると、ヘルメットを脱いでハンドルにかける。まだ若い、やたら目つきの悪い男だ。

 当然だが知っている顔ではない。

 

「なんだよ、今度の獲物は仮面ライダーかよ。へへへ、こりゃラッキーだったな」

 

 変身した俺を見て、目つきの悪い男は破顔する。目つきが悪すぎて邪悪な笑みにしか見えないが。

 俺を見てその反応はまともな人間ではあるまい。そしてこのやたら好戦的な様子。思い当たる人外はあれだな。

 

 そして俺の予想は正解であった。

 目つきの悪い男の姿が虫と人間を掛け合わせたような、人ではありえない光沢のある緑褐色の肌に代わる。

 白いマフラーに同色の腰布、そして古代の面を思わせる独特の触覚付きのフェイス。

 

 間違いない。こいつはグロンギか。

 現代に蘇った超古代の戦闘民族。おそらくは起源を人類と同じにしながら、種族として殺戮に快楽を覚え殺人ゲームを宗教的な行事をする凶悪な種族。それがグロンギだ。

 クウガの活躍により現代に復活したグロンギは一旦全滅したが、一度封印が緩んだためか別の場所に封印されていたグロンギたちは次々に復活、ゲゲルと呼ばれる殺人ゲームに興じている。

 

 俺とグロンギが対峙をしていると覆面パトカーが追い付いて来た。

 停車した車内から、食堂で相席した男女が拳銃を構えた姿勢で降りてくる。

 

 ……あっ! 思い出した。

 

 目つきの悪い男の正体が呼び水となり、警察官だろう二人の男女が何者だったのかを俺はようやく思い出す。

 

 拳銃を構えたまま車から降りて来た男性の名前は一条薫。仮面ライダークウガの相棒と言って良い人物であり、グロンギが引き起こした様々な事件の解決に尽力した。

 現在は超常犯罪捜査課に勤める刑事で、要するに蟹の同僚だ。蟹と一緒にするのはどう考えても失礼だが。

 

 女性は夏目実加。グロンギを蘇らせてしまい、そして最初の被害者となった夏目教授の娘だ。クウガがグロンギと戦っていた頃はまだ中学生だったが、その後は刑事になったと聞く。

 いや、実はそれだけでは無いのだが、その後は特になにも無かったのですっかり忘れていた。

 

「あんたらは前に出るな、危ないぞ」

 

 俺は手を上げて警官二人が前に出ないように制する。

 この二人なら平気な気がしないでもないが、態々危ない真似をする必要は無いだろう。特に爆弾を抱えている奴も居るし、俺が戦うべき状況だ。

 

「どこの仮面ライダーかわからないけど、すまない」

 

 一条さんが前に出る俺を見て、謝りの言葉を入れる。

 しかしどうするか。正直ショッカーライダーである俺が仮面ライダーと勘違いされるのは相当気分が悪いが、どうも警察に『アインロールド=渡世誠太郎』は完全に補足されている。

 流石に食堂ですれ違っただけで気が付かれるレベルでは無いが、警察相手にアインロールドを名乗るのは面倒な事になりかねない。

 

 いや、流石に素顔を見せるとばれるだろうが、幸い食堂ですれ違っただけだしな。

 

 ここはぐっと我慢して相手の勘違いを利用するべきだろう。

 幸い、この世界にはパチモン仮面ライダーはかなりの数がいる。きっと生き延びて組織を足抜けしたショッカーライダーがそのまま仮面ライダー活動をやっていてもおかしくない、多分。

 後で騙されていた、あれはショッカーライダーだったと言っても、もう遅い。

 

「気にするな」

 

 方針が決まればやる事は単純だ。

 グロンギ相手だと尋問など意味はない。連中の行為がどれだけ凶悪で残忍であっても、それは何処まで行っても遊戯でしか無いのだ。

 まともに付き合う必要は無く、ただ打倒して滅ぼしてやればいい。

 

「俺はクウガほどは優しくないぞ。滅びろ、グロンギ」

「へへ、仮面ライダーなんて大ゴマ相手、燃えるねぇ。それに仮面ライダーの後はポリ公のデザートまでいるとはホント今日はツいているぜ」

 

 前に出る俺を見ても、グロンギの男は怯える様子はない。

 それどころか俺を倒した後、二人の警察官をどう殺害するかを考える余裕まで見せる始末だ。

 ちょっと違和感は感じるが、まったくもって度し難い種族である。

 

 先に動いたのは俺だ。

 こいつらの駆除に時間をかけるのももったいない。そう考えた俺は一気に懐に踏み込むと腹部に向かい拳を叩き込む。

 グロンギの男とっても不意打ちだったのだろう。拳に肉を打つ感触が伝わってくる。

 

「ぐほっ!? いきなり!」

 

 とはいえ、そこは超古代の殺戮種族だ。瞬時に地面から足を離し、身体をくの字に曲げ後方に飛ぶことにより衝撃の一部を受け流す。

 逃がす気は無いけどな。俺は奴が後方に飛んだ速度と同等の速度で地面を蹴り追いつく。

 ああ、尋問は意味が無いが、確認するべきことは一つあったな。

 

「一つ聞く。ここしばらくこの地で死者が出る事故が頻発していた。貴様の仕業か?」

「そうだと言ったらどうする!」

 

 俺が言葉を発した一瞬の間にグロンギの男は着地をすると、その勢いを利用し回し蹴りを繰り出してくる。

 左腕を上げてガード。蹴りを食らった部分が軽くしびれるあたり、中々強力な脚力を持っているようだ。

 

「いや、念のため確認しただけだ。他に犯人がいないか探すのも骨だったのでな」

 

 脚力は強くても、俺の防御を突破できる威力は無い。

 そう判断した俺は力任せに奴の蹴りを弾き飛ばすと、そのまま拳の乱打を繰り出す。

 グロンギの男も速度で俺を翻弄しようと走り回りながらパンチやキックを繰り返すが、その速度や跳躍力でも俺が上回っている。

 

 乱打戦を制したのは当然俺だ。

 奴に有利な位置取りを許さず、俺は奴の急所を的確に撃ち抜く。

 とはいえ、やっぱ頑丈だね、こいつら。種として強力な再生能力もあるんだっけ、確か。

 

「ちっ! いい加減にしやがれ!」

 

 このままでは俺の拳から逃げられない。そう悟ったのだろう。グロンギの男は拳の連打が止まる一瞬の間を見抜き後方に飛ぶと、なんと自分が乗っていた

バイクを全力で蹴っ飛ばし飛ばしてくる。

 そして凄まじい勢いで飛んでくるバイクだが……狙ったのは俺ではなく一条さんと夏目さん!?

 ガソリンが詰まったバイクをグロンギの脚力で蹴ったのだ。仮にバイクを回避する事が出来ても、そのまま地面に命中してガソリンが爆発炎上する可能性が高い。

 

 流石にまずい。

 

「させるか!」

 

 そう考えた俺はグロンギに対する追撃を諦め二人の前に回り込む。一直線で飛んでくるバイクに対し、アッパー気味に拳を振り上げる。

 俺の拳に打ち上げられたバイクは、そのままはるか上空に飛んでいく。そしてバッテリーの火花が散ったのだろう。はるか上空で大きな音を立てて大爆発を起こした。

 

「きゃっ!?」

「うわ?」

 

 振ってくる部品のうち大きなものは俺が打ち払ったが、それでも二人は音と小部品の雨に驚きの声を上げる。

 そして、俺が二人をかばった隙にグロンギは予想外の行動に出た。

 

「やってられっか、ばーか!」

「あっ! 待ちやがれ!」

 

 奴はその脚力をもって跳躍、そのまま距離を開き逃亡を企てる。

 そう言えばそうだった。グロンギの目的はゲゲル達成だ。その為に必要なら逃亡位は普通にする。

 恐らくはバッタに近い力を持つグロンギなのだろう。その速度は中々早い。

 

 このまま森の中に入られては追うのが難しくなる。

 加速を使って追いかけるべきだろう。俺はベルトに力を込めブーストを発動させようとする。

 だが、ブーストより早く周囲一帯に響いたその音で、俺は動きを止める事になる。

 

──キュイーン

 

「この音は?」

「えっ!? まさか!?」

 

 同じ音を聞いた一条さんと夏目さんが慌てて周囲を見回す。

 俺は見まわしたりはしなかったが、何が起きても良いように周囲を警戒する。

 

 唯一動きが変わらなかったのは、グロンギだった。

 奴はそのまま逃げ込もうと森の中に走り込もうとして……それに出会った。

 

 赤いボディに金の装飾と同色の角を持つ戦士であった。腰の中央に赤い石のはめ込まれた銀のベルトを巻いており、赤い複眼がグロンギを見据えていた。

 彼は腕を水平に広げ腰を落とす独特のポーズから跳躍をする。

 脚に封印エネルギーを籠め、グロンギの男に向かい蹴りを繰り出す。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「そんな、なんで彼が!?」

 

 敵は俺だけだと考えていたグロンギは、その蹴りを回避する事は出来ない。

 そのまま胴体の真ん中に蹴りが突き刺さり、グロンギの男は大きく弾き飛ばされ崖の下に落ちていく。

 そして、墜落する途中で全身を駆け巡る封印エネルギーに耐えきれず爆発を起こしこの世界から消滅していった。

 

 そして、グロンギをたった一発のキックで仕留めた戦士は、そのまま道路に着地をするとこちらに振り向く。

 

 赤い瞳の赤い鎧の戦士。

 その名前を俺は知っている。そして、俺以上に彼の事をよく知るのが一条薫という男であった。

 

 彼は悔恨と悲しみと、そして喜びが混ぜこぜになった表情を浮かべ、そしてそれを振り切る様に笑顔を作り浮かべる。

 そして、彼はその思い感情を振り払うかのように、まだ距離のある赤い戦士、仮面ライダークウガに向かい大きな声を掛けた。

 

「五代! いつ帰ってきていたんだ!」

 

 呼び声にクウガはこちらを向き腕を上げる。

 その仕草は、きっと一条さんがよく見てきたその仕草なのだろう。彼の表情にどことなく喜びが混じり

 そして……。

 

 

 ぶんぶんと横に振る。

 

 

「すんません、人違いです!」

 

 えっ!?

 

「えっ!?」

「えっ!?」

 

 俺たちがクウガの発言に呆然とする中、クウガは力を抜きその変身を解除する。

 面識は無いが世界各地を旅する五代雄介は鬚を蓄え若干ワイルドというか、いかにも男性と言った風貌をしていたはずだ。

 

 だが、変身を解いたクウガの顔に髭は無い。

 というか、明らかに若い、童顔と言って良い優しげな雰囲気の、いかにもお人好しを絵で描いたかのような兄ちゃんであった。

 オレンジ色シャツが似合うその男性を前に、一条さんが呆然と呟く。

 

「まさか……三人目」

 

 違います。

 いや、違わないけど違う。

 

 彼は3人目ではなく1人目だ。

 ただ、それはこの世界ではない。

 

 クウガの世界と呼ばれる別世界。そこでクウガであった男。

 そして、門矢士と共に世界を旅するメンバーの一人。

 

「いや、3人目って、何?」

 

 小野寺ユウスケ。

 

 一条さんの声に小野寺さんは困ったような反応を見せる。

 そう、別世界の仮面ライダークウガが、俺たちの前に現れたのであった。

 




ミカさん「えっ? 消化器系を改造した記憶は無いんだけど……」


というわけで、予告通りクウガ編の開催です。
五代クウガは何処に!?

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