ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第117話 episode・KUUGA 遭遇

 峠の道を自動車が走る。

 祖父の十回忌の法事であった。就職して家を離れた長男と次男と乗り合わせ、夫婦は夫の実家に向かっていた。午前中に法事を済ませ、夕方には途中にある温泉街のホテルに一泊。そして翌日には東京に帰る。日本ではごく普通の出来事であろう。

 

 長男のSUV車の内装は広々としており、また奇麗好きな長男は車の掃除も欠かさず快適だ。バックミラーにかかっているヒーローを模した人形が揺れているのが気になるが、そんなものはご愛敬の範疇だろう。

 これで後はお嫁さんが来てくれれば。

 母親がそんな事を考えるのも、平和ゆえの出来事だ。

 

「だいぶ道が良くなったね、この辺り」

「本当ねぇ」

 

 運転をしていた長男がこんな事を言う。確かにアスファルトで舗装され側面もきれいに整備されたこの道は良い道だ。

 二人が子供の頃は、この曲がりくねった山道はまだ砂利道であった。当時はバスで通る際にはガタゴト揺れて、尻が痛かった事はよく覚えている。

 だいぶ昔の記憶に夫人はほころび、大きくなった子供と歳を取った自分たちを強く自覚する。

 

 あと数年もすれば夫も定年だ。まだどちらもお嫁がいない事だけは不安だが、その内いい人は見つかるだろう。

 定年後、二人でのんびり旅行をするのも良いな。そんな事を夫婦は考えていた。

 

「ん? あれ?」

 

 そんなありきたりな思考を断ち切る様に、助手席に座っていた次男が何かを見つけ妙な声を上げる。

 それが何なのか同乗者たちはすぐに気が付く。

 

 前方から峠の曲がりくねった道をものすごい勢いでこちらに向かい走るバイクと高級なスポーツカーが一台。

 ざっと見ても、時速100キロは軽く超え150は出ているだろうか? そんな二台が競い合う様に、スポーツカーに至っては逆走までしているありさまだ。

 そして、この曲がりくねり森に隠された道では、対向車に気が付いた時には、もう相手は目の前であった。

 

「うわあああああっ!」

 

 このままでは正面から当たる。あの速度で車が当たればいかにSUV車でも耐えられないだろう。

 慌ててて回避するべくハンドルを切るが、パニックを起こしたドライバーにまともな操作などできる筈もない。

 SUV車は車道をはずれ、ガードレールを突き破り崖下の森に向かい放物線を描き落下していく。

 

 

 長男はハンドルを動かすが空中では車が操作できるはずもない。

 次男が咄嗟に掴んだのは、人形の付いたキーホルダーであった。

 夫が庇おうと、隣に座っていた妻を抱きしめるが、そんな程度で何とかなる訳はない。

 妻は家族の、子供の無事を祈るが、その祈りは果たして通じたのか?

 

 

 その姿をスポーツカーとバイクは気が付いているのかいないのか、そのまま走り去っていく。

 そして大きな衝突音が響きわたり、木々で羽を休めていた鳥たちが一斉に飛び立った。

 

 四人が犠牲となる自動車落下事故。

 それが全ての始まりとなる事件であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、古代の封印を解けなんて命令を受けた俺だが、一つ困った事がある。

 

 封印の場所がわからねぇ……。

 

 うん、そうなんだ。ブラックサタンも封印された場所を知らないらしい。

 いや、厳密には知ってはいるのだ。長野県九郎ヶ岳遺跡付近に封印された事は知っている。問題は、彼が知っていたのは二千年前の場所であり、現在は地形が変わってしまい正確にどこかはわからないのだ。

 巨大な神木の傍って言われても、現代にはそんなデカい木はありません。

 

 泣きたくなったのは秘密だ。

 

 まぁ、泣いても命令が変わる訳では無い。

 

 

 とりあえず手掛かりか何かないか。そう思い俺が目を付けたのは長野県九郎ヶ岳遺跡付近だ。

 現在は日本政府が厳重に管理しているこの遺跡だ。周囲は鉄条網付きのフェンスに覆われている。かつてのようにG3等の警備が常駐している事は無いが、最新の監視装置は常時で稼働している。

 もっとも、最新の監視装置に関して言えば俺には頼もしい味方がいた。

 

 監視装置には俺の姿だけが映っていない状態だ。

 鉄条網付きのフェンスを軽く飛び越え、崖にある入り口に近づく。後付けだろう金属製の扉があるが、鍵を電子ロックにしてあったのが運の尽きだ。持ち込んだ専用の端末を近づけたら、ほらこの通り。金属製の扉は音を立ててあっさりと開く。

 実にサイクロンヘル様々だ。そうでなければ力任せに破壊するより他なかった。何か手掛かりがあると分かっている場所ならともかく、とりあえず宛がないので来た場所で破壊活動をするのは流石に心苦しい。

 

 岩壁がむき出しの遺跡内部は、ひんやりとした空気が流れている。

 凄惨な事件の現場であり、古代の戦士が眠るこの地はグロンギ事件の終焉後は完全に封鎖され、警備機器の点検以外で人の出入りは無かった。少なくとも公式の記録ではそうなっている。

 それゆえだろうか、俺にとっては慣れ親しんでしまった悪意が薄っすらと残っている事に嫌でも気が付く。

 

「誰か俺の前に入ったな、しかも最近……」

 

 ある種の死の匂い、そして微妙な違和感。

 ショッカーライダーになってからこの手の勘が外れた事はめったにない。人の気配はないが、油断はできないだろう。

 俺は慎重に進みながら、ついには古代クウガが眠っていただろう部屋にたどり着く。

 

 石棺はすでに持ち去られており、もぬけの殻だ。

 たしかあれは国立の研究所に納められ、厳重な管理がなされているんだっけ? 他にもめぼしそうなものは国が持ち去ったのだろう。

 グロンギ事件は怪物が再び現れた事件であったし、その参考になりそうなものを持っていくのも当然の判断だ。

 

 だけど……。

 

「隠されていたのは、ここか……」

 

 石室の一角を俺は触る。

 普通の人間が触っても何の変化も起こらないだろう。だが、超常の素養を持つ人間が触れば話は違う。

 

 俺にそんな素養は無いけど、腐ってもショッカーの改造人間だ。科学的な手段で誤魔化す事が出来る。

 どういう技術なのか俺は知らないが、改造人間の大概な能力を考えりゃなんかできるのだろう。

 

 実際開くのだから仕方がない。

 

 継ぎ目など無かった岩が幻のように消えて、その奥が見える。

 とはいえ、部屋ではない。隠されていた壁画が見えるようになっただけだ。

 

「うん、わからん」

 

 古代リント文字で何やらごちゃごちゃ書いているが、残念ながら俺にこれを解読できる素養は無い。

 だが、年季の入った染料が落ちてしまったのだろう絵の部分は辛うじてわかる。

 

 多分古代クウガだろう戦士が、巨大な狼の化け物に剣を突き刺す場面が描かれている。

 周りにいる怪物たちはグロンギか? 獣の頭の怪物や鬼、虫の化け物と戦う場面が描かれていた。

 

 あとは、この辺りの地図か何かか?

 グロンギを封印した場所を描いたのか。

 

 これは、恐らくは古代クウガがかなり強力なグロンギを封印した場面が描かれているのだろう。

 そして、その封印が解けた際の警告文を残したといったところか?

 

 俺は壁画の写真をパシャパシャと取り、データをサイクロンヘルに転送する。

 あいつに古代リント語の翻訳機能はついていないが、時間さえかければそのうち翻訳できるだろう、多分。

 

 問題はこの壁画からショッカーの勇者の情報はさっぱりわからない事だ。

 学術的には大発見なのかもしれないが、俺の目的は果たせなかった。

 

 やがて、岩が再び姿を現し壁画を覆う。

 岩を叩いてみるが、ごく普通の岩だ。生身状態で見える範囲ではこの岩に異常らしい異常は無い。

 何なんだろうね、この超古代の特殊技術ってさ。グロンギやリント族だけじゃなくて、他の連中も現代の水準を遥かに超えているぞ。

 ゴルゴムやバダンとかは数千万、数億年単位でいるみたいだけど、ほんとどうなっているんだろうね。

 

 一応の調査を終えて俺は遺跡を後にする。

 とりあえず翻訳をさせている間に、地元の資料を当たってみるかなぁ。

 くそ、情報部の連中なら調べてくれるんだろうけどなぁ。

 

 そんな事を考え表に出る。

 新鮮な外の空気を吸いつつ、俺はフェンスを飛び越えサイクロンヘルの元に戻る。

 

 さて、どうすっか。

 今回はブラックサタンからの任務という事で、あっちがセーフティハウスを準備してくれている。

 到着して早々出迎えてくれた、デッドライオン殿には丁重に帰ってもらった。あんたは今、幹部不足で忙しいだろう。書類から逃げるんじゃねぇ。通りすがりのストロンガーが来たらどうするんだよ!

 通報を受けてやってきたミスタイタンに首根っこ捕まれ強制連行されていった古参幹部の事はさておき、あたりを調べる準備は十分にある。

 

 それはともかくとして、ここで出来る事はもう無いので一回帰るか。

 幸いグロンギ事件の際に仮設道路は作られているので、サイクロンヘルに乗れば森を歩く必要は無い。

 

 今後の予定を考えだらだら走っていると、ふもとに近づくと脇にキャンプ地が見えてくる。

 真夏の高原だ。当然のごとく家族連れなどのグループで賑わっており、キャンプ場からは当然のごとく悲鳴が……悲鳴!?

 そう、確かに聞こえてくるのは悲鳴だ。それも複数。

 

「休んでいる暇はないのか!?」

 

 思わず怒鳴り声を上げると、俺はキャンプ場にサイクロンヘルのハンドルを切る。ゲートを体当たりで破壊し入り込んだキャンプ場は、確かに阿鼻叫喚と言った有様だ。

 身体の一部からキノコを生やした人々がうつろな表情と緩慢な動作でまだ大丈夫な人に向かい襲い掛かる。逃げ遅れた人にキノコ人間が群がり、次々に噛みつく。犠牲者の耳を劈くような悲鳴がS足りに響きわたり、やがてその悲鳴かパタリと止まる。

 やがてキノコ人間たちが犠牲者から離れ、血だるまのキノコ人間が一人増えて新たな獲物を探し出す。

 

 どこのパニックホラーだよ、これ!

 

 ゲートが破壊され逃げ道が増えた事に気が付いたのだろう。俺のいる方向に逃げ遅れた人が必至に逃げてくる。そんな中、女性が一人足をもつれさせ転ぶ。

 そこにキノコ人間が……。

 

「させるかよ! ふざけるな!」

 

 俺はそのままサイクロンヘルで乗り付けると、芝が荒れる事などお構いなしにドリフトターンを決める。

 その軌道にいたキノコ人間たちが次々に吹き飛び、後方で倒れる。

 

「大丈夫か、あんた!」

「えあ、あ、はい」

「走れるな! さっさと逃げろ! ここは、俺が何とかする!」

 

 彼女の友人たちか。若い男女が慌てって戻ってくると彼女を引き起こし走り去っていく。

 一瞬女性が俺に礼をした気がするが、そんな事を気にしている余裕はない。

 

 まったく、何が何だか……。まぁ、やる事は変わらないか。

 

「ライダー! 変身!」

 

 腰に命のベルトを呼び出し、腕を大きく振るう。

 周囲のありとあらゆるエネルギーを汲み上げ、全身のナノマシンが次々に目覚めていく。

 力が、感覚が拡張していき、それを抑えるかのように虚空から出現した漆黒の強化戦闘服が俺の身を拘束していく。

 赤い複眼のヘルメットと赤いマフラー、黄色と黒の手袋。

 ショッカーライダーアインロールドへと、俺はその姿を変える。

 

 人間があらかた逃げたからか、キノコ人間たちは緩慢な動きで俺に向かってくる。

 緩慢とした動きは変わらないが……ん? まだ生きている!?

 

 サイクロンヘルのセンサーと、俺のセンサー、その両方が汲み上げるキノコ人間のデータは、まだ生存と出ている。

 ゾンビじゃなくて寄生キノコか。

 まだ助けられるなら、何とかするべきだな。そんな事を考えていると、不意にキャンプ場に不愉快な女の声が響く。

 

「あらららららら、本当に仮面ライダー!? 噂のアインロールドじゃない!」

 

 出てきたのは、髪の長いまだ若い女であった。

 目つきが悪い以外は、どこにでも居そうな普通の女だ。TAKESHIブランドのアウトドアグッズに身を包んでいる所だけ見ると、ごく普通のキャンプ客に見える。

 無論、俺の名前を言い当てる者がただの人間である筈もない。

 

 女の姿が変わる。変身後の姿は、予想通りというかキノコ人間であった。

 人型のスマートな見た目の女性隊の怪人だが、頭部などにキノコを醜く合わせ人型の顔に成型したかのような姿をしている。

 その姿は、峠で見た怪物と共通の意匠が見て取れた。

 

 つまり……。

 

「グロンギか」

「そうよ。嬉しいわ、山道を殺したライダーに会えるなんて。ここであなたを倒せばあーしがボーナスポイントゲットよ!」

「ふざけているのか」

 

 いや、グロンギとはそういう生き物だ。

 だが、なまじ人間の言葉を喋り現代風の仕草をされると普段以上に腹が立つ。

 

「ボーナス? 貴様らのつまらないゲーム、今すぐ終わらせてやるよ」

「はっ! 出来るのかしら!?」

 

 そもそも現行人類とグロンギが相容れる訳がない。

 目の前の怪物を抹殺するべく俺は大地を蹴る。

 緩慢な動きしかできないキノコ人間を一足で飛び越えると、キノコ女に向かい拳を振るう。

 

「くたばれ! ライダーパンチ!」

 

 よほど油断をしていたのか、それとも馬鹿なのか、赤いエネルギーを込めた拳がグロンギの頭部にあっさりとめり込む。

 その一撃でグロンギは大きく吹き飛ばされ、後ろへと転がっていく。

 芝をゴロゴロと転がりキャンプ客が残したテントにぶつかりようやく止まる。

 

「ちょ、ひどい!」

 

 何やら抗議の声を上げるが、知った事ではない。

 どうやらグロンギにあるまじき体術しか納めていないようだ。このまま接近戦に持ち込めば俺の勝ちは揺るがない

 もっとも、体術がダメでもグロンギはグロンギだ。一筋縄ではいかない特殊能力を持っていた。

 

「皆もそう思うよね! やっちゃえ!」

「あーうぃー」

「いらーたー」

「うにー」

 

 その言葉と共に、キノコ人間たちが妙なうめき声を上げながら動き始める。奴らは一斉にこちらを向くと、身体に生えていたキノコから一斉に胞子をばら撒き始めた。

 若干赤みを帯びた胞子の霧が芝に到達すると、一瞬で茶色く変色し彼果てる。

 

「毒か!」

「あははは! 唯の毒じゃないわよ!」

 

 キノコ女が指を鳴らすと同時に、赤い毒の胞子が空中に集まると一気にこちらに舞い降りてきた。

 まずい、そう考えた俺は跳躍し後ろに飛ぶ。一瞬前まで俺がいた場所を胞子の渦が通過する。その衝撃に大地は抉れ、更には抉れた後の土ですら毒の胞子で音を立てて腐り溶けて行く。

 

「あんたがどれだけ頑丈でも、あーしの毒の渦に当たれば無事では済まないわよ」

 

 確かに、今の攻撃は相当な威力だ。

 さらにキノコ女の周囲には赤い毒の胞子が渦巻き、赤いカーテンを形成している。

 攻防一体の念動力。しかも動かせるものを自身の胞子に限定した故の大威力……と言ったところか。

 

 俺の装甲と速度を持っても、あの毒の防壁を超えるのは難しい。それほどまでに強固な念動力であり、毒性が強い防壁だ。

 

 だが……。

 

「貴様、そのエネルギーは彼らだな」

「あはっ、気が付いた?」

 

 キノコ女が胞子の渦を形成してから、キノコ人間にされた連中の顔色は加速度的に悪くなっている。

 

 人間にキノコを植え付け、傀儡にする。そして武器となる胞子を作らせ、操作用のエネルギーをも徴収する。

 犠牲者が生きていたのは、このエネルギー徴収の為か。死体からでは大したエネルギーが取れないため、事を起こすギリギリまで生かしておいたのだろう。準備に時間はかかるが、一度発動すれば実に効率的で無駄のないコンボだ。

 

 反吐が出る。

 

「貴様、許さんぞ」

「ショッカーの癖に怒るんだぁ!」

 

 嘲る言葉と共に、赤い胞子の念動拳が飛んでくる。

 すさまじい爆音と共に、地面に穴が開き大地が腐り落ちる。

 

 さらに言えば最悪なのは、キノコ人間となった犠牲者だ。

 緩慢な動きではあるが、それでも俺を包囲するよう動き始めた色が徐々に狭まっていく。

 無論ただの人間、強引に突破をする事も出来ようが、そうすれば彼らがキノコ女の攻撃に巻き込まれることは必至!

 

 多少のダメージを覚悟して突っ込むべきか。

 

 

──キュイーン

 

 

 そう、覚悟を決める俺の耳に、先日峠で聞いた音が届く。

 どこから!? それを探すより早く、キャンプ場に赤い影が駆け込んできた。

 

「させるか! 君も逃げるんだ!」

 

 駆け込んできたのは、当然クウガであった。

 彼は飛び込んで来るや否や、キノコ人間たちを殺さないレベルまで抑えた力で殴り飛ばす。

 数人が弾き飛ばされ退路が出来るが……いや、ここは!

 

「小野寺さん! ペガサスフォームだ! キノコを撃ってくれ!」

「えっ!? いや、わかった!」

 

 あ、そう言えば銃は無いけど大丈夫か?

 自分で言っておいてそんな事を考えたが、クウガは後方に下がるとキャンプ客が残していった大型の水鉄砲を手に取ると、その姿を変える。

 赤かった体色は緑色の姿に変わり、装甲の形状も相応しい物に変わる。

 

 仮面ライダークウガ、ペガサスフォーム。

 超感覚を武器とするクウガの射撃形態だ。その高い能力に対してその代償はすさまじく、短時間しか変身は出来ないという。

 だが、彼が持つペガサスボウガンは比喩表現抜きに文字通りの百発百中だ。

 

 俺がオーダーした通り、クウガが放ったボウガンの矢は犠牲者たちに生えたキノコを全て射貫く。

 

「あははははははは! それであーしのキノコちゃんを封じたつもり!? キノコはねぇ!」

「菌糸が中に張り巡らされているのだろう」

「えっ!?」

 

 カビが生えた食べ物の表面だけぬぐって食べる人が良くいるが、実はあれは危険な行為だ。

 何故なら表面に生えているカビは氷山の一角であり、その根となる部分が食物の中に潜り込んでいる。

 キノコも同じだ。表面だけ取っても、中に潜り込んだ部分が残る。

 

 だが、逆に言えば、キノコは中に潜り込んだ部分とつながっているともいえる。

 

 そして、ペガサスボウガンの矢により、キノコに通じる道は出来た。

 

「ちょっとしびれるが、我慢してくれ! ライダースパーク!」

 

 ボウガンの矢により道は出来た。

 普通に放てば人間もまとめて焼きかねないので出来なかったが、今なら矢を避雷針代わりにグロンギが植え付けた部分だけを焼き払える。

 

 俺を中心に雷が迸る。

 

 今の俺ならある程度の誘導が出来る……気がした!

 電撃は全て正確にキノコに刺さった矢に吸い込まれ、被害者たちの身を蝕む菌糸を焼き払う。

 彼らは少しだけ痙攣すると、次々に倒れていった。

 

「えっ!? うそ!? そんな出鱈目な!」

 

 自身の能力によほどの地震があったのだろう。キノコ女が俺の攻撃の成果に呆然とする。

 だが、そんな大きな隙を見逃す俺ではない。

 雷撃を放った姿勢から腰を落とし一気に天に向かい跳躍する。右足にエネルギーを収束させ、狙いを付ける。

 

「喰らえ! ライダーキック!」

「えっ!? あっ!? きゃああああ!」

 

 俺のライダーキックを受けたキノコ女が後方に吹き飛び、川に落ちる。

 そのまま何とか立ち上がろうとするが、それが女の限界であった。

 腹の魔石が暴走したのだろう。キノコ女は断末魔の叫びすら上げる間もなく爆発し、この世から消えて行った。

 

 被害者たちは……どうやらギリギリ生きているようだ。

 まぁ、後の障害やリハビリはあるだろうが、死ぬよりはいいだろう。

 

 俺はセンサーで彼らの無事を確認すると、白い姿になってしまったクウガに向き直る。

 

「手間を駆けさせたな」

 

 小野寺さんが来てくれなかったら、割と危なかったと思う。

 体術はグロンギとは思えぬお粗末さであったが、あのキノコ女の防壁はかなりのレベルであった。負ける気は無かったが、数日は動けないダメージは追っていただろう。

 

 そんな事を考えながら声をかける俺に、白い姿になってしまったクウガは後頭部を描きながら俺にこう尋ねてきた。

 

「あの、悪いんだけど……。小野寺って誰?」

「えっ!?」

 

 あっ!? 戦っている時は気が付かなかったが、そう言えば先日会ったクウガと声が違う?

 驚く俺に、クウガは変身を解き素の姿を俺に晒す。

 

 その素顔は小野寺ユウスケとは違い、髭を生やしたまだ若い青年であった。

 精悍な顔つきの大人の男ではあるが、どこか人の良さや少年のような明るさを隠しきれていない。

 そんな彼の名前は五代雄介。

 

 そう、この世界の仮面ライダークウガ、その人であった。

 




この闇鍋世界の五代さんは……


Q.キャッシュレス決済できるの?
A.出来ない(無慈悲)

Q.160万人殺害計画でも小事なの!?
A.割と数年おきにその規模の事件が世界の何処かで起きてますので……(白目


3行解説

五代雄介(出典 仮面ライダークウガ)
 伝説を塗り替えた新時代の仮面ライダー、クウガの変身者。冒険野郎で2000の特技を持つ男。
 人々を守るためにアークル(ベルト)を装着してクウガとなる。ただし、戦いを決意した後でも戦いへの忌避感を忘れなかった。
 グロンギの王であるダグバを倒し世界を平和に導くが、戦いの後は一人姿を消す。

プチ原作キャラ解説は……

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