ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話 作:さざみー
一度プロットから見直しを入れたため、時間がかかりました。
時の列車デンライナー、その先にあるのは過去か、未来か……。
♪♪♪♪♪
猪の化け物に追われていたマイちゃんを助けた俺と野上さんであったが、それでめでたしめでたしと話が終わるほど世の中簡単ではない。
そもそも、いくら古代とはいえ、小さな子供が山奥で怪物に追われているというのがおかしいのだ。
リントの戦士と出会ったと勘違いし、喜んでいたマイちゃんがふと我に返る。
「い、いけない! こんなことしている場合じゃなかった! 早く麓に戻ってお父さんを呼んでこないと!」
「一体何があったの?」
「実は……」
市で人攫いが流行っているから気を付けろ。
道中ですれ違った同業者から警告を受けたのは少し前であったそうだ。
大人達が商いの準備をしている中、お供の虫を連れて市を散策する彼女が市のはずれ見かけたのは、頭陀袋に人を詰め連れ去ろうとする一団だ。
当然彼女も見つかり捕まるのだが、幸い彼女が連れている虫の力で抜け出す事が出来た。
「この子たちのこと?」
野上さんは俺の頭によじ登りてしてしと叩く蜘蛛っぽい生き物を指さし尋ねる。
ちなみに蝶っぽい生き物と蜻蛉っぽい生き物も。俺の肩に留まって羽根を休めている。人を止まり木代わりにしないで欲しい。
「うん。お母さんが作った鬼なの。土蜘蛛、雷蝶、火蜂っていうの」
マイちゃんに紹介され、三匹の虫が人の上でてしてしと踊り出す。
鬼と言っても響鬼のような魔化魍退治の専門家の事ではなく、いわゆる超常の生命体全般の事で、錬金術で作るグリードやケミーのような存在なのだろう。
なので、いい加減にどかしてください。
「まぁ、こいつらの事は良いとして、逃げ出しただけじゃないんだろう?」
「うん。逃げ出す最中に連中の目的を聞いたの」
どうやら誘拐犯は近くの村を占領し、村人たちを強制的に働かせ砦を建造しているらしい。
そこに彼女の両親、将軍ジョアイと術師ナスカを呼び寄せ抹殺する気らしい。つまり彼女は両親をおびき寄せる為に誘拐されたわけだ。
なるほど、急いで戻って両親に無事を伝えないと……となるのも道理だ。
彼女の話を聞いた野上さんが少しだけ考えるそぶりを見せ、何かを決意すると俺に向かいこう話しかける。
「ねえ、星太郎……誠太郎? あれ?」
「ああ、誠太郎で。星太郎は普段使っている偽名ですから」
「普段使いの偽名って……」
まぁ、モモタロスたちが知っていた以上、この人に本名を隠す意味はあまりない。
先ほどは普段の習性で偽名を名乗ったが、知られた以上は隠す必要性は無かった。
「え、あ、うん。あのさ、頼みたい事があるんだけど……。その、無理やり働かされている人、助けられないかなって……」
うん、言うと思った。
ちなみに、ここで俺に拒否権は無い。野上さんがどう考えているか分からないが、俺が現代に帰るためにはデンライナーに乗せてもらうしかない。
つまり、彼の安全が第一だが、彼にへそを曲げられないためにも望みは叶える必要があり、彼がそれを望むなら助ける必要があるのだ。
「あ、危ないですよ? なんか強そうな鬼もいたし、村人も家族を人質にとられていて逆らえませんし!?」
「だったら、人質を助けたら、大丈夫かなって」
言い出したら野上さんは止まらないだろう。
まったく、ショッカーライダーのやる事じゃない。仮面ライダーの真似事などしたくは無いが、彼に怪我でもされたら彼はともかくイマジンたちと敵対する事になる。
それだけは避けなければならない事態だ。
「鬼とやらは俺が引き受けますよ。とりあえずは近くまで見に行ってみましょう。無理そうなら撤退して準備を整える事を考えましょう」
とりあえず、偵察ぐらいはやっておいて損はない。そこから先は臨機応変に動けばいいだろう。
俺の言葉に野上さんも静かに頷いた。
時代が時代だ。
砦と言っても木の柵と盛り土による土手、あとは堀という簡素な物であり、少々高台に登れば俺なら全容を確認するのにさほど労は要しない。
なるほど、村人らしき粗末な服を着た男たちが原始的な農具で堀を掘っている。それを監視しているだろう、兜を被った連中が鞭を振りながら何か叫んでいるが……。
「ゴルゴムのトカゲ兵かよ……。初めて見たぞ」
暗黒結社ゴルゴムが戦闘員などの兵種を利用していないのは有名な話だが、歴史上そう言った存在を一切利用していなかった事とイコールではない。
古の昔、あるいは魔王が文明を滅ぼした未来においては量産型の兵を使っていた。それと同じトカゲ兵が村人を監視している。
今いるのは2000年前だ。まだ使っていたのだろう。
あのトカゲ兵が守っている奥の大きな小屋が、マイちゃんの言っていた人質を監禁している部屋かな。もっとも、人間相手だからか兵士たちは明らかにダレた様子だ。
数は10から20程度か……。鬼とやらは見えないが、これなら俺一人で何とかなる。
俺はこの辺りで一番高い木の上から飛び降りると、下で待っていた野上さんとマイちゃんに見た事を報告する。
「とりあえず、村を占拠した連中の数は10程度。建物の中にいる連中を考慮しても20はいない。問題は、あそこにいる連中はゴルゴムだった」
「本当にゴルゴム?」
「間違いない。この時代に使っていたトカゲ兵士がいました」
野上さんは顔を真っ青にして、俺の言葉を確認する。
自分たち以外の文明を否定するゴルゴムはバタンと並び質の悪い組織だ。一応は世界征服を目的としたショッカーと違い、人類を滅ぼす事に躊躇は無い。用が済めば村人が皆殺しになる事はまず間違いない。
なにせ現代でも日本を征服した際には、規模は小さかったがいくつかのジェノサイドが起きていた。
当然野上さんもその事は知っており、彼が顔を青くするのも当然であった。
「数は問題ないと思う。俺一人でも対処は出来るんですが……」
「人質かぁ……」
「用済みになれば皆殺しになるでしょうね。あいつらはそれを躊躇しない。仕方ないので、俺が真正面から叩き潰しますから、野上さんは……」
「うん。わかった。人質を助けに行くよ」
ちょ、なぜそうなる?
電王に変身できるならともかく、今は無理でしょうが。
「いや、山を下りてマイちゃんを市にいるご両親のもとに送り届けてくださいよ。そっちも重要ですよ」
「あっ、そっか。でも、僕が一緒にいても山を抜けるのには足手まといだし……。ゴルゴムなんだよね。危ないよ」
いや、確かに現代人の体力、特に野上さんの体力じゃ獣道を抜けて人里に降りるのはきついだろう。マイちゃんはお供の虫がいるし、一人で抜ける方が安全かもしれない。
個人的には身を守る術の無い野上さんは危険から遠ざけたいのだ。もっとも、弱々しく見せて一癖も二癖もあるイマジンたちを制する野上さんだ。こうなるとテコでも動かないだろう。
結局の所、説得が無理であり、俺に出来るのは釘を刺すしかなかった。
「俺が出来るだけトカゲ兵を引き付けますから、無理そうなら諦めてください。人質が増えたら大変ですから」
「うん」
「任せてください、誠太郎お兄様!」
まてや!
マイちゃん、君まで行く気か?
「あ、あぶないよ、マイちゃん!?」
「野上さんの言う通りだ。君は安全なところに隠れているか……」
「良太郎お兄様一人よりは。お母さんの術も習っていますから大丈夫です」
た、確かに。俺たちと出会うまでこの子は一人で化け物猪から逃げていたんだっけ。今の野上さんよりは頼りになるのかもしれない。
すいません、否定できる要素が無かったです。
結局、メンタル鋼の二人に押し切られる形になった俺は、何度も無理そうなら撤退するよう釘を刺して一人で砦の入り口に向かう。
くそ、こんな時にサイクロンヘルがいれば護衛を任せるのに!
流石のあいつでも時間を越える事は不可能だろうから仕方ないんだが、いなくなると本当に不便で仕方がない。
現代でおろおろしているだろう相棒を思い出しつつ、俺は変身することなく徒歩でだらだらと歩いているように見える仕草で砦化している村の入り口に向かう。
当然だがトカゲの顔をした兵士が近づいてくる俺を見つけ、槍を突き付けて来た。
「貴様、何者だ!」
「止まれ! いや、若い男なら労働力に使えるな?」
まぁ、重機などないこの時代なら若い男は貴重な労働力だよね。
とはいえ、近づいて来る相手にこの警戒は減点だ。
どうやら精鋭では無く末端の練度が低い兵士らしい。一見すれば油断なく警戒しているように見えるが、ここまで接近してきた相手に無警戒に近づきすぎだ。
「油断しすぎだ」
俺は小さく罵倒をすると、先ほどまでのだらけた歩き方をやめ一気に加速する。
相手はゴルゴムのトカゲ兵でも、こっちはショッカー最新鋭の改造人間だ。変身していない状態でも少数なら敵ではない。背後に回り込むと、襟首をつかみそのまま力任せに投げ頭から落とす。
細見の俺からは信じられない膂力で投げられたトカゲ兵は受け身を取る事すら出来ず、頭から真っ逆さまに落ちてそのまま動かなくなる。
「ぐげぇ!?」
「な、なんだと!?」
俺はトカゲ兵が取り落ちした槍を蹴り上げ握ると、あまりの早業に呆然とするトカゲ兵の一人に突きつける。
慌ててトカゲ兵が身を守ろうと槍を構えるが、もう遅い。ヨロイの隙間を縫い槍を力まかせに突き刺した。
「ぎゃあああっ!?」
血と機械部品をまき散らしながら、自分たちが作らせた堀にトカゲ兵士は落下していく。
とはいえ、奇襲で数を削る事の出来るのは此処までか。今のトカゲ兵が上げた悲鳴で他のトカゲ兵も俺の襲来に気が付く。
「て、敵襲だ!」
「相手は一人だ! あつまれぇ!」
おっと、ゾロゾロ集まってきたな。ここからが本番か。
俺は手に持った槍を投げ捨て腰に力を入れる。
命のベルトが虚空より出現し、中央の風車が激しく回転を開始する。周囲のエネルギーを貪欲に食い散らかし、全身のナノマシンが活性化させていく。
「ライダー変身!」
虚空に出現した漆黒の強化戦闘服が俺の身体を縛り上げていく。くすんだ黄色いグローブとブーツが手足を覆っていく。
赤い複眼のヘルメットが頭を覆い、最後に深紅のマフラーが風にたなびく。
俺は俺となる。
「いくぞ、ゴルゴム!」
「き、貴様!? 我らの事を!?」
「まさか、リントの戦士か!?
トカゲ兵たちが驚きの叫びをあげるがそんな事は知った事じゃない。
集まってきたトカゲ兵たちの真っただ中に飛び込むと、間抜けな一体に目を付け力任せに拳を叩きつける。
「ライダーパンチ!」
赤いエネルギーを纏った拳を受けたトカゲ兵は、放物線を描く事なく一直線にはじけ飛び、村を囲っていた柵の支柱にぶつかると、いくつもの建材の下敷きとなる。
状況を理解できていなかった強制労働をさせられていた村人や市で攫われた人々が、ここでようやく事態に気が付く。
自分らでは逆らう事が出来なかったトカゲ兵を倒せる戦士が現れた、その事実に一斉に歓声を上げた。
「リントの戦士だ! リントの戦士が助けに!」
この際、人違いは許容しよう。この時代はショッカーもいなければ仮面ライダーもいない。彼らの認識で俺の姿で一番近いのは伝え聞くリント族の戦士なのだ。
ただ、この悪党同士の潰しあいを正義の味方が来たかのように歓声を上げられては調子が狂う。何度も言うが、俺は闇で蠢くショッカーライダーであり、明るい舞台は慣れていないのだ。
とはいえ感情的に調子がおかしくとも、鍛えた技に影響が出る事は無い。トカゲ兵士が続々と集まってくる中、俺は黙々とトカゲ退治を繰り返す。
「く、くそっ! 隊長を呼べ! それと奴を連れてくるんだ!」
「わ、わかった!」
どうやらマイちゃんの言っていた強そうな鬼とやらの登場か?
俺は逃げて行ったトカゲ兵士の向かった先に目を向ける。
なるほど、確かにそこに鬼はいた。
真っ赤なボディに、頭から生えた二本の角、恐ろしい牙の生えた顔。確かに鬼と言えば鬼だ。
でっかい曲刀を肩に背負っているあたり、確かに怖い鬼だ。
いや、でもこいつの場合怖いというか……、うるさいとか騒がしいというか……。
「へ? モモタロス!?」
そう、そこにいるのはデンライナーにいる騒がしいイマジンズの一人、モモタロスその人だ。
何だってこいつ、ゴルゴム陣営にいるのよ?
「あー。どこの誰だか知らねぇが、悪いがちっとばかり痛い目にあってもらうぜ! 行くぜ! 行くぜ! 行くぜぇ!」
「ちょ!? モモタロス!?」
「俺の事を知っているのか! 俺も有名になったもんだ!」
困惑する俺の事などお構いなしに、モモタロスは激しい剣戟を見せ俺に迫る。
休み暇なく繰り出される連撃はどれも重く鋭い。技の華麗さなど欠片も無い喧嘩殺法ではあるが、その技の冴えは決して侮れない。
しかし、これ演技……では無いよな。こいつにそんな演技が出来るとは思えないし……。
つまり何か、知り合う前のモモタロス? あ、いや、そうか。ここで知り合ったのか? つまり何か、俺は勘違いで本名を教えちまったって事か?
困惑と納得を繰り返す中、モモタロスの剣戟を拳で弾き防ぎ続ける。
一応はミラーワールドでの借りもあるし、野上さんの仲間を傷つけるわけにもいかない。
くそ、もう少し頭の良い奴相手ならこっそりプロレスに持ち込むんだが、こいつだと……無理だよな。
とりあえず一方的に剣戟を受け続けるのもつらいので、エネルギーを籠めないパンチを叩き込む。
エネルギーは籠っていなくても岩も砕くパンチが、たまたま剣を振り上げたタイミングのモモタロスの顔面にめり込み『ぐきっ!』という音が響く。
いや、防げよ。これぐらい。
「へへへえっ、やるじゃねえかてめえ! 少しは楽しくなってきたぜ」
「いや、まずは首を直せよ。待っててやるからさ」
明らかに首を傾けたまま凄まないで欲しい。ちょっとリアクションに困る。
そう言う俺に、モモタロスは素直に剣を下げると両手を頭に当てて首を直そうとしはじめた。
「あー、くそ! 前に首やってから癖になっているんだよ! あー、いてててて……」
多分小野寺さんのクウガに蹴っ飛ばされた時の話だな、きっと。
悪戦苦闘しているが、なかなか元に戻らない。
時間稼ぎになるから良いけど、ゴルゴムのトカゲ兵も唐突に始まったコントに動けないでいるぞ。
そんな首を直そうと頭に腕を当てているモモタロスの背後に、唐突に何かが降り立つ。
それは腕と横腹に飛行用の皮膜を持つ怪人、ゴルゴムのコウモリ怪人であった。
奴は地面に降り立ったが早々、力任せにモモタロスの頭を殴り飛ばす。
「役立たずめ! 何を遊んでいる!」
「ぎゃぁっ!?」
そのまま吹っ飛び、モモタロスは竪穴式住居の壁に突っ込む。
崩壊し埋もれるモモタロスを尻目に、コウモリ怪人は憎しみの籠った目でこちらを睨みつけて来た。
「まさかジョアイを呼び寄せる前に、リントの戦士がやってくるとはな! 丁度いい! グロンギどもに滅ぼされたとはいえ、生き残りである貴様らも邪魔ではあったのだ!」
こいつも人違い野郎か。まぁ、モモタロス相手にするよりはいいだろう。
ゴルゴム怪人相手なら容赦をする必要は無い。
「噂のゴルゴム怪人も随分とおしゃべりのようだな。かかってこい、血祭りに……」
「何しやがる! コウモリ野郎!」
偉そうに現れたゴルゴム怪人を挑発をし始めたその瞬間だった。
崩壊した竪穴式住居が突然爆発……もとい、埋まっていたモモタロスが廃材を投げ飛ばしながら下から現れる。
まぁ、あの程度ならイマジンは痛いだけで死ぬ事は無いので、それ自体は不思議ではない。
「使えそうだから置いておいてやったが、役立たずが!」
「何が置いておいてやっただ! 人の村に突然押し入ってきたのはてめえらだろう!」
「ふん、ゴルゴムの為に使ってやろうというのだ! 感謝されても文句を言われる筋合いは無いわ!」
「なんだとぉ!」
なるほど、どういうわけかはわからないがモモタロスがこの村に厄介になっていて、そこにゴルゴムが来て村を占拠してしまった。
モモタロスは不承不承、ゴルゴムに従わなければならない理由があった。
そういうわけか。
となると、モモタロスがゴルゴムに従わなきゃいけない理由は……。
「大丈夫、モモタロス?」
決して声を張り上げた訳では無い。
それでもこの戦いの場で誰よりも通る声がモモタロスの横から聞こえてくる。
現れたのは当然、野上良太郎さんだ。
少し離れたところを見れば、マイちゃんと見覚えの無い子供や老人たちの姿が見える。
恐らくはあれがゴルゴムに囚われていた人だろう。二人は見事人質を助け出し、こちらにやって来たのだ。
「りょ、良太郎! 無事だったのか!」
「いや、それはこっちが……」
「いやー、よかったぜ。1ヶ月探したけど見つからなかったのによぉ!」
モモタロスは廃材を押しのけながら、野上さんとようやく再会できたことに喜ぶ。
さらに、彼が人質を助け出していた事に感激の涙まで流していた。いや、泣いてはいないが、泣くほど喜んでいたという事にしておこう。
決して目じりに何かが見えた訳じゃない。
「助かったぜ、良太郎! おい、てめえら、今まで散々こき使ってくれたな! これまでの借り、万倍にして返してやるからな!」
なるほど、大体わかった。
野上さんはほぼ俺と同じタイミング、少し前にこの時代に現れたようだが、モモタロスはどういうわけか1月前にこの時代に落ちてしまったのだろう。
そこでご厄介になっていたのがこの村であり、村の老人や子供を人質に取られ、不承不承ゴルゴムに従っていた訳か。
「そこのあんた、面倒をかけたな!」
「気にする事じゃない」
面倒というほどの事はやっていない。
ちょっとばかし剣戟は激しかったが、殺気が乗っていない攻撃だったので余裕を持って捌く事が出来た。
そっけなく応える俺に、野上さんが改めてお礼の言葉を被せてくる。
「でも、ありがとう。誠太郎」
「なんでぇ、良太郎の知り合いかよ」
モモタロスはそう言ってニヤリと笑うと、懐から一本のベルトを取り出し隣にいる野上さんに渡す。
中央の読み取り装置と、赤、青、黄色、紫のボタンが備えられたそのベルトの名前はデンオウベルト。
ベルトを受け取った野上さんは、手慣れた様子で腰にベルトを巻き付ける。
「まぁ、いいか。積もる話は後だ、後! 良太郎、いくぜ!」
「うん!」
そして、流れるような動作で赤いボタンを押すと、ライダーパスを引き出しかざす。
ベルトの中央の読み取り装置が赤く輝き、周囲に力が満ち溢れる。
「変身!」
この時代の人々は聞いた事が無い音。俺には鉄道の走行音とわかる音が周囲に鳴り響く。
遼太郎さんの姿が黒を基調とし、頭部と胸の中央にレールの走る独特のヘルメットと戦闘服の姿、電王プラットフォームへと変わる。
だが、変化はそれだけでは終わらない。
隣にいたモモタロスが電王の身体に吸い込まれると同時に、彼の周囲に赤い鎧が現れ、回転しながら装着されていく。
最後に音を立てて顔のレールを桃としか呼びようのないマスクが走り、顔の中央に収まると二つに割れた。
変身が完了すると、電王は腰を下げ両手を広げる独特のボーズと共に、声高々にお決まりのフレーズを述べる。
「俺、参上!」
2000年前の古代世界に、仮面ライダー電王が参上した瞬間だった。
というわけで、アンケート二位のモモタロスの登場です!
本作世界、ざっくばらんな古代
闇のテオス「うーん、ばた(過労)」
ロードの皆さん「うーん、ばた(過労)」
弥生人アドニス「(凶王の弾圧もあるし)こんな世界いられるか!俺は眼魔世界に行くぞ!」
古代インカ「太陽の石作ったよ!」
グロンギ「とびっきりのゲゲルを楽しもうぜぇ!」
魔化魍「がおー!」
冥黒王「錬金術の深淵を……」
ファンガイア「おお、良い場所あるじゃん(ぞろぞろ)」
ファントム「あんな良い場所、入れ替わらなきゃ!(ぞろぞろ)」
メギド「別世界!? 侵略しようぜぇ!(ぞろぞろ)」
古代の王「錬金術師たちよ! 欲望を力に変えよ!」
真人類「てめーら! いい加減にせいよ!(ぶちぎれ)」
現人類「ちくしょぉ! やってやるぞ!(やけくそ)」
闇のテオス「うーん、うーん」
おまけの解説コーナー
モモタロス(出典:仮面ライダー電王)
電王を構成する4人のイマジンの一人。野上良太郎の最初の仲間で、見た目は桃太郎に出てくる赤鬼。
性格を一言で表せば好戦的なチンピラ。初期の頃はそれでトラブルになった事も多い。ただ根っからの悪人では無く、良識も持ち合わせており情に脆く人懐っこいと、なんとも憎めない性格をしている。
良太郎がライダーパスを返却した後はデンオウベルトの所有者となる。
暗黒結社ゴルゴム(出典:仮面ライダーBLACK)
仮面ライダーBLACKにおける敵組織。創世王を崇め、歴史の裏に潜み様々な文明を滅ぼしてきた。
5万年ごとに二人の世紀王を生み出し戦わせ、勝者が次代の創世王となる。
政治的なアプローチなど様々な搦手も駆使し、最終的に短期間ではあるが日本を征服した。最終的にはブラックの手により創世王は討たれ、組織は壊滅する。
トカゲ兵(出典:仮面ライダーBLACK(漫画版))
少年サンデーに連載された石ノ森章太郎先生の仮面ライダーBLACKに登場した兵隊たち。
滅びの未来世界において南光太郎が出会った魔王の配下。外見は簡素な鎧兜と槍で武装したトカゲ人間。
なお、テレビ版の仮面ライダーBLACKは戦闘員に該当する存在はいない。