ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話 作:さざみー
時の列車デンライナー、その先にあるのは過去か、未来か……。
♪♪♪♪♪
「き、消えた?」
ン・ガミオ・ゼダがアナザーウォッチを握りつぶし破壊した瞬間であった。
周囲を円状にエネルギーが迸り、周囲に衝撃が吹き荒れる。吹き飛ばされる程の威力は無いが、それでも立ち止まって身構える必要がある程度には強い威力だ。
そして、衝撃が消えた次の瞬間、アインロールドの姿は忽然と消え去っていた。
不思議な事など見慣れたメンツではあったが、それでも目の前で唐突に人の姿が消えれば一瞬の思考の間は出来る。
誰しもが硬直する中、真っ先に動き出したのは自身も転移の術を持つキャロルであった。
もっとも、それは必ずしも理性的な行動とは言えない。
「兄ちゃんがっ!? なんで!? くそっ! 追えない!?」
何とか消えたアインロールドを追おうと自身の転移ゲートを開くが、そもそも彼女の転移は移動距離こそ長いが、別次元や時間の移動はできない。
それでも何とか時間移動の可能性を手繰り寄せた彼女は、最優先事項であるアインロールドの為に次の一手を打つ。
「くそっ、ミクねえなら!」
そのまま自身の転移ゲートに身を潜り込ませる。
嵐のように慌ただしくやって来た少女は、帰る時もまた騒動を残し消えていった。
五代たちの目の前に残ったのは、元は山林だった荒野だけだ。
「何が……」
緊張感が消え変身が解けた五代が呆然と呟く。
ウォッチの消失により何らかの空間転移が行われた事だけはわかる。キャロルという少女がアインロールドを追って消えた事もわかる。
だが、それはそれとして誠太郎が何処に消えたのか、それを探る術は無い。
列車の走る音の響く荒野で、3人の男たちは呆然とするより他なかった。
「ん?」
だれともなく、違和感に気が付く。
荒野は良い。グロンギの攻撃により森が吹き飛んだだけでなく、周囲の地形そのものが変わってしまっている。
だが、鉄道の音?
ここは人里離れた山の奥で、当然だが周囲に鉄道なんてものは通っていない。
それなのに、3人の耳には確かに列車がレールを走る際に発生する音が響いている。
違和感に身構える者、呆れて絶句する者、そして周囲を警戒する者。
そして、周囲を警戒した一条が、ついにそれを見つける。
「お、おい! 空が割れているぞ!?」
一条も長いキャリアの中で幾多のこの世の不思議と遭遇しているが、基本的には人間社会を脅かす怪人相手がほとんどだ。
唐突に空が割れるような超常現象は、そうお目にかかれるものではない。一条ほどの人物でも驚きの声を上げるのは仕方がない事だ。
一方、この中で唯一頭を抱えそうになっているのが小野寺だ。
あの空間の裂け目から何が出てくるのかを知っている。絶対騒がしくなる事だけは間違いない。
それゆえの頭痛であり、困惑であった。
「れ、列車だと!?」
空間の裂け目から出てきたのは鉄道のレールと、それを自らの力で敷きながら空を走行する奇妙な列車であった。
見覚えがある先頭車両の赤い窓に、小野寺は今度こそ頭を抱える。
そんな小野寺の仕草などお構いなしに、列車は空をフラフラとあちこちに飛び、宙返りなどを見せた後、ついには土煙を上げて一条たちの前に傾いた状態で不時着する。
「な、何が……」
「大丈夫です、多分」
彼らが呆然としている間に、列車のドアが音を立てて開く。
中から出てきたのは、今の無茶苦茶な動きに三半規管を狂わされてふらふらになった、青と黄色、そして一人だけピンピンしている黒い3人の怪人であった。
「うわー、ぐるぐる回って楽しかったね!」
「うぷっ、回りすぎて気持ち悪……」
「あー、こっち向かないで!」
妙に人間臭い仕草で思い思いの行動をとる三人の姿は、一条や五代の知る怪物とは程遠い。
五代と一条が困惑と警戒をする中、目ざとく小野寺を見つけた紫色の怪人がピョンピョン跳ねながら手を振る。
「あー、ユウスケじゃん! ひっさしぶりー!」
竜を思わせる立派な体躯を誇り恐ろし気な形相をよそに、フレンドリーかつ子供っぽい仕草を見せる怪人の名はリュウタロス。
イマジンと呼ばれる未来人の成れの果てであり、電王と共に歴史改変の野望を阻止したイマジンの一人だ。
予想通りの騒々しいメンツを前に、小野寺はやや引きつった笑みを浮かべ手を振る。
「小野寺君、知り合いか?」
「ええ、まあ。ちょっと……いや、かなり騒々しい連中ですが、悪い奴らじゃ……」
ありません。そう言葉を続けようとした小野寺だが、不意に言葉を止める。
こちらに向かいぶんぶんと手を振るリュウタロスは良い。ちょっと三半規管が狂い過ぎてデンライナーの壁に手をついて口から虹色の物を口から吐き出しそうな、豪放磊落を絵に描いたかのような大柄で頭から太い角を生やした黄色いイマジンのキンタロスも良い。
それの背中をさすっている。一見クールで皮肉ぶっている青い甲羅のような体表のスマートなイマジン、ウラタロスも良いだろう。
問題はこの状況下で一番騒ぎそうな赤いイマジン、モモタロスの姿が見えない。
「あれ? モモタロスの姿が見えないけど?」
いつも列車に乗っている四人のイマジン。そのリーダー格ではないがメインになりやすい一番騒がしい奴がいない。
その事実の指摘に、壁に手をついていたキンタロスがぴょんと立ち上がる。
「そや! こんなことしている場合やなかった!」
「うわ、突然立たないで!」
頭をぶつけそうになったウラタロスが抗議の声を上げるが、それ以上追及はしない。
何せ、確かにのんびりしている場合じゃないのはウラタロスも十分承知していた。
彼は喉元まで出かかった文句を飲み込むと、小野寺に向かいこう尋ねる。
「ユウスケ? ちょっと教えてもらいたいんだけど、ここどこ?」
「えっと、長野県だけど……」
「うわっ、また東京から遠い場所に落ちたなぁ。いや、日本国内で済んだだけマシかな?」
困惑しながらも怪人たちと平然と会話を続ける小野寺に、横で話を聞いてた五代が呆れ1割、好奇心9割の声色でこう尋ねる。
「なんか、個性的な友人たちだね」
「はははは、はい」
何が起きたのか? 実はイマジンたちもまったく理解していない。
攻撃か事故かも定かではない。
ただ、コズミックモモタロスが引き起こした事件を解決し、帰宅の為デンライナーに乗っていた野上良太郎と、たまたま横を歩いていたモモタロス、そしてデンライナーの一部が車両内に突然発生した黒いゲートに飲み込まれた。
彼らが認識しているのはそれだけだ。
「という事があってね」
「なるほど……」
意識を失ったままの夏目もいる。立ち話も何なので動けなくなったデンライナーの食堂車にお邪魔した五代たちはコーヒーをご馳走になりながら事の顛末を聞く。
もっとも、事の顛末を聞いても何が起きたのか理解できる人間などいない。
ただ、彼らの言う通り確かにデンライナーの客席の一部がえぐり取られたかのように消滅していた。
「あの程度で良太郎が死ぬわけあらへん。どこかに落ちただけやから探しに行きたいんやが……」
「デンライナーが壊れちゃってね」
それゆえの蛇行運転であり、墜落であった。
幸い墜落寸前の操作で空き地を見つけられたからよかったものの、これが町に落ちたら大惨事であった。
彼らの言葉に嘘は無いだろう。困惑しているのも間違いはない。
ちょっと良太郎の事は心配しているようだがモモタロスに関してはあんまり心配している様子が無いのは気になったが、態々藪をつついて蛇を出す小野寺ではない。
それよりも気になるのはデンライナーの様子だ。どうやら重要な部品ごと抉れていて、直せるのかどうか見ていて不安になる有様だ。
「修理の当てはあるのか?」
どこかにデンライナーの基地があり救援が来るのか、それとも自己修復するのか。
小野寺の質問に答えたのは意外にもリュウタロスであった。
「あるよ。直せる人がいるし」
「直せるの!?」
「うん、あの人なら直せると思うんだけど。東京なんだよね、いる場所」
リュウタロスの言葉を引き継いだウラタロスが答える。
小野寺や五代を招き入れたのも、説明をしているのも、実はこれが理由だ。
自分達だけなら東京まで行くのは訳が無いのだが、東京からデンライナーを直せる人物を連れてこなければならない。そうなると流石に長野県は遠すぎであり、現地の人間の協力が欲しい所であった。
出来る限り急いで良太郎を助けに行かなければならない。それがイマジンたちの共通の考えだ。
どうせ大丈夫だろうと、彼らの脳裏からモモタロスの安否は奇麗に消えている。
「あと、問題はそれだけじゃあらへん。良太郎が何処に消えたかも探さんとあかん」
通常の時間移動では無く、何らかの事故か攻撃だ。
まともな手段で移動した訳では無いので、どこに行ったのかはわからない。
だが、その答えは意外なところからもたらされる。
そう、自らの端末を立ち上げ、デンライナーのプリンターを借りて印刷していた五代だ。
五代は食堂車に戻ると、大きな紙を広げながらこう話す。
「多分、その野上良太郎って人と、誠太郎。あとモモタロスが流されたのは2000年前の世界だと思う」
「2000年前!?」
意外な言葉に皆の視線が集まる中、五代が皆に見せたのは先日誠太郎が発見した遺跡の壁画だ。
そこにははっきりと、赤い目の戦士、その周囲にいる鬼や獣人などが描かれている。
「最初古代のリントの戦士だと思っていたんだけど……」
「もしかして、この鬼って先輩?」
「あー、こっちの赤い目の戦士はクウガじゃなくてアインロールドか!」
なるほど、特徴だけなら確かに彼らと同じだ。
さらに、もう一つ五代がそう推理した理由がある。
「誠太郎が消滅した切っ掛けも、タイミング的に見てデンライナーの被害も、アナザーアルティメットクウガのウォッチ破壊が原因だろう。あれって、2000年前のものらしいし」
それっぽい理屈を無理やりつなぎ合わせた乱暴な推測だ。
だが、どこに飛ばされたかもわからない誠太郎と良太郎を探すために、まずは目標を見つけるのは悪くはない。
なるほど、デンライナーが自分たちの目の前に現れたのは幸運だったのかもしれない。
「そうか、じゃあデンライナーを直して2000年前に俺たちも連れて行ってもらえば……」
パンと掌を拳で叩き、小野寺が今後の行動方針を口にする。
だが、彼のその言葉に待ったをかける者がいた。
「それはなりません」
騒いでいた彼らの背後から静かだが不思議と通る声がする。
そこにいたのは初老の男性だった。先ほどまで食べていたパフェのスプーンを置き、口元を拭うと盛り上がる面々にこう伝える。
「事故で過去に飛ばされた人間を元の時代に戻す為に同乗させることはかまいません。ですが……」
その初老の男は迫力のある視線を一人一人に向け、こう伝える。
「ライダーパスが無いものをデンライナーに乗せ過去に送る事は、時の運行を大きく歪める事になる。特に、クウガほどの力を持つ者ならば、なおさらだ」
それは時の運行を管理するデンライナーのオーナーとして、当然の忠告であった。
多少の歪みは歴史の流れの中で押し流され忘れられ消えてしまうが、クウガほどの仮面ライダーを過去に送ればどれだけ大きな歪みが出るかもわからない。連れて行って良い道理は無かった。
だが、それでも彼は鬼でも悪魔でもない。必要な助け舟は出す事も忘れない。
「もしも、君たちが過去にいる友人を助けに行きたいのなら、タイムマシンでも借りる事ですな」
「タイムマシン?」
言いたい事だけ言って席を立つオーナーに、五代は首を傾げる。
この時五代の脳裏によぎったのは、青いタヌキ……もとい、ネコ型ロボットが操る絨毯型のタイムマシンだ。
そんな時を超える事の出来る道具など、この時代に……。
「あっ、そっか! 過去を探すならソウゴにも手伝ってもらえばいいじゃん!」
「それだっ!」
「は、は、はくしょん!」
「大丈夫? ソウゴ君風邪? 最近はもうインフルエンザが流行っているらしいよ、夏なのにね」
昼食のうどんを共に食べていた甥っ子が唐突に大きなくしゃみをした事に、常磐順一郎が心配そうにのぞき込む。
風邪を引いた様子は無いが、最近の風邪は質が悪いとも聞く。早々に病院に行かせた方が良いかもしれない。
そんな心配症の叔父に、いつもの自信にあふれた笑みを浮かべこう返す。
「いや、大丈夫。風邪じゃないと思う。ただ……」
「ただ?」
「なんか、誰かに噂をされた気がする」
「あはははは、ソウゴくん、友達多いもんね」
彼の名は常磐ソウゴ。もう一つの名前は仮面ライダージオウ。
全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者。
縁を結び友となった闇の眷属との再会の時は、もうすぐそこまで迫っていた。
コズミックモモタロス「誰もが思うだろう 君のようになりたいと!」
モモタロス「やかましい! 人とおんなじ声で気持ちわりーんだよ!」
サイコモモタロス「うふふふふ、僕を殺してくれるかな」
モモタロス「サブいぼが立つわ! 寄ってくるんじゃねぇ!」
だいたいこんな事件。
そろそろこの辺りから量が膨大すぎて、起きた事件を全部入れるのが難しくなってきた……。
2000年 グロンギが復活しゲゲルを開始する。
2001年 沖縄県與邦国島に謎の漂着物が発見。
警視庁がG3を開発する。
アンノウンによる不可能犯罪が急増する。
アンデッドが解放される。
天ノ川学園高校が開校
2002年 (男の狂気とささやかな願いでねじ曲がった歴史は、一人の女性が見せた勇気と献身の果てに泡沫の夢となり消えた)
2003年 オルフェノクの陰謀が進む。
井上みちるがグラニュート界に拉致される。
2004年 BOARD本部がアンデッドにより壊滅。
2005年 魔化魍が活性化を始める。
2006年 ワームの活動がピークに。
ネイティブが全人類をネイティブに改造しようとする。
2007年 この時代を起点に、イマジンたちが歴史改変を企む。
スカイウォールの惨劇(後にこの事象は無かった事になる)
2008年 ファンガイアが人を襲いだす件数が急増する。
スウォルツによるバス事故発生(後にこの事象は改変される。ただしバス事故は起きる)
風都の探偵左翔太郎が謎の少年フィリップを救い出す。ただし、その際に師匠の鳴海荘吉は凶弾に倒れる。
2009年 大ショッカーが異世界侵略を始める。当然本作世界にも攻めて来た。
風都にてガイアメモリ事件が頻発。
風都にてガイアメモリテロにより風都タワーが崩壊する。
多分スカイウォール世界の風都は数倍治安が悪くなっている。でも翔ちゃんはハーフボイルドのまま。
解説
ウラタロス(仮面ライダー電王)
モチーフは亀の青いイマジン。
キザで皮肉屋で、女の子が大好き。また、口八丁で人を騙す事も好き。また、能力的にも多彩で様々な技能をしれっとこなす。
そんな態度に対して面倒見の良いところもあり、なんとも憎めない性格をしている。
キンタロス(仮面ライダー電王)
黄色がイメージカラーの金太郎イメージのイマジン。彼だけは4人のイマジンズで唯一イメージ元が良太郎ではない。
男気に溢れ豪放磊落を絵に描いたような男。ただし空手と相撲の違いが判らないなど、かなりの天然ボケ。
これだけだと大人びた性格のようだが、イマジンズの例にもれず癖が強いマイペースさを誇る。
リュウタロス(仮面ライダー電王)
ドラゴンのイメージが具現化された紫色のイマジン。
無邪気で気分屋、我儘で甘えん坊と子供のような性格をしている。
当初はに何をするかわからない不気味な存在だったが、良太郎たちとの絆を結ぶ事により精神的な成長を遂げた。