ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話 作:さざみー
時の列車デンライナー、その先にあるのは過去か、未来か……。
♪♪♪♪♪
ジョアイさんとリクさんは、大将軍の真の本体を無事に倒せたかどうか。
上手く隠してはいるつもりだったのだろうが、2000年後の悪の組織の指揮官である俺の視点では露骨だった。
明らかに格の足りていない女騎士を身を挺して守り、自身へのダメージは軽視、そして女騎士そっくりのロボット兵士の登場だ。
ゴルゴムの連中が意味も無く配下を守るほど優しいわけもなく、あの女騎士に何かある……ように見せかけていた。
もっとも、その可能性は俺がリボルクラッシュでエネルギーを弾き飛ばした時に消えた。
怪光線が怪人の群れを薙ぎ払った時に、大将軍は見向きもしなかったからな。人間サイズの時に守っていた女騎士に何かがあるなら、あの時もう少し反応がある筈だ。
女騎士はただのデコイで、本命はどこか別にある。どこに隠すかと考えれば、あのロボット兵士の群れに重要ユニットを隠し、戦いが終わるまで安全な場所に逃がすと考えたのだ。
ゴルゴム大将軍はこの場で倒さないと後々の禍根になる。
そう考えた俺は、ジオウに大将軍を倒す事ではなく抑え時間を稼ぐ事を頼む事にした。一気に倒してしまうと、本体を見抜く時間が無くなるし、混乱に乗じて逃げられる可能性が高い。
外れている可能性もあったが、おそらくはこの読みはそう外れてはいない。
現代だったら通信で確認するところだが、そんな物がないこの時代ならこればかりは二人を信じて待つしかなかった。
「ねえ? これ、落ち始めていない?」
その事に一番最初に気が付いたのはリュウタロスだ。
他のイマジンズが先ほど盾に使われた事でモモタロスともめている横で、彼だけは大きく開いた壁から身を乗り出し地上を眺めていたのだが、どんどんと前の山に向かい降下している事に気が付いたらしい。
サイズがサイズなので頭が消し飛んだ程度で大爆発とはいかないが、制御する者がいなくなった巨大艦は当然のごとく重力にひかれ地上に真っ逆さまだ。
「そりゃ、倒したのなら落ちるだろう」
リュウタロスの当然の指摘にギーツが答えた。
この言葉に今の今まで騒いでいた残りのイマジンたちがぴたりと動きを止める。ようやく自分たちが空の上にいる事を思い出したようで再び騒ぎ出す。
「うわー、どうするんだよ!落ちる、このままじゃ落ちちまう!」
「先輩がやったんでしょ!」
「男ならここはどっしりとな!」
「どっしりとしたら駄目だろ! 急げ! デンライナーに戻るんだ!」
この程度の高度なら落ちても平気だろう、お前ら。実体化を解除して空に浮かんでも良いし慌てる必要もない。
いや、落ちても死なないし怪我もしないが、痛い事は痛いから嫌なのか?
落ちる事に騒ぎまくるイマジンたちには、先ほどまでの戦いで見せた頼もしさは欠片も残っていない。ほんとギャップ差で風邪をひきそうだ。
「よっと、いたいた」
「無事か、お前ら! ……って、何を騒いでいるんだ?」
俺とギーツが呆れて見ていると、壁の大穴を潜り抜け空で戦っていたジオウとゲイツがやってくる。
割と激しいドックファイトをしていたと思うが、傷らしい傷は何処にもない。さすがは魔王と救世主の卵と言ったところだ。
そんな飛んで来た二人に対し、イマジンズたちが縋りつく。
「ちょ、ちょうどいい! 掴まるからゆっくりと降りるんだ!」
「え? 何を? 縋りつくな! まとわりつくな!」
「ちょっと、モモタロス落ち着いて」
疾風で飛べるゲイツに、モモタロスが縋りつき、縋りつかれたゲイツは必死にモモタロスを引き剥がそうとする。
ちなみにジオウはちゃっかりとゲイツを前に出して盾にしていた。
ほんと緊張感がないな。
そんな呑気な考えが出来たのは此処までだった。
俺も含め、この場にいる人間は歴戦の戦士だ。
それゆえに、その異質な雰囲気に気が付かない者はいない。
俺やギーツ、ジオウは元より、つい先ほどまで騒いでいたゲイツやイマジンまでもが真顔になり、気配を感じた方向に向かい構えを取る。
あのリュウタロスすら真顔で武器を構えるのだから、尋常な気配ではない。
やけに静かに感じる通路の先から、足音が聞こえてくる。それほど待たずして、その男は暗い通路を通り過ぎこの場に姿を現す。
それは、市で薬草を持っていた男であった。
服装こそ白銀の鎧に青いマントという豪華なものに変わってはいたが、あの時の薬草売りの男には間違いない。
だが……。
なぜ俺は、あの時この男に何の注視もしなかった?
この時代に置いて俺やギーツを超える長身、鍛え抜かれた体躯、長く伸ばした長髪。柔和にも、どう見ても尋常な人間では無い。
それなのに、市にいた時、俺はこの男を見てもただの薬草売りとしか認識できていなかったぞ。
背筋が凍るような恐怖が俺を襲う。
あの時この男に悪意があったのなら、俺は成す術もなく殺されていたかもしれない。
「参ったね。電王にギーツ、ショッカーライダーというだけでも過剰戦力だというのに、ジオウにゲイツ、クウガが二人。一体どうなっているんだ? しかも、目当てのジョアイはいないと来た。私の運の悪さも相当だな」
こちらを認識している……だと?
しかも名前まで正確に? 現代以降の未来から来た存在か!?
俺たちが声も出せずにいる中、真っ先に問いかける事が出来たのはジオウであった。
「あんた、何者だ?」
「ああ、失礼した。未来の魔王殿。私の名は白夜王。この時代でこの島より西の地で王を務めていたものだ」
「白夜王……だと?」
「知っているのか!?」
その言葉に真っ先に反応したのは、この時代に生きるギーツだ。
彼驚き、震える声で俺の問いかけにこう答える。
「ああ、ローマよりはるか北方の、雪と砂、そして岩に閉ざされた大陸を治めていたとされる王の名前だ」
「治めていたとされる?」
「ああ、俺が生まれるよりずっと前、50年以上昔の話だ。白夜王の王国は神の怒りを買い一夜のうちに滅んだと聞く」
その言葉に俺たちは目を見張る。目の前にいる白夜王を名乗る男の年恰好は精々二十歳前後だ。
どう考えても半世紀も前の人間の姿には見えない。
だが、そんな若く見える王はギーツの言葉を苦笑いで受け流しながら、こう補足する。
「エース、君のその認識で間違いは無いよ。私が治めていた王国は神の怒りを買い、滅び、今は白き砂漠が広がるのみだ。100年もすれば我が王国のあった大陸は海の底に沈み、未来には何の痕跡すら残させてもらえないだろうね」
この時代で神っていうのは闇のテオスか?
何をやった、その王国と大陸?
国が亡びるだけならまだしも、大陸ごと海の底に沈められるってのは尋常じゃないぞ。
「その王様って奴が日本に何の用だ? 神に復讐でもする気か?」
「そうだね、神に恨みが無いと言えば嘘になるが、事情もそれなりに把握している。復讐なんて不毛な事に時間を費やす気は無い」
モモタロスの問いかけに、白夜王は律儀に答える。
こいつの名前は、聞き覚えがある。俺がこの時代に飛ばされる直後、キャロルとグロンギの会話にその名が出た。
つまり、現代において俺たちを襲った白ウォズの崇める神がこいつという事だ。2000年も前の時代なので現代の事件にこいつが直接関わっているかどうかは定かではないが、ミクやキャロル、アニータを救出するための情報として有用となる可能性があった。
気を抜けば気押されそうな圧力を必死に耐えながら、俺は出来る限り情報を引き出そうと頭を回転させる。
「復讐で無いのなら何の用だ? しかもジョアイに用とは。ゴルゴムと同じ狙いか?」
「ゴルゴムと一緒にされるのは流石に心外だよ。ただ、サタンサーベルを譲ってもらいたいと思っていた点では、ゴルゴムと同じかな? あれはこの世に有ってはならない物だからね」
ジオウやゲイツといった未来のライダーの事を知っている。復讐を目的とはしない。神の事情にも通じている。この時代には存在しない日本という単語を聞き流す。サタンサーベルは有ってはならないものと考えている。
こいつの未来での二つ名は救済神。こいつを崇める連中の目的を士は『終活』と称した。
見えそうで見えないこいつの目的に歯噛みしつつ、俺は言葉を選ぶ。
「ならばこの場に何の用だ。ジョアイは別件で席を外しているぞ」
「ああ、うん、まぁ、サタンサーベルについては後からでも良いけど、先に邪魔者を排除しておこうと考えてね?」
「邪魔者?」
殺気がある訳では無い。
だがそれでも、俺たちの背筋に冷たい物が流れる。
「これからちょっと大掃除をしなきゃならないのでね。仮面ライダーである君たちは必ず邪魔をする」
「ゴルゴムの連中なら好きに掃除をしろ。別に止めたりはしない」
「違う違う。この地にいる、リントの影響を受けた存在さ。まったく、これでは歴史が大きく変わってしまう」
まるで仕方ない。ちょっと片付けなきゃならない。それが虐殺につながったとしても、仕方が無い事と考える。
こういう奴を俺は知っている。ショッカー大首領や闇のテオスといった、超越者特有の歪んだ正義感だ。
「ゲイツ!」
「分かっている!」
奴の言葉に、皆が動く。
ジオウとゲイツが腰のジクウドライバーに巨大なバックルを装着する。
黄金の巨大な時計と赤い輝きが乱舞し、グランドジオウとゲイツマジェスティがこの場に姿を現す。
「皆、もう一度いくよ!」
「わかった! お前ら、もう一回気張るぞ!」
電王が再び腰のベルトにケータロスを装着し、4人の力を結集させたクライマックスフォームに変化する。
生身の人間にどれだけ過剰な警戒をしているのか。
そう思わないでもないが、これだけの戦力があっても安心できる要素は無い。
それほどまでの圧力を、俺たちは白夜王から感じていた。
「やれやれ。こうなるのが分かっていたから私自ら来たんだけどね。特にジオウとゲイツの相手は、騎士たちには荷が重い」
そう語ると、白夜王はばさりとマントをひるがえす。
一瞬奴の姿が俺たちの前から消え、マントが地面に落ちた時、奴は腰にベルトを巻いていた。
白夜王はベルトの中央、ドライバーに片手を添えると軽く回転をさせる。
同時に、腰のベルトより野太い男の声が響く。
『救済の刻!』
「そ、そのベルトは!?」
「ま、まさか!」
白夜王の腰のベルトに見覚えがあったのは、ジオウとゲイツ。そして俺だけだ。
本来そのベルトは金色の輝きを持つが、白夜王のベルトは白銀の輝きを放っていた。
『博愛! 布施! 救世! 救済神!』
白夜王の足元に巨大な白銀の時計が出現する。
時計の針が一つ進むごとに、地の底より絶対零度の吹雪が吹き荒れる。
白夜王はその息吹をものともせず、奴の身がその奥で変わっていく。
『逢魔骸慈王!』
一人のライダーが出現する。
白きスーツに、白銀の装飾。顔に刻まれたライダーの三文字のマスク。
奇抜でありながら荘厳、最強、最善、最高の化身と同じ姿をしたライダーに、俺は思わず絶句する。
「オーマジオウだと……」
かつてレジスタンスとして魔王と戦った経験もあるゲイツが、変身した白夜王の姿を見て思わず呟く。
そう、白夜王の姿は、まさしく時の王者、最低最悪の王、そして常磐さんの未来の可能性であるオーマジオウそのものであった。
もっとも、白夜王にとっては違うようだ。ゲイツの呟きを耳ざとく聞きつけた奴は、苦笑交じりにこう答える。
「偉大なる未来の王を模倣したまがい物さ。オーマ・ガイ・ジオウ、この姿ではそう名乗らせていただいている」
よりにもよって、ふざけているのか?
変身して見せたという事は、これ以上の情報収集は無理か。
俺はそう割り切ると、先陣を切って駆け出す。
「アイン!」
駆けだした俺をジオウが慌てて止めようとするが、この場で一番頑丈に出来ているのは改造人間である俺だ。
最初から出し惜しみなしに、右腕にエネルギーを籠める。現在放てる最強のパンチを繰り出す。
白い光の軌跡が真っすぐにオーマ・ガイ・ジオウの顔面に向かい伸びてゆく。
だが……。
「良いパンチだね、アイン……一号か」
リボルケインに等しい貫通力を持つ俺の拳は、あっさりとオーマ・ガイ・ジオウの掌に止められる。
まるで万力に挟まれたかのように、拳は押しても引いてもピクリとも動かない。
「それは裏切り者の旧式の名前だ。俺の名はアインロールドだ!」
何とか離れようと膝蹴りを繰り出すが、それすら片手で弾かれ止められる。
出力が桁違いだ。
一方、俺の言葉にオーマ・ガイ・ジオウは首を傾ける。俺の言葉の意味が分からないと、首をかしげこう言った。
「ショッカーライダーがジオウと仲良くしていて、それでも一号を裏切り者扱い? 未来はよくわからないな」
そのまま、俺を掴み無造作に振り回す。
圧倒的なパワーに俺は抗う事すら出来ず、そのままあっさりと投げ飛ばされ背後の壁に強かに打ち付けられる。
肺から空気が漏れる。パワーが段違いだ、これではまるで……。
「ああ、初めに……いや、もう初めじゃないか。ただ、フェアでは無いので伝えておこう。この姿はまがい物だが、力はオーマジオウにも引けを取らないものに仕上げる事が出来たと自負している」
奴の言葉が何処まで本当かどうかわからない。いや、奴自身オーマジオウの力を正確に測れている訳では無いだろう。
だが、奴が圧倒的な力を持っている。その事だけは間違いなさそうであった。
「なので、出来ればこれから私のやる事の邪魔をしないで欲しい。そうすれば君たちを無事未来へ帰す事を、王の名の下に保証しよう」
「そんな言葉、信じられるか!」
「俺は未来人じゃないのでな、邪魔をさせてもらうぞ」
オーマ・ガイ・ジオウの言葉に電王が刃で応え、ギーツが銃弾の返答を浴びせる。
だが、その攻撃すら意味をなさない。オーマ・ガイ・ジオウが何処からともなく引き抜いた剣の一振りでクライマックスフォームの電王は弾き飛ばされる。
無敵と言って良い防御能力を持つクライマックスフォームだが、オーマ・ガイ・ジオウの一撃で電王の変身が解除され、その場に野上さんと4人のイマジンが姿を現す。
「そ、そんな?」
野上さんは辛うじて意識がある。いや、違う。
4人のイマジンが野上さんを守ったので、彼だけは無傷であった。
電王が倒された一方、ギーツの弾丸は不可視の障壁により弾き返される。
そして、王はまじまじとギーツを見つめこう言った。
「この時代にギーツがいるのはおかしいと思ったけど、どうやら何か混じっているね」
「なにっ!?」
「その力は、この時代には不要な物だ。私から未来に返す事としよう」
どういう意味だ?
そう問いかけるより早く、オーマ・ガイ・ジオウは掌をギーツに向ける。そこから突風状のエネルギーがギーツを襲う。
必死に足を踏ん張りその力に耐えようとするが、オーマ・ガイ・ジオウの力は圧倒的だ。その突風に晒されたギーツは軽々と体を宙に浮かす。そして、徐々にライダーの姿が後方に流され、はぎ取られていく。
そこに残ったのは、金髪とも銀髪ともとれる、彫の深い異国の青年の姿であった。
いや、まて? 未来ってエースじゃなくて浮世英寿? いや、神になった英寿の事か?
俺の疑問などお構いなしに、力の奔流がエースからギーツの姿を奪い去る。
力の多くを奪われたエースが意識を失い、その場に倒れる。
「エース!」
エースの身が床に落ちてくる前に、俺は慌てて駆け寄りエースの身を受け止める。
良かった。意識は失っているようだが、息はある。理屈はわからないが、エースからギーツの力を奪っただけのようだ。
しかし、別のライダーから力を剥奪するだと?
いや、歴史を継承し、力を奪うジオウと同等の能力をあるのなら、あるいは可能なのか?
あっという間にギーツは力を失い、俺と電王が叩きのめされた。
この状況に判断を下したのは、意外にもジオウであった。
「ゲイツ。少し抑えて! 三人を逃がすよ」
「分かった。任せておけ!」
ゲイツマジェスティがナイトの持つウイングランサーを呼び出し、オーマ・ガイ・ジオウに斬りかかる。
必死に槍を振るうゲイツに対し、オーマ・ガイ・ジオウは明らかに余裕のある動作で槍を受け流す。
特殊能力だけじゃない。体術も一流という事か?
「アイン、君はエースたちを連れて下に降りるんだ」
「まて、俺も!」
「エースがいたら、全力を出せない!」
常磐さんの言葉に、俺は何の反論も出来ない。
ギーツの力を失ったエースだけではない。大将軍との戦いでダメージを負い、力を消耗している俺たちはこの場では足手まといという事だろう。
悔しいが、常磐さんの言う事は間違っていない。
「すまない、この場は任せる。来いサイクロンヘル!」
俺の叫びに、サイクロンヘルが走ってくる。
バイクにエースを乗せる。意識を失ったイマジンたちも……。
「僕がモモタロスとキンタロスを運ぶから、誠太郎はリュウタロスとウラタロスをお願い」
「どうやって!」
「久しぶりだけど……大丈夫!」
そう言うと、野上さんは腰にデンオウベルトを再び装着する。
そのままケータロスをバックルに装着し、変身シークエンスを起動させた。
そうか、まだ電王にはそれがあったか!
野上さんが電王の姿に変身する。
赤いボディーを主体としたカラフルな姿。野上さんが単独で変身する、電王のライナーフォームであった。
「雄介さんたちも、デンライナーに乗って離脱するって言っている。誠太郎も」
「わかった。常磐さん! ゲイツさん! すいません!」
そのままバイクにエースとイマジンたちを乗せた俺たちは、壁の穴から外に向かって跳躍する。
そんな俺たちの背後から、オーマ・ガイ・ジオウの声が響く。
「やれやれ、逃げてくれて助かるよ。世界を守る仮面ライダーを殺すわけにはいかないからね。さて、一仕事させてもらうとするか」
グランドジオウとゲイツマジェスティと切り結びながら、亡国の王はその力を大将軍の亡骸に向け解き放つ。
その瞬間、俺たちの背後にあったはずの巨大戦艦が姿を消す。
そして、ゴルゴムの老将軍の亡骸を生贄に闇が生まれる。
その闇は筋骨隆々の赤い肉体を誇り、金色の鬣を誇る一体の王であった。
ン・ガミオ・ゼダ。異世界のグロンギの王。
未来で俺たちが倒したはずの存在。それが何故?
いや、違う。
そう、奴がこの世界にいた理由がこれだった。
この時代、この場所で、オーマ・ガイ・ジオウによりン・ガミオ・ゼダは呼び出された、それが答えなのだ。
地表を見れば、ゴルゴムの大将軍のロボット兵士たちが次々と闇に喰われていく。逃げるどころか、断末魔を上げる暇すら奴らには与えられない。
ただ、闇に喰われたロボット兵士の姿は奇怪に歪み、無数のグロンギたちへと新生していく。
あのグロンギたちにゲゲルを行うような理性は無いだろう。明らかに動きが理性のある生き物のそれではない。
奴らは本有の赴くまま、野獣のように飢えを満たすため方々に散りはじめている。そう、これが白夜王の、オーマ・ガイ・ジオウの目的だった。
奴の目的は、このあたり一帯を、リントの影響が強いこの地をグロンギにより滅ぼさせるつもりなのだ。
理性無きグロンギの王が、咆哮を上げる。
太古の地に、グロンギによる悲劇が再び幕を開けようとしていた。
ブラックサタン「(ピキピキ)そこの君、怒らないから何をしたか言ってみなさい」
オーマジオウ 「若き日の私に、力を送ろうとしたのだ」
常磐ソウゴ (なんか嫌な予感がしたんだよね。オーマフォームを使わなくてよかった)
RX 「ここは、やはり俺が助けに!」
ブラックサタン「黙って座ってろ! これ以上事態をややこしくするんじゃない!」