ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第20話 episode・FOURZE 悪の組織はホウレンソウが足りない。

 ノリと勢いで如月さんとその生徒を助けたわけだが、この後どうするか……。

 まず当たり前だが、セーフティハウスには連れて行けない。ショッカーとは関係の無い、俺が独自に確保した部屋なのだが、無関係な人間を連れ込めるわけがない。

 だからといって、襲われていた経緯がわからない以上はこの場に放置ってのも目覚めが悪い。なにより彼らは貴重な情報源だ。

 とりあえず怪人の爆発を聞きつけて人が集まってくる前にこの場を離れ、事情を聞くことにした。

 

 

 住宅地の片隅にある小さな公園。観光都市京都でも、こういった住民の憩いの施設は当然ある。

 

「とりあえず、すぐに襲われる心配はないだろう」

 

 センサーに妙な影は映らなかった。すぐさま追っ手のおかわりという事態は無いだろう。

 俺は変身を解きながら、息を切らせてベンチに腰をかける二人に自販機で買ったジュースを投げて渡す。

 

「えっ!? わかい?」

「別に珍しい話でも無いぞ、暁美。助かったぜ、えっと……」

 

 息を切らせていた女子生徒が変身を解除した俺の顔を見て驚く。とはいえ、如月さんの言う通り珍しい話では無い。何より当の如月弦太朗さん自身が高校生の時はライダーをやっていたのだ。

 名前は……、別に隠している訳でも無いので構わないか。

 

「アインロールドと呼べ」

「アイン・ロールドか……。よろしくな、アイン。俺は如月弦太朗。天ノ川学園高校の先生にして、全てのライダーと友達になる男だ」

 

 拳で一回胸を叩いた後、ビシッと腕を突き出すポーズ。

 知ってた。ただ俺はショッカーライダーなので除外してくれ。あと、人の名前を妙な所で切らないで欲しい。それじゃまるであやしい外人さんだ。

 

「こっちは俺の生徒で御堂暁美、陸上部のエースだ」

「あ、え、えっと、御堂です」

 

 如月さんのノリにイマイチ着いていけないのか、あるいは襲われたショックがまだ抜けていないのか、しどろもどろに挨拶をする。

 一般人ならこんなものだ。持ち主が虚弱体質で戦うのが無理そうだからといって、ベルトを無理やり取り上げて早々にライダーへ変身できる奴がおかしいのだ。具体的には目の前の先生。

 さてと、どうするか。仲良くする必要は無いが、話だけは聞きたい。

 

「いきなりですまないが、何でネオショッカーに襲われていたんだ?」

 

 助けたのは気まぐれだが、ネオショッカーが出てきた以上は事情を聞きたかった。なんせ、奪取して来いと幾つかのネオショッカーの基地の場所だけ教えられて派遣されてきたのだ。

 大首領の無茶ぶりはいつもの事ではあるが、もうちょっと情報が欲しかったのも事実だ。

 ちょっとでも奴らの動向が分かるチャンスは実にありがたい。

 

「あいつら、ショッカーだったのか」

 

 バシンと拳と手のひらを打ち付けながら如月さんが言う。

 

「あいつらはネオショッカーで、ショッカーとは違う」

「え? でもショッカーなんだろう?」

「ネオショッカーだ。人類滅亡を目指すネオショッカーと人類支配を目指すショッカー。似ているようで微妙に違う別組織だ」

 

 自分で説明をしながら、見分ける意味って無いよなぁ……、などと考える。

 最終目的でいえばネオショッカーはショッカーと比べても格段に危険な組織だが、襲われる一般人視点でいえば大差が無い。

 俺も含めてどいつもこいつも滅んだ方が世の為人の為のクソ野郎だ。

 

「別の組織なのに、なんでネオショッカーなんだ?」

 

 その疑問は同感だが、俺に聞かれても困る。

 

「それは連中に聞いてくれ……。俺も知らない」

 

 一方、俺たちの会話を聞いた御堂さんは、見る見るうちに顔を真っ青にしていく。

 

「あの、うちの兄貴、人類滅亡を目指している連中に捕まっているっぽいんだけど……」

「捕まっている?」

「うん。お母さんに頼まれて、部屋に荷物を届けに行ったんだけど……」

 

 

 如月さんと御堂さんの話を聞き終えた俺は他人事ながら頭を抱える。

 つまり何か。話を総合するとあいつらがコズミックエナジークリスタルを奪ったのは大首領を復活させるためで、その素体候補が御堂さんのお兄さんと。

 そんでもって、誰かがお兄さんを探しに来ないかと見張っていたら御堂さんが来たので追い掛け回していたと。そうしたら元仮面ライダーが来たので襲い掛かったと……。

 

 アホか、連中。

 

 いや、途中までは良いよ。そういう作戦だと考えればおかしくないし、重要な素体なら関係者が探さないか見張るのもありだと思う。

 問題は後半。なんで女子高生を追い掛け回すんだよ。完全に遊んでいるだろう、それ。

 もっとも、実のところ巨大な力を与えられ、人間を嬲る楽しみに目覚めた怪人やパチモンライダーというのは意外と多い。力が全てという理論がまかり通っている組織なので倫理観を説く奴もなく、趣味に走る奴に歯止めが利かないのが現状だ。

 

「大体わかった、お兄さんの写真はあるか?」

 

 俺は空になった缶を握りつぶすと、御堂さんに問いかける。

 もっとも、今どきの高校生が家族の写真を持っているなんてことは無かった。

 

「あ……えっと、流石に……。スマホがあればお母さんに送ってもらえたんだけど」

「あ、信夫の写真なら俺が持っているぞ」

 

 逆に、持っていたのは如月さんだった。

 どうやら受け持った生徒との写真を保存していたらしく、スマホには生徒と一緒に撮影したらしいサムネがずらっと並んでいる。

 ちらっと見えた、青肌黒パンは気にしないでおこう。

 

「これこれ、この一番ガタイの良い奴が信夫だ」

 

 どうやらアメフトの試合の後らしく、顧問の教師や応援に来ただろう生徒たちと一緒に撮った写真だった。

 このガタイの良い奴ね……。

 

「俺が潰したネオショッカーの基地に、この人はいなかったな」

 

 別の基地に捕まっているのだろう。

 急いだほうがよさそうだな……。

 

「あんたらはホテルに戻って大丈夫だ。おそらくはもう追手がかかる事はまずない」

 

 これはネオショッカーに限った話ではないが、怪人というのは手柄の横取りを恐れて進捗の報告、連絡、相談をしない事が多い。まして今回は高校生を追いかけ回すといった遊びに興じていたのなら、間違いなく他所への連絡はしていない。

 

「おっ、おい、ちょっとまてよ。アイン。お前どこに行くつもりだ?」

 

 この場を後にしようとする俺を如月さんが呼び止める。

 

「あんたらの話だと、ネオショッカーの作戦はだいぶ進んでいる。急がねば間に合わなくなるからな」

「一人で行く気か? 仲間とかはいないのか?」

 

 俺の背中に何を見たのか、如月さんがそう問いかけてくる。

 仲間……か。ショッカーライダーである俺には縁遠い言葉だ。

 

「ずっと一人さ。御堂さんのお兄さんがいたら助けておく。それじゃあ、情報助かりました」

 

 そう答え、二人の前から去って行った。

 

 

 情けは人の為ならずとはよく言ったものだ。

 二人からの情報はそれなり貴重なものだった。

 

 相手がクリスタルを奪った目的や、計画が大詰めの可能性がある事がはっきりした以上、ゆっくり休んでいる暇はない。

 休む予定を変更して、ネオショッカー基地への襲撃を繰り上げする事にした。

 

 8人の仮面ライダーが総力を上げてようやく倒したネオショッカー大首領だ。特にその巨体は天を衝くばかりであり、かつて8人のライダーとの決戦場は荒野だった。

 だが、今回ネオショッカー大首領の復活場所として選ばれたのは現代の京都市街だ。こんな場所で復活なんぞされたらどれだけ被害が出ることやら。

 

 そして被害もだが、ショッカーとしても街中ではあまり暴れられたくはない。

 これを理由に防衛力がさらに強化でもされたら、世界征服の障害にしかならなかった。

 ついでに言えば、クリスタルが使用されて奪取できない状況にでもなられたら、何の為に京都まで来たのかと泣くに泣けない。

 

「圧が強いな」

「gy……ga……」

「煩わしい。黙れ」

 

 怪人の頭部を握り潰しながら、小さく呟く。

 奥を見れば、鮭の怪人や毛虫の怪人が基地の奥に逃げていくのが見える。

 今まで襲った基地は怪人が一人、あとはアリコマンドしか居なかった。だが、この基地は既に怪人が四体出ている。

 

「当たりの可能性があるか」

 

 頭を握り潰した怪人の死体を駆け付けてきたアリコマンドの集団に投げつける。

 怪人の爆発に巻き込まれ、アリコマンドが吹き飛ぶ。

 

「さて、どっちに行くか」

 

 一人で作戦に従事していると独り言が多くなって困る。

 とりあえず毛虫怪人が逃げて行った道を進む。アリコマンドがワラワラと出てくるが、俺の敵では無い。

 アリコマンドを殴り殺しながら進んで行くと、広い空間に出る。

 例によって用途のよくわからない巨大な機械に、何でこう目立つ場所に作るのかよくわからない檻と捕らわれた一般人。そして毛虫怪人の……死体?

 

「全く嘆かわしい。栄光あるネオショッカーの怪人が、仮面ライダー……、それもあの8人以外に背を見せるとは」

「貴様は、魔神提督!?」

 

 悪魔の様に捻れた角の兜を被る、金色の鎧姿の男。こんなに目立つ外見の男など、魔神提督以外にいないだろう。

 ってか、最後の目撃証言は昭和の頃。スカイライダーに倒されたはずだが、蘇っていたのかよ。

 まぁ、死んだ奴が生き返っているのは、この業界ではよくある事だが。

 

「ほう、永き眠りの果てに忘れ去られたと思っていたが、儂の名を知っているとは殊勝な心構えよ」

「貴様は色々と有名でな。蘇っていたとは」

 

 油断せずに構える。これまでの怪人とは違い、ネオショッカーの大幹部だ。

 こちらは最新鋭の改造人間といえども、確実に勝てると言える相手では無い。

 

「仮面ライダーどもに恨みをはらさずに死んでいられるものか。まずは貴様から血祭りにあげてくれよう、名も知らぬ仮面ライダーよ!」

 

 長剣を派手に振り上げながら魔神提督は宣言する。

 全くどいつもこいつも……。

 

「誰が仮面ライダーだ……、節穴揃いめ」

 

 勝手に仮面ライダー呼ばわりされることに苛つきを感じ、腹立たしさを込めて俺は名乗る。

 

「何っ!?」

「俺はショッカーの使者アインロールド。魔神提督、その薄汚い命をショッカーに捧げてもらうぞ」

 

 仮面ライダーなどという裏切り者と一緒にするな。……仮面ライダーの名は正義の戦士にこそ許される名前だ。

 

「なるほど、貴様はショッカーの飼い犬か。有象無象の若造ライダー以下のつまらぬ雑魚であったとは、儂の見る目も落ちた物よ」

「雑魚かどうか、貴様の身で試すが良い」

 

 鼻で笑う奴の言葉を受けて、俺は一気に踏み込むと拳を振るう。

 だが、流石はネオショッカーの大幹部。風より早い俺の拳を剣で軽々と受け止めた。

 

「ぬるいわ!」

 

 そのまま受け止めた勢いを速度に加え、一回転しながら横なぎに剣を振るう。

 後方に避けた俺の強化戦闘服の胸に、一文字の傷が出来る。

 だが、振り切った状態なら!

 

「ライダーチョップ!」

 

 収束したエネルギーで赤く輝く手刀が魔神提督に迫る。振り上げた手刀が奴の肩当を跳ね飛ばす。

 

「貴様ぁ!」

 

 さらなる追撃に踏み込もうとする俺に、魔神提督が蹴りを繰り出す。

 流石に当たるわけにもいかず後方に跳ぶ俺に、魔神提督の剣が迫る。

 

「食らうかっ!」

 

 床を蹴って、後方に飛ぶ動きを前方への踏み込みに切り替える。

 振るわれる腕を掴み、動きを止める。

 

「貴様ごときが儂に触れるな! ショッカーの飼い犬!」

 

 奴が怒声と共に繰り出した蹴りが俺の胴に突き刺さる。そのパワーに吹き飛ばされ、一転二転転がる。

 

「ワハハハハハ、これでも食らえ!」

 

 唐突に魔神提督の左腕が肩から外れ宙を舞う。

 指先に仕込まれたミサイルを放ちながら、四方八方に飛び回る。

 

「くっ、ブースト!」

 

 こっちは飛び道具は無い。だが、この程度の攻撃なら俺の速度なら避ける事は容易だ。

 超高速モードに入った俺は腕が放つミサイルを避けると、魔神提督の本体に迫る。

 

 だが……。

 

「小童が! その程度の速度で、この魔神提督に届くと思ったか!」

 

 俺の速度に合わせたカウンター。

 袈裟懸けに振るわれた剣が俺の胴を切り裂く。爆発を起こし、俺は再び吹き飛び壁にぶつかる。

 

「……っ!」

「ほう、悲鳴を上げないだけ有象無象のライダーとは違うようだな……。だが、速く動く程度の芸は何度も見たわ!」

 

 油断した気はない。

 一直線に接近するような迂闊な真似はしていない。

 だが、それでも魔神提督は俺の動きに合わせカウンターを放ってきたのだ。

 

「性能だよりの動き、特殊能力だよりの戦い。幾人ものライダーの真似事をした若造を葬ってきたが、誰一人としてあのスカイライダーには及ばんわ!」

 

 確かに最近開発されたライダーシステムの中には高速機動をする物も多い。そういった連中との交戦経験があるのか。

 ダメージは小さくない。戦闘能力は2割減といったところ。

 

「一発入れた程度で、ずいぶんと嬉しそうだなロートル!」

「まだ吠えるか! だが、所詮は負け犬の戯言よ!」

 

 腕を戻した魔神提督が剣を振りかぶり迫る。

 ダメージを受けた今、まともに当たれば無事では済まない。剣ではなく腕を中心に受け止める。

 隙を見てパンチで反撃する。だが、魔神提督の鎧に傷をつけても本体には届かない。

 

「煩わしいわ! 死にぞこない!」

 

 離れた瞬間、奴の剣に光が灯る。

 音を立てて、漏れ出した稲妻が周囲の機器を破壊し始める。

 

「いい加減に地獄に行け、ショッカーの飼い犬!」

 

 まともに食らうわけにはいかない。

 回避……。いや、しまった!?

 

 咄嗟に腕を交差し、全エネルギーを防御に回す。

 次の瞬間、莫大な雷撃が俺の身を襲う。

 砕けそうな身体を、引き裂かれそうな神経を意識の力で引き留める。

 

 わずかな時間の後、雷撃が去った後の場所には全身を黒く焦がした俺が、たまらず片膝をついていた。

 

「ぐふぁ……」

 

 口から血が垂れる。

 内部にまでダメージが届いている証拠だ。脳内には埋め込まれた機器類のエラーが次々に報告されていく。

 まだ……変身は解けていない。これなら、まだ戦える。

 

 何とか立ち上がろうとする俺を、魔神提督はゴミを見るような目で見ながら剣を鞘に納めた。

 

「ふん、つまらん」

「何のつもりだ、魔神提督」

 

 俺の言葉に、奴は鼻で笑う。

 

「ショッカーの使者を名乗りながら、なぜ背後の奴隷を庇う。それではまるでライダーではないか」

 

 そう、俺が咄嗟に回避から防御に切り替えたのも、後方にいた牢に捕らわれた人を庇うためだった。

 あのまま回避していれば、彼らは雷撃で消し飛んでいた。

 

「それがどうした……俺が何をしようと……」

「そうショッカーの使者と組織の威を借りながら、ライダーの真似事をするとは下らぬ。スカイライダーを始めとする8人の仮面ライダーはもちろんの事、今まで切り捨ててきたショッカーの怪人や有象無象のライダーもどきにも劣る半端者よ」

「なにっ!」

「くっくっく、半端者の貴様にちょうどいい死に方をくれてやろう」

 

 いきり立つ俺に、魔神提督は酷薄な笑みを浮かべ、壁際のスイッチをたたき割る。

 唐突に基地全体にけたたましいサイレンが響き渡る。

 

「こ、これは!?」

 

 狼狽する俺に、魔神提督はこう宣言する。

 

「作戦は既に開始の時刻となった以上、この基地はもう不要。たった今、作戦開始の狼煙とするために自爆スイッチを押した!」

「なんだと!?」

 

 流石に聞き捨てならぬセリフだ。

 だが、俺の驚きの声など無視をして魔神提督はさも愉快そうに語る。 

 

「喜べ、我がネオショッカーの基地を貴様の墓標としてやろうというのだ!」

「俺が脱出できないとでも!?」

「おお、脱出をしたければすれば良い。だが、背後の奴隷どもは生き埋めよ!」

 

 あっ!

 なんという悪辣な真似を考え付くんだ、この男は。

 

「ダメージを受けた貴様が死力を尽くせば、奴隷どもは助かるかもな。貴様だけ脱出すれば貴様のつまらぬライダーごっこは終わり、ライダーごっこを続ければ貴様が死ぬ。どちらにせよ、貴様は此処で終わりよ」

 

 死んで矜持を守るか、矜持を捨てて惨めに生き延びるか。半端者に選択肢を与えて苦しめようというのだろう。

 腹立たしいが、歴戦の大幹部らしいやり口だ。

 

「さらばだ、ショッカーの犬よ。地獄で我が大首領の復活を見ているがよいわ!」

 

 その言葉と共に、奴の姿が通路の向こう側に消える。

 あの野郎……人をなめやがって……。

 

「ひ、ひいい!」

「きゃああああ!」

 

 落ちてくる岩石に、牢に捕らわれていた人が悲鳴を上げる。

 あー、くそう!

 

「ライダーパワー……フルブースト!」

 

 ベルトの風車が限界を超えて回る。

 エネルギーが限界を超えて全身を駆け巡る。

 深刻なダメージを受けている全身が悲鳴を上げる。だが……。

 

「ライダーァァァァァァァッスクリュウゥゥゥゥゥゥゥッッキィィィィィック!」

 

 体を高速で回転させながら、その身を上昇させていく。

 俺のキックは天井を突き破り、岩盤を砕き、土砂を地上に巻き上げ地上への巨大な直通ルートを生み出す。

 そのまま落下し、着地姿勢もできぬまま牢の傍に落ちて全身を叩きつける。

 

「がああっ!」

 

 右足に砕けるような痛みが走る……。いや、骨が砕けたのだろう。

 だが、止まれるか。止まってなるものか。

 ああ、わかってるさ、こんなのごっこ遊びだって。俺の罪が消えるわけもない。

 ミカを連れてショッカーから逃げる事も、あいつらの仇を見つける事も出来ない。悪の組織に属しながら捨てられぬ善性という欲望でライダーごっこに興じる、ただ大首領の慈悲に甘え怯える口先だけの半端者が俺だ。

 

「お前たち、牢に捕まれ。脱出する」

「えっ!?」

 

 返事を待たず、俺は彼らの入った牢を持ち上げる。

 

「きゃあああっ!」

「うわわわっ!?」

 

 悲鳴を上げているが、彼らが掴まったかどうかを確認する余裕は俺にはない。

 

「いくぞ……、トゥッ!」

 

 そのまま牢を持ち上げ地表まで飛ぶ。

 牢を乱暴に地面に降ろす。中の連中は、無事とは言い難い姿だが全員いるようだ。今の無茶な脱出で牢は歪んでおり、抜け出す事もできるだろう……。

 それを確認する事が、俺の限界だった。

 

 ミカ、悪い……。約束……、守れそうにない。

 

 深い闇の底に落ちていきながら、俺はこの場にいない少女の事を思い意識を放棄した。




あれ? 怪人相手に無双させるつもりがなんで魔神提督と戦っているんだ?
つか、魔神提督、こんなキャラじゃないだろう! もっと愉快で姑息な悪党だろう、お前!

今回は話ができるまで大変だった……。文章力が欲しい。
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