ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第26話 episode・FOURZE ノリに乗った仮面ライダーってすごいなと思いました(こなみかん

「あいつら、コズミックエナジーを何だと思っているんだ!」

 

 苛立ちまぎれの怒声と机を叩く音が研究室に木霊する。

 研究室の観測機器を立ち上げた賢吾の第一声がこれであった。

 

 広い大学の構内といえども研究室まで普通ならのんびり歩いても10分程度。決して長い道のりではない。

 ましてバイクを使ってだ。本来ならすぐに到着する道のりだが、決して平たんな道のりではなかった。

 どこにこんなに残っていたのか、そう思うほどのアリコマンドを蹴散らしての行軍。インガ・ブリンクとステルスを駆使する謎のバイクの援護が無ければ、到達するのは相当困難であっただろう。

 

「何かわかったのか、賢吾!?」

 

 預かった銃を片手に入り口を守っていた弦太朗が賢吾の怒声に反応する。

 建物の入り口はブリンクと謎のバイクが陣取りアリコマンドを退け続けているが、それでも防衛施設ではない建物だ。先ほどから散発的にではあるがアリコマンドが侵入してきていた。

 

「ああ、システムを立ち上げただけでわかったよ……。京都中のコズミックエナジーを集めている」

「どういうこった?」

「あいつらが言っていた怨念エネルギー、おそらくそれはスターターとして活用しただけで、既に枯渇している。今あの大首領を支えているのは京都に降り注ぐコズミックエナジーそのもの。いや、コズミックエナジーを食らいながら成長している大首領・ゾディアーツと言うべき存在だ」

 

 観測機器のモニターには、リアルタイムでコズミックエナジーが収束していくさまが克明に表示されていた。

 その起点になる物、それは……。

 

「奴の額の人造コズミックエナジークリスタルが、エネルギー収束用の起点となっている」

「それを引っ剥がせば……」

「奴は大幅に弱体化する。少なくとも今の強靭な肉体は維持できない」

 

 そして、京都中のコズミックエナジーを食い尽くせば、ネオショッカー大首領は完全に復活を遂げるだろう。賢吾はそう話を締めくくる。

 

「よっしゃ、あれを引っ剥がせばいいんだな」

「ああ、ライ……」

「まかせろ! ちょいと行ってくるぜ! 賢吾はブリンダと合流してくれ。大丈夫だな」

「大丈夫だが……」

 

 そう叫ぶと、弦太朗は賢吾の言葉を最後まで聞かずに飛び出していく。

 観測に必要最低限な機材を無理やり引っ張りぬきながら弦太朗の姿を見送る賢吾だが、ふと不安を覚え小さくつぶやく。

 

「あいつ、わかっているのか?」

 

 無論、弦太朗はやる事はわかってはいる。ただ、そのやることが賢吾の考えと少々違っていただけだ。

 

 

 

 

 ※※※※※

 

 

 

 

「わっはっはっは、その程度か、仮面ライダーどもよ!」

 

 やたら機嫌よく笑うネオショッカー大首領の声があたりに響く。

 非常にむかつくが、あれが笑うのもわかる。

 俺を含む3人のライダーだが、ほんの数分の戦闘だというのにもうボロボロだ。

 

 まずあの巨体がとんでもない。雑に手を振るう、踏み潰そうと動くだけで大きな衝撃が発生する。飛び散る瓦礫や礫だけでもダメージを受けるのだ。

 紙一重で避けるという事が出来ない。そのため無駄な動きを余儀なくされて、想像以上に体力と精神力を削り取られていた。

 

 更に奴の吐く火炎も厄介だ。俺の断空ライダーチョップやスーパー1の冷熱ハンドでダメージは軽減できても、完全に打ち消す事など出来やしない。結局、熱や着弾時の爆発でダメージを受ける。

 耐熱性に自信があるとはいえ、それでも長時間何度も攻撃を受けた時の装甲の劣化は無視できる物ではない。

 

 せめて右足を上げてくれれば、超加速で入り込んで奴の弱点である足の裏にきついのを一発喰らわせてやるのだが、あの野郎先ほどから右足だけは大きく上げやしない。

 あの図体のくせに、小賢しいったらありゃしない。

 

「大丈夫か、アイン、メテオ」

 

 銀の肉体をところどころ焦がしたスーパー1が俺達に確認してくる。

 先ほどから前線に立っているというのに、いまだに直撃らしい直撃が無いのは流石だ。

 

「俺のエネルギーは無限だ……この程度は何ともない」

 

 瓦礫を払いながら答える。

 先ほど払いのけられた際に勢いを殺しきれず校舎に突っ込んだのだ。

 周りには机や椅子の残骸が散乱しており、巨大怪物が暴れた際の余波をうかがい知る事が出来る。

 

 接近戦を余儀なくされている俺は、この中では一番ネオショッカー大首領の攻撃を食らっている。

 ナノマシンによる修復は常時働いているとはいえきついと言えばきつい。口が裂けても言わんけど。

 

 一方、エネルギーに関しては本当に余裕があった。詳しい事は説明を受けてもちんぷんかんぷんなのだが、俺は周囲の熱や光、空気の流れ、果ては重力や時間からもエネルギーを取れるらしい。流石に一度に使えるエネルギー量にこそ限界はあるが、理論上は無限に稼働するそうだ。

 最初は別のエネルギーシステムだったはずだが、気が付いたら交換されていた。

 

「俺もまだ大丈夫だ」

 

 そう答えたのは膝立ちのメテオだ。こちらも最初の尻尾の絡め取り以降は直撃が無いのだが、中身が強化改造を受けていない生身の身体だ。

 鍛え抜かれた格闘家といえども、立て続けの連戦で体力的にきついのだろう。

 

「やせ我慢もその程度にしておけ。おとなしく俺に殺されるがいいわ!」

 

 俺たちの会話を聞いていたネオショッカー大首領が再び動く。

 奴の尾が再び振るわれ、周辺の建物をなぎ倒しながら迫りくる。狙いはメテオか!?

 

「させるか! ライダーキィィィィック!」

 

 建物から抜け出した俺は、ネオショッカー大首領の尻尾に向けてライダーキックを放つ。

 数秒の拮抗。弾き飛ばされたのは俺だが、今回は態勢を立て直し着地する。

 

 一方、俺の作った数秒の隙にメテオは後方に下がると、メテオストームシャフトにスイッチを装着した。

 

「助かった、アイン! 食らえ、メテオストームパニッシャー!」

 

【OK!】

 

 シャフトから解き放たれたコマが超高速回転をしながらネオショッカー大首領の尾に迫る。

 その鋭い回転が奴の尾を切り刻む……、が。

 

「この程度のおもちゃ、俺には通用などせんわ!」

 

 再び振るわれる尻尾に、コマが弾き飛ばされメテオの手元に戻る。

 切り刻めたのは表皮だけか。

 

「硬すぎるだろう!」

 

 思わず叫ぶが現実は変わらない。

 奴が力を籠めると切り刻まれた表皮がもこりと再生を始め、見る見るうちにあっさりと元に戻った。

 いや、何この再生能力?

 

 京都にいるはずの仮面ライダーが到着する様子が無い。

 おそらくは大首領復活を受けて士気が回復したネオショッカー怪人どもに手こずっているのだろう。

 

 弱点はわかっているが、正直手詰まりだ。

 流石に焦燥感を滲ませる俺達だったが、不意に遠くからバイクの爆音が……。

 

 援軍か?

 

「うおおおおおおおお!」

 

 って、あの叫び声は。

 

「弦太朗!? ど、どこに!?」

「あ、あそこだ!」

 

 思わず音がするほうを指さす。

 何あの人……。

 なんで校舎の屋上をバイクで爆走しているんだ……。

 

 って、飛んだぁ!?

 

 何か知らないが校舎の屋上をバイクで爆走していた如月さんは、校舎の屋上からバイクで跳躍する。向かうのは……ネオショッカー大首領!?

 

「特攻のつもりかぁ!?」

 

 ネオショッカー大首領が叫びながら腕を振るう。

 跳ね飛ばされるバイクだが、当の本人はそこからジャンプし、腕にしがみついたかと思うと立ち上がり、その腕を駆け上がっていく。

 って、あの人生身だよね? 何あの身体能力?

 

「根性見せてやる!」

「離れろ! 人間風情がぁ!」

「うるせぇ!」

 

 俺たちがあまりの展開に呆然としている間にも、如月さんはネオショッカー大首領の頭に取りつく。

 ネオショッカー大首領は如月さんを振り払おうと頭を激しく振るうが、彼は角にしがみつき離れない。

 

 それどころか額に取りつくと、懐から拳銃を取り出した。

 

「こいつは賢吾が作ったもんだ! ダチの宝物、返してもらうぜ!」

 

 そして発砲。

 その衝撃でネオショッカー大首領の額から何かが零れ落ちる。

 

「うがっ!?」

「おっ、おっと!?」

 

 それをキャッチしようと如月さんが体勢を崩す。

 やばい! あのままじゃ落ちる。如月さんがいかに常人離れした身体能力を持っているといえども、あの高さから落ちたら無事じゃすまない!

 

「ブースト!」

 

 俺は温存していた能力を切る。

 超高速機動。俺の能力が発動し、周囲の時間が飛んじゃったかのように動きが緩慢に見える。超高速特有の思考の高速化で、周囲の動きが遅く感じているのだ。

 俺は通常の数倍の速度で跳躍すると、落下を始めていた如月さんを空中で受け止める。

 

 超高速のまま生身の人間を運ぶのは正直危険だ。超高速状態を解除する。

 それと同時に目に見える光景も、思考の速度も普通のスピードに戻っていく。

 

「うお、アイン!? 助かったぜ!」

「無茶をする!! ほんとあんたって人は!」

 

 如月さんが手に持っているのは……人造コズミックエナジークリスタルか?

 ネオショッカー大首領の額のきらめきはそれだったのか?

 

「こいつがあいつの力の源だ、これであいつはパワーダウンを……」

 

 人に抱えられながらそう語る如月さんであったが、不意に言葉を切る。

 いや、というか俺も彼に何か言う前に困惑する。

 それは、俺たち二人の耳にこんな音が聞こえてきたからだ。

 

【Three!】

 

 え、ナニコレ?

 

【Two!】

 

「ちょ、なんだ、この音!? アイン、お前がやっているのか?」

 

 俺は自然落下に身を任せながら首をぶんぶんと横に振る。俺にこんな機能は無い。

 というか、如月さんも知らないのか?

 いや、この流れ知っているけど。知っているけど……。

 

【One!】

 

「な、何が起きているんだ!?」

「えっ!? ちょっと、これ何が!?」

 

 困惑しつつも着地する俺達であったが、如月さんの手に握られていたクリスタルがひと際強く輝き、何やら彼の上に金属を思わせるリングが出現する。

 唐突に如月さんの持つクリスタルからすごい勢いの蒸気がほとばしり、上空のリングから放たれたまばゆい光が彼を包み込む。

 彼の身を白を基調として黒とオレンジのラインが入ったスーツが包み、とんがり頭のヘルメットにはオレンジの複眼……。

 

 俺はその姿を知っている。

 そう、その姿は……。

 

 

 

「何だか知らないけど、うちゅううううううううう! キタアアアアアアアアアアッ!」

 

 

 

 

 そう、その姿は仮面ライダーフォーゼ。

 宇宙の力、コズミックエナジーを受け取り、40のアストロスイッチを駆使して戦う仮面ライダー。

 だが、ベルトの消滅と共に、この世から姿を消した仮面ライダーだったはずだが、なんで変身できたの?

 ベルト無かったよね?

 

「な、なんで?」

「いや、俺も何が何だか分からないけど……」

 

 流石に予想外の展開過ぎて呆然と呟く俺と困惑しているフォーゼに答えを持ってきたのは、いつの間にかこの場に再び駆けつけていた歌星賢吾先生だった。

 

「お前、何やっているんだ!? いや、今のは……ネオショッカー大首領のイビルパワーにより封じられていたコズミックエナジーがリリースされたことによりオーバーフローを起こし、如月の強いイメージに引きずられそのエネルギーをマテリアライズしてフォーゼをリプダクションさせたのか!」

 

 いや、全然わかりません。

 というか、横文字だらけで理解不能です。

 

「いや、全然わからないぞ、賢吾」

 

 如月さんもわからないようです。

 とはいえ、クリスタルのエネルギーにより一時的にフォーゼが再現された。程度に考えておこう。

 それだけのエネルギーがあるなら。

 

「これ、借ります」

 

 俺は如月さん……いや、仮面ライダーフォーゼの手にあるクリスタルを勝手に奪うと、ベルトに近づける。

 

「お、おい。アイン!?」

「エネルギー観測……。OK。波長同期開始……」

 

 如月さんが困惑の声を上げるが、状況が状況なので許してもらおう。

 おし、エネルギーの同期は終わり。これなら……吸収できるな。

 やってみるか……。

 

「変身」

 

 俺の掛け声とともに、ベルトに人造コズミックエナジークリスタルが吸収される。

 膨大な量のエネルギーが身体を駆け巡ると同時に、俺の身を包み戦闘強化服にも変化が始まる。

 より強靭な装甲を、攻撃力を……。

 

「姿が……あまり変わらないな」

「言わないでください」

 

 歌星さんの批評に、俺は情けなさそうに応える。

 まぁ、変わった部分は一部のパーツがメカニカルになったのと、スーツの色が若干薄くなったぐらいだ。

 間違い探しレベルの変化しかしていない。

 

 ネオ一号みたいになるかなーなどと考えていたが、そうは問屋が卸さなかったようだ。

 

 とはいえ、今まで以上のパワーが出せる。

 これなら、いける。

 

「アイン、弦太朗」

 

 俺たちの所にスーパー1とメテオがやってくる。

 唐突にありえない変身を遂げたフォーゼと、なんかいきなりパワーアップっぽい事をした俺に心配そうに問いかけてくる。

 

「大丈夫なのか、君たち?」

「絶好調だぜ」

「問題ない。今なら奴を倒せる」

 

 スーパー1の問いかけに自信満々で応える俺。

 嘘ではない。もう勝利の方程式は決まっている。

 

「おのれええええええええ、仮面ライダーが一匹増えた程度で!」

 

 クリスタルを奪われ苦しんでいた大首領だったが、どうやら持ち直したようだ。

 以前より確かに感じる圧力は減っている。とはいえ、4人のライダーで戦うにはまだ圧倒的な力を持っているだろう。

 

「いや、お前はもう終わりだ。ネオショッカー大首領」

 

 4人を代表してという訳ではないが、俺は自信を込めて宣言する。

 

「貴様のうすぎ……」

「俺たち4人で、タイマン張らせてもらうぜ!」

 

 と、俺の言葉をかぶせてきたのはフォーゼだ。言わせないという強い意志を感じる。

 まったく調子が狂う。

 

「何を言う。死ぬのは貴様らだぁ!」

 

 そして再びネオショッカー大首領が動き出す。

 奴は大きく息を吸い込むと、その巨大な口から炎を吐き出した。

 

「やらせん! チェンジ、冷熱ハンド!」

 

 だが、その動きに真っ先に反応したのはスーパー1だ。

 緑の腕に換装すると、左腕の指先をネオショッカー大首領に向ける。

 

「冷凍ガス、発射!」

 

 左腕の小手から発射されて白いガスが邪竜の炎を包みこみ、瞬く間に消していく。

 

「如月さん!」

 

 俺は駆け出す一瞬前に、4人にだけ聞こえるような小声で一言耳打ちをすると一気に駆け出す。

 それに続くのはメテオだ。

 

「大丈夫ですか、メテオ!?」

「あの程度でへばる、軟な鍛え方はしていない! それと、俺の名は朔田流星だ!」

 

 なんでこの状況で自己紹介?

 まったく、この人らは理解不能だ。それが嫌でないのが本当に理解不能だ。

 

「じゃあ、朔田さん。合わせて!」

「わかった!」

 

 身を任せてはいけない心地よさを感じながら、俺は地をかける。

 そんな俺たちに、ネオショッカー大首領の巨大な足が迫る。

 

「踏みつぶしてくれるわ!」

「ダチはやらせないぜ!」

 

 そんな俺たちの行く先を切り開いたのは、フォーゼだ。

 いつの間にか装着していたミサイルポットとガトリングガンが火を噴く。

 無数の弾幕がネオショッカー大首領に降り注ぐ。クリスタルを失い弱体化したネオショッカー大首領はたまらず後退する。

 

「行きます!」

「任せろ! ホワタァァァァァァァッ!」

 

 一斉に跳躍する俺とメテオ。

 そのまま奴の頭部に対して挟み込むようにパンチとキックを叩きこむ。

 

「おらぁ!」

「アータタタタタァツ!」

 

 今までを超えるパワーを得た俺のパンチがネオショッカー大首領の右頬を強打する。

 拳法の技で鍛えこまれたメテオの連続キックがネオショッカー大首領の左頬を歪ませる。

 

 だが、そんな俺たちの猛攻をもってしても、ネオショッカー大首領は叫びながらその太い腕で俺たちを振り払う。

 

「効かんわぁ!」

 

 コズミックエナジーを失ったはずなのに、まだこの耐久力かよ。

 うんざりするタフさだが、こっちだって止まっていられるか!

 

「如月さん!」

 

 頭部へのダブルライダーキックは囮だ。

 本命となるのは、いつの間にかスイッチを切り替えていた仮面ライダーフォーゼだ。

 ネオショッカー大首領の遥か上空にロケットモジュールの力で飛んでいたフォーゼは、左足に装着したドリルモジュールを高速回転させている。

 

「行くぜぇ! ライダーロケットドリルキイィィィィィィィィック」

「食らうかぁ!」

 

 超高速でネオショッカー大首領に迫るフォーゼだが、ネオショッカー大首領の巨大な掌がフォーゼを弾き飛ばす。

 大きく弾き飛ばされたフォーゼはそのまま校舎に衝突するとその中に姿を消して……。

 

「クリスタルを失ったとて、貴様らの攻撃など効かぬわぁ!」

 

 ほんとよくこれを倒せたものだ。8人の仮面ライダーは。

 何発ものライダーキックを食らっているはずなのに、まだピンピンしている。驚くべきタフさだ。

 でも……。

 

「お前はもう終わりだ。そう言ったはずだぞ!」

 

 俺の言葉に呼応したわけではないだろうが、轟音があたりを振るわせる。

 その轟音は、地の底からであった。

 

「こ、これは!?」

 

 何が起きているか。ネオショッカー大首領が思わず狼狽えるが、奴の行動よりもそれが地上に姿を現すのが先であった。

 唐突に地面から吹き上がる大量の土砂。

 その出現場所は、ネオショッカー大首領の右足の下!

 

「ライダーロケットドリルキック改め、ライダーもぐらロケットドリルキック! 食らええええええええ!」

 

 そう、先ほど跳ね飛ばされたフォーゼのキックは不発ではない。

 落下する勢いのまま地中に潜り込み奴の右足の下まで掘り進んだのだ。

 最初にネオショッカー大首領に弾き飛ばさせたのはあえてだ。そのまま地面に潜れば、奴は警戒して不意打ちにならなくなる。

 

 狙いは一点。ネオショッカー大首領の弱点であるその右足の裏!

 

 地中からキックの姿勢で出現したフォーゼが、そのまま奴の右足の裏にドリルキックを叩きこむ。

 ネオショッカー大首領の右足を砕きながら、フォーゼがはるか上空まで上昇する。

 

「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」

 

 京都中に木霊するかのような断末魔の悲鳴が木霊する。

 小さなクロスボウの一撃ですら大幅な弱体化を余儀なくされるネオショッカー大首領最大の弱点だ。

 まして、足ごとライダーキックで蹴り砕かれたのだ。奴の苦痛はいかほどだろうか。

 

 ここで攻撃の手を緩める訳にはいかない。

 

「二人とも行くぞ!」

「わかった!」

「任せろ!」

 

 スーパー1の掛け声に俺とメテオが合わせて跳躍する。

 

「ライダーキック!」

 

 跳躍からの三人がかりのライダーキックがネオショッカー大首領の頭部を蹴り砕く。

 何本もの角がへし折れ地面に落ちる前にエネルギーの塊に分解され消えていく。

 先ほどのフォーゼのロケットドリルキック、そして今のライダーキックで奴の肉体の崩壊が始まっているのだ。

 

「おのれ……おのれぇ! こうなれば、自爆して地球ごと貴様らを消し飛ばしてくれる!」

 

 そう叫ぶと、奴は背中の翼を大きく広げ羽ばたき始める。

 宣言通り、この場から逃げて自爆をする気なのだろう。周囲には並の人間なら立っているのも厳しい風が巻き起こる。

 

 まったく、しつこいというか、なんというか……。

 殺す事しか考えていない獣はこれだから困る。

 

「三度目だ。貴様はもう終わりだ、ネオショッカー大首領!」

 

 そんなネオショッカー大首領に、俺は冷たく言い放つ。

 奴の悪あがきなど、一切させない。

 

 俺たちの背後で、フォーゼがベルトのスイッチを取り換える。

 その大型のスイッチの安全蓋を指で開き、中の黄色いスイッチを力強く押し込む

 

【Cosmic】

 

【Cosmic On】

 

 フォーゼの周囲に、40個のアストロスイッチが集う。

 コズミックエナジーが嵐を引き起こし、フォーゼの姿を変えていく。

 白を基調としたその姿が、金属質の水色と銀の姿へと変化する。胸には40個のスイッチが一枚のブレストアーマーへと収束する。

 フェイスに走る黄金のライン。赤い複眼。

 

 その名も仮面ライダーフォーゼコズミックステイツ。

 

 絆が結んだ、仮面ライダーフォーゼ最強の姿!

 

「悪あがきはそこまでだぜ、ネオショッカー大首領!」

 

 その言葉と共に、フォーゼが専用モジュールであるロケットを模した大型の白い剣、バリズンソードを構える。剣の柄のスロットにコズミックスイッチがセットされる。

 次の瞬間、ネオショッカー大首領の背後に白く渦巻くワープゲートが出現した。

 

「皆の未来! 掴ませてもらうぜ!」

「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

 そのままバリズンソードを真正面に構え、ネオショッカー大首領に突撃をすると、その胴体に体当たりをかかます。

 その勢いで奴の身体が少しづつワープゲートの中に飲み込まれていく。

 

 だが、あの巨体相手にパワーが足りないのか、あるいはネオショッカー大首領が抵抗を続けているのかなかなか進まない。

 

「だったら! 行くぞ!」

 

 そう叫んだのはスーパー1だ。彼は大きく跳躍すると空中で後方に宙返りをする。

 その回転でえた勢いのまま、ネオショッカー大首領に向けてキックを放つ。

 

「スーパーライダー月面キィィィィィィィィィィィィック!」

 

 銀の足が奴の胸に突き刺さる。

 ネオショッカーの身体がさらにワープゲートの奥に沈む。

 

「続くぞ! ホォォォォォォォォォォォッワチャァア!」

 

 次に飛んだのがメテオだ。彼の代名詞ともいえる裂帛の怪鳥音を上げると一気に跳躍する。

 青いエネルギーを纏った足がネオショッカー大首領の腹を打ち抜いた。

 あれこそメテオの必殺キック、メテオストライク。

 

 そして、俺も跳躍する。

 今の俺なら、京都に降り注ぐコズミックエナジーの力を借りる事の出来る今なら、あのキックが出来る。

 

「電光……」

 

 俺の右足に収束させたエネルギーが、青い火花を散らす。

 普段エネルギー収束時の赤い光とは違う雷光がほとばしる。

 

「ライダー……」

 

 一気に跳躍する。

 コズミックエナジーで一時的に強化された体が、普段以上の速度と跳躍力を生み出す。

 空中で一回転をする。狙うはネオショッカー大首領の頭部。

 

「キィィィィィィィィック!」

 

 電となった俺のキックがネオショッカー大首領の頭に突き刺さる。

 4人のライダーによる必殺の攻撃は、ネオショッカー大首領の肉体は完全にワープゲートに飲み込まれる。

 

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 俺のか、あるいは他の誰かもわからない気合の声がワープゲートに響き渡る。

 白い超空間を抜けた先は、上も下も無い漆黒の宇宙空間。

 

 だが、周囲にきらめく星の輝き、そして背後の地球の青き輝きが周囲を照らす。

 

 

「如月さん!」

「弦太朗!」

「決めるんだ、弦太朗君!」

 

 俺たち三人の叫びが、電波に乗ってフォーゼに届く。

 フォーゼの持つバリズンソードのロケット状の剣先が展開し、中から水色とオレンジの刀身が姿を現す。

 フォーゼが剣の柄の手元のスイッチを再度刺しなおすと同時に、刀身に青く輝くコズミックエナジーが収束し、光の剣を形成する。

 

「ライダァァァァァァァァァァ!」

 

 背中のスラスターが火を噴き、フォーゼの身体が回転する。

 その動きに合わせ、青い輝きが美しい円を描き光の軌跡を残す。

 

「超銀河フィニィィィィィィィィィィィッシュ!」

 

 青い輝きは弧を描き、光の奔流が宇宙空間に追いやられたネオショッカー大首領の身体を引き裂く。

 悪用してきたコズミックエナジーの刃の前に、ネオショッカー大首領の姿が左右にずれる。

 

「馬鹿な……ばかなあああああああああああああああああああ! ぐわあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 音を伝える空気など無いはずの宇宙空間に、ネオショッカー大首領の断末魔が何故か木霊する。

 その叫びと同時に、奴の身の崩壊速度が加速する。鱗に覆われた肌はグズグズと崩れ始め、太い手足の鱗や肉はボロボロと脱落を始める。

 そして、肉体を維持する事に限界が来たのだろう。

 ついにはネオショッカー大首領は巨大な爆発を引き起こし、宇宙の藻屑となり消滅した。

 

 そして、それを見届けた俺達の身は再びワープゲートを通り地球の、宇宙京都大学の駐車場に戻っていた。




フォーゼ復活からのBGMはSwitch_On!で


本作は

昭和前期:ショッカー系列(小説1971-1973設定を一部拝借)
昭和後期:バダン系列(仮面ライダーSPIRITS設定を一部拝借)

で分けております。
そうしないと、「仮面ライダーSPIRITS オールライダー大進撃」になってしまいそうで……

次回の任務……もといバカンスは

  • 海だ!
  • 山だ!
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