ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

35 / 102
お気に入り3200突破、
感想250突破

応援を頂き、誠にありがとうございます。


第34話 episode・Destron 閑話・アロンの杖

 その作業用の出入り口に配備された警備の改造人間はヨロイ一族に属する男であった。

 気に入らない任務だった。

 

 まず、惰弱なショッカー主導の任務というのが気に入らない。

 この基地とて労働力を攫ってきて一気に作れば良い物の、隠匿の為と言い出し態々独自の技師のみで建造をさせている。あのような連中の基地に何故ヨロイ一族の精鋭たる自分が動かなければならないのか。

 

 さらに言えばショッカーの指導部、その中でも実動部隊の長であるアインロールドの事も気に食わない。

 我らヨロイ一族に楯突く若造、ガキのお守りにしてキバ一族の女伯爵の情夫。

 ライダー殺しなる派手な異名も、情夫の箔付けの為に雑魚狩りでもやらせたのだろう。そうでなければ、ヨロイ一族ですら手こずる仮面ライダーを二桁を遥かに超えて倒せるはずもない。

 

 大首領の直々の建造命令でなければ、だれも参加などしないだろう。

 

 もっとも、大首領の命とはいえショッカー主導の任務をそこまでまじめにやる気は無かった。

 何より、一族からこの入り口から一族の者を招き入れろとの命を受けていた。

 恐らくは何かのハラスメント攻撃をこの基地に仕掛けるつもりなのだろう。ショッカーの連中とあの色男に入れ込んでいるキバ一族の連中が泡を食うならば多少は気が晴れるというものだ。

 

 デストロンより連れてきた戦闘員共々、ヨロイ一族の改造人間は不真面目な警備を続ける。

 

 

 この時、この改造人間が真面目に警備を行っていれば、あるいは結果が違ったかもしれない。

 もしくは、手を抜いたからこそ裏切り者の汚名をうけ粛清されるのでは無く、戦死者としてカウントされる幸運を得たのかもしれない。

 

 それが本人にとって幸せだったかどうかはさておき、彼の運命は決まっていた。

 

 

 彼が警備していたのは作業用特殊潜水艇の発着口だ。

 中央には巨大なプールがあり、そこに資材を積んだ特殊潜水艇が着岸する設計となっている。

 真面目に警備をする気のない彼は、水面から背を向けなにやらモニターをのぞき込んでいた。上がそのような態度なので、戦闘員も誰一人水面の監視をしていなかった。

 

 そんな中、突如謎のフック付きのロープが水面から飛び出し、その怪人の首に巻きつく。

 

「な、なにがっ!? ぐえええっ!?」

 

 ロープが巻き付いただけではない。それと同時に水面から飛び出してきた存在は天井付近の作業用のアームを利用し改造人間を宙づりにしてしまう。

 改造人間は唐突な攻撃に対応できず、絞まる首を何とかしようともがき苦しむ。

 

 強靭な改造人間だ。何もなければ首が絞まり窒息するより早くその怪力で脱出が出来たかもしれない。

 だが、相手が改造人間だとわかっている以上、襲撃者の行動は素早かった。

 

「パワーアーム! 悪いが……」

 

 彼は右手のカセットアームをパワーアームに切り替えると藻掻く改造人間に向けて一撃を放つ。

 

 それが止めだった。

 吊り下げられ力なくぶら下がる改造人間を尻目に、襲撃者はさらに素早く行動を開始する。

 

 ようやく襲撃に気が付いたデストロン戦闘員であったが、彼らが得物を構えるより先に襲撃者は彼らに接近すると、その刃物となった右手を振るう。

 一振り、二振りと腕が振るわれるたびに戦闘員は倒れていき、意識を手放してしまう。

 一分もしないうちに、ドック内で動くのは襲撃者一人となっていた。

 

 もう動く者が居ない事を確認したその男は、口元に装着していた潜水用の器具を取り外し一息つく。

 

「ふう……。警備カメラは大丈夫だな」

 

 改造人間と戦闘員を瞬く間に倒した人物は、奇妙な出で立ちの男だ。

 

 頭部を覆う青いヘルメットは赤い複眼が煌めき、口元のみは生身のままむき出しになっている。深い紺色のボディースーツには赤いプロテクターが要所要所に装着されていた。

 だが、何より彼を特徴づけているのはその機械の右腕だ。肘より先が様々な状況に対応するようなギミックが組み込まれた義手となっている。

 

 彼の名はライダーマン、結城丈二のもう一つの姿。かつてはデストロンの科学者であったが、右腕と部下たちをヨロイ元帥に奪われ復讐に走った男。

 だが、戦いの最中に仮面ライダーとしての使命に目覚め、戦う事を決意した仮面ライダー4号。

 

 そんな彼は戦友の風見と別行動をとっていた。

 風見はショッカーの移動要塞を狙う謎の集団への潜入を。自身は調査で発見していた海底搬入路を使っての内部調査、出来る事なら要塞の主要部位の破壊を受け持ったのだ。

 幸い、潜入予定の通路の先、ドック部分まではドローンにて確認積みだ。監視カメラの位置も特定できており、フェイクの映像を流す装置も作成済みであった。

 

「さて、ここからは慎重に行動する必要があるな……」

 

 一人で行動をするとどうしても独り言が多くなる。

 これも歳をとるという事なのかもしれないと内心で世の人の九割からツッコミが入るだろうジョークを考えつつも、事前に準備をしていた装置をケースから取り出しスーツに装着していく。

 

「ステルスフィールド、オン。さてと、これで監視カメラや戦闘員は誤魔化せると思うが、改造人間相手は心もとないな」

 

 彼が作ったのは、光学的に姿を隠す装置だ。

 もっとも視覚による察知は誤魔化せるが、嗅覚や音波など常人とは違う手段で周囲の状況を把握する怪人には通用しないだろう。

 ここから先は慎重に進まなければならない。

 

 ドックの外の通路は意外にも近代的な舗装がなされ、煌々とした照明が設置された広い通路であった。

 従来のショッカーやデストロンの秘密基地の通路といえば、ごつごつとしたむき出しの岩肌に薄暗い照明が多かった。そんな前時代の印象が強かったライダーマンは意外だと驚く。

 恐らくは基地製作者の意向により、防衛より作業効率を優先したのだろう。

 

 これは進みやすいという反面、隠れる場所に乏しいという事だ。

 より慎重に進まなければならない。

 ライダーマンはより一層の注意を払いながら進む。

 

 内部構造に関する資料は以前の戦いで潜入したライダーたちより一部とはいえ手に入れている。

 さらに幸いというのもなんだが、壁には案内板までが設置されていた。

 まるで一般の地下街のようだ。

 

「ショッカーに一体何が?」

 

 作業場や休憩所の方向と距離を示す案内標識を前に思わず立ち止まり、呟いてしまう。

 彼の知るショッカーやデストロンは此処まで基地に親切な設計を行う組織では無かった。

 ショッカーに何が起こったのだ?

 

 そんな彼の疑問は、不意にかけられた声により解消される事となる。

 

「戦う事を主目的に考えている施設じゃないからね。便利さを優先しているのよ」

「なっ!?」

 

 先ほどまで誰もいなかった筈の通路に、その少女はいた。

 金色の髪をツインテールにまとめ、清潔感の溢れる白いワンピースを身に纏っている十代前半、小学生か中学生程度と思われる小柄な少女だ。

 彼女の左右にはサングラスをかけた黒服の大男が二人控えている。

 

 一瞬、ショッカーに囚われた人間か。ライダーマンはそう考える。

 

 だが、自分が少女に気が付いた瞬間、二人の黒服は少女を守るよう前に出る。

 少なくとも、誘拐した人間に対する態度ではない。おそらくはあの二人は少女の護衛。

 

「君は何者だ!?」

 

 油断なく構えながら少女に問いかける。

 常人ではないだろう。ショッカーの要人か、改造人間の擬態か……。

 ライダーマンの問いかけに、少女は軽くため息を漏らすと、自らの名前を名乗る。

 

「私の名はウェスト。一応は、ショッカーの司令官代行を務めているわ」

「なっ!?」

 

 その名乗りに、流石のライダーマンも絶句をする。

 壊滅したショッカーがさほど時を待たずして再起した事は有名な話だ。

 また、その際に滅び去ったはずのデストロンを始めとするショッカー大首領が関わる多くの秘密結社も活動を再開した。

 

 デストロンやガランダー帝国など指揮官が確認された組織もあるが、何者が率いているか未だに判明しない組織も少なくない。

 ショッカーも判明していない側の組織であり、現在の指導部は謎に包まれている。

 その謎に包まれたショッカーの司令官を名乗る存在が唐突に姿を現し、なおかつそれがまだ幼い少女だというのだから、ライダーマンも驚くのも当然の話だった。

 

「名乗りは不要よ、ライダーマン。それとも結城先生とお呼びすればいいのかしら?」

「ライダーマンでいい。なぜ私の前に姿を現した、ウェスト女史」

「この船で暴れられたくないの。ついて来なさい、貴方が知りたいだろう事を教えてあげるから」

 

 唐突な指揮官からの申し出に、驚きと困惑が先に出る。

 明らかに動揺しているライダーマンを尻目に、ミカは配下の二人に命令を下した。

 

「貴方たちも思うところがあるでしょうけど、話が終わるまでは彼を客人として扱ってちょうだい」

「心得ました」

「それが博士のご命令であるならば従います」

 

 片方は明らかに不満げに、もう片方はライダーマンに対して明らかに敵意と殺意を向けている。

 それでも二人は自分たちの腰ほどの背丈の少女の命令を恭しく受領する。

 

 科学者、それもしっかりと組織を掌握していると見て間違いない。

 明らかに命令に慣れている様子と、恭しく敬意を見せる大男たちの姿を見てそう分析する。

 

「良いだろう。案内してもらおうか」

 

 これが罠である可能性は、おそらく低い。

 ライダーマンが気が付く事の出来ない監視装置がこの船にあるのだ。包囲、不意打ちをするチャンスはいくらでもあったであろう。

 それをしないという事は話があり、話が終わるまでは戦う意思が無いというのは本当なのだ。

 

 実のところ、この推測は半分が正解で半分が外れだ。

 結城丈二が準備した装備はこの島の監視システムを完全に欺いていた。事実、今現在も監視システムはライダーマンの存在を捉えていない。

 ミカたちがライダーマンに気が付いたのは、彼が侵入の際に倒した改造人間がヨロイ一族の者であり監視対象であったためだ。

 

 ヨロイ一族の者を監視していたら、見えない何かが唐突に改造人間を宙づりにして始末してしまったのだ。

 改造人間を宙づりにした武器がロープアームであったために辛うじてライダーマンの侵入に気が付く事が出来た。

 

 あとは、彼の目的を推察し、通るだろうルートにミカがワームホールを開き先回りをしたのだ。

 長距離、大軍を送り込めるのならば送り込みたいところだったが、ミカを含め3人を連れてくるのが彼女の力の限界であった。

 

「この先にエレベーターがあるわ。ついて来なさい」

 

 ミカは余裕を崩さず、その実は戦いにならなかった事を安堵しつつ、踵を返しエレベーターに向かう。

 かなり広い、作業用と思われるエレベーターにすぐさまたどり着く。

 全員が乗り込んだ事を確認すると、エレベーターはゆっくりと下に動き出す。

 

 

 

 重苦しい沈黙が支配するエレベーターは、下へ下へと下っていく。

 やがて、作業用の仮設エレベーターはむき出しとなっている岩肌の坑道を抜けると、広大すぎる空間に出る。

 その光景を目にした瞬間、ライダーマンは驚きの声を上げる。

 

「こ、これは!?」

 

 エレベーターからは反対側の壁が見えないほどの広大なそこには、居住用、もしくは商業用と思われるビルと、その合間を縫うように舗装された道路が整備されていた。

 他のライダーから集めた資料には無かった空間だ。

 彼らは一直線に兵器プラントに誘導された為に見る事が無かった、この島の本体ともいえる空間の一つだった。

 

「ショッカー・アイランド・シティ。計画では20万人が生活できる都市となる予定よ。まぁ、ここに見える建物は順次取り壊しになる予定だけど」

「それはどういう事だ、女史?」

「海中に沈んでいたのよ、ここ。一々建物の確認や消毒をするより、一回更地にした方がコストや建築期間の削減につながるからよ」

 

 改造人間なら病気や建物が崩れた程度では大した問題にはならないが、未改造の人間はそうもいかない。都市として稼働させるには消毒や建物のチェックは必須であり、手を抜ける分野では無い。

 中途半端に残しチェック漏れが出るくらいならば、一度更地にして作り直す事となったのだ。

 閉鎖空間であるがゆえの、苦渋の判断であった。

 

 ライダーマンがショッカーとは思えぬミカの説明をまだ呑み込む事が出来ない内に、エレベーターは都市空間を通り過ぎさらに下へ到達する。

 

「ついて来なさい。目的地はもうすぐだから」

 

 そのまま護衛を引き連れミカが進んでいく。

 彼女の言う通り、ミカが目指したと思われる厳重な大型の出入り口はすぐそこであった。

 

「ここは?」

「すぐ中を見せるわ」

 

 ミカが手をかざすと、巨大な扉は音も無く左右に開いていく。

 同じ動作をいくつか繰り返し、再び広い空間にたどり着く。

 その空間も整備された空間であった。ただ、先ほどのビル群とは違い、天井高くまで積み上げられているのは無数の人間サイズのシリンダーだ。

 その機械が何か、ライダーマンはすぐさま気が付く。

 

「これは、コールドスリープの装置か?」

「ご名答。今のところは5000個。計画では100万個、ただし技術の発展次第ではさらに増やす予定ね」

 

 ライダーマンの言葉に答えながら、ミカはさらに進む。

 ショッカーの技術ならあっても不思議ではない。それでも彼の知るショッカーとは致命的にずれた施設に混乱しつつも最後の目的地に着く。

 

「ああ、ここは必要な時以外は私でも中に入れないわ。もっとも、看板を見れば何があるかわかるでしょうけど」

「遺伝子……保管庫だと?」

「そう。地球上の全生命体のサンプルを集めるよう言われているわ。もっとも、流石にそれは無理よね」

 

 ここまで説明を終えると、ミカは何かを考えるライダーマンの次の言葉を待つ。

 ほどなくして、ライダーマンは思い当たった仮説を確認するために一つの疑問を口にした。

 

「ウェスト女史。一つ教えて欲しい」

「何かしら?」

「この移動要塞……。いや、君たちは船と言っていたな。この船はどの海を航海する事を想定している?」

 

 勝った。

 

 結城丈二がこの疑問にたどり着いた以上、彼はもうこの施設を攻撃する事が出来ない。

 引き連れてきているだろうライダーたちと共に、撤退を余儀なくされる。

 

 ミカはにんまりと笑いつつ素直に彼の質問に答えた。

 

「星の海。百年を超える恒星間航行に耐えうる船にすることが最終目標よ」

 

 ミカの答えに、ライダーマンが額を抑えつつも嘆息をする。

 認めたくはない。ショッカーがこのようなものを建造するなど認めたくは無いがこの島の施設と、彼女の回答から導き出される答えは一つしかない。

 

「ノアの箱舟……」

 

 ライダーマンが無意識に漏らした言葉は間違ってはいないが、正解でもない。

 これは、神の試練を潜り抜けるための船ではない。

 

「違うわ。この船は神の試練を乗り越える箱舟ではないわ。敗北を喫した人類を導くアロンの杖よ」

 

 人類の自由や平和を脅かす脅威の筆頭はショッカー系列の組織だろう。

 だが彼らは所詮、人類の支配を目論む人類内の組織でしかない。

 

 古くはB26暗黒星雲から襲来したインベーダー、隕石と共にやってきた擬態種族ネイティブとワーム、宇宙の深淵の彼方より襲来した星喰らいの一族ブラッド族。

 あるいは異世界からの侵略者クライシス帝国や侵食植物ヘルヘイム、ワンダーワールドのメギド……。

 さらには時の彼方からやってくる存在や、地球内部より出現する破滅。あるいは人類が生み出してしまった敵対種族。

 

 この地球に生きる人類は常に危機に晒されている。

 そして、人類を襲う危機に対してあまりにも脆く儚い。

 

 人類のこれまでの繁栄は、薄氷の上の繁栄と言っても過言では無かった。

 

 だから、人類の一秒でも長い存続を望む大首領は人類が、自身が敗北をした際に人類を地球より逃がす手段が必要であった。

 

「それが必要として、なぜショッカーがこれを?」

「デストロンにいた貴方なら知っているでしょう。ショッカーの大義は」

「人類の存続……。だが、それならばなぜショッカーで!?」

「既存の国家や枠組みでは作れないからよ」

 

 まともにこれを建造しようとすれば、必要な資材や金は天文学的な物となるだろう。

 わずかな子孫を逃がすための船を、未来に必要になる“かもしれない”からと言って準備しておこうなどと考える為政者はまずいない。

 当たり前だ。今を生きている人間の為に、どれだけコストがかかるというのだ。

 国を傾ける保険を行う事など、まともな人間ならできない。

 

「この船が必要になる時は人類の敗北が決定づけられた時よ。ありあわせの代物で地球脱出船を作っても、まともに使える代物を作る事は出来ないでしょうね」

 

 人類の敗北が決定づけられた時、資源も技術も、人の数さえ限界を下回っているはずだ。

 何の準備も無ければ、人類に出来る事など消えてしまったとある歴史のように地球を明け渡し自決する事ぐらいだろう。

 だから人類に余裕がある今こそ、ショッカーという色々な制限を無視する事が可能な組織がこの船を建造しているのだ。一隻作れば、それをモデルに新たな脱出船の建造の難易度は格段に下がる。

 

 そう、この船はたった一隻で神の試練を潜り抜けるノアの箱舟ではない。

 敗北を喫し、地球を捨て新天地を目指す人類を導くべく建造するアロンの杖なのだ。

 

「この船の兵器プラントや改造人間プラントは防衛設備という事なのか」

 

 デストロンが掲げた偽りの理想に裏切られたライダーマンが反発する。だが、理解してしまったからこそ、その声はどこか弱々しい。

 その感情をミカも苦笑いを浮かべ肯定する。

 

「そうね。兵器や改造人間のプラントはあくまでも防衛設備として設計されているわ。とはいえ、貴方たちの懸念通り世界征服のための移動要塞としても使える施設ね」

 

 ミカはあっさりと、この船が人類征服に使われる可能性も肯定する。

 なんせ身内同士の食い合いも日常茶飯事だ。彼女の弟や妹と呼べる存在も、多くは弱者として実験という名の下に消えていった。

 ショッカーが掲げる大義などその程度だとミカはもう見切りをつけている。

 

「所詮はキレイ事のお題目。私も含めてほとんどの連中はそんな事を信じていないわ。自身の欲望を、支配欲と破壊欲を叶えたいだけよ」

 

 だけど……。

 

「でもね。中にはショッカーの悪辣さを知りながら馬鹿げた大義を真剣に実行しようという奴らがいて、そいつらがこの船を作ったの」

 

 彼女の一番大切な人も、そんな大義を信じた連中を支援していた。

 だから、ミカも信じていない大義に手を貸した。

 ただそれだけだ。

 

 

 

 

 グシャリ……。グシャリ……。

 

 ライダーマンが侵入したドックで、何かが踏み潰される鈍い音が響く。

 ライダーマンから遅れてSISに侵入したそれは、その巨体をくねらせ、倒れていた改造人間や戦闘員を踏みつぶしながら吐き捨てる。

 

「出迎エモシナイデ……倒レテイルトハ、一族ノ……恥サラシメ」

 

 あえて言うのなら、巨大なザリガニの化け物だろう。

 硬く、ごつごつとした赤い甲皮と、歪んだ無数の脚、そして一対の巨大な鋏。

 本来頭部のある場所には歪んだ人の頭がさかさまに生えている。

 

 ヨロイ元帥、そう呼ばれた男のクローン体。

 それがその化け物の正体だ。

 

 その巨大な化け物は、ひとしきり改造人間と戦闘員の死体をなぶりものにすると、満足したのか周囲を見渡す。

 監視カメラに張り付いているドローンを見つける。おそらくは、あの機械が監視カメラをごまかしているのだろう。

 誰が作ったのかはわからない。

 

 だが、推測は出来る。

 

 この匂い、忘れるものか……。

 

「結城丈二ィィィィィィ……!!」

 

 大義など存在しない。

 支配欲を、破壊欲を、復讐のみを考える化け物は、怨敵の匂いを追い歩みを進めた。




申し訳ありません。
長くなってしまったので分割。


なお

キバ一族 :「婿殿といつ祝言を上げるのだ?」
      「お嬢様が拗らせてっから当分無理じゃないですか?」

ツバサ一族:「バッタなら羽あるだろう、うちに来てくれねーかな?」

ヨロイ一族:「うちの若手を次々に撃破しやがって……」
      「暗殺者を全部返り討ちにしやがって……」
      「コロチュ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。