ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第35話 episode・Destron 閑話・迫りくるヨロイ元帥

 それまでどこか楽観ムードが漂っていたSISの指令室は一転して緊迫に包まれていた。

 無理もない。

 前線にショッカーの英雄ライダー殺しのアインロールドと、デストロンの気高き女伯爵テオドラの両名が出ていたのだ。

 どちらも若手のエースとして名をはせる存在であり、どう見ても寄せ集めの集団ごときに負ける道理がない。

 

 だが、地底と地上。その両方でとてつもない脅威が確認された。

 

 地上に現れたのは仮面ライダーV3。地底に現れたのはライダーマン。

 かつてデストロンを滅ぼした存在であり、伝説とまで呼ばれる仮面ライダーだ。

 最悪、この船は破壊される。それが可能な存在だ。

 

「まだ、潜航準備は終わらないの?」

 

 この場を任されていた副官であるクラゲの改造人間がオペレーターに問いかける。

 

「現在急ピッチで潜航準備を整えておりますが、まだ20分はかかるかと」

「遅い。出来る限り急がせて」

「了解です」

 

 気密が完了する前に海に潜れば、これまで行ってきた復旧作業が水の泡だ。

 ここ20~30年で外敵からの攻撃は頻度を増している。

 この船の完成予定は数十年先とはいえ、遅延は出来る限り避けたい。それがこの船の建造に関わっている者の共通の考えであった。

 

「現状はどうなっている?」

 

 変身を解いたアマゾネアが指令室に飛び込んでくる。

 先ほどのV3から受けた攻撃のダメージが酷いのだろう。羽織っただけの軍服の下から固く縛られた包帯が覗いている。

 

「はっ、アインロールド様とテオドラ様はV3と交戦中。地下ドックから侵入したライダーマンにはミカ様が対応しております。不審船に関しましては、どうやら乗り切れない兵と同士討ちが始まった模様」

「まて、ライダーマンとは何事だ!?」

 

 V3はともかく、ライダーマンの侵入は一言も聞いていない。

 アマゾネアの言葉に、副官のクラゲ怪人が経緯を説明する。

 

「はい、監視中のヨロイ一族が警備を担当するドックからライダーマンが侵入。ミカ様がライダーマンへの対処は自分が行うと仰り、アインロールド様に対する情報の封鎖を命じ、護衛を連れて出撃なさりました」

「無茶をする!」

 

 おそらくはV3との戦いに集中させるためだろう。

 確かに、別の事を考えていてはあの鬼神との戦いなど到底不可能なのは間違いない。

 だからと言って、指揮官自らが動くなど……。あの二人は、ショッカーの為にも失ってはならぬ人だというのに……。

 

「アマゾネア様! 新たな侵入者が!」

「何!? 今度はどこの仮面ライダーが来たというのだ!」

 

 船の内部をモニタリングしていたオペレーターが悲鳴のような報告を上げる。

 この1時間で、あまりにも状況が目まぐるしく変わりすぎる。

 

「いえ、仮面ライダーではありません! えっ!? なに!? この化け物……」

「化け物?」

「正面モニターに映像を映します!」 

 

 映し出されたのは、巨大なザリガニの化け物であった。

 通路を塞ぐような巨大な化け物が、信じられないほどの高速で駆け抜けていく。

 その姿に、指令室の誰もが絶句をする中、アマゾネアのみがその事実に気が付いた。

 

「まて、奴の頭部を、そうだ、そこを拡大しろ! それと奴の進路予測を早急に出せ!」

「は、はい……。え?」

 

 アマゾネアの命令を忠実に実行したオペレーターは再度絶句する。

 それはそうだろう。頭部と思われる部分を拡大してみれば、ヨロイ元帥の顔が逆様に張り付いているのだ。

 死んだはずの改造人間がいつの間にか蘇っている事はよくある話だが、以前とは似ても似つかぬ怪物になって帰ってくる事はめったに無い。

 

「ヨロイ元帥?」

「救援のつもりでしょうか?」

 

 アマゾネアの独白に、クラゲ怪人が呆然と答える。

 もっとも、クラゲ怪人も言ってはみたが救援だと考えているわけではない。

 

 無断で侵入してきた事もだが、アインロールドとヨロイ一族の確執はショッカーの人間なら誰もが知る話だ。

 

 元々は子飼いの錬金術師や若手が起こしたもめごとであったが、紆余曲折を経てヨロイ元帥やヨロイ一族の幹部はアインロールドを亡き者にしようと幾度となく暗殺者を送り込んだ。

 その全てをアインロールドは退け続けた。

 かつて結城丈二にやったかのような裏切りの嫌疑をかけようとするが、他の大幹部の直属の地位を確保していたアインロールドには通用しない。下手に濡れ衣を着せようものなら組織内での戦争が勃発する。

 最終的にヨロイ一族はアインロールドの暗殺を諦める事になるのだが、若造一人にいいようにあしらわれた一族は笑い物となった。

 そんな経緯から、ヨロイ元帥がアインロールドを憎み続けてきたのは有名な話である。

 

「自分の予備を用意していたか、実は死んでいなかったか……。奴はどこに向かっている!」

「進路は遺伝子保管庫!? ミカ様の所に向かっています!」

「なんだって!?」

 

 

 

「さてと。申し訳ないんだけど、ここから移動するわ。用も無いのに長時間いて良い場所じゃないのはわかるでしょう?」

「わかった」

 

 忌々しいショッカーの施設とはいえ、遺伝子保管庫は人類の宝である事は間違いない。

 また、彼女の説明に嘘は無い。科学者同士のシンパシーとでもいうか、そう悟った結城丈二は素直に遺伝子保管室を後にして居住区画に移動する。

 

 僅かな作業用の照明のみが照らす薄暗い空間に到着する。

 

 どうするべきか。

 

 仮面ライダー、ライダーマンとしての自分は破壊するべきだと訴える。

 建造に当たっている者が人類存続の為に働いていたとしても、彼らはショッカーだ。彼ら以外が手にすれば、いや彼らが心変わりをすればこの船は途端に人類に対する脅威となる。

 

 科学者、結城丈二としては破壊してはならないとの回答を出す。

 増え続ける幾多の脅威を考えれば、地球脱出船は必要不可欠だ。建造が、人員の選別が難しいために誰も着手していなかっただけで、むしろ遅いぐらいなのだ。

 

 この葛藤がミカの意図したものだと理性で理解していても、結城丈二は葛藤は止められない。

 

 もしこのまま葛藤を続けていればどういう結論を出していただろう。

 後になって時折結城丈二は考える事がある。

 だが、このときは葛藤を中断せざるを得ない出来事が発生した。

 

 

 それは唐突であった。

 彼らの目の前で、作業用エレベーターの一つが何の前触れも無く突如音を立てて崩壊する。

 粉塵がエレベーターがあった場所から

 

「えっ!?」

 

 立ち止まり思わずそちらを向くミカ。

 予想外の事態に状況を確認するより前に彼女を守るべく機敏に間に入る護衛の男たち。

  

「結城丈二ィィィィィィィ!」

 

 醜い怨嗟の声が、無人の街に響き渡る。

 粉塵の中から唐突に一条の閃光が迸る。

 

「危ない!」

 

 条件反射であった。

 それが何かを気が付くよりも早く、その怨敵の声にライダーマンが反応する。

 隣にいた少女を抱え上げ、閃光の通るルートからその身を退かせる。

 

 一方、ミカを守るべく前に出ていた護衛の二人はそうはいかなかった。

 咄嗟の怪人形態への変身こそ間に合ったが、光の奔流の直撃を受ける。更にその閃光は背後の廃墟ビルすら切り裂き倒壊させる。

 

 背後のビルが音を立てて崩れていく中、火花を散らしながら二人の怪人は片膝をつく。

 

「ナマズギラー!? ウォーターガントド!?」

 

 ライダーマンに抱えられたミカが護衛の怪人の名を叫ぶ。

 何者かの放ったレーザーの奔流の一発で、二人の怪人はどう見ても無視できないダメージをその身に負っていた。

 

「だ、大丈夫です」

「ミカ様、ご無事で何よりです……」

 

 エレベーターがあった場所の粉塵が収まっていく。

 そこにいたのは巨大なザリガニの化け物、ヨロイ元帥クローンであった。

 

「ヨロイ元帥か……」

 

 かつて一度、このタヒチの地で戦ったヨロイ元帥のクローン体。

 数十年の時を経て、再びタヒチにその姿を現したのだ。

 

「久シブリダナァァァァァァ、結城丈二ィィィィィィィィ!」

 

 ライダーマンの姿を見てヨロイ元帥は歪な歓喜の声を上げる。

 自らの没落の原因にして、最高の手土産。それがヨロイ元帥にとって結城丈二という男だ。

 

「性懲りも無く、また復活してきたかヨロイ元帥!」

「貴様ヲ葬リ去ルマデ、地獄ニ行ケルモノカ、結城丈二ィィィィィ!」

 

 幾度もの戦いでヨロイ元帥は討ち取られているはず。その都度、復活してくるのだ。

 おそらくは一番最初の戦い以降はクローン体なのだろうが、この男はどれだけ自分の予備を準備しておいたのだろうか。

 嬉しくも無い、長い付き合いもあったものだ。

 

「待ちなさい、ヨロイ元帥! 貴方がなぜこの船に居るの! いや、それ以前にここでの戦闘は許さないわよ!」

 

 ライダーマンに抱えられたままのミカが、唐突に表れた大幹部だった者に向かい抗議の叫びを上げる。

 それはそうだ。この船は最悪の事態に陥った人類を脱出させるための重要施設だ。

 ここの建物は取り壊し予定とはいえ、暴れて良い道理などない。

 

 そんなミカの言葉を、化け物は鼻で笑う。

 

「ライダーヲ倒ス為ナラ問題ナカロウ。ソモソモダ……」

 

 ゾクリ。ミカの背筋におぞ気が走る。

 奴の目に憎しみと嘲りが浮かぶ。

 何度も見た事がある目だ。人の上前を撥ねようとする、略奪者の目だ。

 

「アノ小僧ノオマケゴトキガ、ショッカーゴトキガ建造シテイル物ニドレダケノ価値ガアル。貴様ラヲ皆殺シニシテ、俺ガデストロンアイランドニシテヤロウ!」

「そんな事が許されると!?」

「ユルサレルサ、大首領ハ気ニシナイダロウカラナ!」

 

 大首領は気にしない。

 その言葉は正しいだろう。

 

 大首領は地球脱出船が完成さえすれば、誰が作り上げようとも気にもしない。

 たとえそれが、アマゾネアたちの建築している出来るだけ多くの人類を人として運べる船ではなく、ヨロイ元帥の作る改造人間とその素体を生産する侵略用の兵器だとしてもだ。

 あれは神の視点で考える存在だ。ゆえに、ヨロイ元帥の言葉は間違っていない。

 

 だが……。

 

「そのような事をさせるものか!」

「デストロンの疫病神め! 死ねぇ!」

 

 立ち上がった二体の怪人、ナマズギラーがその身から雷を解き放ち、ウォーターガントドが左腕の水中銃を発砲する。

 

 ナマズギラーの放つ電撃は蛇の様な軌道を経てヨロイ元帥の甲殻を焼き、ウォーターガントドが放つ銃弾はその全てが命中、次々と爆発を起こす。

 並の改造人間やライダーでは耐えられないだろう連続攻撃だ。

 だが……。

 

「ソレガドウシタ、雑兵ドモメ」

 

 信じられないほどの防御性能と素早い動きであった。

 その巨体を震わせ纏わりつく電撃を振り払う。無数の弾丸を受けたはずの甲殻は一切の無傷。その姿を誇るかのよう身震いすると、次の瞬間無数の脚を動かす。

 間にあった距離は瞬く間に0となり、ヨロイ元帥はその巨大な鋏を横に振るった。

 

 後方にいたライダーマンは、少女を抱えていたこともあり素早く後方に跳んで無事であった。

 だが、直前まで攻撃態勢だった怪人たちはたまらない。

 回避する事も出来ず弾き飛ばされて、瓦礫の山に激突をして倒れる。

 

「邪魔者ハ消エタ。結城丈二ィ、小娘……貴様ラノ脳ミソハ俺ガ有効活用シテヤロウ!」

 

 散らばった瓦礫を踏みつぶし、砕きつつヨロイ元帥はライダーマンとミカに狙いを定める。

 だが、弾き飛ばされたものとてショッカー改造人間とデストロン機械合成怪人。そう易々と死ぬほど軟には作られていない。

 すぐさま起き上がると、ヨロイ元帥に左右から組み付いた。

 

「やらせんぞ、ヨロイ元帥!」

「結城博士! ミカ様を連れて逃げろぉ!」

「雑兵メ! 邪魔ヲスルナ!」

 

 組みつき電撃を放つ。あるいはもう一つの武器である毒ガスをヨロイ元帥に注入しようと二体の怪人は決死の格闘戦を推し進める。

 だが、ヨロイ元帥の甲殻の硬さはそう簡単に破れるものではない。一度戦った事のあるライダーマンはその事をよく知っていた。

 少女を下ろし、加勢するべきでは無いのか?

 

 そう考えるライダーマンの思考を先回りし、怪人の一体が必死に叫ぶ。

 

「ここでお前が戦ってみろ! 下の施設が無事な保障が無い!」

 

 その怪人の言葉は間違いない。

 

 奴がどれだけ記憶のアップデートをしているかわからないが、かつてのような一点集中による甲殻の突破がもう一度通じるとライダーマンは考えていない。

 だが、対策を取られた時、あるいは同じような状況に対する対策をライダーマンは開発をしている。

 とはいえ、あの甲殻を破壊しようとすれば、それは生半可な破壊力ではすまされない。

 

「くそっ、すまない! ロープアーム!」

「逃ゲルナァァァァァ!」

 

 そして、狙いが自分とミカである以上、この都市部で戦うのはこの船に対してリスクしかない。

 せめて地表部分で戦わなければならなかった。

 そう判断するや否や、ライダーマンはロープアームを換装すると、ミカを抱えたまま破壊されたエレベーターに飛び込み上を目指す。

 

「オノレェェェェェェェ!」

「行かせん、行かせないぞぉ!」

 

 二人を追おうとヨロイ元帥が藻掻くものの、張り付いた二体の怪人がそれをさせない。

 彼らの切り札と言うべき攻撃はヨロイ元帥の装甲を貫けるものではない。

 だが、改造人間がデフォルトで備えている怪力だけでもヨロイ元帥の動きを邪魔するには十分な代物であった。

 

「貴様ラァァァァァッ、先ニ始末シテクレルゥゥゥゥゥ!」

 

 追う事を一旦中断し、その巨大な鋏を振るう。

 巨大な鋏が信じられないほどの速度で動き、張り付き足止めを行っていたウォーターガントドの左腕を切り飛ばす。

 

「ギャアアアアア!」

「ウォーターガントド!?」

 

 同僚の悲鳴にナマズギラーがわずかな動揺を見せる。

 ヨロイ元帥とて大幹部。隙など見逃さない戦闘巧者だ。

 

 ナマズギラーと自分の身体の間にあり得ない角度に曲げた足を一本潜り込ませると、力任せに張り付いていたナマズギラーを引き剥がす。

 

「なっ!? しまった!?」

 

 自らの失敗にナマズギラーが気が付くが、もはや後の祭りだ。

 背後から迫る巨大な鋏が、ナマズギラーの胴体をやすやすと貫く。

 

「む、無念……」

 

 重要な部品を貫かれたナマズギラーが痙攣を繰り返し、やがてその目から光が消えて全身が力無く投げ出される。

 ナマズギラーが完全に動かなくなった事を確認したヨロイ元帥は、鋏を横に振るい刺さっていた怪人を振り落とす。

 

 1回、2回バウンドを繰り返し、ナマズギラーは瓦礫の中で倒れ伏す。

 

「こ、この疫病神がぁ!」

 

 同僚が倒れ、自らも武器を失った。

 もはや成す術もない。それでも最後に残された毒ガスを吐き出そうとウォーターガントドは身構える。

 だが……。

 

「遅イワ! クタバレェェェェェ!」

 

 ヨロイ元帥の動きは素早かった。

 ウォーターガントドが身構えるよりも早く自由になった鋏を振るい、ウォーターガントドの首に鋏をあてがう。

 巨大な音が地下街に響き渡り、ウォーターガントドの胴体が大地に転がった。

 

「コレデ終ワリダナ、逃ガサンゾ、結城丈二、小娘!」

 

 そして、ヨロイ元帥はライダーマンとミカが消えた坑道にその身を潜り込ませた。

 

 

  

 ライダーマンの優れた身体能力は、小柄な少女を一人抱えたとしても何ら鈍るものではない。

 僅かなとっかかり利用し、すさまじい速度で地表部に向かい上昇していく。

 

 そんなライダーマンに抱えられていたミカは、手持ちの端末から二人の護衛の反応の消失に一瞬だけ黙とうを捧げるものの、すぐさま意識を切り替える。

 そして、遥か下方を睨むとライダーマンに語り掛ける。

 

「二人が死んだわ。奴が追いかけてくる!」

「わかっている。私のセンサーも確認した!」

 

 坑道をすさまじい速度で登ってくるヨロイ元帥の反応は、ライダーマンのヘルメットに搭載されたセンサーが捉えていた。

 このままではいずれ追いつかれる。それほど奴の登攀速度は速い。

 だが、ミカの考えはそうではなかった。

 

「このまま上って、ライダーマン! この坑道は地上まで通じているし、この先にお兄ちゃんとテオドラ、あとV3がいる!」

「ええっ!?」

 

 咄嗟に似つかわしくない、いや、見た目を考えれば相応しいかもしれない単語にライダーマンが一瞬だけ混乱する。

 この状況にミカも取り繕うのも忘れ、自らのワームホールの操作を開始する。

 

 ミカの超能力、ワームホールは本来は専用の四次元空間に物品を保管しておく能力だ。

 無理をすれば生体を運ぶ事もできるが、長距離移動などは得意分野ではない。

 だが、仕舞っていた物品の出し入れはサイズや量に関わらず鼻歌交じりに出来るのだ。

 

「あんま効くとは思えないけど……こいつでも食らえ!」

 

 下方に開いたワームホールから、何やらコミカルな黒い球体に導火線が付いた爆弾がごろごろと落ちていく。

 玩具のような見た目だが、その実態は最近作った試作品の爆弾である。

 

 遥か下方から複数の爆音が響く。

 ヨロイ元帥にぶつかった爆弾が次々と爆発をしているのだ。

 

「やっぱ、あの程度じゃどうにもならないわね」

「見た目に反して過激だな、君は。いや、大人しいのか?」

 

 爆弾をぶん投げる少女を過激と言っていいのか、ショッカーの指揮官の攻撃としては大人しいと考えて良いのか。

 ライダーマンが思わず呆れ声を漏らす。

 

 遥か下方から、爆音に交じってヨロイ元帥の怨嗟の声がわずかに聞こえてくるが、そちらは気にしなくていいだろう。

 とにかく足止めは出来た。

 ならば登るのみだ。

 

 二人が上昇していく中、ついには天井が見えてくる。

 

「おっしゃ、次はこいつよ!」

 

 ワームホールから槍や剣に鉄球、さらにはどう見ても家庭から出た生ごみにしか見えない物を呼び出しては下に落としていたミカが、天井を確認するや否や今度はワームホールからミサイルを呼び出す。

 これまた原色を使い、シャークマウスまで描かれたコミカルなミサイルは真っ直ぐ上昇していくと天井をやすやすと吹き飛ばす。

 

「これで最後だな、ロープアーム!」

 

 最後のひと踏ん張りと、ロープアームを扉の残骸に巻き付けライダーマンが跳躍をする。

 そのまま南国の夜空に飛び出す。

 満天の星空の元相対する二人のライダーと、鎧姿の女騎士。

 

「結城!?」

「ミカ!?」

「ミカさん!?」

 

 突然の出現に混乱し、呆然と名前を口にする三人に、二人は慌てて叫び注意を促す。

 

「風見! それとそこの君、気を付けろ! 敵が来る!」

「お兄ちゃん! テオドラ! 気を付けて! 愚物が来るわ!」

 

 ライダーマンとミカの叫び声と同時に、坑道のふちに巨大な鋏がかかる。

 巨大な胴体が、足が、尾が、次々とその姿を地上に押し上げていく。

 周囲の状況を確認したヨロイ元帥は、邪魔者たちが集結しているこの状況に歪んだ歓喜の声を上げた。

 

「結城丈二……仮面ライダーV3……アインロールド……」

「まさか、ヨロイ元帥!?」

 

 テオドラの驚きの声が、南国の夜空に溶けて消えていく。

 ショッカー・アイランド・シップでの最後の戦いが、ついに火蓋を切るのであった。




落としていた武器はアインロールド用に作ったけど、パワーに耐えきれなかった失敗作の数々です(生ごみを除く)。


多分こんな感じだった劇場①

被り物をした偉い大使「ほほう、ライダーどもを倒したのか(倒したといっても、所詮はまがい物。あれらは本郷猛の足元にも及ばん。増長するようなら始末することも考えねばな)」
自称パチモンライダー「いえ、あのような代物、とてもライダーとは呼べません(あんなパチモン連中、仮面ライダーじゃないわ!)」
被り物をした偉い大使「ほう、謙遜か?(身の程を弁えておるのか?)」
自称パチモンライダー「いえ。単なる事実です。力も、技も、魂も、誇りすらも無いライダーを名乗るだけの偽物。あのような連中をいくら始末しても誉にはなりません(あと浅○、次に会ったら必ず倒す)」
被り物をした偉い大使「くっくっく。あの程度の相手では満足できないか。聞きしに勝る闘争心よ。今日のところは下がれ、後ほど褒美を取らせよう(こやつ、若いのに違いを分かっているとは見込みがあるな!)」

なお、送られた褒美は妙な被り物だった模様。
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