ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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誤字報告、いつもありがとうございます。
大変感謝をしております。

注意はしているんですが、なかなか減らない……。


第36話 episode・Destron なんでそうなるんですか!(白目

 何が起きているのか理解するより早く、ライダーマンがスタリと大地に着地する。

 彼はそのままミカを地面に下すと、坑道から姿を現したヨロイ元帥に向き直る。

 

 先ほどまで死闘を繰り広げていた俺やV3、テオドラは完全に置いてけぼりだ。あの腐れザリガニが出て来たので弛緩している訳では無いが、それはそうとV3との戦いは水を差された気分である。

 

「やっほ、お兄ちゃん、テオドラ」

 

 とてとてと俺の背後にやってきたミカが、本当に気楽な声をかける。

 ゴミガニはどうでも良いが、状況を見守っているV3の視線が冷たくて痛いんですけど。

 

「何をやっているんですか、ミカさん?」

 

 そもそも、指令室で待っていたはずのミカがなしてライダーマンと出てくるのよ。

 というかライダーマンとあのザリガニジジイがうちの船でなんで追いかけっこしているのよ。

 ヨロイ一族に修理費の請求書回すよ、ほんと……。

 

 ミカとテオドラを守るような位置を取りながらV3とヨロイ元帥の双方に警戒する俺に、ミカはあっけらかんと答える。

 

「ライダーマンが侵入してきたから、ちょこっとお話にね。そしたらあれが現れた。助けてくれてありがとう、ライダーマン」

「ああ、どういたしまして……なのか?」

 

 ああ、ライダーマンも困惑しているじゃないか。まぁ、あの廃棄物がいるから、俺たちとV3の緊張感を解くためにあえてお道化ているんだろうけど。

 実際、V3が反応する。とはいえ彼が話しかけるのはライダーマンだ。

 

「どういう事だ、結城?」

「ああ、地下で会談を求められてね。それに応じたところ、突如現れた奴に襲われた」

 

 二人のライダーの視線もヨロイ元帥に向ける。

 分かってはいたが、二人にとってもヨロイ元帥の出現は予想外だったのだろう。

 

 俺たちの業界で死んでしまった幹部がいつの間にか復活していることは不思議ではない。

 大首領から永遠の命を授かったもの、科学や魔術で自分の予備を用意しておくもの、末端が少しでも残っていればそこから復活するもの。本当に呆れるほど様々な手段を持っている。

 

 ほんとなんであのゴミガニ、復活して早々こっちに来るんだ? ヨロイ一族の所に帰れよ。

 しかも早々にミカを狙いやがって……。以前ミカとテオドラを狙った時の報復じゃ足りなかったらしい。

 

「危ない事はするなよ……」

 

 ヨロイ元帥に対する怒りとは別に、口から洩れたのはこんな言葉だ。

 戦闘力が無いわけじゃないが俺たちのような戦闘要員ではないのだから、無茶はやめて欲しい。

 

「ライダーマンじゃなければのこのこ出て行かないわよ。ごめん、アレは流石に予想できなかったわ……」

 

 まぁ、この船の建造目的、地球脱出船の事を話せば理解が得られそうな相手なのは間違いない。

 さらに言えば、ミカの見た目で会談を求められれば、いきなり攻撃も無いだろう。ヨロイ元帥が予想外なのは仕方ない。

 あれ? そういや護衛はどうした?

 

「ナマズとトドは?」

 

 俺が不在の間、ミカの護衛を任せていた二人の怪人の姿が見えない。

 俺たちの声が聞こえているのだろう、ヨロイ元帥が会話に割り込んでくる。

 

「トドトハ、コイツノ事カ、アインロールドォォォ」

 

 耳障りな声を上げながら、ヨロイ元帥は片側の鋏を上げて誇示する。

 そこに挟まっていたのは無残にも胴体から切り離された、ウォーターガントドの頭部であった。

 

「貴様……」

 

 態々死体の頭を持ってくるとは実に悪趣味だ。

 そしてそういう真似を喜んでするのがヨロイ元帥という男である。

 

「ア……アインロールド様……。申し訳……、ござ……い……」

「トド!? まだ意識があるのか」

 

 デストロン製の機械合成怪人の頑丈さに驚く。

 過去にV3と戦った奴の同型怪人であり、デストロンが3部族の合議制という形になった事により少数勢力だった機械合成怪人はショッカーに引取り俺の部下になっていた。

 この船の建造に派遣し、信頼できる奴だったので俺が迎撃に出ている間はミカの護衛を任せたのだが……。

 

「ホウ、流石ハデストロン製。ヤワナショッカー製トハ違ウナ。ダガ」

 

 奴が何をするのか、予想するまでもなくわかってしまった。奴はそういう下劣な奴だ。

 俺たちの誰かが動くよりも早く、ヨロイ元帥は鋏に力を入れる。

 

「ショッ……に、デス……ロ‥…に栄光あ……れ……」

 

 それは最後の意地か、トドの最後の声が俺の耳に届く。

 だけど、それで終わりだ。改造人間の頭部は巨大な鋏の圧力の前にあっさりと押しつぶされ砕け散る。

 頭部が残っていれば、あるいは再生手術が可能かもしれない。だが、あそこまで砕かれてはどうにもならないだろう。

 同型怪人を作る事は出来ても、俺の知るウォーターガントドは死んだのだ。

 

「ショッカーナドニ流レル軟弱者ニフサワシイ末路ヨ」

 

 俺に見せつけるために、あえてウォーターガントドの首を刎ねて持ってきたのだ。

 相変わらずのゲロ以下の性格である。他者を傷つける事がなにより楽しいのだ。

 

 奴もデストロンの改造人間。ナマズギラーはショッカーの改造人間。双方とも外道であり死んで当然の奴だ。無残に砕け散り、野垂れ死ぬ覚悟もあったであろう。

 これがライダーとの尋常な戦いで散っていったのなら、悲しみこそすれど怒りを感じる事は無かったのかもしれない。

 だが、あのドブカスに無残に殺される無念はいかほどの物だろうか。

 

 心の奥底に、どろりとした黒い炎が宿る。

 少し前、火野さんや如月さんと共闘した時には感じなかった、ショッカーライダーとして然るべき感情が燃え上がる。

 

「よほど俺に殺されたいらしいな、ヨロイ元帥。その無様な頭を差し出せば粉微塵に砕いてやるぞ」

 

 あれが本体かクローン体かは知らないが、殺されたいなら素直に出てくれば良い物を。

 お望み通りバラバラに引き裂き、二度と復活できないように粉々にしてやる。

 

「ヌカセ! 地獄大使ノ太鼓持チ風情ガ!」 

「その太鼓持ちに無様な敗北を重ねたのが貴様だろう、ヨロイ元帥。今度は腕一本ではなく、完全に消し去ってやる!」

 

 闇の感情を隠す事無く、傲慢に傲然に尊大に言い放つ。

 これがショッカーライダー、アインロールド。大幹部にとて牙を剥くショッカーの狂戦士だ。

 

「ライダーマン。いえ、結城丈二博士。ウェスト博士を守っていただきお礼を申し上げる。ここからはショッカーの不始末。貴方はV3と共に下がっていてくれ」

 

 油断なく構えながら、俺は横目にライダーマンの姿を捉え礼の言葉を述べる。

 ミカの奥の手であるワームホールを使えば逃げる事は出来ただろうが、それは結果論だ。ヨロイ元帥の暴虐の魔の手からミカを救ってくれたライダーマンには本当に感謝の言葉も無い。

 

「V3、勝負は預ける。あの愚物の処分が先だ。テオドラ、ミカを頼む」

 

 俺の言葉に、テオドラは無言で頷くとミカを庇う位置に動く。

 彼女の氷壁の本領は防御だ。彼女が守りに徹すれば彼女たちを傷つける事は困難だろう。

 

 一方、俺の言葉を聞いたV3は再び油断なくこぶしを握り締め戦いの姿勢を取る。

 そして、この場にいる全員に聞こえる声でこう言った。

 

「何を言っている? ヨロイ元帥が現れたからどうだというんだ? まとめてかかってこい、ショッカーにデストロン!」 

 

 一瞬、V3以外の全員が固まる。

 確かに戦いを止める理由は無いかもしれないが……。

 

「お、おい、風見!?」

 

 隣にいるライダーマンが慌てるが、V3の考えは変わらない。

 この反応から考えるに、ミカはライダーマンには船の建造目的を話して引かせることに成功したのだろう。

 だが、その情報を知らないV3が引く理由は無いか……。

 

 とはいえ、敵同士が戦うってのに、高みの見物じゃなくて何で自分から突っ込んでくるんだよ!

 

「結城、お前がその子供と何を話したのかは知らないが、ここでショッカーとデストロンを見逃す理由は無い。何より……」

 

 俺の抱いた疑問を、V3は的確に、そして俺の心を抉る形で口にした。

 

 

 

「あの本郷猛が技を託した男がこの程度なのが許しがたい。中途半端なまま怒りに任せ暴れるというのなら、今この場で俺が引導を渡してやる」

 

 

 

 なんだと!?

 

「何を言っている。貴様らの技などショッカーは解析済だ。俺からしてみればコピーするのは容易い」

 

 いや、同じ技というだけなら確証は無いはずだ。

 だが、俺の言葉に対しての返答はV3が繰り出したパンチであった。

 鋭いパンチを、俺は腕のガードで受け流す。

 

 ぶつかりそうになるヘルメット同士。その近距離で、V3の、風見志郎がはっきりと断言をする。

 

「その構えが、技が、呼吸が、その全てが同じだ。俺が見間違うはずがない」

 

 くそっ!

 俺は開いた腕で横合いからチョップを繰り出す。

 だが、そのチョップはV3に掴まれて不発となる。

 

「見よう見真似の上辺の技ではない。あの人に技を託された、違うか!」

「違う!」

 

 蹴りを放ちV3の拘束を解く、一度距離を取ると、反動をつけてV3との距離を詰める。

 

 別に技を託されてはいない。俺が見よう見真似で勝手に使っているだけだ。

 治療を受け、匿われ、鍛え直すのを手伝ってもらっただけだ。

 

「勝手に盗んだだけだ! ただ、それだけだ!」

 

 教わったなどと口が裂けても言えない。

 託されたなどと思い上がる事など出来ない。

 

 V3に向かいパンチを繰り出す。

 だが、拳をV3は容易に受け流すと、カウンターの拳を繰り出す。

 

「盗めるものか! 本郷猛が血の滲むような修練で身に着けた技を使いこなせるものか! 託されているんだ、お前は!」

 

 特訓メニューの中に技へと繋がる幾多の基礎が隠されていた事なんてわかっているさ。

 でなければ、ここまでしっくりとあの人の技が馴染むわけがない。

 

「地獄の悪鬼に何を託すっていうんだ!」

 

 俺のパンチがV3のヘルメットを、V3のパンチが俺のヘルメットをかすめる。

 くそっ! 好き放題言いやがって!

 ただの技泥棒に何を期待しているんだ!

 

 唐突に始まった俺とV3の戦い。

 だが、この戦いに割りこんでくるものが一匹いた。

 

「丁度イイ! マトメテ死ネェェェェェェ!」

 

 俺とV3の拳が交錯した瞬間が好機と見たのか、ヨロイ元帥が突っ込んできてその巨大な鋏を振るう。

 轟音を立てて、鉄骨すら圧し折る巨大な鋏が迫りくる。

 だが、それはあまりにも大振りすぎる攻撃だ。

 

「頭もザリガニ並みか、ヨロイ元帥!」

 

 瞬時にV3から離れると、その巨大な鋏を両腕で受け止める。

 確かに重い一撃だが、受け止められぬ攻撃ではない。

 

「食らいやがれ! ライダァァァァァァパァァァァァァンチ!」

 

 苛立ちを込めて、鉄をも砕くパンチを繰り出す。

 砕く事こそできないが、その一撃で鋏が付いた腕があらぬ方向に跳ね上がる。

 

「ヨロイ元帥! 何度復活してこようとも、その都度地獄に送り返す!」

 

 一方、俺とは違い鋏を回避したV3はそのまま跳躍すると、いびつな形で張り付いている奴の頭を蹴り上げる。

 鋏が跳ね上げられガードもできず、顎を狙ったそのキックは人型の頭には効果覿面であった。

 思わぬダメージにヨロイ元帥の巨体が数歩後退する。

 

「仮面ライダーV3! いや、クソジジイ!」

 

 邪魔者が下がった。

 だったら、あのジジイに一発ぶちかます。そうしなければ気が済まない。俺があの人に託された物などあってはならないのだ。

 獣のような雄たけびを上げ、俺はV3に殴りかかる。

 

 だが、そのような動きがV3に届くはずもない。

 V3はパンチを片手で受け止めると、その勢いを利用して空中に俺を投げ飛ばす。

 

「くそっ!」

 

 空中で姿勢を制御しようと藻掻くが、そんな抵抗を許すV3ではない。

 追撃の拳が俺の胴体を貫く。

 

「ぐふぁっ!」

 

 血反吐を履きながら、俺の身体は一直線にヨロイ元帥に向かい飛んでいく。

 一方、V3の攻撃から立ち直ったヨロイ元帥は飛んでくる俺を見て、その巨大な鋏を振るう。

 

「邪魔ダァァァァ!」

 

 V3のパンチで吹き飛ばされた上に、ヨロイ元帥の巨大な鋏の打撃は俺の身体に深刻なダメージを与える。

 大きく跳ね飛ばされ、地面の上を二転三転転がる。

 

「くっ!」

 

 ダメージが大きく、すぐには立ち上がれない。

 その間にも戦況は動く。

 

 投げ飛ばした俺を目隠しにしたV3が一気にヨロイ元帥に迫る。

 

「V3キイイイイイイッッッッック!」

 

 必殺のエネルギーを込められたキックを、ヨロイ元帥はその巨大な鋏を十字に構えブロックする。

 だが、鍛え抜かれたV3の必殺の攻撃はその強固なブロックすら弾き飛ばし、その巨大な本体を貫く。

 

「ガアアアアアアアアアアッ!」

 

 信じられないことにヨロイ元帥の巨体が宙を飛び、背後の岩にぶつかり、その崩壊に巻き込まれる。

 硬い装甲と巨体ゆえのタフさゆえに完全な破壊こそ免れてはいるようだが、あれではもはや虫の息だろう。

 

 大地に着地して構えを取るV3。

 星空の元、大地に立つ男の姿は揺るぎが無い。

 

 これがV3……栄光の7人の3番目。

 

 何とか起き上がった俺に、V3が向かってくる。

 

「このまま本当に地獄の悪鬼になるのなら、その前に引導を渡してやる」

 

 迫りくるV3の白い拳。

 悪鬼の命を刈り取るべく、正義の拳が迫りくる。

 

 ああ、このままこれを受ければ、楽になれる……。

 妙にゆっくりに見える拳を見つめながら、そんな思いが心によぎる。

 

 

 

 俺が誘拐されたのは、中学生の頃だ。

 転生者という事で調子に乗っていた俺は、優秀な子と近所で評判であった。

 

 だからだろう、ショッカーに目を付けられ、誘拐された。

 ウェスト博士の技術力を試す、ただそれだけの為に。

 

 ウェスト博士が……ミカが俺をここまで強靭に、そして仮面ライダー1号に瓜二つに改造したのは、ショッカーに対する腹いせだ。

 

 ショッカーにより作られた試験管ベイビー、ショッカーチルドレン。次世代を担う人材というお題目に反して、彼女たちの立場は限りなく低かった。 

 誘拐などの手間いらずの実験生物、その程度の扱いだ。

 最年長の彼女は、弟や妹を守るために成果を出さなければならなかった。だからといって、子供たちを弄ぶショッカーの連中を喜ばせたくもない。

 だから、せめてもの嫌がらせに最強の成果にショッカー最大の怨敵の姿を与えた。

 

 ウェスト博士が俺に施した洗脳は完璧であった。

 命令が無ければ何もする気が起きない。日に日に増す凶暴性。自分というものが消えていく。その感覚は今でも覚えている。

 あのままだったら、俺は消えていて、別の存在になっていただろう。

 

 俺を救ったのは、ミカだった。

 彼女が呟いた言葉が偶然俺の耳に届いた。

 俺はそれを利用した。

 

『お願い……誰か……。あの子たちを……助けて……』

 

 子供たちを助けるという命令を曲解し、俺は自分という物を再構築していく。

 子供たちの守護者。その大義名分の元、ギリギリのところで人間性を保っていた。

 

 その程度のあさましい人間。

 

 だからだろう。

 結局のところ、俺が守れた子供はミカ一人だった。

 ショッカーが壊滅したあの日、謎のライダーに襲撃された俺は敗北し、誘拐されただろう数人を残し子供たちは皆殺しにされた。

 

 あの子たちの仇を取らなければならない。

 さらわれた子達を取り戻さなければならない。 

 

 最後に残されたミカだけは命に代えて守らなければならない。

 

「お兄ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

 だから、こんなところで負ける場合じゃない。

 

 

 

 急速に意識が覚醒していく。

 V3の必殺の拳はもう目の前だ。

 

 回避する余裕などもうどこにも無い。通常の防御では、おそらくは吹き飛ばされる。

 

 このピンチに、俺はかつて戦った相手の技を模倣する。

 両の掌を合わせ、V3の拳を柔らかに壊さぬように、傷つけぬように、優しく受け流す。

 

「なっ!?」

 

 驚愕の声を上げるV3。

 パンチを柔らかく受け流され、体勢を大きく崩す。

 その胴体に、両手による掌底を叩きこむ。 

 

「ぐっ!?」

 

 苦悶の声を上げ後退するV3をしり目に、俺もあえて後方に下がり距離を取る。

 猿真似の技だ。どうせもう通用しないので、仕切り直しをするべきだと判断したのだ。

 

「赤心少林拳、梅花の型……。こっちは本当に見様見真似のまがい物だが、それなりに効いただろう」

 

 今から考えるとあの時のスーパー1、如月さんの知り合いって事で殺さないように手加減してたんだな……。

 米国で始末書の山を相手に格闘をしているだろうスーパー1こと沖一也さんに内心で感謝をしつつ、油断なく構えをとる。

 

 しかし、この技の効果かすっきりしたわ。

 ナマズとトドの件とかでキていた所に、本郷さんとの事とかごちゃごちゃ言われて、カッカしていた。

 まだまだ修行が足りないな、ほんと。

 

「ああ、効いたな。少なくとも、先ほどよりはマシだった」

「ぬかせ、不良老人。叩きのめして町の老人ホームに叩き込んでやる。費用はこっちで持ってやるぞ」

「悪いが生涯現役だ。お前こそ、本郷さんの所に送り返してやる」

 

 再び対峙する俺とV3。

 そして、俺達だけではなく岩に埋まっていた奴までもが再び動き出した。

 

「オノレ、V3! アインロールドォォォォォ!」

「なんだ、生きていたのか?」

 

 でかいとタフだね、ほんと。

 しかし邪魔だ。部下の仇でミカを狙ったクソ野郎だ。

 V3より先にあっちを始末するべきだな。

 

「V3、提案だ。そこで待ってろ。あのゴミを片付けてからお前を叩きのめす」

 

 もうこいつに敬意はいらんだろう。というか、敬意を示す気も起きない。

 ついでに言うと、取り繕うのもやめた。

 ぜってー、アインロールドとして取り繕うとなんかケチつけるぞ、こいつ。

 

 好きだったんだけどね、仮面ライダーV3。

  

「悪いがその提案は聞けないな。とはいえ、確かに邪魔だな。俺が片付けるから、お前は引っ込んでいろ」

 

 お互いのセリフにイラっと来ながら、俺とV3の視線はヨロイ元帥に向けられる。

 とはいえ、もうどちらも敵としては見ていない。あれは目の前のライダーとの戦いの単なる邪魔者だ。

 

 その事にプライドを甚く傷つけられたのだろう。

 ヨロイ元帥はひときわ大きな叫び声を上げた。

 

「ナメルナァァァァァァァァ、仮面ライダァァァァァァァァァァァ! 新タナ力ヲ受ケテミロ!」

 

 その叫び声と同時に、奴の巨大な胴体の各所から忌々しい音が響き始める。

 

【カニレーザー ザリガーナ ガッチャーンコ!】

 

 え?

 

【吸血マンモス ザリガーナ ガッチャーンコ!】

 

 おい、ちょっとまて!?

 

【死人コウモリ ザリガーナ ガッチャーンコ!】

 

 あっ、そういや錬金術師を一匹飼っていたな、ヨロイ元帥。

 あのクソ女の怪人合成技術を手に入れてたのか、こいつ。

 

 俺が呆れ、V3が唐突な事態についていけない間にも、ヨロイ元帥の姿が大きく変わっていく。

 

 その甲殻類の巨体の背中に、巨大なコウモリの翼が生えていく。

 その甲殻類の巨体の肩から、二本の巨大な牙が生えてくる。

 その欲望と自己顕示欲に歪んだ頭部に、巨大なレーザーの発射口が出現する。

 

「コレゾ、四重錬金術。今ノ俺ハヨロイ元帥にアラズ! ワガ名ハデストロン大元帥ヨ!」

 

 かつてのデストロン大幹部たちの力を取り込んだヨロイ元帥……いや、デストロン大元帥は大声で宣言する。

 巨大な魔獣と化したヨロイ元帥の耳障りな笑い声が、南国の夜に響き渡った。

 




ANOYOでお休み中の大使「本郷の弟子になっただと!?(ガタッ!)」


本作の昭和勢は、スピリット成分が注入されております。
そのつもりだったのに、なんかV3が勝手に変な方向に進んでいく……。
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