ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第4話 episode・W 転生オリ主が思い上がるのはかませフラグ

 この世界には仮面ライダーがいる。

 

 

 少なくとも昭和ライダーと呼ばれた連中は全ている。

 

 理不尽の塊……もとい、RXもいる。

 

 ネオライダーはちょっとわからないが、巨人の都市伝説があるので多分いるのだろう。

 

 平成ライダーもたぶんいる。たぶんと注釈が付くのは、ショッカーの情報網をもってしても存在が確認できない連中が何人かいるからだ。

 

 令和ライダーもおそらくはいる。神山飛羽真は小説家として文壇デビューを果たしているし、飛電インテリジェンスはヒューマギアを販売している。

 ただ、スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズはいない。代わりに人の鞄から赤いき〇ねをちょろまかした狐を祭る神社はあった。

 

 サブライダーはちょっと把握していない。なんならパチモンライダーまでいる。

 俺自身もパチモンライダーだが。

 

 前世なるもので特撮ファンであった俺はその事に喜んだ。もしかしたらリアル仮面ライダーに会えるかもなんて期待したりもした。

 まぁ、それもショッカーに誘拐され改造されるまでの話だが。

 

 

 長々とした前置きをしたのは、半ば現実逃避のためだ。

 俺の目の間にいる存在に、一瞬とはいえ俺は硬直する。くそ、会いたくなかったよ!

 

「さあ、お前の罪を数えろ!」

 

 左右で色の違う……、メタリックな輝きの緑と黒の男の、赤く輝く瞳が俺を射抜く。彼の名は仮面ライダーW……。

 

 いや、何でここに仮面ライダーWがいるのよ?

 風都じゃないよ、ここ。この間ドーパントが出た時は来なかったくせにさぁ!

 

 仮面ライダーW……。風都を舞台にガイアメモリをばら撒くミュージアムと戦った男たち。右半身と左半身。それぞれが使用しているメモリによって姿を変える変幻自在の戦士。

 6つのメモリと2つの特殊なメモリを駆使して戦う、二人で一人の仮面ライダー……。

 

 彼の情報を思い出すたびに、どんよりと胃が重くなる。

 勝てる気がしねぇ……。

 

「行くぜ、ブラックライダー!」

 

 その言葉と共に、Wが俺に向かってくる。

 そりゃ俺の意匠はかなり暗めの緑だけど、ブラック扱いは勘弁してほしい。理不尽の塊がひょっこり来そうで嫌だ。

 

「くっ!」

 

 首を動かしパンチを紙一重で避けると、カウンター気味に膝蹴りで腹部を狙う。

 だが、戦巧者のW。俺の膝を空いた手で止めると後ろに下がる。

 

「ライダーパンチ」

 

 だが、下がったならこちらのチャンスだ。右手にエネルギーを込めるとそのままWの顔面に向かってパンチを繰り出す。

 

「はあっ!」

 

 別に体勢を崩したわけでもないWはそのパンチを両手でガードする……が、その勢いを殺せずさらに後方へと飛ぶ。

 よっしゃ、予想通り。先ほどのパンチで推測したが、パワーとスピードに関してはこちらが上だ。このまま押し切る!

 逃げたWを追い、パンチとキックを交えたラッシュで前に出る。

 

 手札の多いWに息をつく暇を与えるのは悪手。とにかくパワーとスピードで押し切るしかない。

 ついでにちらりと腰を抜かしているマグマドーパントに圧をかけておくことも忘れない。あんにゃろうには聞かなければならない事が多いんだ。Wが来たのもきっとあいつのせいだ、俺がそう決めた!

 

 流石のWといえども、俺の怒涛のラッシュには後退を余儀なくされる。

 このままお帰り頂いたらありがたいなどと考えたのがいけなかったのか……。

 

【LUNA】

 

 突如Wの腰のベルトからボイスが響く。

 ちょっとまて! そんな隙は与えたはずないのに!?

 などと驚愕する暇もなく、ありえない側面から何かが殴り掛かってくる。

 

 いや、何かはわかっている。

 長く伸びたWの腕だ。

 

 半身を金色に変えるルナメモリ。その能力は変幻自在。Wの腕を伸ばす事などお手の物だ。

 Wの叫びと共に、鞭のようにしなる腕と足が縦横無尽に襲い掛かる。

 

「君のようなパワー自慢相手に、正面からは殴り合えないからね!」

 

 Wから左翔太郎ではない声が……フィリップか!?

 

 意志を持ち自在に変化させる手足は、通常の鞭以上に厄介だ。動きがまったく読めない。

 流石の俺もたまらず足を止め迎撃するしかない。パワーを防御に回しパンチで迎撃する……。

 くそっ、迎撃のパンチじゃWにダメージは無しか。

 

 俺が足を止めたのを良いことに、Wは距離を取り……。

 

【TRIGGER】

 

 黒かった左半身が青いものに変わる。さらにいつの間にか銃を握っていた。

 銃口が火を噴く。金色の弾丸が複雑な曲線を描き襲い来る。

 

 って、やべーよ! さすがにこれは紙一重じゃかわせない。

 悪手だとわかってても、次々に迫る弾丸を駆け抜けて何とか避ける

 

「どうやら、飛び道具は無いみたいだね」

 

 くそう、見抜かれているなぁ……。旧式は指にマシンガンを仕込んでいたらしいが、ナノマシンによる生体強化を主軸に補助機器を埋め込んでいる俺にそんな内蔵火器は無い。

 なんか武器をくれとは前々から言っているんだがミカのお眼鏡に適うものが無いらしく、徒手空拳の昭和ストロングスタイルなのが俺だ。

 とはいえ、いつまでも……。

 

「いつまでも一方的にやられると思うな、W!」

 

 俺はある程度距離を取ったところで振り向くと、地面を強く踏み抜く。その衝撃でコンクリートの床がめくりかえる。

 これぞ必殺、床板返し!

 

「これをくれてやる!」

 

 コンクリートの板をWに向かい蹴り飛ばす。俺の絶妙な力加減によりコンクリートの板は形を保ったままWに向かい飛んでいく!

 

「なんちゅー、馬鹿力!?」

 

 うっせー、現状それしかないんだよ!

 コンクリートの板に隠れてWに接近を試みる

 

【HEAT】

【METAL】

 

 だが、板の陰から再びメモリチェンジの音が……。

 

「ライダーパンチ!」

 

 俺の拳がコンクリートを砕きWに迫る。

 だが、コンクリートの板の向こうにいたWは、赤き右半身と鋼の左半身へとその姿を変えていた。

 

「ヒートナックル」

 

 灼熱の炎を纏ったWの拳と俺の拳が激突する。

 

 垂れ下がったコードや残った窓ガラスが弾け飛ぶほどの衝撃があたりを振るわせる。

 俺とW、互いに衝撃を逃がすために大きく後ろに飛びのいた。

 

 マジで強い……。パワーとスピードに関しては俺が上回っているのに、最初のラッシュ以降は主導権を握られっぱなしだ。

 戦い慣れている。これが仮面ライダーW……。これまで葬ってきた怪物やパチモンとは桁違いだ。

 

「まだやるか、ブラックライダー?」

「悪いが、そこの馬鹿どもから問いたださなければならない事があるのでね……」

 

 相変わらず特殊ケースを抱えたまま腰を抜かしているマグマドーパントにちらりと視線を向ける。

 Wも同じようで、奴の視線が一瞬だけそれる。

 

「あんたにくれてやるわけにはいかないな。俺たちもこいつに用があるんでね」

 

 つまり、この戦いの勝者の賞品なわけだ、あのドーパントは……。

 

 嬉しくない賞品もあったものである。

 

 再び俺とWの間に緊張が高まる。

 先ほどまでの小手調べとは違う緊張が漂う……その時だった。

 

『ドチラニモ渡スワケニハイカナイナ』

 

 不意に工場に聞き覚えのない声が響き渡る。どこから声が……探すまでもなく、声の発生源はドーパントの抱えていた特殊ケースであった。

 何事か? そう疑問の声を上げるよりも先に事態は動く。

 

「ひっひいいいいいい! な、なんでぇ!?」

 

 奴が抱えていた特殊ケースから触手のようなベルトが生え出し、マグマドーパントを拘束していく。

 奴も必死に拘束を解こうと暴れるが、ベルトはそんな動きにはびくともしない。

 

 そして……

 

【ガイアメモリ!】

【アマゾン細胞!】

 

 鞄より不気味な音声が響く。

 

【ガッチャーンコ!】

 

「お、俺にぃぃぃ! なんでぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 まてや! なんだよその悍ましいガッチャンコ!?

 

 俺の内心のツッコミなどをよそに、ケースの外装が吹き飛び内側より何やら円柱形のポットが出現する。

 ポットは音を立ててドーパントの内に潜り込んでいく。 

 同時にドーパントの姿も変わっていく。体のサイズが大きくなり、各所に鋭角な突起が出現、それを中心に新たな炎が吹き上がる……。表皮が腐り崩れ落ち、うちから新たな炎が噴き出す。

 おぞましく、巨大な炎の化け物へと姿を変えていく。

 

「おいおい、なんだよ、これは……」

「さてな……。どうやら貴様は嵌められたようだな」

 

 必殺技その2、事情はよく分からないけど、とりあえずそれっぽい事を言っておく。

 

「てめぇ、何を知っていやがる」

「さてな……。来るぞ、構えろ!」

「ちいっ!」

 

「GYAAAAAAAA!」

 

 3mを超え4mに達そうかという巨大な炎の魔獣がこちらに迫る。

 轟音を立てて灼熱の腕が薙ぎ払われる。

 

 俺は後方に下がりそれを回避、一方のWは背中のメタルシャフトを引き抜くと腕の一振りを受け止めた。

 流石は全メモリの中で最高の防御力を誇るメタル。その硬さは半端ない。

 

「おい、茂木憲太さん! 聞こえるか!?」

 

 そうして攻撃を受け止めたWは魔獣に必死な声で呼びかけた。あの交渉人、そんな名前だったのか。

 が、無駄。

 巨大な魔獣は雄たけびを上げながら何度もWに拳を振るう。その都度メタルシャフトで受け止めるものの……あれじゃ長く持たないな……。

 

「無駄なことはやめておけ、W!」

 

 そう声をかけながら、がら空きの胴体に入り込み回し蹴りをくれてやる。

 俺のパワーに魔獣が吹き飛ぶ。

 

「ガイアメモリとアマゾン細胞を合成されたと見て間違いない……。情けをかければ、やられるのは貴様だ」

 

 合成時に聞こえてきたあの音声を考えると、ガッチャードライバーのシステムを模した錬金術の産物か?

 とはいえ、ガイアメモリとアマゾン細胞を掛け合わすような節操のないくそったれな真似をするのは財団Xの連中っぽいし、ほんとよくわからん。

 ん?

 

「GYAAAAAAAAA!」

 

 魔獣の両肩の炎の塔からいくつもの炎の塊が出現する。

 狙いは俺達じゃない? あ、やべ。倒れている黒服連中とゴキブリドーパントを忘れていた!

 

 無数の炎の弾丸が黒服とゴキに向かっていく。手下の始末かよ! 知性が有るのか無いのかわからないな!

 俺はベルトの前で拳を合わせ、エネルギーを集中させる。

 

「Boost!」

 

 こんな事で切り札を切りたくは無いが、ここでこいつらを始末されるのは色々まずい!

 超高速で動き回り、炎の弾を殴り飛ばしてすべて迎撃! 最後の一発は……。

 

「ライダー……チョップ!」

 

 左右に切り裂かれた炎の弾が俺の後方で爆発する。

 あ、やべ……ちょっと無理をしすぎた……。

 

 流石に無理をしすぎた……。片膝をつく。強化スーツの端々から煙が上がる。

 大したダメージではない……。戦闘能力は1割減といったところだ……。

 

「サイクロンヘル! こいつらを回収しろ!」

 

 俺の叫びに待機しておいたバイクが自走しやってくる。後部のツールパックから次々にドローンを吐き出し、黒服とゴキどもを吊り上げて回収していく。

 おっし、これで一安心。

 

「おい、ブラックライダー!」

 

 俺の行動にWが何故か動揺するが、今は俺にかまっている場合じゃないだろう。

 これだからハーフボイルドは……。前世なら感動している場面なのに、微妙にイラついていた。

 

「俺を……ブラックなどと呼ぶな……。それよりも、俺にかまっている場合じゃないだろう」

 

 その言葉に反応したのは、フィリップであった。

 

「翔太郎、確かに彼の言う通りだ」

「確かにな……」

 

 予想外にダメージを受けた俺を放っておいて、魔獣がWに向かって再び拳を振り上げる。

 先ほどまで防戦一方だったので舐めているのか……。

 だが、Wの実力はあんなものじゃない!

 

「あんたを探すのが仕事だが……ちいっとばかり痛い目を見てもらうぜ」

 

 拳を両の手で受け止めると、そのまま強引に引っこ抜きぶん投げる。

 

 ……どっちが馬鹿力だよ。

 

 魔獣はそのまま壁をぶち破り、外に転がり出る。

 

「翔太郎、あのような姿だがガイアメモリ相手には……」

「ああ、これだな!」

 

 

【CYCLONE】

【JOKER】

 

 

 Wが再び風を纏い、速き風の緑の右と切り札たる黒き左へと姿を変える。さらに……。

 

 

「さあ、メモリブレイクだ」

 

 

【JOKER】

【MAXIMUM=DRIVE!】

 

 

 黒きメモリーが右の腰にあるスロットに差し込まれる。

 生身なら目を開けているのも厳しいだろう、暴風が周囲に吹き荒れる。

 これこそ、仮面ライダーWの必殺技!

 

「ジョーカーエクストリーム!」

「ジョーカーエクストリーム!」

 

 掛け声とともに真っ二つに割れる仮面ライダーW……。ってか、本当に割れたぁ!

 いや、知識として知っていたけど、実際に目にすると驚きは相当なものだ。

 

 さらに、相当なのは見た目のインパクトだけではない。

 二人に割れたライダーのキックがそれぞれ魔獣に突き刺さる。その膨大なエネルギーが魔獣を貫き吹き飛ばす。

 

 小さな爆発と共に怪物の姿が縮小し、人の姿に戻る。

 転がり落ちて砕けたのは、マグマガイアメモリだろう。

 

 

 普通ならこれで終わりだ。

 だが、そうはならなかった。メモリブレイクされた交渉人が突如として胸を押さえのた打ち回る。

 その表面では人間ではありえない変化を繰り返し、もだえ苦しむ。

 

「おい、どうした!?」

 

 慌ててWが駆け寄るが……駄目だろうな……。

 

 奴は何かを苦しそうに言おうとするが、肺がやられているのか音にはならない……。

 唇の動きを読む。

 

 『みねこ……なぜおれを』

 

 みねこ……女の名前だろう。嵌められたってところか……。まぁ、詳しくは回収した連中と、本社に残っている役員にでも聞きただすか……。

 闇に近づいた者に、ろくな死にざまは無い。まったく、妙な野心を持たず、普通に生きていればよかったものを……。

 

 Wが男を壁に腰を掛けさせ、なんとか介抱しようとしているが、俺はちょうど注意がそれたのをよい事に、音もなく近づくと手刀を作る。

 

「ライダー……チョップ……」

 

 そのまま一閃。心臓を貫いた。

 

「ブラックライダー! てめえ!?」

 

 W……いや、左翔太郎が突如の凶行に色めき立つ。

 流石正義の仮面ライダーだ。素直に羨ましいよ……。

 

「症状から見て、こいつが感染したのは溶原性のアマゾン細胞……。どのみち助からないし、助かったとしても……人食いの化け物になるだけだ……」

「だが!」

 

 アマゾン細胞の感染速度については詳しくないが、感染率は低いとは聞いている。

 おそらくは先ほどの錬金術が関係しているのだろう。

 

「愛するものを貪り喰らう化け物だ……。ここで死なせてやるのが……慈悲だ……」 

 

 俺は手刀を引き抜く。そこには不気味な筋の浮かび上がった変色した死体が転がっていた。

 止めを刺した俺が言えた義理じゃないが、人の死にざまじゃないな、ほんと……。

 

 隙だらけだったはずなのに、Wは俺に攻撃を仕掛けることは無かった。

 W……いや、左翔太郎なら手を出さないだろうという確信はあったが。

 

 男の瞼を閉じてやる。流石にね……死ねば仏様。危険技術に手を出したアホと言えども、死んだ人間まで貶める気はない。そこ超えたら、悪人じゃなくて外道に落ちそうだ。

 さてと、俺は大きく飛び上がり工場の屋根に飛び乗った。

 

「お、おい!?」

 

 仮面ライダーWが慌てるが、突然の展開に追いつかないのか追ってはこない。

 だったら……。

 

「勝負は預けるぞ、仮面ライダーW」

 

 よし、こう言えばきっと追ってこない。追ってくるとしたら、空気を読まないハイパー無慈悲ぐらいだ!

 ま、これだけでは不親切なので、ちょっとだけ伝えておくか……。

 

「キーワードは錬金術だ」

「まて、どういう意味だ!?」

 

 なんか言っているがとりあえずは無視。これだけ伝えておけば、あいつらならこの事件の黒幕にたどり着くだろう。

 これ以上はWとなんか戦っていられない。

 俺は再びサイクロンヘルにジャミングを命じると、早々にこの場を後にすることとした。

 

 ま、人のシマで好き勝手した奴には、必ず落とし前はつけるけどな。

 




とりあえず、前回到達できなかった戦闘シーンまで、一人称に変えて。
Wは油断すると翔ちゃんばかり話して困る。

ところで、よく考えたらこれ、ライダー全部復習しないとキャラエミュ出来なくない!?

  • お前の始めた物語だろう
  • (見なくても)何か、行ける気がする!
  • 無理はしなくて良いのよ
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