ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第54話 episode・ZI-O 幕間・2025:ウォー・オブ・ウォッチ

「つまり、我が魔王とアインロールドは閉鎖された異世界に囚われていると?」

「はい。その世界を知る切っ掛けはおよそ3か月前。ハンドレッドに侵略された世界から、難を逃れた子供をマイロードは保護なされました」

 

 きっかけは偶然であった。

 偶然発生した次元の裂け目。そこから子供が転がり落ちてきたのだ。

 恐らくはその世界で力のある者が、最後の力を振り絞って子供を逃がしたのだろう。随分と衰弱をしていた子供から何とか事情を聞くと、何の前触れもなしに姿を変える人間たちが攻め込んできたという。

 特徴を確認すると、ハンドレッドの侵略に間違いがなかった。

 

 その世界を救うべく、調査に乗り出したのだったが……。

 

「その世界はマイロードのお力を以てしても、進入が困難な障壁に包まれておりました」

 

 様々な手段で調査を行ってみたものの、進入は不可能。内部も大々的に改造されている事ぐらいしか窺い知る事は出来なかった。

 ハンドレッドのやり方はよく知っている。おそらくは中に取り残された住民たちの生存は絶望的だろう。

 それでも調査を続けている内に、稀に世界の入口が開くことが判明した。

 

 それがこの世界の、加古川飛流の持っていたウォッチであった。

 

「この世界に派遣された私はウォッチの奪取に乗り出しましたが、妨害者もおり加古川飛流の逃亡を許してしまいました」

 

 ハンドレッドの侵略に晒される世界を長期間は離れられない。この世界にいるカグヤの友人の助けもあり加古川飛流の追跡にこそ成功するが、今一歩のところで取り逃がしてしまう。

 その際、妨害者の手により協力してくれたカグヤの友人が傷を負ってしまった。

 結局の所、いざという時の為にカグヤから預かっていた手札を忍ばせる事が精いっぱいであった。

 

「妨害者?」

「はい、灰ウォズと名乗る男です。純白のスーツ姿である一点を除き、そちらのウォズ様と瓜二つでした」

 

 バトラーの言葉に、ゲイツとツクヨミが思わず叫び声を上げる。

 

「ウォズ、お前また増えたのか!?」

「ちょっと、節操が無さすぎるでしょう、ウォズ!」

「いや、私に言われても困るのだが……」

 

 白ウォズという存在にひどい目にあわされた事のある二人の言葉に、さすがのウォズも少々困ったかのような表情を浮かべる。

 自身の所業も色々と言われるだけの事はあったと自覚はしているが、勝手にやってきた平行存在である白ウォズや正体不明の灰ウォズの責任まで負わされてはたまったものではない。

 そもそも、好きで増えた訳では無いし、増えた数ならソウゴには遠く及ばない。

 理不尽にもほどがあるというものだ。

 

 そんな身内のやり取りを尻目に、バトラーの話を静かに聞いていたクモ男がここで口を開いた。

 

「つまり、バトラー殿が忍ばせたという手札と、ウォッチの修復が完了すればアインロールド様やジオウを救出に向かえると考えて良いのかな?」

「その通りでございます。こちら側の入り口であるウォッチで扉を開き、マイロードのお力を分けた手札が我らを招き入れる事によりかの世界への扉は必ずや開かれます」

 

 

※※※※※

 

 

「アインロールド様!」

 

 アインロールドアーマーを纏ったジオウとウォズの会話を横目で見ていた俺の元にやって来たのはクモ男を始めとした今回の作戦に従事した改造人間たちだった。

 まったく、態々こんなところまで来るとは、こいつらも物好きな。

 悪の組織らしく失敗者を笑えば良いものを、うちに残った面子は妙に忠誠心が高くて困る。

 

「すまん、面倒をかけたな」

「何をおっしゃいます。ご無事で何よりです」

 

 代表してクモ男が答える中……、ん? コウモリ男がいないな?

 

「コウモリ男がいないな? まさかやられたのか?」

「いえ、その……。奴はウェスト博士に報告を……」

「そうか、重ね重ね面倒をかけた」

 

 一番嫌な役をやらせる事になったコウモリ男には後でフォローを入れておこう。

 それはともかくとして、俺たちが会話をしている間に、ゲイツが、ツクヨミが、レジェンドがやってきた。

 

「あんたが助けに来てくれたのか?」

 

 先ほどの声の主はこいつに間違いないだろう。というか、ゴージャスうんぬんと枕詞に使う奴はこいつぐらいだ。

 単身、世界を丸々一つ守護する仮面ライダーレジェンド、世界転移系に関しての知識があれば一度は触れるビッグネームだろう。

 

「そちらの仮面ライダーアインロールドは既にカグヤ様の事は知っているようだが、初対面の者もいるので名乗っておこう。我が名は鳳桜・カグヤ・クォーツ」

「そして今のマイロードの姿こそ、仮面ライダーレジェンド! 広くあまねく世界を照らす、まさに生ける伝説!」

 

 だから俺はショッカーライダーだと……。

 こいつらの中で仮面ライダーの基準がどこにあるか知りたい。ほんと知りたい。

 それはともかくとして、ポーズを決めながらそう名乗る仮面ライダーレジェンドとバトラーに、初対面だろうジオウがこう漏らす。

 

「すごい、金色の仮面ライダーだ」

 

 常磐さん、グランドジオウも金色率ではそう変わらないと思いますよ……。

 

 しかし、存在自体は知っていたが、目の前に現れると、濃いな、こいつら……。

 正直先ほどまで加古川と死闘を繰り広げていたのがウソのように、緊張感がどこかに吹っ飛んで行ってしまった。

 

「ハンドレッドに侵略された世界を救いに来てみれば、まさかこんな事態になっていたとはカグヤ様も想像していなかった」

 

 そう言った彼の指に挟まれていたのは、仮面ライダーナーゴのカードであった。

 先ほどの声で想像していたが、あのナーゴっぽい猫は彼が送り出した使い魔のような物だったのだろう。

 どこをどうやったのかまでは流石にわからないが、この世界を偵察する傍らこのエリアのウォッチを盗み出しエネルギーを貯めていたというところか。

 

 そして、今はそのカードを読み取り、この世界の情報を確認したというところか。

 

「そうか、元は誰かが住んでいた、侵略された世界だったのか……」

 

 話を聞いていたジオウの言葉に、ドスの効いた響きが混じる。

 

 恐らくはジオウの力を封じるための檻を作るために、俺たちの歴史とは全くかすりもしない世界を探し出し侵略したのだろう。

 無人の世界を使わなかったのは、その世界の遥か未来が人類史と繋がってしまう可能性を恐れてか。ライダーさえ歴史のどこかに発生すれば、そこから力を取り戻しかねないからなジオウ……。

 

 ジオウの仲間にレジェンド、ショッカーの改造人間たちが集う中、相対しているのは孤独の王であるアナザーオーマジオウと奴が作り出した俺の出来損ない。あとは正体不明の灰ウォズか。

 もっとも、灰ウォズは一歩引いた位置でこの状況を楽しむような表情を浮かべており、これ以上干渉する気は無さそうに見える。

 

「有象無象の数を集め、ライダーともカウントできないショッカーライダーの力を借り受けたところで俺に勝てるものか!」

 

 それとは逆に、アナザーオーマジオウこと加古川飛流は怒声を上げ、あの不気味な仮面越しでも憤怒の表情を浮かべている事が容易に想像が出来る。

 その言葉を受けたジオウは、どこか悲しそうな、それでいてドスの効いた厳しい声をアナザーオーマジオウに向ける。

 

「飛流。もうお前に勝ち目はない」

「これを見ても同じ事を言うか!」

 

 その言葉と共に、アナザーオーマジオウが手を振ると、唐突に空間が歪み幾多のアナザーライダーとカッシーンがそれこそ地を埋め尽くさんばかりに出現していく。

 奴固有の戦力であるアナザーライダーはともかく、ハンドレッドのカッシーンは同型の戦闘用スーツだったはずなので、クォーツァーのロボを手に入れていたのだろう。

 有象無象はどっちだか……。

 

「俺はちょっとばかしゴミの始末があるので残るが、お前たちはどうする? 先に帰っても良いぞ」

「いや、最近暴れたりなかったですからな。ひと暴れしたい気分だったところ」

「ウェスト博士に報告するよりは、あの連中の相手をする方がずっと楽だな」

「まったくだ」

 

 負ける気は欠片もしないが、ちょっとばかり数が多い。

 どうするかと迎えに来た部下たちに声をかけるが帰る者は一人もいなかった。

 まったく、馬鹿者どもめ……。

 

 一方、うちの連中はさておき仮面ライダーどもはといえば、当然だが逃げる気がある者など一人もいない。

 

「やれやれ、数が多いな。今回は大判振る舞いをしなければいけないようだ」

 

 そう言いつつレジェンドはカードをレジェンドライドマグナムに装填していく。

 ディケイドとディエンドの能力を合わせたかのような力を使うレジェンドの事だ。ライダーを召喚して数の不利を補う気なのだろう。

 

 アナザージオウの軍勢と対峙するのは、ライダーとショッカーの連合軍。

 そして、ジオウのこの言葉が戦いの合図であった。

 

「決着を付けるぞ、飛流!」

 

 

 

 まさしく大混戦であった。

 ビームやミサイルが飛び交い、爆発や剣戟の音が響き渡る。どうやって持ち込んだのか戦闘バギーに乗った戦闘員たちがカッシーンを蹴散らし、カッシーンが杖から放つ光弾が戦闘員たちを吹き飛ばす。

 加古川の再現度が低いのか、ショッカー戦闘員たちはカッシーンの群れと互角以上に戦っていた。

 

 とはいえ、流石にアナザーライダーは戦闘員たちの手に余る。

 そこで活躍したのは、仮面ライダーとショッカーの改造人間であった。

 

 

「一番槍は私がもらうぞ!」

「おい! まて!」

 

 宙を舞う巨大な怪物、アナザークウガに立ち向かうのはゲイツとムササビードルだ。

 元々超高速での戦闘を得意とするムササビードルと高速機動形態であるゲイツリバイブ疾風となったゲイツは、その巨体に掴まれないよう超高速で飛び回る。

 巨体ゆえのタフさと攻撃力の高さは、掴まれば一発で終わりかねない。

 

「GAAAAA!」

 

 とはいえ、ヒットアンドウェイの攻撃も何度も繰り替えしていれば自然と目が慣れていく。

 アナザークウガがついにはその巨体を生かし、ムササビードルを正面から受け止める事に成功した。

 

「なにっ!?」

 

 破壊的な真空の竜巻に曝され片腕を吹き飛ばされながらも、アナザークウガは片腕でムササビードルの胴体を掴み締め上げる。

 切り落とされた側の腕から鮮血が勢いよく吹き出してはいるが、アナザークウガのパワーは陰る事が無い。

 心の無い、召喚されたアナザーライダーだから出来る荒業だろう。

 

「ええい、放せ! 放せ!」

 

 ギリギリと締め上げられながらも、ムササビードルは必死にもがく。

 とはいえ、相手は10m近い巨大な怪物だ。片腕でもその腕力は計り知れない。

 このままではムササビードルの肉体は握りつぶされ爆散しただろう。

 

 そう、このままなら。

 

「やらせん!」

 

【ゲイツリバイブ……剛烈!】

 

 超高速でアナザークウガの上を取ったゲイツがリバイブウォッチを反転させる。

 速度に優れた青い疾風形態から、パワーと防御に勝るオレンジの剛烈形態へと変化する。

 

 ゲイツは重力に身を任せ、落下の勢いを乗せたジカンジャックローをアナザークウガの残っていた腕に叩きつける。

 耳障りな音が鳴り響き火花が飛び散る中、回転ノコの歯がアナザークウガの甲殻にめり込み、ついにはその腕を両断した!

 

「GYAAAAAAA!」

 

 両腕を失ったアナザークウガにとどめを刺したのは、拘束から解放され体勢を立て直したムササビードルであった。

 

「これでも食らえ!」

 

 拘束から解放されたムササビードルはそのまま一気に遥か上空まで上昇、そのまま落下の勢いを武器に特大ソニックブームを生み出すとアナザークウガに突撃をする。

 真空の嵐に曝されたアナザークウガは全身をあらぬ方向に折り曲げついには爆散をした。

 

「すまない。助かったぞ、仮面ライダーゲイツ!」

「今は味方だからな。それよりも、まだ次がいるぞ」

 

 首を動かし、ムササビードルに対して自身が見ている方角を見るように促す。

 そちらを見てみれば、アナザーゴーストやアナザーフォーゼといった飛行可能な連中がゲイツやムササビードルへ向かっていた。

 

「やれやれアインロールド様のお供をしていると退屈はしないな」

 

 多分聞こえないようにつぶやいているつもりなんだろうが、しっかり俺の耳に届いている。

 まるで俺がトラブルメーカーのような、ひどい言われようである。

 

 

 

 

 

 純白の衣装に三日月を思わせる特徴的なマスク。

 仮面ライダーツクヨミは一直線に駆けながら、その手に生み出したルミナスフラクターを縦横無尽に振るう。

 輝きが弧を描き光の軌跡を残すたびに、カッシーンたちが次々に吹き飛ぶ。

 

 その快進撃を止めるべく立ちふさがったのは、アナザーブレイドであった。

 手に持った大剣を正眼に構えると、ツクヨミの進路を塞ぐよう仁王立ちをする。

 

「邪魔よ!」

「OOOOOOOO!」

 

 勢いを乗せた光の剣と、ねじくれた剣が激突する。

 仮面ライダーツクヨミのけた外れのパワーと速度の前に、剣を受け止めたはずのアナザーブレイドが地面に両足の轍を残しながら後方に押し込まれる。

 

「DYOOOOOOO!」

 

 どれだけの距離を押し込まれただろうか。

 力比べに勝ったのはアナザーブレイドだった。

 

 剣を受け止めた態勢のまま大きく押し込まれたものの、アナザーブレイドはその態勢のまま耐えきってみせた。

 快進撃を続けていたツクヨミの足が止まる。

 だが、それを成し遂げたアナザーブレイドは全身が白くなったかと思うと、次の瞬間灰となって消えて行く。おそらくは全エネルギーをツクヨミの突進を止めるために使い果たしたのだろう。

 

 足が止まったツクヨミ。それを見逃すほどアナザーライダーの群れは盆暗では無い。

 カッシーンの群れを飛び越え、アナザーファイズとアナザーウィザードが飛び出してくる。

 二人のアナザーライダーは空中で反転すると、互いに必殺のキックの体勢を取った。

 

 もっとも、足を止める事になったツクヨミをフォローする者がここにはいた。

 クラゲダールの鞭のようにしなる触手が二体のアナザーライダーの胴を強かに打ち付ける。

 しかも、それはただの触手では無かった。仮面ライダー2号と戦った同型怪人よりもはるかに強化された電流がその触手には流れている。

 

 その雷の鞭の一撃は、空中にいた二体のアナザーライダーの動きを止め、体勢を崩すには十分な一撃であった。

 

「助かったわ! はあっ!」

 

 そして、その隙を見逃すツクヨミでは無かった。

 瞬時に体勢を立て直すと、上に向かって半円を描くようルミナスフラクターを振るう。

 光のアーチが空中に刻まれ、飲み込まれた二体のアナザーライダーは一瞬だけ抵抗するものの、次の瞬間その形を崩し轟音と共に爆炎の中に消えて行った。

 

「突出しすぎですよ、仮面ライダーツクヨミ」

 

 何とか追いついて来たクラゲ怪人とショッカー戦闘員たちは、肩で息をしている。

 体力自慢の改造人間とタフな現場に慣れた戦闘員たちが息切れをしている状況にもかかわらず、ツクヨミはどう考えても体力が有り余っているようだ。

 ってか、クラゲダールのフォローが無くても時間はかかっただろうが何とかなったんじゃね、あれ?

 

「大丈夫よ、まだいけるわ!」

「いや、我々が……って、あっ!」

 

 再び敵の群れに飛び込むツクヨミに、流石のショッカーの面々も驚きの色を隠せないでいた。

 

 

 

「やれやれ、また私が現れるとはいい加減にしてほしいのだが?」

 

 心底うんざりといった雰囲気を漂わせているのは銀色のボディスーツに緑の縁取りの仮面ライダーウォズだ。

 無理もない。救世主に仕え救世主を裏切った白ウォズ、女王のしもべの赤ウォズに続き3人目の自分だ。

 3人目に関しては洗脳された自分であり何処かの世界にいる赤ウォズにとっても迷惑な話だろうが、それでも自分が何人も出てくるのは面白い話ではない。

 この思いは灰ウォズも同様だった。

 

「奇遇ですね。私としてもあなたのような節操無しと同じ顔と名前だと思うと反吐が出る思いなのですよ」

「節操無し?」

「それはそうでしょう。魔王を謀り、王を裏切り、最後は魔王に尻尾を振る。これを節操無しといわずして何と言いう? 白ウォズも白ウォズで、仕えるべき救世主を裏切り自らが救世主になろうなどと大それたことを考える始末」

 

 ウォズはクォーツァーの仕込みとして常磐さんに近づき、絆されてSOUGOを裏切ったという経緯があるのは事実だ。

 その事がよほど気に食わないのか、灰ウォズが先ほどまで加古川に見せていた小馬鹿にする態度では無く、心底嫌悪をしている様子を見せだす。

 

「考えてみれば、君が正しく導いていれば私が目覚める事も無かった。お前のような裏仕事が得意な者に動き回られても面倒か」

 

 その言葉と共に灰ウォズが持つ本がばらけ彼の周囲を覆う。

 その本が彼の身を覆い始め、同時に一回り肉体が大きくなる。

 

【アナザーウォズ!】

 

 歪んだ白銀と、ヘドロのような汚らしい緑の縁取り。

 体の各部にでたらめな惑星儀や手裏剣、クェスチョンマークが描かれている。

 なるほど、アナザーウォズ。

 

「自分で自分のアナザーライダーを作るとは……どちらが節操無しだ」

「君よりはましだと思うがな!」

 

 アナザーウォズがその右腕を突き出すと、手裏剣型のエネルギー弾が雨あられのように飛び出す。

 ウォズは大きく下がる。直前までウォズのいた場所に無数のエネルギー弾が突き刺さり、土煙が巻き起こる。

 

【フューチャーリングシノビ! シノビ!】

 

 土煙を切り裂いて紫のマフラーをたなびかせ、両肩に紫の手裏剣を装備したウォズが飛び出してくる。

 今の彼はフューチャーリングシノビ。ミライダーであるシノビの能力を宿した仮面ライダーウォズの強化形態だ。

 

 専用武器であるジカンデスピアを振りかぶり、アナザーウォズへと迫る。

 

 一方のアナザーウォズも、巨大な大鎌をどこからともなく取り出すと、ウォズの一撃を受け止める。

 

 顔がくっつきそうなほどの近距離での鍔迫り合いが始まる。

 技量はほぼ互角。それゆえの真っ向勝負だ。

 そんな中、ウォズがもう一人の自分に話しかける。

 

「いま君は気になる事を言ったな……」

「どういう意味だ?」

「『目覚める事も無かった』と言ったな」

 

 鍔迫り合いでは埒が明かないと考えたのか、アナザーウォズが大鎌を強引に振りぬく。

 マッシブな分アナザーウォズの方がパワーは上なのか、ウォズは大きくジャンプをして力を受け流す。

 

「ヒントを与えすぎたか?」

「わざと伝えたのだろう」

 

 確かにウォズの言う通り、灰ウォズの先ほどのセリフはあからさまにおかしかった。

 あれでは彼は唐突にこの世界に入り込んだのではなく、元からこの世界にいたかの様ではないか?

 いや、いたのか……。

 

「まぁ、ご推測の通りだ。もっとも、別に特別な意味は無い。ただの憂さ晴らしさ!」

 

 そう言うや否や、アナザーウォズは巨大な武器を使っているとは思えない速度で大鎌を振るい続ける。

 紫の輝きが宙を切り、あたり一帯を切り裂く。

 巻き込まれたカッシーンが数体打ち上げられ、粉々に砕け爆散する。

 

 まるで竜巻、その動きにウォズは防戦一方だ。

 その激しい攻撃は唐突に終わりを告げる。

 

 アナザーウォズの大鎌が、ついにはウォズの胴体を捉えたのだ。

 一瞬でウォズの上半身と下半身が泣き別れになった……かのように見えた。

 

 ドロン。

 

 そんな音を立てて、切られたはずのウォズの姿が丸太へと変わる。

 フューチャーリングシノビの得意技である変わり身の術だ。ダメージを受けたかのように見せかけ、姿を隠す術は数多くの敵を翻弄してきた。

 

 だが、アナザーウォズも同じ力を持つ存在であった。

 

「その程度のまやかし、通用はしない!」

 

 変わり身の術を切り裂いた勢いを殺さず、何もないように見える空間をアナザーウォズの大鎌が襲う。

 怪力による斬撃がその空間を切り裂いた次の瞬間、何もない場所から肩を抑えたウォズの姿が滲みだすかのように出現した。

 

「仕留めそこなったか。だが、次の攻撃は躱せないだろう」

 

 変身こそ解除されていないが、大ダメージを受けているウォズを見てアナザーウォズが吐き捨てる。

 大鎌の切っ先をウォズに一度向けると、大きく振り上げる。

 とどめの一撃を刺す気なのだ。

 

 だが……。

 

 

「次の攻撃をかわせないのはお前だ、灰ウォズ。身体を張った甲斐があったというものだ」

「なにっ!? いや、動けない!?」

 

 先ほどまで勝ち誇った様子だったアナザーウォズが突如困惑の声を上げる。

 巨大な鎌を振り上げた姿勢のまま固まり、ピクリとも動けなくなっていた。

 何故動けないのか。それの正体にアナザーウォズは気が付く。

 

「こ、これは糸!?」

「ウォズ殿が奮戦してくれましたからね。十分な準備が出来ましたよ」

 

 そう言って地中から現れたのはクモ男であった。

 そう言えば戦いが始まってから見ないと思ってたら、いつの間に……。

 というか、あんな特技あったんだ、あいつ。

 

「貴方が実質的な指揮官だとお見受けしましたからね。ウォズ殿と一計を案じさせていただきました」

「まさか、ここまでの技の使い手だったとは……。ショッカー、何とも侮れない」

 

 ダメージから回復したのか、ウォズは立ち上がりながらクモ男の技を称賛する。

 かつて本郷さんと戦ったクモ男は糸を吐き出し拘束する技がメインだったが、現代の技術でバージョンアップされたクモ男は多彩な才智を使う。

 肉眼で視認するのも困難な細い糸を使い、アナザーウォズの動きに合わせ周囲に張り巡らせ、ウォズにとどめを刺そうと意識がそれた瞬間に糸を硬化、拘束をしたのだ。

 

「君ならすぐに抜け出せるだろうが、このチャンスを逃す私ではない!」

 

 ウォズの言う通り、それでもアナザーウォズならクモ男の拘束を解く事も可能であっただろう。

 だが、このチャンスを逃すウォズでは無かった。

 

 必殺技を発動させるべく、ジカンデスピアのディスプレイをなぞる。

 

【一撃カマーン!】

 

 得物から響く必殺の雄たけび。

 

「生かして捕えたかったが……くらえ!」

 

 無数に分身をしたウォズが拘束されたアナザーウォズに襲い掛かる。

 四方八方からの斬撃がアナザーウォズを切り裂き、全身からエネルギーが漏れ出す。

 拘束をしていた糸がちぎれ光の粒子となって消えていく中、アナザーウォズも力なく崩れ倒れていく。

 

「ば、ばかな……」

 

 それがアナザーウォズの最後の言葉だった。

 分身をしていたウォズの姿が一つに戻る。次の瞬間、アナザーウォズは巨大な爆発の中に消えて行った。

 

 

 そして……

 

 

「追い詰めたぞ、飛流」

 

 仲間たちが加古川飛流の軍勢を駆逐していく中、俺とジオウ、そしてレジェンドの三人はアナザーオーマジオウとアナザーアインロールドと対峙をしていた。

 




割と本作はクモタイプが優遇されております。
別に狙ったわけじゃないけど……。
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