ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話 作:さざみー
まだ無事な警察官が、人とワームへの変化を繰り返す同僚を引っ張り警察署に逃げ込んでいく。
そんな中、この場に残った警察官だったワームは署長を含めおよそ10体程度。完全にワームに変化したのか、自分から進んでワームになったのか、それとも元からワームなのかはわからない。
「くそっ、あいつら! 恩を忘れやがって! ワームの心は無いのか!」
署長が顔を真っ赤にして、地団駄を踏み怒りに満ちた声をあげた。
周りの警官も、その主張の声に賛同するかのように一斉に緑色のワームへと変化していく。
「無理やり薬で変化をさせておいて、そんなものがある訳ないだろう」
天道さんが署長の妄言を冷めた声で切り捨てる。
普通はそうだろう。思念による操作から解放され自分の意思を取り戻し、さらには人間に戻れる旨を伝えられれば離脱しない理由がない。
余りの身勝手さに、横で聞いてた俺や辛木田さんも呆れた表情を浮かべた。
「ワームの考えはわからないな」
「あいつは元人間だ。そして、ワームと手を組み警察署に薬を盛った主犯があの男だ」
「おい! なんだそりゃ!?」
俺のボヤキに、天道さんが聞きたくも無かった情報を付け加える。
いや、警察署の署長が薬に手を出したあげく、ワームになって警察署に薬を盛ったってさぁ……。
警察の信頼が失墜どころのスキャンダルじゃねえぞ。
「署長室に記録が残っていた。まったく世も末だな」
本当にまったくだよ。
本気で呆れる俺たちの会話が聞こえていたのだろう、頭を抑えながら血走った目で署長ががなり立てる!
「五月蠅い! この力があれば! 人を超えた力があれば!」
俺からしてみれば珍しいタイプではない。
人外の力を欲し、こっちの世界に堕ちてくる人間なんて飽きるほど見ている。
あれもそういう人間だったというだけだ。
これ以上の問答も意味はないだろう。
俺たちが次の動作に移ろうとした、その瞬間だった。
月明かりの下に一発の銃声が響きわたる。
それと同時に、駐車場の中央に設置されていた一番巨大なスピーカーが火花を散って砕け散る。
「何やってるんだよ、セイ。ったく、うるせーったらありゃしない」
警察署に続く道路を進んできたのは、若い男女の一団であった。
年齢は20代前後だろうか。一様にだらしのない服装に身を固めており、警察に捕まることはあっても、警察に積極的に寄ってくる集団には見えない。
その先頭を歩き、たった今銃らしきものを発砲したガタイの良い男に、俺は見覚えがあった。
「桂……?」
数か月しか通わなかった中学生時代、その先輩だ。
正直に言って良い思い出がある奴では無いが、それでも知っている顔には違いが無い。
この場に現れ、ワームに話しかけたって事はそういう事だろう。
「かー、相変わらずくそ生意気な奴だな、渡世」
知っている声で、知っている口調で話しかける。
仕草も俺の記憶にあるままだ。
「一つ聞く。桂竜馬はどうなった」
そういえば、俺に擬態したワームは救助に来たワームを『リョーマ』と呼んでいたな。
つまり、あれはこいつだったのか。
自分でもわかるほど冷たい声での問いかけに、桂の姿をした男はこう答えた。
「俺が桂竜馬だ」
「そうか」
奴の言い回しに、小さくため息をつく。
桂竜馬はワームに殺された。それだけだ……。
乱暴者で人の話を聞かない、ウザい奴ではあった。
それでもだ、命を奪われなければならない程の悪い男では無かった。まして、死後の尊厳まで踏みにじられる謂れなど無い。
あいつにも親兄弟がいた。彼らの嘆き苦しみはどれほどになるだろう。
この世界は残酷だ。
何の咎も無い人が、理不尽に命を奪われる。ただそこに居るというだけで、悪意を持った脅威に晒される。
俺にそんな資格は無いが、それでも本当に腹が立つ。
「誠太郎?」
「大丈夫ですよ、ワームを許せない理由を確認しただけです」
心配そうに声をかけてくる辛木田さんに、冷静に言葉を返す。
胸の中の怒りに惑わされるな。
そう自身に言い聞かせながら敵を見据える。
「許せない? そりゃこっちの台詞だ。色々とぶち壊しにしやがって」
麻薬製造プラントが警察に抑えられた件や、父さんをワームに改造しようとして阻止されている件だろう。
問答は無駄だろう。あれはそういう、奪う以外は出来ない生き物なのだ。
あれはもう、消し去るしかない。
「ぶち壊してやるよ、貴様らの企みなど未来永劫な」
「ぬかせ!」
俺の怒りと闘志に反応して、腰に命のベルトが出現する。
それと同時に夜空を切り裂きカブトゼクターが天道さんの元に飛来し、辛木田さんの手元にチョコドンゴチゾウたちが飛び込んでくる。
「お前ら、いくぞォォ!」
その言葉と共に、擬態竜馬が引き連れてきた半グレ集団が手元の錠剤を口に含んだ。
奴らはそれを音を立ててかみ砕くと、喉の奥に流し込む。
それと同時に半グレ集団は次々に赤いサナギのようなワームに姿を変えていった。
赤? ワームと言えば緑だが……
「GSLはなぁ! 人間をワームに変化させるだけじゃねえ! スーパーワームを生み出す増強薬なんだよぉ!」
訝し気に様子を見る俺たちに、擬態竜馬が訊ねてもいないのに、ふんぞりかえって状況を説明してくる。
ワームも以前のままじゃないという事か。まったく面倒な。
「それだけじゃねえぜ! セイ! おっさん!」
その言葉と共に、月明りに照らされた夜空に裂け目が生まれる。
その隙間より出現したのは改造ザビーゼクター、さらに、改造ドレイクゼクター!?
さらには大地を砕きながら現れるのは改造サソードゼクターであった。
「お前ら、それは」
その様子に、カブトゼクターを構えていた天道さんの眉がピクリと動く。
ネイティブが回収し、ワームに奪われたのってザビーゼクターだけじゃなかったのか!?
「連中が持っていたんでね。便利なんで使わせてもらっているぜ!」
次々にゼクターが使用者の元に集う。
改造サソードゼクターは署長が、改造ドレイクゼクターは擬態竜馬が、改造ザビーゼクターは擬態誠太郎の手に収まる。
ほんと、人の物ばかりだな、連中。
「御託はいい……いくぞ。ライダー変身」
「変身!」
『HENSHIN!』
「変身!」
「チョコドンパキパキ!」
俺達3人の姿が変わる。
ナノマシンを活性化させた俺の背後に強化戦闘服が出現する。
漆黒の戦闘服と、赤い複眼のヘルメットが俺の姿を隠していく。
深紅のマフラーが月明りの下に翻り、ショッカーライダーアインロールドがその姿を現す。
ゼクターをベルトにスライドセットさせることにより、天道さんはカブトにその姿を変える。
全身を緑のヘクスが覆い、ヘクスが白銀の重鎧へと姿を変えていく。
「キャストオフ」
『CAST OFF!』
『CHANGE BEETLE!』
白銀の鎧が身を覆うや否や、カブトはゼクターのレバーを引き起こす。
鎧は細かいパーツに分割されると、周囲に勢いよくはじけ飛ぶ。そしてその内より、赤いボディーアーマーの戦士が姿を現した。
天を衝く角を持つ青き複眼の戦士。仮面ライダーカブトがその姿を現した。
地面に向けられたヴァレンバスターの引き金を引く。
次の瞬間、辛木田さんの足元にチョコレートの沼が広がる。沸き上がったチョコレートが彼の身を包み、板チョコが重要部位を守る鎧へと変化していく。
身を覆う銀紙を振りほどき、白い四角の複眼を持つ仮面ライダーヴァレンへの変身が完了した。
そして、変身を遂げるのは俺達だけではない。
「変身!」
擬態化誠太郎が改造ザビーゼクターを腕に装着し、その姿を黄色と黒、蜂をモチーフとしたザビーへと変える。
「行くぜ、変身!」
擬態化竜馬が取り出したドレイクグリップに、強引に捕まえた改造ドレイクゼクターをねじ込む。
奴のその姿がアシンメトリな蜻蛉を模したドレイクへと変わっていく。
「変身だ」
人類を裏切った署長が、誇り高き男に従った改造サソードゼクターを無理やりサソードヤイバーに押し付ける。
相応しさの欠片もない男が、紫の甲冑のサソードを身に纏う。
戦いの火ぶたはついに切られた。どちらからともなく互いにぶつかり合う。
俺の目の前に、二体の強化ワームが鉤爪を振りかざしながら襲い掛かってくる。
なるほど、強化薬と自慢する事だけはある。ノーマルなワームよりは動きは早い気がする。
もっとも、早いは早いが捕えられぬ速さではない。
一体のワームの腕を受け流すと、そのまま流れに逆らわず体をひねり投げ飛ばす。
投げ飛ばしたワームをとりあえず放置し、もう一体のワームの鉤爪を避けながらに拳を叩きこむ。
なるほど、以前より硬い。今までと同じ力加減では一撃で砕けないか。
仕方なしに、拳を振り切った姿勢から流れるように後ろ回し蹴りを強化ワームにお見舞いする。
先ほどより力を込めたキックはワームの生体組織を破壊し、ワームは赤い炎の塊となり燃え尽き消える。
「もう一体!」
力加減は分かった。
そのまま起き上がってこようとする強化ワームの態勢が整う前に、エネルギーを込めた拳を見舞う。
赤いエネルギーを纏った拳は強化ワームの頭部を吹き飛ばし、二体目のワームも炎の塊となって果てる。
「貴様ぁ!」
「ショッカー!」
仲間たちの爆散に、怒りの声を上げて襲い掛かってきたのはザビーとドレイクだ。
ザビーの毒の針を宿した拳と、ドレイクの放つ銃弾が迫る。
だが、その程度で俺を止める事は出来ない。
「煩わしい!」
怒りは俺が上だ。
ザビーの拳を腕の防御で逸らすとそのまま奴の身を捕えた。
そのまま奴の身体を持ち上げ、ドレイクの放つ銃弾への盾へと変える。
「うわあああ!」
「セイ!? てめぇ、何しやがる!」
背中に弾丸の雨を食らった擬態誠太郎が悲鳴を上げ、予想外の味方のダメージに擬態竜馬が驚きと怒りの混じった声を上げる。
もっとも、あんな稚拙な突進をしてきた連中に言われる筋合いはない。
「貴様ら、お上品なダンスでも踊っている気か?」
俺はそのままザビーを、竜馬が一番得意としていた背負い投げの要領でドレイクに向かい投げ飛ばす。
ライダーのパワーで強引に投げ飛ばされたザビーは、巨大な砲弾と化してドレイクを巻き込み警察車両にぶつかる。
「起き上がってこい。ライダーの戦い方を教えてやる」
二体のワームを見据え、俺は冷たく言い放つ。
ライダーシステムを使うだけの敵など、数えるのも馬鹿らしい程倒してきている。
ザビーやドレイク。最強クラスのマスクドライダーシステムを前にしても、負ける気など欠片も無かった。
〇〇キメろォォ! は、流石に自重しました。
・強制ワーム化
・兄妹を苦しめる
・そのご家族を苦しめる
・力を求めてワーム化
・食事や飲料水に薬を混ぜる
・ゼクターを勝手に使う←NEW
天道さんの逆鱗を的確に踏み抜いていくワームたち。
彼らの未来は一体何処へ!?
さて、次は誰と出会うかな?
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バカ「っしゃぁっ!!」
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「さぁ、ここからがハイライトだ」