ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第78話 episode・KABUTO 奪って良いのは、奪われる覚悟がある者だけだ。でも奪っちゃだめよ

 なるほど、あの異様に大きなゼクターの頭は後付けの制御装置だったわけか。

 人格持ちライダーシステムの中では我の強いゼクターがこいつらに付き従っているのは変だと思ったが、そんなからくりだったとは。

 まぁ、分かれば対応の仕方はいくらでもある。

 

「何処を見ている!」

 

 ザビーが怒声を上げて拳を繰り出してくるが、スローモーな動きだ。

 俺は余裕をもって拳を受け流すと、腹に膝を叩きこむ。

 

「くっ!?」

「やらせるか!」

 

 ザビーのピンチにドレイクが再び発砲してくるが、俺は軽くステップを踏んでそれを回避する。

 それどころか、ついでとばかりにザビーへ追撃の拳を叩きこんでおく事も忘れない。

 

 ドレイクとザビーは相変わらず連携してこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 もっとも、その連携はどこか精彩を欠いており、俺は余裕をもって連中の攻撃を回避、反撃が可能だった。

 

 まぁ、俺がそうなるよう仕向けたんだが。

 

 徒手による白兵戦が得意なザビーと射撃戦が得意なドレイクの相性は決して悪くは無い。互いの苦手分野を補える優秀な組み合わせと言えるだろう。

 もし完全な連携を行っていれば、かなり厳しい相手だ。

 そうならないよう、態々一番最初にザビーを弾幕に対する盾に使った上で、二人を巻き込むように投げ飛ばしたのだ。あれであの二人は、下手な攻撃は味方を巻き込むと意識してしまったはずだ。

 同士討ち上等とかいうトチ狂った奴もいるにはいるが、あの二人はそこまでトチ狂ってはいなかったようだ。

 

 まぁ、仮にトチ狂っていても何とかなるけどね。この世で一番強力なコンビネーションを俺は知っているし……。

 

「くっ! ちょこまかと! クロックアップ!」

『Clock Up!』

 

 叫びながら二人はクロックアップに入る。

 ゼクト系ライダーの切り札とも言うべき超高速機動。だが、それは通用する相手に対してのみの切り札だ。

 

「クロックブースト!」

 

 一瞬だけ遅れて、俺も奴らと同じ停止空間に突入する。

 同系列の能力の持ち主同士なら、切り札にはなり得ない。実力差が覆るわけでは無いのだ。

 

「くそっ!」

「俺も出来る事は知っていたはずだぞ!」

 

 逃げる気だったのか攻める気だったのか、どのみち俺も同じ空間に入り込んだ以上は意味が無い。

 俺もクロックアップ空間に突入したことに驚いたドレイクの懐に入り込むと、ベルトから電力を取り出し拳に電撃を集める。

 

「くらえ、ライダースパーク!」

 

 相変わらず飛ばす事は出来やしないが、それでも近接戦での電撃は割と便利だ。

 許容量を超える電撃に、ドレイクの装甲の隙間からうっすらと煙が漏れ、流石に立っていられなくなり片膝を突く。

 

「リョーマ!」

 

 その様子にザビーが慌てて迫るが、そんな雑な動きで俺を捉える事など不可能だ。

 拳を振り上げ迫ってくるザビーにカウンター気味のキックを叩きこむと、大きく後方に跳び離脱をする。

 そして、クロックアップの限界に到達し時は再び動き出す。

 

「くそっ!」

「だが、あの程度の電撃なら」

 

 片膝を突いていたドレイクが立ち上がりながらそう嘯く。

 まぁ、マスクドライダーの防御能力なら、俺が放った電撃程度なら耐える事は出来るだろう。

 

「ほう、それで良いのか?」

「なに!?」

 

 俺の言葉が何を意味していたのか、すぐさま事態が動き判明する。

 唐突に、ドレイクが持っていたドレイクグリップとドレイクゼクターが小爆発を起こす。何事か、ドレイクが右手を見た瞬間に奴の頭に向かって何かが体当たりを行う。

 その強烈な衝撃にドレイクは仰け反り、その時零れ落ちたドレイクグリップを持ってそれは虚空の彼方に消えて行った。

 

 それと同時に、擬態竜馬の身体を守っていたドレイクが剥がれ落ち、光の粒子になって消えて行く。

 

「な、なんだと!?」

「あの程度の電撃をドレイクが耐えるのは分かっていたさ。狙いは増設されていた制御装置だ」

 

 俺は親切にも狙いを話してやる。

 そう、俺が狙ったのはドレイク本体ではない。ドレイクゼクターの自由を奪っていた頭部の制御装置だ。

 丁寧に設計されたドレイクゼクター本体はともかく、後付けの制御装置は防御能力に不安があるだろう。そう考えて制御装置に電撃を叩きこんだのだ。

 そして俺の予想通り、許容量を超える電流を流された制御装置は機能を停止し、ドレイクゼクターが自由を取り戻したのだ。

 

「ば、バカな!?」

「もう一つ!」

 

 動揺する擬態リョウマとザビーの隙を見逃さず、俺はザビーの懐に飛び込むと回し蹴りを叩きこむ。

 動揺しており、不意の一撃だ。ザビーは反射的動作で俺のキックを腕でガードしてしまう。

 

 それこそ俺の狙いだ。

 

 俺のキックは正確に、奴の腕に装着されているザビーゼクターを蹴りぬく。

 ヒヒイロノカネで作られたゼクターは頑強だ。俺のパワーをもってしても破壊は不可能と言っても良いだろう。さらに、ライダースティングという必殺技の起点になる関係上、一見すると外れやすく見えるザビーゼクターを戦闘中に外す事は困難だ。

 だが、それでも例外はある。

 装着者のダメージが許容範囲を超えた時や、ザビーゼクターそのものの意思があればどうだ。特に有資格者以外に使われることをゼクターが許すはずもない。

 

 俺のキックにより頭部の制御装置を破壊されたザビーゼクターは瞬時に擬態誠太郎の腕から離れる。

 奴の身を覆っていたザビーの装甲も、音を立てて消えて行く。

 

「そ、そんな! ザビー!」

 

 あっさりと離れて宙を自在に舞い始めるザビーゼクターに動揺し、腕を伸ばし何とかザビーゼクターを捕まえようとするのは擬態誠太郎だ。

 だが、ザビーゼクターはそんな擬態誠太郎をあざ笑うかのように空中を舞い踊り、掠る事すら許しはしない。

 そんな様子に、俺は冷たく言い放つ。

 

「薬で人を狂わして支配し、機械で無理やり制御する。そんな奴をザビーゼクターが有資格者として認める訳が無いだろう。当然の結末だ」

「ち、畜生!」

 

 擬態誠太郎の叫びが夜空に響き渡るが、それで結果が変わるはずもない。

 宙を舞うザビーゼクターはそのまま……ん?

 

 なんで俺の方に来る?

 

 礼のつもりかなんか俺の周りを飛んでいるんだが、こいつ?

 あ、なんかサイクロンヘルがやってきて……飛び上がって。ザビーゼクターを轢いた!?

 ポーンとどっかに弾き飛ばされ消えて行くザビーゼクター。

 

 いや、それ一応はZECT……いまは日本かな? とにかく人様の物なんだから、あんまり乱暴に扱うなよ。 

 

 なんか気の抜けるやり取りがあった気はするが、それはともかくとして残ったのは二体のワームだけだ。

 

「さて、そろそろ観念するんだな」

 

 もはや形勢は決まった。そう宣言する俺に、二体のワームは怒りの叫びを上げる。

 

「渡世ぇぇぇぇぇぇぇ! お前なんかに俺が殺されるかぁ!」

 

 そう叫び、擬態竜馬は以前も見たハエの化け物。ベルゼブワームへと姿を変える。

 巨大な複眼に、同じく背中の巨大な羽根、全身棘だらけの身体と、牙だらけの口。ワームとしての奴の姿なのだろう。

 

「ショッカー! ザビーの力が無くても、お前らに俺は負けない!」

 

 擬態誠太郎はザビーを失った動揺を振り払うよう叫ぶ。それと同時に奴の身体が白熱化を開始する。

 ワームの成虫化か?

 

 擬態誠太郎の姿が変わる。四肢はアナザーアギトや真ライダーを連想させる虫の甲皮を連想させる装甲を纏ったものに、胸板などの胴も甲皮が甲冑を思わせる人に近い姿だ。

 腰はご丁寧にベルトのような分割が成されている。

 そして頭部は、明らかにバッタを模した形状をしている。赤黒い複眼までついている。

 黒に近い色のそれにあえて名前を付けるとしたら、ホッパーワームと言ったところか。武士の情けで黒いバッタヤミーと言うのは控えておこう。

 

「仮面ライダーの姿? なれたのか、俺?」

 

 変わり果てた自分の姿を確認した擬態誠太郎がそうつぶやく。

 いや、どう見てもワームだが、確かに仮面ライダーに似た姿と取れなくも無いのかな?

 

「セイ! お前も成虫化したのか! いくぞ、あの黒いショッカーライダーを倒すぞ!」

「ああ、わかった!」

 

 味方である擬態誠太郎の変化に気を良くしたのか、ベルゼブワームが興奮の声を上げる。

 一方の擬態誠太郎も自身の新たな姿に手ごたえを感じているらしく、先ほどまでの狼狽えた姿とは打って変わった自信に満ち溢れた声を上げた。

 

「いくぞぉ!」

 

 そう叫ぶとベルゼブワームが宙に跳び、ホッパーワームが大地を蹴る。

 なるほど、ホッパーワームの動きは確かに鋭い。左手首に常に意識があったザビーの時より、自然な動作で拳や蹴りを繰り出してくる。

 宙に舞うベルゼブワームが口から吐き出す火炎弾も強力だ。発射後もある程度操作が可能なのか、曲線を描きながら俺に迫ってくる。

 

 流石に先ほどと攻撃パターンが違う。

 防御が出来ないほどでもないが、攻撃をかわしつつ仕切り直しに後方に跳んで避ける。

 俺が後退した。その事に気を良くしたのかホッパーワームが興奮に沸く。

 

「ああ、すごいよ、これが仮面ライダーの力だ。ザビーごときより、よっぽど俺に合っている!」

 

 そう言うと、ホッパーワームは左腕のザビーブレスを投げ捨てる。

 先ほど見捨てられて動揺していたのに、『ごとき』扱いか。

 ほんとどうしょうもないな、あいつ……。

 

 ん?

 

 俺は小さくため息をつくと、自身の変身を解除する。

 アインロールドの姿から、生身の身体をあえて晒す。

 

「なっ!?」

「貴様、何を!?」

 

 唐突に無防備になった俺を見て、ワームどもが驚きの声を上げる。

 あまりの事に、攻撃を忘れるほどだ。

 まぁ、攻撃されても生身で次の変身までの対処はできるけどな、こいつら程度なら。

 

「言っただろう。ライダーの戦い方を教えてやるとな」

 

 俺はそう言うと、ニヤリと笑い右腕を天に掲げる。

 先ほど俺の周囲を飛んでいたのはそういう事なんだろう。あの女王、よほど扱いを腹に据えかねていたらしい。

 それこそ、ショッカーの先兵に力を貸すほどにだ。

 

「来い、ザビーゼクター」

 

 俺の呼びかけに応え、先ほどサイクロンヘルに飛ばされたザビーゼクターが、態々ザビーブレスを拾い上げ、持参してやってくる。

 素早く左腕にザビーブレスを巻くと、ザビーゼクターを装着した。

 

「変身!」

『HENSHIN!』

 

 俺の身体を輝くヘクスが覆う。ヘクスは即座に白金に輝く甲冑に変化し、俺の身体を覆い隠す。

 頭部をマスクが覆い、外部情報が視界の片隅に表示される。

 なるほど、ZECTのマスクドライダーシステムとはこのようなものか。中々ご機嫌なシステムではあるようだ。

 

「お、お前!?」

「ま、まさか!」

 

 重厚なマスクドフォームとなった俺に、ワームどもが動揺の声を上げる。

 俺がザビーに変身するとは思ってもみなかったのだろう。

 あと、サイクロンヘルうるさい。この程度の嫌がらせで文句を言わないように。

 

「お前らが『ごとき』と呼んだ、ゼクターの力を教えてやるよ」

 

 散々人様の物を奪い続けてきた。

 特にゼクターたちは、自分の意志に反した使われ方をしていたのだ。

 ならば、ザビーゼクターの意趣返しくらいには付き合っても良いだろう。




サイクロンヘル『変身したのか……? 仮面ライダーアインロールド以外に!?』
ザビーゼクター『次回よりこの作品は『転生した俺が仮面ライダーザビーになって大活躍する話』になります』
サイクロンヘル『(電脳破壊される音&弾き飛ばし)』

さて、次は誰と出会うかな?

  • バカ「っしゃぁっ!!」
  • 「さぁ、ここからがハイライトだ」
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