ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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第80話 episode・KABUTO ありがとう

 渡世一家が辛木田絆斗の取材を受けたのは、あの夜から数日後の事であった。

 

「すいません、お時間を頂いて」

「いえ、こちらこそ。先日は本当にありがとうございました」

 

 対応したのは誠太郎の父親だ。

 数カ月前に取材した時よりも幾分生気を取り戻している。そんな気がした。

 彼の礼の言葉に、絆斗はむしろ謝るのは自分の方だと頭を下げる。

 

「いえ、俺は大したことはできませんでしたから。それに、あいつを引き留める事も出来ませんでしたし」

 

 アインロールド、渡世誠太郎は首領格の3体のワームを倒したことを確認すると、止める暇もなくあの場から姿をくらましていた。

 超加速を使ったのか、一瞬だけ気を逸らした瞬間にバイクと共に音もなく消えていたのだ。

 文字通り、止める暇すらなかった。

 

 そう深々と頭を下げる絆斗に、渡世氏は頭を上げるように言う。

 

「謝らないでください。あれは辛木田さんのせいではありませんから。それに……あの子とはあの後一度だけ会えましたから」

「えっ!?」

 

 予想もしていなかった渡世氏の言葉に、絆斗は思わず目を見開く。

 行方は疎か、ショウマが聞いていた連絡先すら既に消去済みという念の入用だったのにどうやって。

 そう驚く絆斗に、渡世氏はこう話す。

 

「あの後ね、天道さんがとりなしてくれたんですよ」

「天道が?」

 

 先日の事件で共闘した男の名に、絆斗は驚く。

 確かに事情通の様だが、どうやって?

 そんな絆斗に、渡世氏はその時の事をゆっくりと語りだした。

 

 

※※※※※

 

 

 あの事件の後、俺が生まれ育った町を去る事を決めたのは3日後の事だ。

 一応警察が網を張ってはいたが、取りこぼしが出る可能性もある。

 関わった以上は最後まで見ておくべきだろう。そう思い警察の手が届かないところに潜んでいた残党を狩っていた。

 

 結果、逃亡を図っていた成虫化ワームを3体ほど始末した。

 一体など逃げる為にトラックの運ちゃんを襲ってたし、ほんとあいつらは始末に負えない。

 幸いクロックアップへの対抗術を完全にものにしたので、成虫化ワームも難なく始末する事は出来た。

 

 そうして、警察署も無事だった警官と本庁から派遣されてきた要員で正常に動き始めたことを確認した上で俺は町を去ろうとしたのだが、丁度そのタイミングで天道さんから話があると連絡が来たのだ。

 戦闘終了してすぐに姿を消した上で、あの後は通信端末も一新したはずなんだが、どうやって追跡してきたんだろうか、あの人?

 天道さんだからで済ますしかないのだが、それにしても謎だ。

 

 

「3日ぶりだな、誠太郎」

 

 街の自然公園の一角、天道さんに指定された場所に向かうとそこにはすでに天道さんが待っていた。

 時間前に来たはずなんだが、本当に誰よりも先に動く人だ。

 

「その節は済みません。あの場には居られなかったので。それと、俺の名前はアインロールドと呼んでください」

 

 警察がいる場所に長居をしていい身分ではない。

 雑な仕事はしていないので指名手配はされていないはずだが、どのみち行方不明人で捜索願は出ている。

 

 ちなみに普段はもちろん偽名を使っているが、それ以外は特に何もしていない。

 堂々と品行方正に生きていれば案外バレないものなのだ。

 

「常日頃から仮面ライダーのコードネームで呼ぶ趣味は無い。それに、誠太郎に聞きたい事があって連絡をしたわけだしな」

 

 仮面ライダーじゃなくてショッカーライダーです。

 とはいえ、ここで問答をしても時間の無駄なので、俺はこの点に関しては何も言わない事にする。

 名前なんて、いくらでもいじれる身だしね。

 

「あの晩、中断した話ですね」

「大前提の話になりますが、誘拐前にワームと接触は無いと思います。密かに擬態されていた可能性はありますが、それだとつじつまが合わなくなる」

 

 辛木田さんが悪いわけでは無いが、あの時は彼が口をはさんできたおかげで会話が中断してしまった。

 その後も天道さんは俺に何も尋ねなかった以上、その話だろうとあたりはついている。

 どうするかな。

 

 誤魔化す事も可能だろうし、多分追及はしてこない。だが、流石に不義理が過ぎる。

 これがクソジジイや門矢士なら良心の呵責なく誤魔化すんだが……、速攻でバレそうだな、あの二人だと。

 俺は小さくため息をつくと、まず前提となる知識があるかどうかを確認するためにこんな質問をした。

 

「天道さん、浮世英寿って人の事を覚えていますか?」

 

 かつてスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズなる異名で呼ばれた男だが、この世界で彼の事を覚えている者は少ない。

 時間とともに過去の人になり忘れ去られたのではない。忘れ去られるよう、世界が書き換えられたのだ。

 まぁ、消えたのはスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズの浮世英寿の記憶であり、彼個人に対する記憶が消えたわけでは無い上に、こっちの業界では別の意味で有名人だ。

 天道さんなら知っているだろうと考え確認のために聞いた。

 

「ああ、旧デザイアグランプリの不敗のチャンピオン。忘れられた世界でのスター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ。そして、恐らくは最も新しい神」

 

 おい、そこまで知っているのかよ。忘れられた世界まで記憶しているぞ、この人?

 本当に得体が知れないな。

 

「彼は2000年の間に何度も生死を繰り返した人間。いわゆる転生者という人間でした」

「ほう」

「俺もそれの同類です。この世界の人間では無い上に一回こっきり、前世も割とあいまいですけど」

 

 俺の特異性はこれに尽きる。

 ショッカーライダーなど後付けに過ぎない。

 ただ……。

 

「弱いんですよね。一般人の俺を誘拐した上で、ワームを使いコピーして実験する意味がまるで分からない」

「分かっていたか」

「そりゃ、まぁ。俺が誘拐されただけなら偶然、ワームが擬態しただけでも偶然で終わりますが、誘拐された人間に擬態したワームが出てくれば話は変わります。ましてあれは、3年前の俺だ」

 

 擬態誠太郎は『ショッカーに捕らわれた人間だ』と言っていた。

 ワームがショッカーの構成員となる事は無いが、ショッカーがワームを捕え実験する事は十分あり得る。というか、普通にやる。

 あのワームも、たぶん俺に擬態させられ捕らわれていたのだろう。でなきゃ、3年前の俺がそのまま成長したら、なんてクソややこしいコピーなんて湧いて出てくるはずがない。

 

 ただ、そうすると何のために、という疑問が次に浮かぶ。

 

 一応異世界の知識というかライダーに関する知識があるが、今回の陰謀を主導した者がこれを重要視したのなら完全洗脳状態の時に聞き出しているだろう。

 こっそり抜き出していたという可能性もほぼ無い。ショッカーは誘拐してきた被害者に気を使うような組織では無いのだ。

 

 俺自身も知らない秘密が何かがあるのだろう。

 

 そしてもう一つ、確実な事がある。

 

「俺に俺の知らない秘密がある。しかも、その秘密を知る者はショッカーにいるのだろうが、ショッカーとして活動したわけでは無い」

 

 ショッカーは大首領を頂点とした独裁体制であり、上の命令は絶対という鉄のヒエラルキーがある。そんな組織でショッカーに絡まない陰謀が可能か?

 可能だ。

 上からの命令に服従する関係上、下からはその命令を下した上がどこか分からないのだ。誰かが誘拐命令の目標を書き換える事など容易だろう。

 

「当てはあるのか?」

「とりあえず、ショッカーの連中から聞くわけにはいきませんから、過去のデータを漁るところからですね」

 

 どこに陰謀の目があるかわからない以上、調査はしばらくは一人でやるしかない。

 まぁ、ショッカーをクビになっているから一人でやるしかないという事実もあるけど、その辺は元幹部だ。いくらでも手段はある。

 そう返した俺に、天道さんは一枚の名刺を渡してきた。

 

「俺の連絡先だ、何かわかったら情報が欲しい。今回の件の後始末があるので、俺はしばらく東京から離れられそうにないからな」

「やはり、他にもプラントがありますか。すいません、力になれなくて」

「謝る必要は無い。元々俺一人でやるつもりだったからな」

 

 天道さんと加賀美さんが保護した人は、GSLの原型を作っていたネイティブが奪われたのはザビーゼクターのみと言っていたそうだ。だが、改造ゼクターはザビーのみならずドレイクやサソードもワームの手に落ちていた。

 再度確認したところ、やはり彼が捕らわれたネイティブたちから聞き出した話ではザビーのみだったそうだ。

 つまり、根岸派残党ネイティブは天道さんたちが抑えた拠点以外も持っていて、そこでゼクターを運用していたわけだ。

 そしてそれを奪取したワームは、他の拠点でもGSLを生産している可能性が高かった。

 

「そちらはお願いします。ショッカーにも話は通しておきましたから、この件での妨害は無いと思います」

 

 俺がいたのなら情報提供もするよう手配したのだが、流石にそこまでは頼めない。

 もっとも俺が口添えしなくてもGSLのような人間を改造どころか種を変質させる薬品なんて、大首領の逆鱗に触れかねない薬をばら撒く馬鹿は系列組織にいないと思う。

 研究用に保管するのがせいぜいか。

 

「それは助かる」

「それじゃ、俺はそろそろ発ちます」

「その前に、お前に一つ用事があるのだが」

 

 待たせてあるサイクロンヘルに向かおうとした俺を天道さんが呼び止めた。

 何だろうと思い彼の方に振り向くと、遠方に三人の人影が見える。改造人間である俺の目には、当然だがその3人が誰だかはっきりと識別ができる。

 

 父さん、母さん、そして凜だ。

 

「天道さん!」

 

 俺の抗議の声は、どこか悲鳴じみていた。

 この町を発って、もう二度と会わないはずの人たちが最後の最後でやってきたのだ。

 流石に動揺しないでいられるほど鉄面皮ではない。

 

 もっとも、俺の抗議に対し天道さんの言葉はとてもシンプルであった。

 

「会っておけ。お前自身の為ではなく、あの人たちが前に進むためにな」

「えっ!?」

「辛木田ではないが、大切な人と会えなくなるのはつらい物さ」

 

 ……。

 そういえばそうであった。天道さんも両親をネイティブに殺され、擬態された。その擬態化した両親が生んだ、本来の両親から生まれるはずだった妹の代わりに生まれたネイティブの妹を守ると誓い守り抜いた人である。

 家族という物で苦しんでいた人なのだ。

 俺がここで意固地になるのは、その、なんというかこの人の前だとみっともない。

 

「ずるいですね。そういう言われ方をして立ち去ったら、俺が悪者じゃないですか」

「知らないのか? 大人は悪いんだよ」

「俺の方が悪党ですよ。ありがとうございます」

 

 そう言って、天道さんは振り返り立ち去っていく。

 途中両親に一言二言声をかけ、公園の向こうに消えて行った。

 

 




ザビーゼクター「あれ? 私は?」
サイクロンヘル「サビーさんは遺失物として警察にボッシュートとなります(てれっててってー」

ドレイクゼクター(大介&ゴンの元に帰る)
サソードゼクター(次の適格者を見出すまで坊ちゃんの墓守)
ザビーゼクター「I'll be back!」

すいません、エピローグが予想以上に長くなってしまったので分割となります。
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