ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

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皆さま、本当にありがとうございます。
心よりお礼を申し上げます。


第9話 episode・000 護衛対象が美少女なのはお約束

 いや、何この状況?

 半ば混乱しながらも、俺は頭の中で状況を整理する。

 

 俺に庇われ腕の中で震えているのは、今回の護衛対象である国会議員の東雲隆司……のお孫さんである東雲園子さん。

 確か中学3年生。栄養が良いのか遺伝子が良いのか、家の貧弱科学者とは違いでっぱり引き締まった少女だ。背も割と高いので、制服姿でなければもう少し上の年齢に見えるかもしれない。

 良いところのお嬢さんらしく、ちゃんとした身なりで特に髪も染めていない、いかにも大和なでしこな女の子だ。そんな子が涙目で震えているのはちょっと可哀そうである。

 

 なんで彼女が涙目で震えているかって言うと、何者かの襲撃を受けて祖父と離れ離れになったからだ。

 

 んで、襲い掛かってきていたのは……黒いマスクに黒いタイツ。胸には骨のプリント……もう毎日のように見ているショッカー戦闘員である。

 

 いくらまだ変身していないとはいえ、残党ショッカーの実動部隊隊長である俺がうちの戦闘員に襲われているってのも意味不明な状況だが、それに輪をかけてわけのわからない状況にしてくれているのが俺達を守るべくやってきたこいつだ。

 

「千堂さん、やめてくれ! 正気に戻ってくれ!!」

 

 戦闘員に呼びかけているのは、赤いマスク、黄色い腕、緑の足……。ここからじゃ見えないけど円を描くブレストアーマーの仮面の戦士……仮面ライダーオーズである。

 必死に呼びかけるオーズをよそに戦闘員も怪人も攻撃の手を緩めない。次々にオーズに襲い掛かってくる。

 普通に考えればあの程度の連中なら余裕で蹴散らせそうなものだが、何故かオーズは防戦一方だ。

 

「くそ、千堂さん!」

 

 いや、だから誰よ、千堂!?

 あ、オーズを突破して戦闘員が一人こっちに来た?

 

「ここで動かないで、大丈夫だから」

 

 俺は東雲さんにそう言うと、立ち上がり一歩前に出る。

 

 見慣れた顔だが知らない戦闘員はこちらを子供と侮ったのか、オーバーアクションな動きでククリ刀を大きく振りかぶる。

 まぁ、素人相手ならこの動作だけで威圧感がすごいだろう。

 だが、残念ながら俺は素人ではない。振り下ろされたククリ刀を軽く避けると、その手首を軽くひねり足を払う。自分がククリ刀を振り下ろした勢いをそのまま投げの力に変換された戦闘員は大きく飛ぶ。

 普通なら受け身を取りやすいように力を逃がしてやるのだが、殺す気で襲ってきた戦闘員を許す気は俺にはない。そのまま頭から落ちるように体勢を調整し、脳天を地面に叩きつけてやった。

 

「イーッ!」

 

 悲鳴それかよ! ほんと何よ、この戦闘員!?

 内心のツッコミをよそに、頭から落とされ首をへし折られた戦闘員はそのまま絶命……せずに、ドロンという音はしなかったが、突如その身を銀色のコインに変えて消えてしまった。

 

「えっ? これは……」

 

 これって、セルメダル? 

 って、こいつらヤミーかよ! なんでヤミーがうちの戦闘員の姿をしているのよ!?

 いや、それより戦闘員ヤミーが出てきたって事は……。古代の王の手下か、こいつら?

 俺が驚きと推論をしている横で、この場にさらなる乱入者が現れる。

 

 そこに来たのは、高級ホテルの庭園には似つかわしくない男だ。

 黄金色に染めた髪に赤いメッシュが一房。ビジュアル系ロックバンドを思わせるメイクと、どぎつい皮のジャケットに赤いズボン。

 だが、何より特徴的なのはその右腕だ。肘より先が何やら硬質な革と鳥の羽根を組み合わせた赤い手甲状の物と変わっている。 

 

 その男はこの場にやって来るや否や、赤い何かを仮面ライダーオーズに投げつけた。

 

「映司! ここにいるのはヤミーが作った分身だけだ! こいつでさっさと決めろ!」

「わかった!」

 

 オーズは投げつけられた赤いコインを受け取るとベルトにメダルを差し込み……って、速い!

 メダルチェンジが受け取るのとほぼ同時……。Wもそうだったが、あれならフォームチェンジが隙にはならない。

 直で見る本物の仮面ライダーは、やはりモノが違いすぎる……。

 

【タカ! クジャク! コンドル!】

 

 オーズの腰のベルトが高らかに歌う。

 オーズはその姿を赤い翼の戦士へと変えていく。

 

 あれは、オーズの最高のフォームとしても名高いタジャドルコンボ!?

 

「はぁ!」

 

 オーズはフォームチェンジと同時に跳躍。高く高く上昇する!

 

【タカ! クジャク! コンドル! ヒ! ヒ! ヒ!】

 

 タジャスピナーにセットされたメダルが唸る。

 オーズの姿が炎の鳥に包まれる。

 

 そのまま急降下してくる炎の鳥。

 灼熱の不死鳥は戦闘員たちを薙ぎ払い、焼き尽くす。

 それと同時に、戦闘員たちは次々とメダルへと姿を変えていく……。って、マジでどうなっているのよ!?

 

 着地したオーズの傍に、ビジュアル系の男……アンクが駆け寄ると同時に、こちらに向かって呼び掛けてきた。

 

「おい、小僧! 小娘は無事だな。さっさとずらかるぞ」

「えっ!? えっ!? ずらかるって!?」

 

 戦闘員たちが消えて安心したのか、それとも状況が理解できていないのか、東雲さんは混乱の声を上げる。

 もっとも、俺はというとアンクの言葉の意味がすぐに理解できた。

 

「げっ……、まだ来ているのかよ!?」

「あれはいくらでも出てくる端末だ。本体を叩かないとこっちが消耗するだけだ!」

 

 離れたところを見れば壁を乗り越えようとしているうちの戦闘員……いや、うち以外の戦闘員もいるな。

 あれもヤミーか!? いや、マジでどうなっているのよ!?

 いや、混乱している場合じゃないか……。

 

「映司! 髭はもう議員を連れて離脱した! 後はお前たちだけだ! 急げ!」

「駐車場に俺のバイクがあります! 東雲さん、ついてきて!」

 

 俺は東雲さんの手を引きながら、なんだってこんな状況になったかのかを思い出していた。

 

 

 

 そこは薄暗い部屋であった。

 地下深くに作られたその部屋には、巨大な円卓が中心に置かれている。

 その円卓の中央に鷹を模した彫像が置かれている。

 

 そんな部屋で、すでに変身をしている俺は壁に背を預けながら円卓を半ばぼんやりと眺める。

 今円卓についているのは、ショッカーの暫定幹部であるミカのみだ。彼女は普段の中学生の姿ではなく、俺を改造した時と同じ大人の姿だ。高級そうなビジネススーツに身を固める姿は、幹部としての威厳に満ちている。

 

 どれくらい待ったであろう。扉の一つが音を立てて開く。

 

「デストロン代表、テオドラ様のおなーりー」

 

 おなーりーってなんだよ……。時代がかったアナウンスに内心は呆れながらも、やってきた女に視線を送る。

 まぁ、アナウスも時代がかっているが、やってきた女もあれだ。白銀の甲冑を身に纏い、腰に下げているのは白い鞘に納められたこれまたファンタジーでよく見るような長剣。白銀の髪と赤い瞳の美少女だが、髪がどこのお嬢様だと言いたくなるようなぐるぐるの縦ロール。

 この時代錯誤な女騎士様が、デストロンの暫定代表であるテオドラである。

 

 そう、暫定代表。幹部連中が軒並み仮面ライダーに敗れて戦死したため、俺やミカと同じ幹部候補生であった彼女が現在のデストロンを率いていた。

 

「ミカさん、お久しぶりですね。傘下の組織に裏切られるという失態を晒したばかりでこの場に顔を出されるは思いませんでしたわ」

 

 情報速いな、おい……。

 

「2カ月前を久しぶりというならそうでしょうね。そちらもV3に随分と痛い目にあわされたようで……。組織維持の命題を忘れたのかしら」

 

 こっちもバチバチしてんな……。

 

 

 1年前、仮面ライダーによる再生ショッカーへの一斉攻撃。その時に幹部が軒並み戦死をしたのは前にも言ったと思うが、その事によりショッカーは組織の維持が難しくなった。

 まぁ、幹部や重要施設が軒並み消し飛んだのだから無理もない。

 組織維持のため吸収した組織を切り離し、各組織が独立する体制へと移行した。結果的にデストロンやGOD機関、ガランダーなどが再度復活する事となる。 

 

 とはいえ、独立した組織同士が争っては仮面ライダーや他の組織に利するだけだ。

 組織間の争いを避けるため、分裂後も定期的に円卓会議を開催することになったのだが……。

 

 

「作戦そのものは継続中ですわ。休眠状態のショッカーこそ世界征服の大義をお忘れになられたのでは?」

「人類存続の為の作戦を優先しているだけよ。派手な事ばかりして、地道な活動がお留守になっておられるのでは?」

 

 ミカとテオドラのガンの飛ばしあいに、会議の立ち合いをしていた戦闘員がビビり散らしている。

 いや、無理もない。俺も逃げられるなら逃げたい気分だ。この二人、ショッカー壊滅前から仲悪いしなぁ……。

 

「アインロールド様も、このような無能科学者の下にいつまでもいるのは苦痛では? 是非とも我がデストロンにいらしてください」

 

 巻き込むなよ、おい。

 

「人の目の前でうちの隊長を引き抜こうとはずいぶん下品な女なこと」

 

 喧嘩を買うなよ、おい。

 

「ライダー殺しと名高いアインロールド様ほどのお方が力を発揮するのには、デストロンこそふさわしいと思っただけですわ」

 

 調子に乗っていたパチモンライダーを何人か転がしたからね……。妙な異名がついちまったぜ……。

 でもさ……。

 

「その看板はもう返納したよ。風都のW相手には撤退するしか出来なかったのでね」

 

 壁に背を預け腕を組んだまま俺は答える。

 ぶっちゃけライダー殺しなんて異名は勘弁してほしいところだ。パチモンライダーでも魂がちゃんとライダーな奴はしぶとすぎて、なんとかギリギリで撤退させただけで倒しきれていないし……。

 Wやヴァルバラドに至っては勝つビジョンが全く浮かばない。

 だが、そんな俺の考えに対しテオドラは首を横に振る。

 

「いえ、あの魔窟である風都に単独で侵入、目的を果たし帰還しただけでもあなたの名声は変わる事はありませんわ。是非ともデストロンに……」

 

 どんな扱いだよ、風都。普通にツーリングで行く分には何ら問題はなかったぞ!

 ごくまれに赤いバイクになったライダーが走っているけど!

 

「いい加減にしてくれないかしら、仕事をしに来たのかしら? それとも男を漁りに来たのかしら?」

「なんですって!」

 

 なんか髪が逆立ってますね、テオドラさん。

 ミカさんもなんか足元から「ごごごご」という音が聞こえてくるのは空耳じゃないですよね……。

 おい、逃げるな戦闘員! 

 

 助けて、大首領! どうせ真ん中の彫像越しに見ているんでしょう!

 まぁ、そんな俺の願いが大首領に届くわけもなく、この場を何とかしてくれたのは遅れて到着してきた第三の人間だった。

 

「HAHAHAHAHA! 相変わらず青春しているな、お前ら」

 

 青春とは言わないと思うが、唐突に響き渡るアメリカンな笑い声に二人の気勢がそがれる。

 

「GOD機関代表、ヘンリー様のおなーりー」

 

 やってきたのはガタイの良い白人の初老の男だった。彼の名はヘンリー・ブラウン。現在のGOD機関のトップを務める男で、世界的に有名なアナリストとしての顔を持つ。

 荒事が苦手なため幹部でこそ無かったが、政財界へのコネクションを多数持つ情報分析のプロフェッショナルとして重要な地位を占めていた。例によって幹部連中が軒並み戦死したので、暫定的に古株の彼がGOD機関の舵取りを任されたわけだ。

 

「しかし、来ているのはこれだけかい?」

「ガランダーからは欠席の連絡が入っている。他は……さぼりだろうな」

「しかたねえな、あいつら……」

 

 ばつが悪そうな女性二人を横目に、ヘンリーは俺に向かい問いかける。

 この円卓会議だが、最初の一回……、大首領からの直々のメッセージがあった時を除き、出席しているのは今いる三組織だけだ。いや、ガランダー帝国は毎度欠席の連絡が入っているのだが、これは南米でアマゾンと激しくやりあっているので仕方がない事だった。

 

「ま、乳繰り合うのは後にして始めようぜ。暇じゃないんだしな」

 

 そういうと、年長者らしく妙に人好きの良い笑みを浮かべ話を進める。その顔は当たり前だがテレビや経済誌で見るそれと寸分も変わりがない魅力的な男の顔だ。

 もっとも、その正体はマフィアよりも恐ろしい闇の住民なのだが……。

 

 

 

「護衛を頼みたい……と?」

 

 恙なく円卓会議が終わった後の事だ。

 俺を呼び止めたのは、GOD機関のヘンリーであった。

 

「おう、俺の知る中で日本で一番腕が立つのはお前さんなんでね」

「しかし、あなたは十分な護衛がいるのでは?」

 

 闇の世界の住民であり荒事が苦手なヘンリーは、常に護衛をつけている。実際、今も彼の影に何者かが潜んでいる事を俺のセンサーは見逃していない。

 

「いや、俺じゃないんだ。ついでに言えば、GOD機関のヘンリーとしての要請じゃなくて、アナリストのヘンリーとしての頼みなんだ」

「機関としての依頼ではない?」

 

 ちょっと意外な言葉に、俺は彼の顔を見つめる。

 

「まあな、日本の友人……政治家なんだが、ちっとばかり狙われているらしくてな。東雲って国会議員、知っているか?」

「ええ、当然知っています」

 

 東雲隆司。日本の与党の大物政治家だ。確か……。

 

「超常犯罪防止法がらみか……」

 

 あまり表のニュースにはならないが、昨今の国会で議題の一つとされているのが超常犯罪……怪人や悪の秘密結社等の犯罪を抑止するための法案である。

 簡単に言えば、今まで警察や特務機関などが個々の事例をバラバラに対応していたのを一本化、強力な権限を持つ組織を作ろう……というのだ。

 

 俺から見ると無駄な努力というか、絶対に禍根を残す法案である。

 

 それはともかく、与党内部でも反対意見が根強く、成立は難しいとされている。その反対派の中心人物の一人が東雲議員であった。

 

「話が早くて助かるわ。あいつは反対の立場なものでね、どうも嫌がらせがエスカレートしているらしいんだわ」

 

 ここでいう嫌がらせとは一般的な嫌がらせではなく、怪人等を使ったハラスメント攻撃の事だ。

 まだ命にかかわるような真似はされていないのだろうが……どうせ時間の問題だろう。

 

「学生時代からの付き合いでな……。大本を見つけるまでの間だが、頼めないか?」

 

 悪の秘密結社に属する人間らしくないウェットな考え方だが、末端や一般社会と繋がりが太い人だと珍しくはない。科学者連中だと、なんでこんな善人が……って人もいるし。

 とはいえ、どうするか……。俺が幹部候補生になる前からの付き合いで、この人には色々と借りがある。

 組織としての話ならきっぱりと断ることもできるんだが、こう個人的な内容で頼まれると弱いんだよなぁ……。

 

「ウェスト博士の許可があれば、引き受けましょう」

 

 まぁ、結局はこう言うしかないんだが。

 組織トップは彼女だし、何より怒らせると怖い。

 

「おう、ミカの嬢ちゃんの説得は任せてくれ。表向きの護衛会社での身分……アルバイトとなるが、もう用意してある」

 

 それって、もうミカの説得が出来る事を前提で動いていますね、ヘンリーのおっさん……。

 相変わらずというか何というか……。

 

 

 かくして、ショッカーライダーの俺が政治家の護衛任務なんて似合わない仕事をする事になるのだった。




 投票結果

 要人警護 76
 要人暗殺 38

 要人警護ルートでスタートです。
 オーズの最高コンボ(最強ではない)はタジャドルコンボ。異論は認める。

 ジュランおじさん(違う)退場の勢いのまま書き上げてしまったな……
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