ショッカーライダーに転生して好き勝手に生きる(事など出来ない)お話   作:さざみー

92 / 102
第90話 episode・RYUKI 許されざる悪鬼

「分木広夢、その名前を忘れたとは言わせんぞ!」

 

 ああ、忘れるわけがない。

 俺が殺めた178人の一人だ。

 

 かつて神崎士郎が引き起こしたライダーバトル。その舞台となったミラーワールドを財団Xが復元した。

 これはすなわち、開発競争においてショッカーが後れを取った事に他ならない。

 これに焦ったのが、当時ミラーワールドの研究を命じられていた日本支部であった。

 

 海外で着実に勢力を回復させていた再生ショッカーであったが、日本支部はノバショッカーの離脱や度重なる脅威の襲来などもあり勢力は全盛期に及ばぬ弱いものであった。

 その状況でミラーワールド開発競争にも負ければ、日本支部の組織内での立場は無くなる。最悪は支部長及び幹部は粛清対象だ。

 

 そんな中、清明院大学に通う学生が、独自に疑似ライダーシステムの再現に成功したという一報が入った。

 これ幸いと本人に接触、再生ショッカーでミラーワールドの研究をするよう脅迫するものの、分木広夢はそれを跳ねのける。

 それならばと誘拐しようと改造人間を差し向けるが、今度は差し向けた改造人間が返り討ちにあう。

 

 度重なる失態と、思う様にならない状況に日本支部長のなけなしの理性と忍耐力は底をつき、ついに状況の監視を行っていた改造人間に分木広夢の殺害を命令した。

 そう、その改造人間、殺害の実行犯こそが俺である。

 

 ああ、そういえばあの時、路地裏から悲鳴が上がっていた。

 命令が無かったので確認すらしなかったが、あの声は彼と葵さんだったのだ。

 

 彼女がひきつけを起こした理由も今ならわかる。

 分木広夢が殺された現場を目撃していたのだ。それならトラウマになるのも道理だ。

 

「さてな、誰だったか? 塵芥の事など一々覚えていないな」

 

 だが、アインロールドはそんな事を覚えていない。

 覚えていてはいけない。

 地獄の悪鬼が一々覚えていてはいけない。

 改心などしてはいけない。

 反省や贖罪などの自己満足に浸ってはいけない。

 

 憎まれる悪でなければ、彼らの怒りと絶望は何処に向かえばいいのだ?

 

「貴様ぁ!」

 

 集夢さんの攻撃が激しさを増す。

 右腕の大砲がブレードに変化し、斬りかかってくる。

 きっと、戦闘員やミラーモンスター相手なら十分な威力があるだろう。

 

 だが、俺を相手にするにはあまりにも緩慢な動きであり、あまりにも鈍すぎる刃だ。

 

 刃を真正面から受け止める。

 強化戦闘服のグローブには傷一つつかない。

 そのまま刃を握り、真横にへし折り投げ捨てる。

 

「脆いな」

「くそっ!」

 

 ブレードが再び大砲へと変形する。

 集夢さんは後方に下がると、俺に向かい砲撃する。

 

 流石に宿にぶつからない角度に計算はされていたが、それでも街中には違いない。

 エネルギーフィールドを全身に張り巡らせ、砲撃に耐える事を選択する。

 

 一発、二発、三発。

 ファイナルベントを使えば巨大ミラーモンスターを葬る事の出来る大砲だ。流石にノーダメージとはいかないか。

 とはいえ、十分許容範囲だ。

 

 砲弾を受けながら前進を続ける。

 元々距離が離れていた訳ではない。すぐに俺の射程距離に入る。

 

「ライダーパンチ」

「うわっ、うわああああっ!」

 

 先ほどのブレードの破壊で、疑似ライダーのおおよその強度はわかった。

 死なない程度、だがシステムを破壊する威力で殴りつける。

 

 そのたった一発のパンチで集夢さんは後方に吹き飛び、地面に倒れ伏す。

 淡い発光と共に、許容ダメージを超えた疑似ライダーシステムが解除される。

 

「この程度か……。つまらんな」

 

 ごめんなさい。

 

 でも、まだ復讐を遂げさせて上げるわけにはいかないんです。

 俺にはやらなきゃならない事があります。助けなきゃならない子たちがいます。

 身勝手でごめんなさい。

 

「まて! ショッカーライダー!」

 

 踵を返す俺に、集夢さんが上半身を起こし叫びをあげる。

 魂の奥底から響く憎悪の叫びが俺の耳を打つ。

 

 俺に向けられる、正しい感情だ。

 

 だが、起き上がる事は無理だろう。そういう力で攻撃した。

 だが、その状態でも彼に怯えの色は見えない。仕方なしに足を止める。

 顔中に出来た傷が痛々しい。

 

「ほう、生きていたか。運が良いようだな」

 

 俺も復讐者の一人だ。彼の復讐を下らない事という気は無い。

 だが、あの程度の力では、こちらの世界では生き残れない。

 

 俺がその気なら、一瞬で仕留める事も出来たのだ。

 ゆっくりと、恐怖を与えるように集夢さんに近づく。

 

「集夢!」

 

 葵さんが恐怖を振り切って、集夢さんに駆け寄る。

 だが、彼の目から憎悪の力が消える事は無い。

 

 駄目だ。俺やミカと同じ場所に堕ちてはいけない。

 復讐の為に全てを捨てる覚悟など、持ってはいけない。

 

 仕方が無い。力だけ、没収する。

 

 彼のライダーシステムを破壊しよう。そう考えた時だった。

 

 不意にパトカーのフロントガラスが振動し、発光する。

 それと同時に、鏡の世界からスカイライダーとシザース、そして一緒に攫われた警官が飛び出してきた。

 

「大丈夫か! ってこれはいったい!?」

 

 無理もない。

 シアゴーストを倒し慌てて鏡の世界から戻ってくれば見知らぬショッカーライダーがいた上に、集夢さんが怪我をして倒れているのだ。

 いくらスカイライダーでも瞬時に何が起きたのか分かるわけがない。

 

「いや、その姿は? 広夢君を殺害した?」

「ほう、知っているのか?」

 

 筑波さんはこの宿の常連だった以上、話を聞いていたのだろう。

 すぐさま俺に向かい、油断なく構えを取る

 

 参ったな。スカイライダー相手だと本気を出すしかない。

 それでも勝てるかどうかはわからないのが辛いところだ。

 

「だが、星太郎君はどこに? 貴様まさか?」

「違う、あいつが……あいつがショッカーライダーだったんだ!」

「なにっ!? そんな!?」

 

 集夢さんの叫びに、スカイライダーが驚愕する。

 それはそうだろう。如月さんや常磐さんのような高校生ライダーもいない訳ではないが、それでも凶悪なショッカーライダーが学生だったとは夢にも思うまい。

 分木広夢の殺害時に至ってはまともに学校に通っていれば中学生の頃だ。まったく我ながら嫌になる。

 

「ああ、そいつの言っている事は本当さ」

 

 隠すほどの事ではないので、早々に認める。

 宿帳に書いた住所はでたらめなので問題は無かった。

 問題は警察の須藤がいる事だが、いくら奴でも俺の逆鱗を踏みぬくほど愚かではあるまい。

 

「でも、何故君は葵ちゃんを助けた?」

「貴様は意味も無く虫を逃がしたりはしないか? 単なる気まぐれだ」

 

 実際、あれは気まぐれであり、特に意味も意図も無い行動なのだからこう答えるしかない。

 まったく、気まぐれが高くついたものだ。

 俺は後方に下がり、集夢さんや葵さんとの距離を取る。スカイライダーがそのような無様な戦いをするとは思えないが、万が一でも巻き込むことは避けたい。

 

「さて、どうするスカイライダー? 俺としては正体を明かした以上この場から立ち去る気だが?」

 

 滅ぼされるべき悪鬼だが、俺はまだ死ねない、捕まるわけにはいかない以上はこの場から逃げるしかない。

 とはいえ、3年前の殺害実行犯にして集夢さんを負傷させた暴行犯だ。黙って見逃してはもらえないだろう。

 

 当然、スカイライダーは警戒を解いていない。

 

 スカイライダーから逃げるのも困難だ。時速800キロを超える飛行能力に、その能力をカバーする超センサーを持つ。

 追跡能力という意味では全ライダーでも随一であろう。

 一当たりをして、強行突破をするしかない。

 

 横目でシザースの位置を確認する。

 流石にこの状況で俺やスカイライダーとの戦いに巻き込まれるのはごめん被るのだろう。後方に下がり様子を見る位置に動いている。

 性根はともかく戦力で言えば一流の域に達している男だ。スカイライダーと二人掛で来られればかなり厳しいものがある。

 

 とはいえ、ここで無理をするような奴でもない。

 ちょっかいを出さなければ俺が何もしないのは承知しているのだろう。

 

「逃がすわけにはいかない、3年前、なぜあんな事をしたのか」

「ふん、その程度の事なら教えてやるよ。ショッカーの命令に従わなかった、それだけだ」

 

 本当にそれだけなのだから馬鹿らしい。

 単なる愚物の癇癪だ。

 そしてその馬鹿らしい命令を実行した自分の存在が最も馬鹿らしい。

 

 先手を取ったのは俺だった。

 栄光の七人にこそ名を連ねてはいないが、その実力は彼らと同等だ。

 本郷さんと戦うつもりで挑まなければ逃げる事すらできない。

 

 一直線に動くと、スカイライダーに向かい必殺の拳を繰り出す。

 

 だが、ネオショッカーを壊滅させた男の力は伊達ではない。

 俺のパンチを容易に受け流すと、カウンター気味のパンチを繰り出してくる。

 

 それは身体を反らし回避すると、しゃがんだ姿勢のまま足に向かい回し蹴りを繰り出す。

 

 スカイライダーは跳躍して回避する。

 普通ならそれは隙になる行為だ。空中での姿勢制御は困難であり、踏ん張れない状態では防御が難しくなる。

 だが、彼の名は天を駆けるライダー。

 

「セイリングジャンプ!」

 

 重力制御による飛行能力が彼の持ち味だ。

 空中で重力を無視したありえない動きを行うと、そのままこちらに躍りかかる。

 

「スカイチョップ! 星太郎君、君は何故!? いや、何者なんだ!?」

 

「ライダーチョップ! それは偽りの名! 我が名はアインロールド! 偉大なるショッカーの戦士だ!」

 

 ミカとの生活で長らく使っていた偽名で本名の響きを残したそれなりに愛着はあるが、所詮は偽名だ。

 我が名はアインロールド。惨めな地獄の悪鬼の一体に過ぎない。

 

 互いの手刀が空中で激突する。

 手刀同士がぶつかったとは思えないほどの衝撃と爆音が周囲に響き渡った。

 

「きゃあっ!?」

「くそっ!」

 

 その衝撃に葵さんがよろめき、倒れていた集夢さんが伏せて衝撃をやり過ごす。

 まずいな、この場で本気で戦うと宿の建物にも被害が出かねない。

 よくよく見れば、葵さんのご家族が慌てて飛び出してきて二人を家の中に引っ張ろうとし、他の宿泊客が窓際に集まりこちらを凝視している。中にはスマホのカメラを向けている奴らも……。

 

 サイクロンヘル、ジャミング!

 

 まずいな。早々にケリをつけた方が良い。

 多少強引だが仕方ない。

 

 俺はチョップが交錯する中、力を抜き左手でスカイライダーの胴体を掴む。

 

「なっ!?」

 

 ダメージ覚悟で組み付いてくるとは思わなかったのだろう。

 だが、格上相手に戦っている以上は被弾は覚悟の上。

 

 交差する右腕を下げ、スカイライダーの胴をホールドする。

 その際にスカイチョップが俺の胴体を抉った。

 これは、肋骨が何本か逝ったな。

 

「くっ! 行くぞ!」

 

 そのダメージを無視して、スカイライダーを持ち上げまわし始める。

 周囲の砂塵が舞い上がり、木々が激しく揺れ出す。

 俺が生み出した突風はついに家屋すら震わせる竜巻へと成長していく。

 

「柄でもない事を! 貴方たちは私の後ろに!」

『GUARD VENT』

 

 常人では立っているのも困難な暴風が周囲に吹き荒れる中、シザースが自らの盾を呼び出す。

 その盾は自らの身だけではなく、背後の集夢さんや葵さんすらも守る。

 って、あいつあんな技もあるのかよ。

 

 まぁ、この場合はありがたい。

 これなら全力を出しても大丈夫だろう。

 

「貴様とて、この回転からは逃げられん!」

「この技は! 本郷さんの!?」

 

 回転の速度を上げるたびに、スカイチョップで砕かれた骨がきしみ痛み出す。

 ともすれば痛みで飛びそうな意識を気合で耐え、ついには回転は最高潮にまで達する。

 

「食らえ! ライダーきりもみシュート!」

 

 そのままスカイライダーを天高く放り投げる。

 彼ならセイリングジャンプを駆使して上空で体勢を立て直すだろうが、上空に投げ飛ばせばそう易々とは戻ってはこれまい。

 その隙にこの場から離脱すれば、追いかけることも出来ないだろう。

 

 だが、俺のこの考えはあっさりと覆された。

 

 本郷さんならありえないだろう、投げに入る時に生じる一瞬の隙。その隙をつきスカイライダーが俺の手首を掴む。

 もっとも、普通の相手ならそれで問題は無かった。超高速の回転を与えている為、ライダーの握力でも次の瞬間には指が引きはがされるだろう。

 

 だが、スカイライダーだけは別であった。

 彼は俺の腕に手がかかった瞬間、自身が秘めた力を最大限に解き放つ。

 

「セイリングジャンプ、フルパワー!」

「なにっ!? か、身体が!?」

 

 セイリングジャンプ。重力を制御する事により自在な飛行を可能とするスカイライダーの特殊能力だ。

 この能力はエネルギーの都合さえつけばネオショッカー大首領の巨体を地球から宇宙に追放するほどの力を持つ。

 

 その力が、たった今俺一人に注がれた。

 

 その瞬間、俺の身体の重みが一瞬でかき消され、自身が作った突風に煽られバランスが崩れる。

 無論、それで飛ばされる程の間抜けではない。踏ん張り耐える程度のパワーは持ち合わせている。

 

 だが、その僅かな隙は投げの名手であるスカイライダーが付け込むには十分な隙であった。

 

「取り押さえさせてもらう! パイルドロップ!」

「うおっ!? なんだと!?」

 

 態勢が崩れた俺を腕の力で引き寄せると、瞬時に俺の背後を取り羽交い絞めにする。

 そのまま俺が生み出した上昇気流に乗り天高く飛び上がっていく。

 

 不幸中の幸いは、この上昇がスカイライダーの意思に反した、俺の生み出したきりもみシュートの乱気流によるものであったことだろう。

 荒れ果てた気流の中では俺に対するホールドがわずかに甘い。

 完全に決まる直前、俺は空中でスカイライダーを突き放し脱出に成功する。

 

 雲一つない真夏の太陽が照り付ける真っ青な空で、俺とスカイライダーは改めて対峙した。

 

 1号や2号と同じように、実は俺も若干の飛行能力を持ち合わせている。とはいえ空中での姿勢制御や緊急時の長距離ジャンプなどが精々で、スカイライダーのように自由自在に動けるわけではない。

 この状況では落下速度を緩めるのが精々だ。

 まあ、それでも意識がある限りは墜落死の可能性が無いだけありがたい。

 

「星太郎君、君は一体……」

「偽りの名だと言ったぞ、スカイライダー!」

 

 出会った少年の顔が忘れられないのだろう。スカイライダーの声はどこか心苦しそうだ。

 優しくとも強い。仮面ライダーらしい仮面ライダーなのだろう。

 

「何故ショッカーを名乗っているんだ? あの状況、君がミラーモンスターと戦って葵ちゃんたちを助けたんだろう!?」

 

 ああ、くそ。冷静になれば気が付くか。いや、最初から気が付いていたかな?

 投げの名手であるスカイライダーだ。きりもみシュートを崩し、即座に俺へダメージを与える攻撃手段もあったはずだ。

 それがこんな上空まで、しかも自分が圧倒的有利なフィールドに運ぶ技を選択したという事は、会話を試みようとしたという事なのだろう。

 

 まったく、仮面ライダーという奴はどいつもこいつも……。

 

「気まぐれと言った」

「気まぐれの域を超えている! 君ほどの力なら、一人で逃げる事など容易だったはずだ! それに……」

「それに?」

「俺を本気で倒す気は無かっただろう。でなければ投げ技を選択はしない」

 

 そう来たか。まぁ、正確には倒す気では戦っていたが、倒せるとは思っていなかったというのが実情。

 まぁ、倒せてもとどめを刺す気は無かったので、ある意味間違っていない。

 

「ふん、半分正解だ。最悪のミラーモンスターが出現した以上、貴様程度の力でも必要だったからな」

「なにっ!?」

「ニューヨーク襲撃事件。あの時テロリストどもが使っていたのは、あの白いミラーモンスターの進化系だ」

 

 今回出現したシアゴーストは、レイドラグーンと呼ばれるミラーモンスターに進化する。

 高い機動性と環境適応能力、そして強力な繁殖能力を持つレイドラグーンが増加を開始して現実世界に進出を開始した場合、その被害は計り知れない。

 実際、ニューヨークであれを全滅させる事が出来たのは、幾多の幸運が重なっての事だ。

 

 さらに、レイドラグーンには更なる最悪の進化形態が存在する事を、俺は前世の知識で知っている。

 天翔けるスカイライダーがこの地にいたのは、正しく天の采配だろう。

 スクリーン越しに見たあの絶望がこの地で再現されるかどうかはわからないが、彼なら確実に力となれる。

 

「あれが進化した時、最悪の状況となる」

「まて、ニューヨーク? 本郷さんたちと一緒に戦ったという黒い仮面ライダーは……。いや、京都で沖さんと行動を共にしたライダーももしかして!?」

「さてな。情報は渡した、後は勝手にしろ」

 

 そう言うと、俺は空中を蹴って落下軌道を変える。

 適当な森の中にでも降りて、一時姿を眩ますとしよう。

 

「まて、君にはまだ聞きたい事が!」

「ライダーと話す事は無い。さらばだ」

 

 慌てて追いかけてこようとするスカイライダーであったが、俺は此処でクロックアップブーストを発動させる。

 彼のセンサーなら俺の動きを追う事は可能だろうが、時間停止状態での落下をされては追いつく事は不可能だ。

 

 そして、俺の予想通りスカイライダーは俺を追う事を途中で諦め、宿がある場所へと戻っていく。

 これで良し。そう考え郊外の雑木林に着地し……。

 

 

 

「なんで?」

 

 

 

 思わず呆然と呟く。

 いや、ほんと上空から町を眺め、目についた林を適当に選んだだけよ。

 それなのにさ、なんで仮面ライダーナイトがいるの?

 しかもなんかダメージを負っているみたいだし……。

 

「なっ? 新手か? いや、貴様、ショッカーライダーか!?」

「え、ちょっと、どういう事? なんでこんな場所にいるの?」

 

 槍を片手に警戒の色を隠さないナイトに、俺は思わず素で返す。

 いや、城戸さんが出かけて行ったって事は、この人と会ってたんだよね。

 本当に状況が分からない。

 

「貴様、知らないのか?」

「いや、そう言われても困るというか……。ふん、なるほどな」

 

 途中まで素で返していたが、迫ってくる連中を見て呆れ半分に声を上げる。

 出てきたのは小さな頭に触角を生やした全身黒づくめの男たち、いい加減見たくもないネオショッカー戦闘員だ。

 

 あー、筑波さんがこの地にいた理由がわかった気がするわ。

 そういや10年ぐらい前だったか、富士樹海のショッカー基地を襲おうとこの町からトンネルを掘ろうとして、スカイライダーに見つかってぶっ倒されたんだっけ?

 ショッカーが迎撃に出た時には完全に終わっていたという笑い話だ。

 

 それはさておき、なんでいるのかは知らないけど、ライダーバトルとも無関係じゃないな、こりゃ。 

 

 そして、こいつら雑兵がダース単位でいた所でナイトがここまで負傷するとは思えない。

 さらに言えば、城戸さんの姿が見えないのも疑問だ。

 何か思わぬアクシデントが起きた事は確実であった。

 

「運が良かったな、ナイト。この場は助けてやるよ」

「何!?」

 

 丁度イライラしていたところだ。

 悪いがその鬱憤はこいつらで晴らさせてもらおう。

 

「ネオショッカー、貴様らの好きにはさせん」

 

 俺は命のベルトをフル回転させ、エネルギーを世界から汲み上げる。

 俺の苛烈さを込めた拳は、瞬く間にアリコマンドどもを地獄へと送り返すのであった。

 




追放されてもショッカーを名乗り続けている奴がいるらしい。
これは中尾八郎のアニキもにっこり。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。