ワールドトリガー・Returner from another world   作:もりいぬ

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アンケートの結果、作者に任せるという方針となりました。
それ以外では「あったほうがいい」が多数でしたが、実を言うと紹介欄を設けた時点で編集量が2倍近くになって死にかけたので、前話とこの話のみ〘〙による紹介欄を設けさせていただきます。
お答えくださった皆様、ありがとうございました。



ボーダー最強、出揃う

 迅と俺が屋上で会話を交わしてから、3日の時が過ぎた。その間俺は玉狛に加わった三雲・空閑・千佳の3人について観察していたのだが、それぞれに新たな発見があった。

 

(まずは、空閑についてだ)

 

 ……ハッキリ言う、空閑は相当強い。一度小南との模擬戦を見学させてもらったが、動きが完全に戦闘に特化された人間のそれだ。どうやら迅が言っていた通り、戦場を渡り歩いてきたというのは伊達じゃないらしい。

 というか、小南から初見で1本取れた時点で相当すぎる。その後何度か模擬戦を繰り広げていたが、最終的には(最高で)小南7-遊真3くらいに落ち着いていた。本人曰く「4勝の壁が厚い」らしい。だが小南曰く、「すでにB級上位レベルの実力はある」という。小南がここまで手放しに褒めるのは珍しいことだ。それもボーダーのトリガーにまだ慣れていない状態でB級上位レベルなので、慣れればA級レベルの実力になることは疑いようがない。

 あの小柄な体格と洗練された身体捌きは高速機動に適しているかもしれない。B級に上がった時には、グラスホッパーとかおすすめしてみようか。

 

(次に、三雲。正直言って、こっちは空閑の真逆だ)

 

 三雲の戦闘センスは、戦闘員として壊滅的すぎる。体力はないし、運動神経もない。なんならトリオン数値もものすごく低く、まったくと言っていいほど戦闘員向きではない。だが、凄まじいほどの意志の強さを感じる。この意志の強さは、俺が向こうにいた時に抱いていたものと似たようなものかもしれない。

 ──小南からは「弱いヤツはいらない」とバッサリ切り捨てられていたが、俺からしてみれば、戦術次第である意味強くも弱くもなる存在だと思える。ちなみに京介が小南を騙すとなぜか京介ではなく一番近くにいる三雲が被害に遭う。理不尽なんてものではないだろう。

 

(そして千佳。あれは俺も驚かされたな)

 

 千佳の規格外のトリオン量は俺も見たところだが、小南と宇佐美が千佳のトリオンを改めて測り直したところ、あまりにトリオンが多すぎてボーダーの機器では正確に測れなかったらしい。

 結果的にパラメーターとしては「38」という何かの間違いと思える数値が出ていた。俺が近界(ネイバーフッド)で見てきた人間の中で(分かってる限り)最も多くトリオンを持つあやめですら「21」なのだ、果てしなく多い。まあもっと多そうな奴もいたが、そいつに関してはどれくらいのトリオンがあるか知らないから、知ってる限りでは千佳が1位だ。

 というか、トリオン38以上となるともう(ブラック)トリガーに匹敵するレベルだ。こんな莫大なトリオン量で狙撃手(スナイパー)なんて、ハッキリ言ってどれほど脅威になるか想像もつかない。イーグレットなんて使った日にはkm単位の射程になるのではないか。

 ──そうして迎えたその日の夜、迅が静かに部屋に入ってきた。どうやら、今日が作戦決行日のようだ。

 

「行くぞ」

「おっ、やる気十分だね」

「そりゃそうだ、後輩の運命がかかってるんだろ?」

「うん。大丈夫、おれと遼河さんなら、確実に未来はいい方向へ動くよ」

 

 俺はショートカットと言わんばかりに窓から飛び出す。

 ……旧ボーダー時代の癖がまだ抜けないようだ。もっとも、忍田さんは「2階の窓から出て行って3階の窓から帰ってくる」というもっと大概な事をやっていたが。

 その勢いのまま、俺はこれからやってくる客人を出迎えるべく警戒区域へと出撃した。

 

 

 ──────────────

 

 夜の警戒区域。人の気配などないその夜闇の中を、8つの影が疾走していた。

 ……12月18日、つまり今日。遠征から帰還してまもないボーダー最精鋭部隊(トップチーム)に、城戸司令から直々にある特命が下されたのだ。

 

 ──近界民(ネイバー)が玉狛に匿われている。その近界民(ネイバー)が持つ(ブラック)トリガーを奪取せよ。

 

 遠征から帰還した直後である今日という日に決行することとなったのは、「相手の能力をコピーしてくるのなら、手数が増える前の方がいい」という進言があったからだ。

 (ブラック)トリガーを奪取すべく出撃したのは、A級1位部隊、A級2位部隊、そしてA級3位部隊で構成された遠征部隊に三輪隊を加えた、A級4部隊で構成された即席の連合部隊。

 その構成員となる8人のA級隊員が、玉狛を目指していた。

 

『目標地点まで、残り1000』

 

 先頭を走る三輪が、三輪隊のオペレーターの指示を聞いて速度を上げる。その様子を見た髭の生えた男が、どこか愉快そうに言った。

 

「おいおい三輪。もっとゆっくり走ってくれよ。疲れちゃうぜ」

 

 しかし、先頭を進む三輪のスピードは落ちない。三輪にとって、この任務は二度とない好機だった。この任務が首尾よく運べば、(ブラック)トリガーを奪取するという城戸司令の特命を果たせるだけではなく、何の後腐れも躊躇いもなくあの忌々しい近界民(ネイバー)を排除することができる。

 だが同時に、今しがた話しかけてきた髭の男は三輪にとっては苦手な存在だった。同じ任務を遂行するチーム同士だと割り切ってはいるが、それでも苦手なものは苦手なのだ。

 

『目標地点まで、残り500』

 

 再びオペレーターからの指示が入る。

 だがその時、夜闇を疾走していた8人の前に1つの人影が立ち塞がった。

 

「止まれ!」

 

 髭の生えた男の警告に、全員が停止する。電灯に照らされて、その人影の正体が露わになる。

 そうして8人の前に姿を現したのは──他でもない迅悠一だった。ブリッジ部のないサングラスに、水色のジャケット。その場にいる8人にとっては、ひどく見慣れた衣装だ。

 1度ならず2度、3度と邪魔された三輪が、隠す気のない舌打ちをする。

 

「チッ……!」

「なるほど、そういうことか」

 

 髭の男が何か天啓を得たかのように言った。

 一方の迅は髭の男に対し、再会を懐かしむかのように話しかける。髭の男に話しかける迅の雰囲気は、いつも通り飄々としていた。

 

「太刀川さん。久しぶり。みんなお揃いでどちらまで?」

 

 立ち止まった連合部隊のメンバーに、屋根の上を走っていた残りの連合部隊の構成員3人が合流する。

 立ち止まったリーゼントの青年が、困惑したな口ぶりで話しかけた。

 

「迅さんじゃん、なんで?」

「よう当真。冬島さんはどうした?」

「ウチの隊長は、船酔いでダウンしてるよ」

「余計なことをしゃべるな」

 

 8人の中で最も低身長の男が、「当真」と呼ばれたリーゼントの青年に釘を刺す。

 

「こんなところで待ち構えてたとはな。──俺たちの目的も、とっくに分かってるってわけか」

「うちの隊員にちょっかい出しに来たんだろ? 最近うちの隊員は結構いい感じだから、邪魔しないでほしいんだけど」

「それは無理だ、と言ったら?」

「その場合は、仕方ない」

 

 迅はそう言うと、腰元に番えた「黒いトリガー」に手をかけた。

 

実力派エリートとして、可愛い後輩を守らなきゃならない

「なんだ迅? いつになくやる気だな」

「おいおいどうなってんだ? これ迅さんと戦う流れ?」

 

 いつになくやる気を感じさせる迅に対し、「太刀川さん」と迅に呼ばれた髭の男が笑みを浮かべる。その傍らで、リーゼントの青年は迅と戦う流れになりつつある空気に困惑していた。

 迅のやろうとしていることをいち早く看破した小柄な男が、迅に警告する。

 

「『模擬戦を除くボーダー隊員同士での戦闘を固く禁ずる』。隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな? 迅」

「……それを言うなら、うちの後輩だって立派なボーダー隊員だ。あんたたちがやろうとしてることもルール違反だよ、風間さん。それに秀次も、その一歩手前まで行ったって聞いたけど?」

 

 迅の発言に、小柄な男は押し黙る。その沈黙を切り裂くように、三輪が叫んだ。

 

「『立派なボーダー隊員』だと!? ふざけるな! 近界民(ネイバー)を匿ってるだけだろうが!!」

 

 それを聞いた迅は、いつになく毅然とした態度で反論した。

 

「『近界民(ネイバー)を入隊させちゃダメ』なんてルールはどこにも書かれてない。遊真は正式な入隊手続きで入隊した、正真正銘のボーダー隊員だ。誰にも文句は言わせないよ」

 

 いつになく真面目なトーンで迅が語る。しかし、髭の男がその言葉に反論した。

 

「いや、迅。お前の後輩はまだ正式なボーダー隊員じゃないぞ。玉狛で手続きを済ませたとしても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。──つまり、俺たちにとってお前の後輩は、1月8日までただの野良近界民(ネイバー)だ。仕留めるのに何の問題もない」

「……ま、そう来るよねぇ」

 

 太刀川の言葉を聞いた三輪は、そこで初めて髭の男──太刀川慶に抱いていた苦手意識の理由を初めて理解した。

 迅悠一と太刀川慶。この2人は「ルールの穴を突くやり方を好む」という点で共通しているのだ。とてつもなく気難しい上に融通の利かない三輪と、いつも飄々としており我が道を行く迅と太刀川。限りなく相性が悪いのは自明の理だった。

 そんな中で、小柄な男が迅に最後の警告を送る。

 

「邪魔するな迅。お前と争っても仕方ない。俺たちは任務を続行する。……本部と支部のパワーバランスが崩れることは別にしても、(ブラック)トリガーを持った近界民(ネイバー)が野放しにされている状況は、ボーダーとして許すわけにはいかない。城戸司令はどんな手を使ってでも、玉狛の(ブラック)トリガーを本部の管理下に置くだろう。玉狛が抵抗しても、遅いか早いかでの違いでしかない。大人しく渡した方がお互いのためだ。それとも、(ブラック)トリガーの力を使って本部と戦争でも起こすつもりか?」

「……城戸さんの事情はいろいろあるだろうけど、こっちにもいろいろ事情がある。あんた達にとってはただの(ブラック)トリガーでも、持ち主本人にしてみれば、命より大切なものなんだ。別に戦争を起こすつもりはないが、大人しく渡すわけにはいかないよ」

「──あくまで抵抗を選ぶか。お前も知っているだろうが、遠征部隊に選ばれるのは、(ブラック)トリガーに対抗できると判断された部隊だけだ。他の連中相手ならともかく、俺たち遠征部隊を相手に、お前1人で勝てるつもりか?」

 

 その言葉は決して嘘ではない。

 ──迅1人の前に立っているのは、ボーダーでも最強レベルの実力を誇る精鋭、「A級隊員」の8人。その1人1人が、並の戦闘員では太刀打ちできないレベルの圧倒的な実力者だ。

 

 遠征部隊の1人で、A級3位「風間隊」の一員、猫目と下がり眉が特徴の菊地原(きくちはら)士郎(しろう)

〘A級3位 風間隊 攻撃手(アタッカー) 菊地原士郎(16)〙

 

 A級1位「太刀川隊」が誇る天才肌にして、「Nо.2射手」の出水(いずみ)公平(こうへい)

〘A級1位 太刀川隊 『Nо.2射手(シューター) 出水公平(17)〙

 

 菊地原と同い年で、これまた菊地原と同じく風間隊のメンバー、歌川(うたがわ)(りょう)

〘A級3位 風間隊 万能手(オールラウンダー) 歌川遼(16)〙

 

 リーゼントが目を引く青年は、A級2位「冬島隊」唯一の戦闘員にしてボーダー最強の「No.1狙撃手(スナイパー)」、当真(とうま)(いさみ)

〘A級2位 冬島隊 『No.1狙撃手(スナイパー) 当真勇(17)〙

 

 近界民(ネイバー)への深い憎しみと殺意を滾らせながら迅と対峙するのは、A級7位三輪隊隊長にして「No.3万能手(オールラウンダー)」、三輪(みわ)秀次(しゅうじ)

〘A級7位 三輪隊隊長 『No.3万能手(オールラウンダー) 三輪秀次(17)〙

 

 三輪隊の一員にして、当真に次ぐ「No.2狙撃手(スナイパー)」の実力を誇る技巧派、奈良坂(ならさか)(とおる)

〘A級7位 三輪隊 『No.2狙撃手(スナイパー) 奈良坂透(17)〙

 

 最も小柄な男は、A級3位風間隊を率いるエリートにして「No.2攻撃手」、風間(かざま)蒼也(そうや)

〘A級3位 風間隊隊長 『No.2攻撃手(アタッカー) 風間蒼也(21)〙

 

 そして迅と一番最前列で相対する髭の男こそ、ボーダー本部最強の部隊ことA級1位「太刀川隊」の隊長にして「No.1攻撃手(アタッカー)」と「個人(ソロ)総合1位」という2つの最強の称号を欲しいがままにする男、太刀川(たちかわ)(けい)

〘A級1位 太刀川隊隊長 『No.1攻撃手(アタッカー)個人(ソロ)総合1位』 太刀川慶(20)〙

 

 そこにあるのは、数の暴力だけではない。連合部隊の面々は、1人1人の戦闘能力が極限まで洗練された歴戦の猛者たちだ。それが8人。

 常識的に考えれば、風間の言う通り迅に勝ち目はない。しかし、迅はそれさえも想定済みであるかのように答えた。

 

「おれはそこまで自惚れちゃいないよ。遠征部隊に加えて、A級の三輪隊。確かに、このままおれが(ブラック)トリガーを使って戦っても、いいとこ五分五分だ。──けど、それは『おれが1人だったら』の話だ

「なに!?」

「出てきていいよ、遼河さん」

「……ようやく出番か。ずいぶんと待たせたな」

 

 塀の角から、さらにもう1人の人影が現れる。

 現れたのは三輪隊には見覚えがあり、それ以外の隊員には見覚えのない存在だった。

 

「月城、遼河……!?」

「ツキシロ? 誰だ、それ?」

「三輪隊以外とは初対面だな。俺は月城遼河。こっちとしても荒事を起こすつもりはないが──生憎、こっちにも退けない事情があるんでな。迅に加勢させてもらう」

「それに、助っ人は遼河さんだけじゃないよ」

「なんだと……!?」

 

 相対するA級合同部隊と迅、遼河を見下ろすようにして、その言葉を待っていたと言わんばかりに赤い隊服を着た3人の隊員が姿を現す。

 

「嵐山隊、現着した! 忍田本部長の命により、玉狛支部に加勢する!!」

「嵐山!?」

「嵐山隊……!」

「なるほど、忍田本部長派と手を組んだのか」

 

 このタイミングで、「A級5位」の称号を持つ嵐山隊が玉狛への加勢を宣言した。

 これにより狙撃手(スナイパー)を含めて6対8、人数の差は大きく埋められたことになる。思わぬ援軍に、三輪はよりいっそう迅を睨みつけた。

 嵐山隊のメンバーは4人。しかし、狙撃手(スナイパー)は隠れているため駆け付けたのは3人となる。そして嵐山隊は、狙撃手(スナイパー)1人を除いて全員が万能手(オールラウンダー)で構成された文字通りの万能部隊だ。

 

 ボーダー広報部隊である嵐山隊の隊長にして、「No.2万能手(オールラウンダー)」の実力を持つ嵐山(あらしやま)(じゅん)

〘A級5位 嵐山隊隊長 『No.2万能手(オールラウンダー) 嵐山准(19)〙

 

 嵐山隊のバランサーにして眠そうな目が特徴のボブカット、時枝(ときえだ)(みつる)

〘A級5位 嵐山隊 万能手(オールラウンダー) 時枝充(17)〙

 

 嵐山隊の紅一点にして、嵐山隊の第2のエース。若きエリート女隊員、木虎(きとら)(あい)

〘A級5位 嵐山隊 万能手(オールラウンダー) 木虎藍(15)〙

 

 嵐山隊のノリ担当にして、狙撃手(スナイパー)として唯一無二の技術を誇る佐鳥(さとり)(けん)

 なお、現在潜伏中。

〘A級5位 嵐山隊 狙撃手(スナイパー) 佐鳥賢(17)〙

 

 向こうが全員A級隊員ならば、迅たちの面子も負けず劣らずだ。遼河は階級こそB級だが、その実力は文句なしのA級、あるいはそれ以上と言ってもいい。

 最高のタイミングで援軍に駆け付けてくれた嵐山隊に、迅が声を掛ける。

 

「いいタイミングだ、嵐山。助かったぞ」

「三雲くんの為と聞いたからな! 彼には大きな恩がある。それに、迅が会わせたいと言っていた相手にも会うことができたからな、一石二鳥だ」

 

 そこで遼河は、嵐山と三門第三中学校で会った時のことを思いだした。

 

「お前は、あの時学校にいた……」

「嵐山准だ。迅から話は聞いてたが、まさか同い年とはな。よろしくな!」

「ああ。よろしく頼む」

 

 共に戦う者同士、嵐山と遼河が友好の握手を交わす。それを横目に、迅が木虎に問いかけた。

 

「木虎も、メガネくんのために?」

「命令だからです」

 

 淡々と語る木虎に対し、遼河は静かに、されど確かな重みをもった声で問いかけた。

 

「──少しは、自分を顧みたか?」

「……はい」

 

 遼河は、木虎のその言葉に嘘偽りはないとみた。

 迅は嵐山たちの反応に少し笑みを浮かべ、ボーダートップチーム8人と対峙する。

 

「さて……嵐山隊だけじゃなく、ここにいる遼河さん。これだけのメンバーが揃えば、ハッキリ言って100%おれ達が勝つ。──おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

「ここまでやる気のお前を見るのは久しぶりだな、迅?」

「おれだって別に本部と喧嘩したいわけじゃない。退いてくれると嬉しいんだけど」

「なるほど、未来視のサイドエフェクトか。なら迅、言わせてもらうぞ」

 

 太刀川は不敵に微笑むと、弧月に手をかける。

 

……誰が退くって? むしろ──お前の予知を覆したくなった!」

「やれやれ……。そう言うだろうなー、と思ったよ」

 

 太刀川は完全にやる気だった。むしろ、「早くやろうぜ」と言わんばかりにウズウズしていた。臨戦態勢に入った太刀川を見て、ついに迅は自らのブレードを手にした。それに合わせ、遼河も弧月に手をかける。

 相対するのは迅&遼河&嵐山隊による玉狛・忍田派連合と、太刀川率いるボーダートップチーム。

 ここで遼河は、迅に「今回の作戦」を再度確認した。 

 

「……()()()()でいいんだな? 迅」

「うん。合図があるまで()()()()で頼むよ、遼河さん」

「分かった。──さあ、始めようか」

 

 遼河が弧月を抜刀すると同時に、全員が戦闘態勢に入る。

 夜の放棄地帯を舞台に、ボーダーの精鋭たちが入り乱れる死闘が幕を開けた。

 

 





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