ワールドトリガー・Returner from another world   作:もりいぬ

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「これって原作の焼き増しなんじゃないの?」という指摘をいただきました。
実のところ、筆者自身もそれはかなり重く受け止めております。今まで難産になっていたのは「これを出して大丈夫なのか?」という考えがあったというのが理由の1つです。
……もう少しだけ、お待ちください。



黒の激闘

 ──ハイレインと三輪、修とミラ。基地前の戦闘が最終局面に向かい始めた頃。

 警戒区域南西部で繰り広げられていた、遊真とヴィザとの戦いもまた佳境に差し掛かろうとしていた。だが、状況は芳しくない。遊真が左腕を失い、さらには深手ではないとはいえそれなりに削られているのに対し、ヴィザはなおも余裕を崩していないのだ。

 

「攻撃から多彩さが失われた……。自律トリオン兵と離れたのは、失敗だったようですな」

「……レプリカ。オサムとチカは?」

【無事だ。心配しなくていい】

 

 だが、レプリカのその発言が嘘であることを遊真は見抜いた。つまり修と千佳、ひいてはレプリカ自身にも今危機が迫っているということだ。

 

「……めずらしく、つまんないウソつくじゃん」

【目の前の敵に集中しろということだ。──この老人は恐らく、敵の中でも一番の手練れ。加えて厄介なことに、この相手は『我々を足止めすること』を優先に考えている。余裕のある相手を崩すことは難しい。迂闊に欲を出せば、その隙を突かれるぞ】

「……分かってる」

 

 戦場を駆け抜けてきた遊真は、欲を出した者ほど早死にすることをよく理解していた。だがここでヴィザは、遊真たちに対し更なる揺さぶりをかける。

 

「……どうやら、私の上官がお仲間に王手をかけたようですな。子供を攫うのは、やはり気が滅入りますが……致し方ありますまい」

【揺さぶりだ。やつの言葉を真に受けるな】

「……分かってるさ」

 

 しかしながら、修たちの危機に駆け付けられないことで遊真に僅かに焦りが芽生えていたのもまた事実。遊真は一度冷静になり、相手の力量について改めて確認した。

 

(……(ブラック)トリガー持ちな上に、剣の達人。しかも、戦いの年季は間違いなくおれ以上。正直、レプリカ本体のサポート無しで戦るにはキツいし、サポートがあっても勝ち目は薄い)

 

 ここまでの一連の攻防で、遊真は敵の能力をある程度見極めることができていた。が、遊真とヴィザの間にはどうしようもないほどの「壁」がある。レプリカのサポート込みだったとしても、まともに正面からぶつかって勝てるかは怪しい。

 ──その時遊真の脳裏に、かつて実の父親から言われた「教え」がよぎった。

 

『いいか遊真。自分より強い相手と戦う時は、勝とうとしちゃダメだ。そういう時は、引いて守って時間を稼ぐ。そうすれば、他の仲間が楽になる。“弱い駒が強い駒を足止めしてる”ってだけでも、戦果としては十分なんだ。仮に仲間がいないのなら、全力で逃げろ。自分の力を見極めて、やるべきことをやるんだ。覚えとけ。戦場で自分の力を見誤ると──死ぬぞ』

 

 ……かつて有吾に言われたその言葉は、紛れもなく事実だった。

 実際、遊真はカルワリアの戦争で自らの力を見誤った挙句──雇われの(ブラック)トリガー相手になすすべもなく殺されかけ、その結果として父親を喪っているのだから。

 

「分かってる。……でも」

 

 しかし、今の遊真には──それでも、退けない理由がある。

 思い出されるのは、自らの身を顧みず、自分よりはるかに強い相手に向かっていく友の姿。その友の言葉が、遊真を再び奮い立たせる。

 

「勝ち目が薄いからって──逃げるわけにはいかない……!」

 

 

 

 遊真はそのまま「弾」印(バウンド)を発動し、近くにあった手ごろな大きさの瓦礫を数個吹き飛ばす。それを見たヴィザはすぐさま「星の杖(オルガノン)」のブレードで瓦礫を容易く両断して見せたが、その瞬間、ヴィザの眼前で切断した瓦礫が爆ぜる。

 

(爆発……?)

 

 ──爆」印(バースト)

 大規模侵攻に備え、遊真が新たに習得していた印の1つだ。読んで字のごとく、印を付けた対象を爆弾に変える能力がある。遊真は瓦礫を射出する前に瓦礫のいくつかにこの「爆」印(バースト)を付与し、爆弾に変えていたのだ。しかし、結果としては爆発の有効範囲内に入る前に余裕をもって瓦礫を切り裂くことができたヴィザが1枚上手であった。とはいえ、瓦礫を飛ばして爆発のさせてくるというのはここまでヴィザも見たことがない新手の攻撃。まだ手の内を隠していたのかと、ヴィザは内心でほんの少しだけ感心する。

 無論、遊真もその程度で目の前の老人を倒せるとは思っていない。その爆風に乗じて、ヴィザの視界から姿を消す。

 

「『爆』印(バースト)+『射』印(ボルト)!」

 

 そのまま、死角から「爆」印(バースト)との複合印で強力な炸裂弾と化した射撃をヴィザに叩き込む。しかし射撃の音かあるいは歴戦の勘ゆえか、ヴィザは老人とは思えぬ身のこなしで身を翻し、その攻撃を紙一重で避けて見せた。1発も命中しなかった弾が、ヴィザの背後のビルに命中し爆ぜる。

 それを見た遊真は内心で悪態をつく。ここまで死角を取っての射撃を複数回敢行してきたが、ヴィザはそのことごとくを最小限の動きだけで器用に躱すか、瓦礫を駆使して防御しているのだ。悪態の1つか2つ、つきたくなるのも無理はない。

 一方のヴィザは、未だ余裕を崩すことなく杖を地面についたまま佇んでいる。その姿に対し、遊真はある疑問を投げかけた。

 

「爺さんはさ、自分より強い奴と戦ったことあるの?」

 

 それは素朴な疑問だった。戦場に何年も身を置いているのであれば、自分より強い相手と相見えることもあったはず。

 しかしヴィザはその質問に対しても、どこか楽しむように答えて見せた。

 

「はて……。有利な相手、不利な相手なら覚えがありますが──真に己より強いか否かは、勝負が決した後に判ることでありましょう

「……なるほどね。強い奴の台詞だ」

 

 それ以上の問答は不要だと判断した遊真は、素早く後ろへと下がる。そして瓦礫の影へと消え、ヴィザからその姿を視認することはできなくなった。

 

「おや。撤退……というわけではなさそうですな。出来れば向こうの決着がつくまでおしゃべりしていたかったところですが……向かってくるのならば手は抜きますまい」

 

 ヴィザは即座に「星の杖」のブレードを展開し、遊真が今しがた隠れた建物の影もろとも動線上の廃墟を両断せしめる。遊真はブレードの周期を読んで素早く躱すも、それが限界だ。ブレードの攻撃の隙間を縫って接近戦を挑むのは不可能と言っても過言ではなかった。

 同時に、レプリカが改めて遊真に注意喚起する。

 

【ユーマ。今の私のサイズでは、複合印や多重印を扱うには時間がかかる。最初の蹴りで付けた『鎖』印(チェイン)もすでに外されている以上、まともにやり合うのは得策ではないだろう】

 

 ──遊真の使う(ブラック)トリガーは確かに汎用性に長ける強力なトリガーだ。しかしその反面、遊真1人ではその力を十全に発揮できない。

 遊真の(ブラック)トリガーは、扱い手である遊真とそれをサポートするレプリカ本体が揃って初めて真価を発揮するのだ。ちびレプリカの言うとおり、本体の補助なしでは複合印や多重印のような複雑な印を発動するのに数秒の時間を要する。先に放った「爆」印(バースト)と「射」印(ボルト)の複合印も、放つのに数秒の時間を要した。もし本体がついたままならば、その複合印も一瞬で生成・攻撃に移れたことだろう。しかし、子機ではせいぜい多少の補助や敵の分析を行うのが限界だ。レプリカ無しでも戦闘自体は続行できるが、出力低下は避けられない。

 しかし、遊真もそれは承知の上で本体を修たちの下へ向かわせたのだ。

 

「火力勝負にはつき合わないさ。──『響』印(エコー)

 

 遊真を中心に発せられた微弱なトリオンの波動が、反響となって伝わる。今の遊真と敵を繋ぐ、僅かな隙間がマップとなって現れる。まともに正面から向かっては切り裂かれるだけ。ならば、奇襲攻撃を仕掛けるのみ。

 遊真は「響」印(エコー)で把握した僅かな隙間を伝って、ヴィザの懐へと向かっていく。

 

「『強』印(ブースト)

「……下か」

 

 遊真の打ち込んだ強烈な拳が、ヴィザの足元を揺るがす。

 が、肝心の遊真の姿がどこにも見えない。下から攻撃された、ということが分かるだけだ。すぐさま着地して周囲を伺うヴィザ目掛けて、遊真はそのままもう一撃、拳を叩きこもうとする。しかし僅かな音か歴戦の勘か、ヴィザはなんと遊真の不可視の攻撃を察知して杖で防いでしまった。見えない拳を叩きこまれたヴィザが、面白いものを見たとでも言わんばかりの口ぶりで呟く。

 

「……()()()()()()()()。いやはや、まだ手の内を隠していたとは。これほど多彩な戦い方を見せる戦士は、そう記憶にありませんな」

 

 遊真のもう1つの新たな印、「隠」印(ステルス)

 これまたその名の通り、自らの姿を肉眼で視認不可能にする。さらにはこの状態のまま攻撃を仕掛けることも可能だ。遊真は透明化という圧倒的な視界の有利を活かしてヴィザに肉薄しようとするも、あいにくヴィザの歴戦の勘は不可視の攻撃程度では意味がないほどに極め抜かれていた。

 しかし遊真もまた、それで終わってはいなかった。

 

(『爆』印(バースト)

 

 遊真が下からの攻撃を仕掛ける直前、事前に足元に仕掛けておいた「爆」印(バースト)が炸裂する。爆心地にいなかったためダメージを与えることこそできなかったものの、爆発の勢いでヴィザは空中へと投げ出される。吹き飛ばされたヴィザもまた、体勢をすぐさま立て直し得物を構える。それを見た遊真はヴィザから距離を取りつつ、あらかじめ準備していた「射」印(ボルト)による弾丸の嵐を叩きこんだ。

 命中した手応えは、あった。遊真は姿を現し、敵の動向を伺う。……しかし。

 

「……星の杖(オルガノン)』の足下の死角から攻めてきたのは、()()()()()()()()()

 

 ヴィザには、傷1つついていなかった。着弾の直前、ヴィザは空中で「星の杖(オルガノン)」のブレードを凝集・直立させることで疑似的な盾にするのみならず、空中での足場にしていたのだ。ヴィザは遊真の攻撃を何でもないように防ぎ、一連の攻防の感想まで口にする余裕を見せる。

 

「単純に追撃するだけでなく、今までと攻撃の仕方を変えることで意表を突こうとする知恵もある。──なかなか、悪くない攻撃でした」

 

 ──圧倒的な攻撃範囲、一撃必殺級の威力、変幻自在の軌道のみならず、一定以上の防御力まで併せ持つ。「星の杖(オルガノン)」がアフトクラトルの国宝たる所以が、ここにある。

 そしてそれを扱うのは、誰よりも戦場を渡り歩き、誰よりも敵を斬り捨ててきた老練の猛者だ。勘も、技量も、観察眼も、何もかもが限りなく至高の領域にある。味方だとすれば、これ以上信頼できる存在はない。

 

「この野郎……」

 

 ……しかし相手からすれば、悪夢でしかない。今できる手をことごとく潰された遊真はただヴィザを見上げ、恨み言をぶつけることしかできなかった。

 

 

 

 そして、基地前の攻防。

 三輪とハイレインは、なおも熾烈な戦いを繰り広げていた。一見すると互角に見えるこの戦いだが、実は三輪は不利を押し付けられている状況だ。

 

 ハイレインの攻撃に対してシールドを細分化することで対応できてはいるが、1発貰うだけでアウトであることは同じだ。鉛弾(レッドバレット)は当たりこそすれ、構成しているのはトリオンである以上ハイレインのトリガーによって分解されてしまう。普通の弾に関しては、ハイレインのマントを貫けるだけの威力がない。つまり必然的に三輪は、ハイレインの「卵の冠(アレクトール)」の有効射程内に自ら切り込まざるを得ない。

 対するハイレインは、自身を覆う魚群に加え、ある程度の防御性能を有するマントによって盤石の守りを得ている。さらに言えば、トリオンキューブからトリオンを搾取すれば無限に回復することまでできる。とはいえ、三輪のトリガー構成と自身のトリガーとの相性が悪いのは紛れもない事実だった。

 そのまま戦いの舞台は、人1人分の幅の小道へと突入する。三輪が一気に距離を詰めようとしたその時、踏み込んだ左足から何かが炸裂する音が聞こえた。

 

(……!?)

 

 見ると、足元に半透明のクラゲ状の弾が浮遊している。修の足を刈り取ったのと同じ攻撃だった。

 が、驚きはそれだけではなかった。三輪の足元を守るように、黒い何かが盾を展開していたのだ。あの忌々しい近界民(ネイバー)が展開していた盾と同じものだと気づくのに、そう時間はかからなかった。三輪にとって近界民(ネイバー)は、うるさく飛び回るハエにも劣る存在だ。そんなものに助けられた事実が、彼を苛立たせる。

 三輪は黒い何か──ちびレプリカを斬り捨てようとしたが、ちびレプリカは振り抜かれた弧月を器用に躱して見せた。

 

「チッ……失せろ! 近界民(ネイバー)の手は必要ない!」

【今は戦いに集中する時だ。これはお前のためにやっているわけではない。感謝は不要だ】

「豆粒が……!」

 

 近界民(ネイバー)の手を借りるのは屈辱的ではあるが、助けられたのは事実。さらにはそれが向こうの独断である以上、三輪にはどうすることもできない。三輪はほぼ「勝手にしろ」と言わんばかりにちびレプリカを放置することを決めた。

 

 

 しかしもう1つの攻防、修たちとミラの戦いは修たちが明らかな劣勢だった。

 レプリカが「射」印(ボルト)でミラを攻撃するも、そのことごとくを「窓の影(スピラスキア)」の能力によって返されてしまっている。修はミラが足を止めた隙に近くの茂みから基地の入口へ向かおうとするが、それを読んでいるかのようにミラが目の前にワープで出現し、行く手を阻んだ。

 修の行く手を遮るミラが、冷ややかな笑みを浮かべて降伏を迫る。

 

「諦めなさい。悪足掻きは好きじゃないの」

 

 あまりにもピンポイントかつ無駄のないワープ。そこでようやくレプリカは、敵のワープが正確過ぎる理由に目星を付けることができた。

 

【発信機か……!】

「あら、気付くのが遅かったようね?」

【──いや。そうでもないようだ】

 

 修たちとミラの間に入るかのように、1つの黒い塊が着弾する。轟音とともに姿を現したのは──漆黒のラービットだ。

 

「ラービット……!?」

「追いついてきたのか!」

 

 漆黒のラービットはミラ目掛けて強烈な拳を叩きこむ。その余波で、ミラがいた地点から最も近かった民家が跡形もなく粉砕された。

 ミラはというと、ラービットの攻撃が届く少し前に跳躍し、攻撃をかわしている。お返しとばかりに弱点の頭部目掛けて釘のようなものを打ち込もうと試みるも、ラービットの分厚い腕の装甲に防がれてしまい、攻撃を通すことができない。

 そこでミラは、自分たちの若干の不利を悟った。

 

(この黒いラービットが私たちのラービットと同じなら、『小窓』では殺せない。『大窓』で飛ばそうにも、トリオンの消費が大きすぎる。私も隊長も、相性が悪い相手と戦わされている。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……)

 

 しかし同時にミラは、先ほどからちょこまかと妨害をしてくるある存在に目を付けていた。

 一方の修は、漆黒のラービットという頼もしい助っ人の加勢によりほんの僅かに気を緩める。

 

 

 

 ──だが、その油断が命取りとなった。

 

「言ったはずよ?」

 

 突如、修の隣の空間が歪む。

 そこから現れた黒色の刃が──レプリカを真っ二つに引き裂いてしまった。胴体を引き裂かれたレプリカが、重い音を立てて地面に落下する。

 

「レ……」

「──『悪足掻きは好きじゃない』って」

「レプリカッ!!」

 

 ミラが目を付けたのは、修ではなくレプリカだ。漆黒のラービットも、この戦局も、レプリカが生み出したもの。そうミラは推測したのだ。つまり、レプリカさえ倒してしまえば、作戦遂行における障害は無くなる。

 だが誤算だったのは、漆黒のラービットはレプリカの起動の有無に関係なく動き続けるということだ。その証拠に漆黒のラービットはその剛腕を振るい、主を倒した敵を吹き飛ばそうとする。ミラは再びワープで転移し、紙一重で攻撃の範囲内から逃れた。

 しかしレプリカの撃破は、修に強烈なパニックを与えるには十分すぎるものだった。

 

(レプリカが、レプリカがやられた……! 死んだ!? 死ぬのか!? ──いや、ダメだ! 落ち着け! ぼくは、僕はどうすればいい!? どうする!? ……くそっ、パニックになっちゃダメだ! でもどうするんだ!? レプリカがいなきゃ基地に入れないぞ!? 何か、別のルートで……だけど、この足で行けるのか……!?)

 

 それと同時に、もう1つ衝撃音が轟く。見ると、鬼のような猛攻を加え続けている三輪とハイレインが建物を破壊し、修たちのすぐそばまで来ていた。

 

「隊長」

 

 ミラのその声で、ハイレインは要求を察する。複数の鳥を、漆黒のラービット目掛けてけしかけたのだ。ラービットの装甲がいかに固くとも、トリオンである以上当たればキューブになってしまう。直撃を受けたそのまま漆黒のラービットもまた、なすすべなくキューブ化してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 ──かのように、思われた。

 

(……!?)

 

 突如、漆黒のラービットを囲むかのように無数の細分化したシールドが出現する。直撃するはずだった燕は直前でそのシールドに当たってしまい、漆黒のラービットを無力化することは叶わなかった。これにはハイレインも、ミラも、修も驚きを隠せない。

 

 今この場でシールドを張れるのは、修と三輪だけ。しかし三輪はハイレインを相手している以上、ラービットにまで気を配る余裕は一切ない。そもそも三輪の気質的に、近界民(ネイバー)の産物であるトリオン兵を守ることなど絶対にあり得ない。では修が張ったのかと言えば、そうではない。そもそもここまでの戦闘で、修の残存トリオンは残りわずかだ。ラービットを守れるほどの面積のシールドを展開するトリオンなどあるはずもない。

 では、誰がそのシールドを展開したのか? その答えは、すぐさま示されることになる。

 

 ──空から1つの黒い人影が、修たちの前に降り立ったからだ。

 

「待たせたな」

(──!!)

 

 空から飛来する燕から漆黒のラービットを、修たちを守りながら、その黒コートの剣士は振り返る。

 

「まだ諦めるには早いぞ、三雲」

「遼河さん!!」

 

 激化する最終局面。

 修のかつてない窮地に、玉狛支部最後の砦たる月城遼河が、助っ人として駆けつけた。

 

 

 

 





【オリジナル印の解説】
・「爆」印(バースト)
 大規模侵攻の直前、ある経緯で遊真がメテオラからコピーした印です。すでに射撃用の印には「射」印があったので、メテオラの爆発要素だけが独立する形でコピーされました。
 印を付けた対象を爆弾に変えることができます。ただし爆弾に変えるには直接触れる必要があるため、一歩間違えると自爆します。そのためか、遊真はもっぱらこの印を地雷もしくは即席の爆弾生成術のような感覚で使っています。
 作中の描写通り、「射」印との合成印でメテオラとほぼ同じような攻撃を行うことが可能です。「強」印(ブースト)と名称がほぼ被っているのは気にしないでいただければと。

・「隠」印(ステルス)
 先述した「爆」印と同様、とある経緯で追加されたオリジナルの印です。「姿を消す」という文言から分かる通り、コピー元はもちろんカメレオンです。
 肉眼では視認不可能になり、さらには隠密状態で別の印を使用可能(透明化したまま攻撃可能)です。ボーダーのトリガーで例えるのなら、カメレオンを発動しながら別のトリガーを使用できるという明らかなレギュレーション違反です。
 最初から使わなかったのは、いきなり使ってしまうと2度目からは不意打ちが成立しなくなる可能性が高くなるからですね。勝負を決めるために透明化からの不意打ちを仕掛けましたが、それでもヴィザには通用しませんでした。
 軽くご都合主義が入っているのは否めませんが、正直ヴィザ翁なら不可視の攻撃でも止めてくると思います。


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