無限のフロンティアWink   作:舟太郎

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弐章 メギ・エルフェテイル
1話 滾らせよPassion


 

「2階の作業は終了しました、アレディ様。」

 

私はかつてゲルダ一派に属していた名もなき修羅。先の敗戦の後、対立していたシンディ派のアレディ・ナアシュの下に付き、妖精族の故郷であるエスピナ城の補修や楔石の撤去作業に当たっている。他にも妖精族はもちろん、ロストエレンシアの人間や獣人もそれぞれ城の復旧作業に協力している。

 

「ご苦労だった、休憩に入ってくれ。」

 

[剛錬のアレディ]ことアレディ・ナアシュ、先の戦いでは我らゲルダ派の筆頭、ゲルダ・ミロワールを破り、更にはこのエンドレスフロンティアや修羅界で暗躍していたアグラッドヘイムの首魁、ガグン・ラウズを打ち取った英雄の一人だ。

以前は戦うこと以外に興味のない、修羅らしい修羅だったが、今では随分と穏やかになったようだ。

そしてその変化をもたらした人物が・・・

 

「ようやくお前も下の使い方が分かってきたようだな、修羅リーダー?」

 

アレディ様と共にゲルダはやアグラッドヘイムと戦ったチャラ男、ハーケン・ブロウニング。

 

「まるで自分が人の使い方を分かっているような口ぶりね、ハーケン・ブロウニング?」

 

そしてこの城の現城主であり、かつて修羅界の波国に現れた妖精族の姫、ネージュ・ハウゼン。生真面目なアレディ様をその乳でたぶらかしたアバズレである。

どうやら先の戦いを経て恋仲となったようだ、100歳差で・・・。

 

「・・・あなた、いつも何か言いたげね?思ってることがあるならおっしゃいなさい。」

 

アバズレが名もなき修羅である私を個人と認識し話けてくる。

この二人やその他大勢の影響を受け、アレディ・ナアシュは丸くなった。

 

「我は名もなき修羅、強者に従うだけの存在。個として思うことなどありませぬ。」

 

と、私はクールに返す。カッコいいぞ、私!

 

「何というか、それで私を誤魔化せていると思われてることがド不愉快なのだけれど・・・」

 

「では謝罪します。アバズレとか思ってすいません。」

 

「いえ、ポイントはそこではなく・・・って、そんな失礼な事を思っていたの!?」

 

「OK修羅ガール、アンタも十分露出が多いぜ。」

 

ハーケン殿がそんな指摘をしてくる。確かに胸元ははだけているが、原作ゲーム内のグラフィックしか存在しない私には無意味な指摘だ。

 

「・・・なんだ!?」

 

そんなやり取りをしていると、作業が終わったはずの2階から爆発音が聞こえてきた。

 

「書斎の辺りですね・・・あそこは獣人族のガリベイン殿とグリンドア殿が居たはずですが・・・」

 

「書斎ですって!?いけない、あそこにはド危険な書物が保管されているわ!」

 

▼▼

 

「流石はハウゼン家の書庫、珍しい書物が多いですな、グリンドア!」

 

「ああ、そうだなガリベイン。我ら獣人には無い文化的な匂いに満ちておる!」

 

吾輩の名はガリベイン、隣のグリンドアと共に日々学問に励む獣人である。今はエスピナ城復旧作業の手伝いの最中、あまりに見事な書斎で本の誘惑に負けてさぼっている最中である。

 

「にしても・・・」

 

書庫の一角にガラスケースに入れられた二冊の本が丁寧に管理されている。怪しい光を発する紅と蒼の二冊の本である。

 

「悪魔が宿ると言われている紅と蒼の魔導書・・・読みたい・・・!」

 

「よし、では読もうではないか!!」

 

吾輩が願望をそのまま口にするとグリンドアが躊躇なくガラスケースを開け、青の魔導書を手に取る。

 

「ずるいぞ、グリンドア!じゃあ吾輩も!!」

 

吾輩は紅い魔導書を手に取り開く。

すると二冊の本からそれぞれ、黒い女性の影が浮かび上がり、実体化する。

 

『やっと出られたわね、オミコン』

 

『ええ、これでまた遊べるわ、ネクロン』

 

「おお!これが魔導書の悪魔、ネクロンとオミコン!まさかこの目で見れる日が来ようとは思わなんだ!なあグリンドア?」

 

吾輩はグリンドアに同意を求める。しかし返事はない。

 

「うううぅ・・・・!」

 

グリンドアは唸るような声を上げる。

 

「どうしたんだグリンドアよ!?」

 

『フフフ、解放してくれたお礼にお前達も一緒に遊ばせてあげる』

 

赤の魔導書の悪魔、ネクロンがそう言って吾輩の背に廻ると、吾輩の意識はそこで途絶えた。

 

 

「紅と蒼の魔導書!運がいいぜ、これで賞金45000ゲットだ!」

 

ハーケン・ブロウニングが賞金首のネクロンとオミコンを見て笑みを浮かべる。

 

「ハーケン殿、ネージュ姫様の許可なく高額書籍を手に取るのはいかがなものかと。」

 

私はハーケン殿に苦言を呈する。

 

「いや手を出したのは俺じゃないだろ?」

 

ふむ、確かに彼のセリフに引っ張られてしまったが、咎めるべきはさぼって本を読んでいたガリベイン殿とグリンドア殿か。

 

『あなた達が遊んでくれるのね』

 

ネクロンがこちらに気付くと、ガリベインとグリンドアが持っていた本を開き、魔術で攻撃してくる。

 

「いいから、早く対処してください。」

 

「アンタはやらないのかい?」

 

「私では賞金首には敵いませんので・・・」

 

賞金首モンスターは私のようなフィールドモンスターどころか、下手をすればシナリオボスよりも強い。だが本編を全クリした後のハーケン・ブロウニングであれば倒すことは容易だろう。私の出る幕は無い。

 

「獣人のお二人だけ引き受けましょう。覇爪斬!」

 

私は爪に覇気を込めた斬撃でガリベインとグリンドアを切り裂く。

 

「OK、賞金は総取りさせてもらうぜ、テキサス・ホールデム!」

 

ハーケン殿はナイフやステークを内蔵した愛用の多機能銃[ナイト・ファウル]でネクロンに斬撃や銃撃を繰り出す。

 

「ファイヤー・マウス!ベスト・フラッシュ!フル・ハウス!セブン・スタッド!」

 

続けてナイトファイルとカード爆弾を駆使した攻撃を繰り出し、最後にナイトファイルのステークでネクロンを貫いた。

 

『フフフ、無駄よ』

 

しかしオミコンが[友情]を使用しネクロンを回復する。

 

『もう少し盛り上げてあげる』

 

ネクロンがそう述べると、棚にしまわれた他の本が落下し、死者の書や裁判書といったネクロン・オミコンと同型の悪魔が大量に現れる。

 

「いいだろう、まとめて売り払ってやるぜ、ブックガール共!」

 

「ちょっと・・・人の家の本を勝手にブックオフに持って行こうとしないでもらえるかしら?」

 

「ネージュ姫様、ブックオフとはいったい・・・?」

 

ネージュ姫とアレディ様が駆けつけハーケン殿に物申す。

 

「大掃除と言えば断捨離だろ?手伝ってやってるんだ、年玉くらいくれてもいいんじゃないか?」」

 

「お年玉って・・・あなた一体いくつなの?」

 

「アンタから見たら孫みたいなもんだろ?117歳。」

 

「駄まらっしゃい!」

 

ハーケン殿とネージュ姫は敵を前にして呑気な会話を続けている。

 

「其処までです、お二人とも!続きは争覇の後にいたしましょう!」

 

一番年下のアレディ様が二人にそう告げながら[争覇の構え]を取ると、味方全員の[覚醒]と[気迫]がかかる。ディナーの後じゃなくてよかった。

 

「行くわよ、ジェラス・クイーン!」

 

ネージュ姫が魔法の槍[フェイスレイヤー]を構える。バーニアを噴射し死者の書や裁判書に突進しながらリンゴ型爆弾をバラまいていく。

 

「アレディ、蒼い方は任せる!」

 

ハーケン殿はそう言って再び紅い本の悪魔、ネクロンに攻撃を仕掛ける。

 

「承知しました、我が覇気よ、あの魔本を穿て、機神乱獣撃!」

 

アレディ様は覇気の龍を次々と放ち、オミコンに喰らいつく。

 

「覇皇両断刀!!」

 

続けて連続で貫手を繰り出した後、最期に渾身の手刀で悪魔を切裂くと、オミコンは一冊の本に戻った。

 





【人物紹介】

中級修羅兵

ガリベイン
グリンドア

ネクロン
オミコン
死者の書
裁判書

キャラクター紹介と言いつつも、シナリオ外のサブボスキャラクターと雑魚モンスターの名を羅列しただけになりました。

Spellai
中級修羅兵のイラストをイメージで生成しようとしたけど、仮面の再現が難しい

【挿絵表示】

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