家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
腹に深々と突き刺さった俺の蛇の剣。
俺は素早くバックステップ。
距離を離し、GUMPにコマンドを打ち込んだ。
そして戦闘不能状態の妖鬼オニを帰還。
続けて電撃魔法が得意な霊鳥ヴィゾフニルを呼び直す。
今ディーグイは、臍に蛇の剣を突き刺した状態だ。
相当な苦痛なんだろう。
タルカジャダインが解除されていた。
……この状態で電撃魔法。
喰らえば直接内臓を焼く。
腹に剣を刺し、少女の姿に戻ってしまったディーグイは崩れ落ち
「……我の負けだな。殺すがいい」
青褪めて苦痛の表情を浮かべたまま、ディーグイはそう言った。
剣を抜くのを諦めて、脱力する。
俺は
「なぁ」
呼びかけた。
「……俺の言ってること、理解してるよな? もう構造上、殷の復活は不可能だって話を」
「ああ……悔しいが理解はした。殷の民と名乗れる人間はもういない……仮に我がもう一度国を建てても、それはもう殷ではない」
本当に、寂しそうに呟くディーグイ。
俺はその表情に胸を締め付けられるものを感じた。
だから
「殷そのものは復活できなくても、殷の存在した証を残すことはできると思うぞ?」
改めて会話を持ち掛けた。
ディーグイの目が俺に向く。
……やっと会話が出来るな。
そう思いつつ、切り出した。
「俺の仲魔にならないか?」
「……なるほど。今の世の中はそうなっているのか。変わるものだ」
ちょっと気が引けるものがあったけど。
ディーグイの腹に剣を突き刺したままの状態で。
中国大陸の知ってる限りの歴史。
そして今の倭国、つまり日本の歴史を教えた。
「俺の仲魔になれば、アンタの時代から数千年の歩みを勉強できるぞ……悪くない話だと思うけど?」
「……確かに」
確かディーグイは生前殷王朝の司祭だったって言ってたし。
司祭は当時は知的職業のはずだろうし、興味はあるだろ。
「良かろう……契約を結んでやろう……だからさっさとこれを抜いてくれ」
ディーグイは腹に刺さっている蛇の剣を示してそう訴えるけど。
「ああ、先に契約を頼む」
俺はそう返す。
ディーグイを信じていないわけじゃないが。
さすがにね。
「……契約書を作るまで一体どれだけかかると……」
俺の言葉に。
よほど苦しいのか、そう抗議の声を上げるディーグイに
俺はGUMPを操作して、ディーグイの目の前に召喚契約書を空中投影した。
……今はこういう道具があるんだよ。
時代は今は令和だ。
それに度肝を抜かれたのか、硬直しているディーグイが少し面白かった。
こうして。
俺はこの木見北市に数千年間封印されていた怨霊……ディーグイから生まれた悪魔・造魔ディーグイを仲魔にした。
ちなみに召喚契約を結ぶときに真の名前を書いてもらう関係で分かったんだけど。
ディーグイの名前は今の日本の漢字で記すと「帝貴」と書くらしい。
出自を聞くと、かの紂王の子供だとさ。
……なるほどなー。
次回からエピローグに入ります。
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