家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第104話 俺たちのこれから

 春の日曜の午後のことだ。

 俺の10畳のアパートで。

 

 締め切った部屋で、アリスが正座してディーグイとテレビゲームをやってる。

 窓を開けたいが、ゲームの音が洩れるのが嫌なので締め切っていた。

 夏だったらエアコン必須の状況。

 

 春でも少しキツイところがある。

 

 俺は座布団に腰を下ろして、ディーグイを見ていた。

 

 ディーグイは志乃に髪を結ってもらっている。

 服としては白いワンピースを身に着けていた。

 

 志乃の手は器用に、ディーグイの長めの髪を丁寧に編み込み、ハーフアップに仕上げていく。

 

「なぁ、前から訊こうと思ってたんだけどさ」

 

 俺はディーグイに話を切り出した。

 

「何だ? マスターよ?」

 

 ディーグイはアリスのゲームに付き合いつつそう返す。

 

「何でマスターだよ。契約主とか召喚主とか、色々あるだろ」

 

 俺は苦笑した。

 

「今の時代はこれが流行りと聞いたぞ? ネットでな」

 

 ディーグイは得意げに胸を張り、そう返し。

 そのときゲームで何かしたのか、アリスが「やー!」と小さく叫んで抗議する声が、部屋に小さく響く。

 

 ……こいつ超古代の人間なのに、ネット文化にどっぷりハマってんだなぁ……。

 

 そんなことを頭の片隅で考えつつ、俺はディーグイに本題を切り出した。

 

「何で女の身体なの? いや、造魔がそうだったのは分かるんだが……」

 

 そもそも造魔を女の姿で作った理由が分からないんだ。

 この身体、殷王朝復活戦争の戦力として作られたんだよな?

 戦士なら、もっと筋骨隆々な男の姿でも良かったはずだ。

 

 見た目が綺麗な女の方が目の保養になる、なんて理由で作ったとは思えない。

 

 ディーグイは、そんな軽薄な男じゃなかったはずだ。

 

 ディーグイはコントローラーを持ったまま、ふっと目を細めて答える。

 

「……女の方が魔道に向いておるのだよ。男の魔法使いで強力な者は、伝説にもそう多くはおらんだろ?」

 

「……あー、確かに」

 

 俺は頷く。

 

 マーリンやソロモン王の名はあるけど、魔女や巫女の方が数多いし有名だわな。

 魔女って言葉は普通にある言葉だけど、魔男なんて言葉は聞いたことない。

 歴史的に女性が抑圧されてきたから、魔女の物語が目立つのかと思ってたけど、実は特性の問題だったのか。

 

「なるほどねぇ」

 

 俺は呟きながら、志乃に目を向けた。

 楽しそうにディーグイの髪を編み込んでいる。

 志乃としては妹が増えた感覚らしい。 

 

 ……俺は今、大学3年生。

 コース選択では中国史のコースを選択しようかと考えてる。

 

 だって、目の前に殷時代の生き証人がいるんだ。

 こんなチャンス、滅多にないだろ。

 

 ディーグイがたまに話す、教科書には載らない殷王朝の話は、妙に生々しくて面白い。

 

 これが就職に有利かどうかは、正直わからん。

 でも、今の俺にはそんなことどうでもいいんだよな。

 

 ふと、志乃のことを考える。

 彼女は看護学部で、看護師の国家試験を受けるつもりなんだろうか?

 ……志乃はどうするんだろうか。

 

 志乃の手がディーグイの髪を結い上げ、満足げに「できた!」と声を上げた。

 志乃は世話焼きな性格だからこういうこと好きなんだよな。

 

 ディーグイ、ホントは嫌だったりしないだろうか?

 そこが少し、気がかりだ。

 

 今度こっそり、訊いてみるか……

 

 そう思ったとき。

 床に置いていた俺のスマホが激しく振動し、着信を告げたんだ。




魔男のイチを揶揄するつもりはありません。

次回、最終回。

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