家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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最終話 きっと大丈夫だ

 電話の相手は業魔殿。

 多分メアリさんだ。

 

 俺は速やかにスマホの通話をONにし

 

「もしもし?」

 

 スピーカーモードにして電話を受ける。

 すると

 

『お疲れ様です。依頼が入っています』

 

「そうですか。場所は?」

 

『木見北中華街の3丁目です』

 

 なるほど。

 大体の場所の想像はつく。

 

『依頼内容はメールで送付致しますのでご確認下さい』

 

 メアリさんはその言葉と共に、通話を「失礼します」と言って切断。

 数秒後に言ったとおり、メールが来る。

 

 俺はその内容を確認する。

 

 ……なるほど。

 中華街で工事中に「狂神タイサイ」が掘り出されたと。

 

 タイサイは掘り出した人間を祟るので、倒さないといけないらしい。

 埋め直したり、その場から逃げ出したとしても祟られて死んでしまうそうだ。

 

 掘り出した本人だけでなく、本人の一族にカウントされる全ての人が。

 

 なるほど……

 

「なぁディーグイ、タイサイはご存じか?」

 

「タイサイか。我の時代も出現記録はあったぞ。数例だがな」

 

 ゲームコントローラーを握ったまま、語ってくれる。

 

 狂神タイサイは天の神に縁深い神の一種で、雷撃と衝撃の魔法を得意とするそうだ。

 木星に関わりが深いからそうなんだと。

 

 弱点は物理攻撃。

 特に刃物が有効とのこと。

 

 ただし、倒されそうになると逃亡する習性があり、逃げられてしまうと呪いは解かれず、掘り出した人間は一族皆死に絶える運命から逃れられない……。

 

 なるほど。

 責任重大だな。

 

「じゃあ、早速行ってみよう」

 

 俺は立ち上がり。

 

「ええ。すぐに片付けましょう」

 

 志乃もそれに続いてくれた。

 

 アリスも少し躊躇いはあったけどゲームを止め

 

「行こう、お兄ちゃん」

 

 そう言ってくれた。

 

 

 

 工事現場。

 

 多数の資材や重機が立ち並んでいる指定の場所に行ってみると。

 

 そこは既に無人になっていて。

 

 重機で掘り出したであろう穴の中にそいつは居た。

 

 茶色のぶよぶよの肉みたいなものに、数えきれないほどの目。

 グロテスクで、醜い悪魔だ。

 

 ……コイツが……狂神タイサイ……!

 

 これを倒すのが……今日の俺の仕事(バイト)……。

 

 

 

 俺は以前やっていた本屋のバイトを辞めて、今はデビルサマナーのバイトをやっている。

 このバイトは本屋の店員より実入り良いので、だいぶ稼げている。

 

 その報酬に惹かれてるのもあるけど……

 

 ほとんどの理由は、俺の将来のためなんだよな。

 俺、プロのデビルサマナーになることが避けられなくなったから。

 

 理由はあの男・シドだ……

 

 俺がデビルサマナーにならないと、あいつが何をしてくる分からないから。

 右手の指を失った礼をさせてくれって言ってたし。

 

 シドはまだ、その恨みを忘れていないらしい。

 今年の正月に、ポストに年賀状まで入れて来てくれたからな。

 

 聖書型COMPを使うのをやめて、義手型COMPを使っていくことにした、という自撮り写真つきの年賀状を。

 そこに「使用COMPを変えてみた。今度会うときは、この作り物の右手でお前に礼をしてやる」なんて書かれていたよ。

 怖えよ。

 

 ……そういうわけで。

 俺は木見北大学に入ったことで選べそうな仕事に就く未来が閉ざされて。

 デビルサマナー1択になってしまった。

 

 ……多分、志乃も。

 

 ついて来てくれとは言って無いけど、なんとなく志乃もこっちに来そうな気がするんだ。

 彼女の性格的に。

 

 それは有難いけど……複雑な思いはある。

 愛する彼女に危険な世界に来て欲しいわけがないし。

 

 でも、彼女が本心からそれを望むなら……

 

「秀司」

 

 そのとき。

 志乃が俺に声を掛けて来た。

 

 その声は少し呆れてて

 

「……仕事中。考え込むのはあとにして」

 

 それとも何か他に気になることがあるの?

 

 そう訊ねて来た。

 俺は首を振り

 

「何でも無い」

 

 そう言って。

 

「とっとと片付けて家に帰ろう。……今日は夕食一緒に作るんだよな?」

 

 俺はそう彼女に言った。

 彼女は

 

「ええ。だから早く片付けちゃいましょう」

 

 そう言って、微笑んでくれた。

 

 ――行くか!

 

 俺たち2人なら、きっと大丈夫だ。

 そう思いつつ俺は

 

 GUMPの引き金を引いた。

 

<了>




次、あとがきです。

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