家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
戦闘が始まった瞬間、俺はシトリーの動きを引き付けるために一歩引いた。
今、俺は素手なんだよ。
……相手中学生だからさ。
向こうに武器の刀を置いて来たんだ。
説得するつもり、あったから。
武器を取りに行く時間がないし、役に立てるとも思いにくい。
だから今の俺の役目は囮だ。
シトリーが主人である男子中学生の命令を忠実に守るなら、まず俺を狙ってくるはず。
悪魔召喚士を倒せば、契約悪魔……つまり仲魔をすべて処理できる。
それもあるし。
だから、これが最適解。
そしてその隙に、志乃と仲魔たちが仕掛けていく。
「オニ、シトリーに接近戦を仕掛けろ! ピクシー、アガシオン、ジオで援護! コロポックルはブフーラで凍てつかせろ!」
俺の指示が飛び、仲魔たちは即座に動き出す。
オニが雄叫びを上げながらシトリーに突進し、金棒を打ち付ける。
シトリーは軽やかに身をかわすが、オニの圧倒的な金棒の風圧に一瞬たじろいだ。
その隙を逃さず、ピクシーとアガシオンが電撃魔法ジオを放つ。
ジオは初級の電撃魔法。
「グォ!?」
青白い稲妻がシトリーの身体を貫き、堕天使の動きが一瞬硬直。
そこにコロポックルの氷結魔法ブフーラが追い打ちをかけ、シトリーを氷結の嵐が襲った。
ブフーラは中級の氷結魔法。
舐めてかかっていいもんじゃない。
「効いてるぞ! 頑張れ!」
俺は叫びながら、さらにシトリーの注意を引きつけるためにわざと距離を詰める。
案の定、シトリーは俺を優先目標と定めたらしい。
堕天使の瞳が赤く輝き。
その背の翼で羽ばたきつつ、魔力を集中。
そして……
「我が炎で焼き尽くせ……マハラギオン!」
中級の大火炎魔法・マハラギオン。
シトリーの周囲に灼熱の炎が渦巻き、俺に向かって襲いかかってきた。
だが、これが狙いだ。
俺は素早く横に飛び、転がりつつ炎を回避。
マハラギオンは空しく地面を焦がした。
「志乃、今だ! スクカジャを!」
俺の声に反応し、天高く両手を上げて志乃が素早く魔法を展開する。
「スクカジャ!」
支援魔法・スクカジャ。
敏捷性と集中力を上昇させ、結果的に回避能力と器用さを上昇させる魔法。
淡い光が俺を包み、身体が軽くなる。
素早さが上がった俺は、さらにシトリーを挑発するように動き回り、堕天使の苛立ちを誘った。
「この……小賢しい人間め!」
シトリーが焦れて俺に注目し、俺に釘付けになる。
その瞬間、オニが再び接近し、強烈な一撃を叩き込む。
シトリーは咄嗟に回避した。
けれども、そのせいで体勢が崩れ……
そこに
志乃が突っ込んでいく。
それに反応し、シトリーは志乃に狙いを定めた。
「志乃!? 無茶だ!」
俺が叫ぶ。
ヤツのマハラギオンは攻撃範囲が広く……
だが
マハラギオンは発射されず……
そこで気づく。
そうか。
……志乃は後で魅了の魔法を掛ける関係で、殺せないから……
あいつは狙いを定めた後に、迷って……
その隙に彼女はシトリーとの間合いを詰め切って……!
手を翳し
「ザンマ!」
ドンッ!!
「グアアアアアアッ!」
中級の衝撃魔法・ザンマを放った。
……早いな。
マジかよ……!
もう、ザンマを使えるようになるなんて。
志乃の手から放たれた衝撃波がシトリーを直撃する。
堕天使の身体が玩具のようにぶっ飛んで、翼が不自然にねじれた。
そのまま地面に投げ出され、そして……
「ぐああっ……口惜しや!」
シトリーの身体がマグネタイトの粒になって消え去っていく。
「……大丈夫か?」
俺は息を整えながら志乃に近づく。彼女は会心の笑みを浮かべていた。
そして
「どうですか? あなたの彼女は役に立つでしょ?」
してやったり、みたいな顔をしてる志乃。
俺は
「……ああ、すごいな。助かった。ありがとう」
素直に礼を言う。
内心、それでも危ない真似はして欲しく無かったけどな。
そして
「さて」
……俺たちは。
契約悪魔を倒されて、丸腰になった問題の男子中学生に向き直った。
ヒロイン、はやくもザンマを習得。
さあ、あとはエロガキをどうしてくれようか?
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