家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
シトリーが消え去り、戦いの熱が冷めたので、俺たちは目の前に立つ男子中学生に向き直った。
こいつがシトリーの召喚主。
息を整えながら、俺は一歩近づく。
志乃が隣で静かに見守っている。
「終わったな」
と俺は静かに言った。
こいつの契約悪魔は消え、丸腰になった今、もう抵抗する力はない。
だが、正直、こいつをどうするかで少し迷った。
こいつは犬や猫を殺して、マグネタイトを確保した。
ここに来るとき、何か持っていたけど、多分その中身は生き物だろう。
見過ごせない罪だと思う。
……でも。
それを裁くのは俺じゃない。
俺にそんな権利はないだろ。
だから、それは置いといて、別の角度からこいつに話しかけることにした。
「お前さ、スクールカーストなんかにこだわって、悪魔召喚なんかに手を出すなんて、バカすぎるぞ。さっきも言ったけど」
と俺は冷静に言った。
「そんなしょうもないもんのために、自分の人生を棒に振るつもりか? たった3年間の話だろ?」
男子中学生は目を伏せたまま、唇を噛んでいたが、やがて小さく反論するように呟いた。
「……あんたみたいな奴に何が分かるんだよ。僕はデブで、ブサメンで。バカでウンチでクソでムシ。紛れもないカーストの惨めな最底辺」
そこまで言って、男子中学生は恨めし気に俺を睨み
「それをひっくり返そうとして何が悪いんだ!?」
……くだらないの一言だ。
そんなもん、他人と比較するから惨めに思うんだよ。
人間の価値が、そんなところにあってたまるか。
だから俺は少し黙ってから、深く息を吐いた。
「俺だって、中学時代は彼女いなかったし陰キャだったよ。カースト? そんなもんではおそらく最底辺だろうな。知らんけど。実際、友達は少なかった」
皆無では無かったけど、友達イッパイ、って人間では無かった。
俺は。
それを辛いと思ったことは無いけどな。
俺は続ける。
「でもさ、たった3年間の短い時間のために、人生全部を台無しにするなんて、バカバカしすぎるだろ。それぐらい分かれ」
その言葉に。
男子中学生は顔を上げ、俺を睨みつけた。
そして、突然声を荒げて言ったんだ。
「そんなおっぱいの大きいエッチな美人な彼女がいる奴に言われても、説得力ないよ! アンタみたいな奴が僕の気持ち分かるわけないだろ!」
その言葉に、志乃が隣でさすがに嫌そうな表情を浮かべた。
眉をひそめて、少し身体を引くのが分かる。
俺も正直、ムカついた。
自分の彼女をそんな性的な目で見られたことが不愉快で、腹の底から怒りが湧いてきた。
殴りそうになったが
「……お前、言葉を選べな?」
と俺は低く、抑えた声で言う。
「志乃は俺の彼女だ。テメエの女にエロ目線向けられるとムカつくんだよボケ」
男子中学生は俺の視線に気圧されたのか、ビビッて黙る。
そしてそのまましばらく沈黙が続いた後……
こいつは目を逸らしながら、ぽつぽつと話し始めた。
「……僕さ、ある日、変な奴に会ったんだ。ハゲで、神父服着た筋肉モリモリなマッチョマンでさ……そいつが僕に指輪を渡してきて、『これでお前の願いを叶えろ』って言ったんだよ。で、言われた通りの手順を踏んだら……」
俺はその言葉に凍りついた。
ハゲ。神父服。筋肉モリモリ。
そしてそこからの悪魔召喚。
……それって。
「……まさか、シドか?」
と俺は思わず呟いていた。
ここで第3章は終了です。
次回から第4章です。
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