家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
「あの仕事で、10万円か」
「バイトとしては実入り良いのかしらね? 結果だけ見たらたった1日で稼いだわけでしょ?」
そーだな。
俺は志乃の言葉に頷いた。
まぁ、そのバイトは命懸けなんだけどな。
闇バイトかよ。
俺たちはあの、エロガキ事件解決の報酬10万円を手に、この町の骨董品屋へと向かっていた。
どうもこの町の町の外れにある骨董品屋さんなんだけどさぁ……
デビルサマナー御用達の、武器防具魔道具を内緒で販売する店なんだそうだ。
俺は報酬を貰う際
「兄くん、自分で装備を選んで来い。その金で足りるはずだ」
キョウジにそんなことを言われて。
教えられてやって来たのだけど……
問題の骨董屋の店の扉をくぐると、乱雑に物が積み上げられた空間が広がっていた。
古びた壺や錆びた置物、掛け軸、用途不明のガラクタが所狭しと並び、何が価値あるものなのかさっぱり分からない。
店主らしき禿げた老人が1人いて。
気難しそうな顔つきで、こちらを一瞥すると鼻を鳴らした。
「ここはお前みたいな青二才が来るところじゃない。モノを壊す前に帰れ」
そっけない態度だ。
でも、俺は鞄からGUMPを取り出して見せた。
こうしたら態度が変わるとキョウジに言われていたので。
その奇妙な銃を見た老人は
「……そっちの客か。だったらついてこい」
ぶっきらぼうにそう言うと、老人は店の奥へと顎をしゃくった。
案内されたのは、表の店とは打って変わった別室。
薄暗い照明の下、壁には剣や斧、さらには銃器までがケースに収められて並んでいる。
説明書つきで。
怪しげな紋章が刻まれたペンダントや、何に使うのか分からない道具類も転がっていた。
俺は思わず息を呑んだ。
すげえ……
隣の志乃も目を丸くして
「何これ……」
と呟いている。
「好きに選べ。金さえ払えば文句は言わん」
骨董屋の老人がそう言って、部屋の隅でタバコを吸い始めた。
こんなときになんだけどさ。
すっげぇ、ワクワクした。
遊びで来たわけじゃないんだけどな。
俺は晶の魂をシドから取り返さないといけないわけだし。
でも。
こんなのワクワクしないのは無理だ。
俺はショーケースや壁を物色し、目に留まった2つの品を選んだ。
一つは「最後の守り」
何かの文様が描かれた妙なお守り。
首飾りのように首から下げておくと、呪殺魔法を受けたとき、身代わりで砕けるらしい。
値段は5000円。
俺と志乃、2人分買う。
そして俺はもう1つ「
刃に蛇が這うような装飾が施されていて、見た目以上に軽く手に馴染んだ。
説明文を見ると、筋力が少し上昇する魔力があるそうだ。
5万円。
そして志乃は、魔法使いらしい選択眼で「ピクシーナイフ」という短剣を手に取った。
刃に不思議な光沢があり、彼女の白い指に映える。
鍔の部分かな? そこに同名の妖精を思わせる意匠があって。
これは切れ味が高いらしいことと、魔力を高める効果があると書いてあるので決定。
4万円。
「ちょっと高いけど、これにするわ」
志乃がそう言って手に取る。
会計を済ませると、合計でぴったり10万円。
報酬が全て一瞬で消えた。
老人は無愛想に金を数えて
「次も来るなら、キッチリ現金を持ってこいよ」
と吐き捨てた。
店を出て、埃っぽい通りを歩きながら、俺は1人考え込んでいた。
ちょっと高すぎる気がしたが……
これ、妥当な額だったのかな……?
比較対象がないから分からんよな……
買ったものを手さぐりで確認しつつ、そんなことを考える。
すると
隣を歩いていた志乃が、スマホを取り出して。
その画面を見た瞬間、何か嫌そうな顔をした。
……なんかあったの?
俺はさ、志乃に「嫌なことは全部私に話してくれないと私が彼女で居る意味が無い」って言われてるわけよ。
だからまぁ……
ちょっと迷ったが、訊いた。
「……何のメールだったんだ?」
俺がそう訊くと、志乃は一瞬迷ったような表情を見せた。
で、ちょっと悩んで……
ため息をついて、嫌そうに答えた。
「友達の彼氏がさ……」
本当に、嫌そうだった。
「私を口説くメールを打って来たのよね」
……は?
どんなメールなの?
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