家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第31話 志乃と喧嘩

 ここまで言ったからか。

 志乃は言って来た。

 

「メール、見たいなら見せるけど。……別に良いならこのまま消去」

 

 ……少し悩んだが……

 

 俺さ、志乃のことは知りたいとは思っているわけだ。

 仮にも志乃の彼氏だから。

 

 読んだらイライラするかもだけど、ここで「別にいーわ」は……

 

 無いんじゃないか?

 

 だから

 

「……見る」

 

「ん」

 

 志乃は自分のスマホの画面を俺に向ける。

 それはこう言う文面だった。

 

~~~~~~~~~~~~

 

件名: ねえ、ちょっと話したいことがあるんだけど

本文:

やっと会えた日から頭から離れないんだよね、君のこと。ほんとびっくりするくらい美人でさ、正直、今まで見てきた誰ともレベルが違うって思ってる。

そりゃ彼氏いるってのは知ってるよ。でもさ、あの暗い感じの奴…正直、君に釣り合ってると思う?背高いだけじゃ埋まらない何かがあるよね。君みたいな子はもっとキラキラした毎日送るべきだよ。

俺だったらさ、君が笑顔でいられる時間、絶対増やせる自信あるよ。ちょっとだけでいいから、返事もらえたら嬉しいな。

 

~~~~~~~~~~~~

 

「……何だこいつ?」

 

 俺の声が低くなり、顔が自然としかめ面になった。

 

 嫉妬でどす黒いものが湧いてくる。

 俺は束縛系の彼氏ではない。自分でそう思っているんだけど……

 

 他人の女に手を出してんじゃねえぞ……

 

 無論、やらないけどさ。

 もし決闘罪が無いのであれば、一度殴り合いをしてみるか?

 

 そう思うくらいはムカついた。

 こいつの方が俺より強い可能性はあるわけだけど……

 

 ……昔からだ。

 例え勝てなくても、俺は衝突した相手に。

 

 こいつを怒らせたせいで高い代償を支払った。

 

 そう思わせるだけの振る舞いは取って来たから。

 

 例えば、小学校のとき。

 俺は性格の歪んだ上級生に、学校の校舎の上から水を掛けられたことがあった。

 

 俺はそれに対して……

 

 そいつのクラスに乗り込んで、水を掛けてきた上級生に殴り掛かり、鼻血を出させた。

 無論、その報復でその後ボコボコに殴り返されたが。

 

 そういうことがあったからか

 注目に値する奴じゃ無いが、だからといってこいつをわざわざ怒らせるのは愚の骨頂。

 そう思われてきていたんだと思う。

 

 なので、中学時代はカーストは低かったが。

 いじめのターゲットになったりはしなかった。

 

 こいつをいじめたら、代償に何を払わされるか分からない。

 そう思われてたんだろうな。

 

 そんなふうに、俺は自分のことを振り返っていたら

 

「……だから見せたくなかったのよ」

 

 志乃が溜息をついてスマホを仕舞う。

 

「機嫌悪くなるならメールを見たいなんて言わないで欲しい」

 

 ……そこに呆れを感じて俺は

 納得がいかなかったから

 

「お前には怒ってないだろ」

 

 そう返す。

 志乃は

 

「怒ってるのは事実でしょ」

 

「怒るだろ」

 

 自分の彼女に手を出されるってことは、こいつが怒りだして自分の命を狙って来ても、別に問題なく撃退できる。

 

 そういう意思の表れだ。

 逆にそういう覚悟も無しに手を出すなら、アホ極まりないわ。

 

 それで命を落としたとしても

 

 死んで当然だ馬鹿が。

 

 俺は躊躇なくそう言える。

 

 ……そのくらいのことをされたんだから、怒るのはしょうがないだろ。

 

 だから俺は納得できなかった。

 

「……付き合うときも言ったけど、私が秀司を選んだのは、私を自慢の種にする男じゃ無いって思ったからよ。OK?」

 

 ウンザリしたように志乃。

 

 ……告白したとき、OK貰えたのが信じられなくて理由を聞いたとき。

 彼女はそう言った。

 

 飛鳥馬志乃の彼氏であることで周囲にマウントを取る。

 そういう男とばかり交際して来たから、ウンザリだったらしい。

 

 そんなことを言ってたんだ。

 志乃は。

 

 男の人が自分にハクをつけるためのトロフィー扱いはもうたくさん。

 あなたは絶対そんなことをしないって、そういう確信があったの。

 

 彼女はそう言ったし。

 それを俺は一切疑っていない。

 

 けど

 

「でもさ」

 

 俺は食い下がる。

 俺の怒りは正当だろ!

 

 正しき怒りってやつじゃないのか!?

 

 けれども

 

「でも、でも、でもって……活動家じゃ無いんだから……ああもう」

 

 志乃はイライラしていた。

 そして急に

 

 俺に抱き着いて

 

 俺の首に手を回し、そっと唇を重ねてきた。

 柔らかくて温かい感触に俺の時間が停まる。

 

 彼女はしかめ顔で唇を離し、そして

 

「……もうこれでおしまい。いいよね?」

 

 そう言う。

 

 ここまでされたら……

 俺としては

 

「……分かった。分かりました。申し訳ありませんでした」

 

 これ以外、言えんわな。

 流石に。




まあ、生物として舐められるのは大体の男は我慢ならんのだよ。

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