家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第33話 破壊神アラストル

 クズ男メール事件から一夜明けた。

 

 今日、俺と志乃は廃病院で仲魔集めに成果を上げていた。

 薄暗い病棟の奥で交渉した悪魔をGUMPに登録し、満足げに夜道を歩いている。

 

 志乃は隣で軽く鼻歌を歌いながら歩いてて、昨日クズ男のメールで揉めたのが嘘みたいに機嫌が良かった。

 

「……友達にメール送ったの、どうだった?」

 

 俺はふと口を開いた。

 昨日、志乃が友達に彼氏の裏切りを伝えるメールを送ったのを思い出したんだ。

 

 まだその結果を聞いてなかったから、気になって。

 

 すると

 

「うん。ちょっと悲しそうだったけど、ありがとうって電話が来た」

 

 ちょっとだけ声が沈む。

 まぁ、喜ばしいことじゃないしな。

 

 でも、知っておかないとな。

 意味のない恋愛で人生を無駄にするより、裏切ってくるパートナー足りえない相手とはさっさとお別れし、真っ当に誠実にパートナーを務めてくれる相手を探した方がいい。

 ……それが俺と志乃の共通認識だから。

 

 でも、この話題を出したせいで、空気が沈んだのがなんとも居心地が悪いな。

 だから俺は空気を変えるために

 

「神獣カマプアア、妖鬼オニ、聖獣シーサー、堕天使ガミジン、鬼女マナナンガル、妖精ドリアード、妖鳥タクヒ、妖魔シャイターン」

 

 指折りしつつ、今MAXで登録している仲魔の名前を列挙する。

 

「ここからさらに合体させて、もっと強化していかないと」

 

「そうね」

 

 そうしないと、目的が果たせないし。

 そう、決意新たに気合を込めていると。

 

 なんだか、夜風が急に冷たくなった。

 闇の奥から何か重い気配が漂ってきて、俺の背筋がピリッと緊張する。

 

 志乃も気付いたのか、鼻歌が止まって眉を寄せた。

 

「……秀司、何か変だよ」

 

 彼女が呟いた瞬間、暗闇から漆黒の影が現れた。

 全身が黒ずんだ屈強な男の姿で、長い髭が風に揺れてる。

 背中には大きな蝙蝠の羽根が広がり、額には二本の角が鋭く突き出してる。

 

 そいつの赤い目が志乃をじっと見据える。

 

 そして

 

「我は破壊神アラストル」

 

 名乗り、続いて

 

「主の名により、復讐に参上した」

 

 低い声で。

 志乃を見据えながら。

 

 ……復讐……?

 

 それが誰に対しての復讐なのか。

 半ば以上予想しつつ、俺は

 

「復讐だと……? 誰にだ?」

 

 そいつ……破壊神アラストルに問う。

 するとヤツは

 

「その女だ。……お前は見逃しても良い」

 

 案の定、そんなことを。

 俺は

 

「ふざけんな」

 

 秒で判断。

 受け入れられるわけが無い。

 

 俺はGUMPを取り出し、起動させて登録している仲魔を召喚した。

 

 力自慢の妖鬼オニ。

 直立し、マントを羽織った豚の姿をした神獣カマプアア。

 子供の幽霊のような姿をした悪魔・妖魔シャイターン。

 

 そして上半身と下半身がバラバラで、足の無い上半身は背中の蝙蝠の翼で飛行する。

 そんな異形の女悪魔の鬼女マナナンガル。

 

 それら4体が、魔法陣から呼び出される。

 

「……答えはNOだ。拒否する」

 

「ふむ。……後悔するがいいぞ」

 

 アラストルは大きく羽ばたき、舞い上がる。

 

 そこで。

 

 志乃が俺の隣に立ち。

 そっと俺に囁いた。

 

 こんなことを

 

「……一応お礼は言っておくわ。庇ってくれてありがとう、大好き」

 

 ……そんなこと、当然だろ。

 お礼を言われるようなことじゃない。




アラストルは、ゾロアスター教の悪魔だと思います。多分。
ちょっと自信ないです。
ゼウスの異名って説があるらしく、加えてデビルメイクライの主人公ダンテの雷の魔剣の名前でもあるので、そういうイメージでデザインしました。

本作を読んでいただき感謝です。
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