家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
俺は無言で
刃に蛇のような紋様が刻まれてるこの剣は、申し分ない切れ味があり
武器として振るうと、身体能力が上がるんだ。
俺たちが見る前でアラストルが大きく羽ばたき、漆黒の体が夜空に浮かんだ。
そいつの長い髭が風に揺れ、額の二本の角から稲光が迸っている。
こいつ、電撃魔法の使い手か……?
「愚かな選択だ。ならばただ、主の意志を果たすのみ」
低い声が響き、アラストルが手を掲げた。空気がビリビリと震える、
「死ぬがいい! マハジオンガ!」
その叫びと共に。
アラストルの角から中級大電撃魔法マハジオンガが放たれる。
青白い稲妻が俺と志乃を狙って落ちてきた。
「散れ!」
俺と志乃は左右に分かれて飛び、寸前で回避する。
「オニ、お前も気をつけろ!」
俺が叫ぶと、妖鬼オニは
「わーったよ」
金棒を構えて少し、緊張感のある返しをする。
……こいつ、電撃魔法が弱点なんだよな。
だから浴びさせるとまずい。
死ぬ可能性がある。
「フハハハハ! 復讐の雷を浴びて息絶えるがいい!」
アラストルの2本の角がまた、稲光を発している。
飛行状態で電撃を連打されるとやばいだろ、これ……!
俺は
「カマプアア、タルンダだ!」
神獣カマプアアに命じる。
直立した豚の姿でマントを翻し、低い唸り声と共に敵の攻撃力を下げる魔法を放つ。
アラストルの動きが一瞬鈍くなった。
少しでもマハジオンガの威力を下げないと。
冗談じゃない!
「シャイターン、アギで狙え!」
次に妖魔シャイターンに命じた。
子供の幽霊みたいな姿でふわふわ浮かびながら、初級火炎魔法アギを撃つ。
あまり威力は期待できないが、しかし……。
小さな火球がアラストルの身体に命中するが、大したダメージにはなってない。
案の定だ。
「……志乃、マナナンガルと一緒にザンマ頼む!」
そこで俺が声量を抑えて、仲魔と志乃に指示した。
志乃は頷き
鬼女マナナンガルが上半身と下半身とに分離する。
上半身は背中の蝙蝠の翼で飛び上がり、下半身は地上を練り歩くようにウロウロする。
「ホホホホ!」
マナナンガルが狂ったような笑い声とともに、アラストルの周りを飛行する。
「行くわよ! ザンマ!」
志乃の声と同時に、アラストルに向けた手から中級衝撃魔法ザンマが放たれる。
アラストルを襲う、強力な衝撃波。
「ぐおっ!」
その瞬間、アラストルに緊張感が灯った。
……やっぱりか。
電撃魔法使いの悪魔だから、反対属性の衝撃属性弱点なんじゃないのかと予想したんだよな。
思惑に嵌ったので、思わず笑みが零れる。
シャイターンのしょぼいアギはこのための布石。
油断させてザンマを当てるための
「ザンマ!」
志乃の2発目のザンマ。
だがアラストルは
「当たらなければ何も問題は無いぞ女!」
複雑な飛行で、志乃のザンマを躱す。
俺は
「ザンマは志乃だけじゃないぞ!」
そう、アラストルに言い放ち
「何ッ!?」
驚愕するアラストルの背後で
「ザンマじゃ!」
鬼女マナナンガルの発声が叩きつけられた。
「くううう!」
背後からザンマを浴びせられる。
そう思ったのか。
アラストルは首を捻り後ろを見つつ、全力で飛行し。
結果
「グアアアアアアアアッ!!」
……予想もしないか。
鬼女マナナンガルのザンマは、
地上では、鬼女マナナンガルの下半身が突っ立っていて。
その腸が、切断面から触手のように伸び。
上半身の魔法の発声と同時に、そこからザンマを発射したんだ。
「お……おのれえええええ」
ザンマを喰らい地上に墜落したアラストルが初めて苦悶の声を上げた。
「返り討ちにしてやるから覚悟するんだな」
俺の言葉に。
アラストルは表情を歪め。
「……乱れろっ! テンタラフー!」
アアアアアアアアア!!
アラストルが叫ぶ。
その叫びを聞いた途端。
俺は何だか状況把握が難しくなり、適切な行動が何であるのかを理解できなくなった。
その隙に
アラストルは大きく羽ばたき。
「……その命、預けておく!」
そう言い残し。
かなりのスピードで飛び去って行った。
「……逃げてくれたか」
テンタラフーによる混乱効果が切れて。
俺は蛇の剣を下ろし、大きく息を吐いた。
正直、少し焦った。
しかし……
これは一体、誰の差し金なんだろうか……?
なんとか追い返せたが……?
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