家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
敵が去ったので、俺は剣を鞘に戻した。
なんとかなった。
……決して楽勝では無かったよ。
「秀司、大丈夫?」
そこに志乃が俺に近づいてきて、心配そうに顔を覗き込む。
俺はしかめ面のまま頷いた。
「ああ、お前は?」
「平気よ。……でも、復讐って何だったんだろうね」
そう言って志乃が首を傾げた瞬間だ。
彼女のスマホが短く振動した。
取り出して画面を見た志乃の顔が一気に曇る。
「……何だ?」
俺が聞くと、志乃が渋々スマホを差し出してきた。
そこにはクズ男からのメールが映ってた。
お前が俺をシカトするからさ、こうなるしかねぇだろ。震えて待ってろよ!
何が震えて待ってろよ、だ。
テレビの見過ぎだろ。
大仰すぎるわ恥ずかしい。
……しかし。
状況が状況だなぁ。
こういうメールを打つ以上、俺たちに何かしたのがセットになる。
で、その何かは……
今のところ、思い当たるのは破壊神アラストル襲撃しか無い。
「……こいつ、まさか?」
まあ当然。
ひとつの結論に行きつくよなこの場合。
これを単純思考って言われたら流石に「無茶言うな」って言うよ。
アラストルの「復讐」とこのメール。
……偶然なわけ無いだろ。
ここでふと、昔読んだ漫画のことを思い出した。
恋愛漫画だったんだけど。
物語終盤で、イケメン気取りのストーカーが、ヒロインに嫌がらせして屈服させて振り向かせようとする展開があるんだが。
そいつ、最終的に刃物を持ち出してきて、自滅するんだよな。
「どうかしたの、秀司?」
志乃が俺の表情を見て首を傾げる。
俺は蛇の剣を鞘に収めながら、考えを口にした。
「状況的に疑うなってのが無茶だろ」
志乃が半眼で頷く。
「……確かにね。あまりにもタイミング良過ぎるし」
言って志乃は自分のスマホを見つめる。
しかし、こんなメール送って来るなんて。
馬鹿なのか?
勝っていたのに逃げられたんじゃ無くて、倒されそうになったから逃げ出したんだぞ?
破壊神アラストルは。
それなのにこのメール……
理解不能だ。
まるで自分が優勢だったみたいじゃん。
負け惜しみか?
それで疑惑深めてたら世話ねーな。
「しかし、こいつ馬鹿だよな。志乃の友達、しっかり別れたんだろうな? マジで付き合う価値無いぞこいつ」
なんというか呆れ果ててしまってさ。
つい言ってしまった。
志乃は
「分かんない。……あの子、最初の彼氏だからって、かなり相手を大事にしてたと思うから」
ひょっとしたらまだ拗れてるかもね。
諦められなくて。
そう呟くように言う志乃の顔は少し悲しそうだった。
俺は
「とりあえずさ」
志乃に切り出す。
「明日、その友達の家に案内して欲しいんだけど」
……クズ男に接触しないわけにはいかないし。
そうなると、志乃の友人に会わないことにははじまらないだろ。
凸しないわけにはいかない。
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