家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
紀子の叫びが響き、アラストルの羽根が大きく広がった瞬間、俺は蛇の剣を抜いて斬りかかった。
屋外なら飛行状態になれるが、ここではそれは不可能だ。
俺の斬撃……袈裟斬り、逆袈裟、そして胴薙ぎ。
有効打にこそならなかったが、的確にアラストルを追い込んでいく。
「ここは狭すぎる……!」
アラストルが低い唸り声を上げ、俺との距離を取ろうとする。
その隙を狙った。
「来い!」
俺はすかさずGUMPを起動させ、仲魔を召喚した。
床に4つの魔法陣が浮かび上がり、神獣カマプアア、聖獣シーサー、鬼女マナナンガル、妖精ドリアードが現れる。
コイツと戦うことを想定し、組み替えておいた召喚悪魔たち。
「シーサー、前へ! 電撃受け止めろ!」
俺の指示に、獅子のような聖獣シーサーが一歩踏み出し、アラストルと対峙した。
電撃吸収相性のこいつを盾にすれば、マハジオンガ対策になる。
そして
「志乃、マナナンガル、ザンマを頼む!」
俺が叫ぶと、志乃が頷き、マナナンガルが上半身と下半身とに分離した。
上半身が翼で飛び上がり、下半身が床を駆ける。
「行くわよ! ザンマ!」
「ザンマじゃ!」
志乃とマナナンガルの声と同時に、彼女らの手から中級衝撃魔法ザンマが放たれる。
マナナンガルは今度は上半身から発射した。
アラストルを狙う、衝撃の弾丸。
だが……
「弾き返せェ!」
紀子が両手をこちらに向けて。
叫んだんだ。
次の瞬間、異変が起きた。
ザンマがアラストルに届く直前、透明な障壁が光り、高い金属音と共に魔法が跳ね返された!
「何!?」
俺が叫ぶ間もなく。
反射されたザンマが志乃とマナナンガルを直撃した。
「きゃああああ!」
「グワーッ!」
ふたりは悲鳴を上げて壁に叩きつけられ、マナナンガルの上半身が床に落ちる。
俺は混乱しながら紀子を見た。
……これは……魔法?
どうして……?
そのとき
「……何の対策も打ってないと思っていたの? ……あんなメールを送ってやったのに」
……紀子が俺たちを見下した目を向けて。
狂った笑みを浮かべていた。
そして。
彼女はゆっくり手首に巻いてたスカーフを外し、切り傷だらけの腕を見せつける。
血が乾いた跡が痛々しい……
「絶対勝てると思って来たんだろうけど残念でしたぁ」
紀子が笑いながら言う。
とんでもないことを……
「私、昨夜自殺して人間を辞めたの。そして幽鬼リッチに転生したのよね」
……なんだって?
思わず絶句してしまう。
死んだ……?
死んだってことか……?
紀子はそのまま、勝ち誇ったように
「この指輪が教えてくれたのよ。命を捨てて、リッチという悪魔になれば魔法を習得して、あんたたちを殺す力が手に入るって」
彼女がニヤニヤ嗤いつつ、シドの指輪を掲げる。
……正気の行動とは思えない。
命を捨てて悪魔になるなんて……!
それをしたら最後、もう2度と戻れないのに……!
その指輪が赤く光った。
アラストルが主人に忠誠を捧げるように羽ばたく。
そして紀子が続けた。
「……今のはマカラカーン。あんたたちの魔法を跳ね返す魔法だよ。……ザンマはもう通じない!」
紀子の声は狂気に満ちていた。
そこで志乃が壁にもたれつつ立ち上がり、震える声で呟いた。
「紀子……なんてことを……」
リッチにするかヴァンパイアにするかちょっと迷いましたが、魔法習得が目的ならリッチがいいかなと。
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